海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

「9.29県民大会決議」を実現させる県民集会

2009-09-30 15:47:11 | 「集団自決」(強制集団死)
 昨日29日は午後から那覇に行き、県庁前広場で開かれた「9.29県民大会決議を実現させる県民集会」に参加してきた。集会は沖縄県老人クラブ連合会・県婦人連合会・県PTA連合会・青春を語る会・県青年団協議会・県子ども育成連絡協議会の6団体が主催し、約1000人(主催者発表)が集まった。「集団自決」の強制記述を削除させた検定意見の撤回と記述復活という2年前の県民大会の決議を実現させるため、新政権に要請行動を行っていくことを確認した。以下に集会の式次第と採択されたアピール文を紹介したい。

「9.29県民大会決議を実現させる県民集会」式次第

司会:玉城徳知(沖青協)
1.開会のあいさつ・・・・・・・・・・・・・中山きくさん(青春を語る会)
2.主催社代表あいさつ・・・・・・・・・山田君子さん(沖縄県老人クラブ連合会副会長)
3.メッセージ紹介・・・・・・・・・・・・・大城節子さん(沖婦連会長)
4.県議会議長あいさつ・・・・・・・・・高嶺善伸さん(県議会議長)
5.戦争体験者代表あいさつ・・・・・吉川嘉勝さん
6.各政党代表あいさつ・・・・・・・・・端慶覧朝敏さん(民主党)、赤嶺政賢さん(共産党)、新里米吉さん(社民党)、喜納政春さん(社大党)
7.労働者代表あいさつ・・・・・・・・・仲村信正さん(連合沖縄会長)
8.アピール文採択・・・・・・・・・・・・太田守さん(県PTA連合会会長)
9.閉会宣言・・・・・・・・・・・・・・・・・玉寄哲永さん(沖子連会長)



「9.29県民大会決議」を実現させる県民集会アピール

 2007年3月、文部科学省は高校の歴史教科書検定に際し「沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現である」とし、「集団自決(強制集団死)」の記述を削除させるための検定意見を付したことが明らかになった。
 その検定意見に対し県民は怒りの声を上げた。「沖縄戦の事実をゆがめてはならない」という思いは、復帰後最大規模といわれる11万6千人余の県民大会につながったのである。
 このような動きを受けて、文科省は執筆者による訂正申請は認めたものの、県民の願いである「検定意見の撤回」などについてはいまだ実現していない。それどころか、「検定意見の見直し」では、新たに「執筆者に守秘義務を課す」など、県民が求めた「検定制度の透明化」とは逆行するものとなっている。

 しかも、文科省は今年、沖縄戦について「4月、アメリカ軍は沖縄本島に上陸し、ついに陸上の戦いも日本の国土に及んだ」と記述し、意図的に3月に起こった「集団自決(強制集団死)」を無かったことにしようとする教科書に「検定合格」を与えている。07年、連続して文科省に対し沖縄県議会をはじめとして多くの要請団が「検定意見の撤回、沖縄条項などの確立」を求めてきた。その要請の中心は3月に起こった「慶良間諸島の『集団自決(強制集団死)』」の記述をめぐる内容であり、このような教科書を合格させた文科省の責任は重いといわざるを得ない。

 07年9月29日の「県民大会」を機に、多くの戦争体験者が重い口を開き、沖縄戦の真実を語り始めている。その声に真摯に耳を傾けることこそが、今必要なのである。
 これまで政府・文部科学省が「審議会が決めたことには口出しできない」と「審議会」を隠れ蓑とし、県民の声に耳をふさいできたことを、これ以上放置することは許されない。

 私たちは、連立政権が実現した今、「9.29県民大会決議を実現」させるために、再び県民の声を届けなければならない。そして、速やかに密室でなされた「検定意見を撤回」させ、二度と「沖縄戦の実相を歪める」ことが起こらないよう「沖縄条項」の実現を求めるものである。以上アピールする。
 2009年9月29日 
9.29県民大会決議を実現させる県民集会参加者一同



 集会終了後は国際通りを牧志ウガンまでデモ行進が行われた。
 集会には名護から辺野古の皆さんをはじめティダの会のメンバーも参加した。ティダの会の会議が終わった後の雑談で、戦争体験が語られることが時々ある。ヤマトゥンチューは怖い、と今でも話す方もいる。自分たちが生活する辺野古にこれ以上基地は造らせない、と十年以上にわたって運動を続けているお年寄りたちの行動の基底には、身を持って体験した沖縄戦の悲惨さがある。
 軍隊は住民を守らない。沖縄戦の体験からつかんだこの言葉は、単純素朴なようでいて、国家の暴力装置である軍隊の本質を衝いている。「集団自決」の軍による強制という記述をめぐる教科書検定問題は、辺野古新基地建設をはじめとした基地問題ともつながっている。
 県老人クラブ連合会や青春を語る会など戦争を体験したお年寄りたちが、集会を呼びかけて頑張っている。若い世代がその思いを受け止めてほしい。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« チチハルでの二日目 | トップ | 北沢防衛大臣来沖 »
最新の画像もっと見る

「集団自決」(強制集団死)」カテゴリの最新記事