海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

ワーストの案

2010-03-28 00:25:03 | 米軍・自衛隊・基地問題
 普天間基地の「移設」案として、鳩山政権がキャンプ・シュワブ陸上に500メートル四方のヘリパッドを造っていったんそこに「移設」し、その後に勝連沖を埋め立てて滑走路を建設するという二段階案を示している。3月27日付の琉球新報の社説は〈民意欺くワーストの案だ〉と批判している。

〈沖縄にとって、シュワブ陸上案という最悪の選択と、勝連沖の埋め立てという最悪の選択を、二重に実施することになる。これ以上悪い案は、思いつくことすら難しい。とてもまともに考えた案とは思えない〉

 沖縄県民の大多数が同社説のこの意見に同感しただろう。これが6ヶ月かけてたどり着いた政府方針なら、鳩山首相や平野官房長官、北沢防衛相、岡田外務相、前原国交/沖縄北方対策相は、沖縄県民を愚弄しているとしか言いようがない。
 鳩山首相は5月までに決着させると言っているが、名護市やうるま市の市長は繰り返し反対の意思を表明している。沖縄県議会では「県内移設」に反対する決議が全会一致で上がっているし、仲井真知事も県民世論を無視して受け入れることはできないだろう。5月決着が地元との合意を意味するなら、無理という結論はすでに出ている。このままなら2ヶ月後に鳩山首相は決着させきれなかった責任を取って退陣することになるだろう。その際は、自分も辞めると言っていた下地幹郎議員も辞職することになるわけだ。
 政府はわざと沖縄側が受け入れ難い案を出し、「危険性の除去」「負担軽減」を考えて提案したのに、沖縄側が拒否したから駄目になった、として普天間基地を現状のままにするつもりだろうか。そういう疑いを持たせるほど、キャンプ・シュワブ陸上と勝連沖の二段階案はひどすぎる。

〈時間を空費したくないのなら、政府は今すぐこの方針を撤回した方がよい〉

 琉球新報の社説はそう提言している。鳩山首相や平野幹事長らは、主観的願望を抜きに沖縄の現状を認識し、冷静に判断すべきだ。無理を押し通そうとすれば、沖縄県民の怒りをかき立てるだけであり、小手先のごまかしは通用しない。

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