海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

やんばるの希少生物を脅かすオスプレイの訓練

2013-03-29 01:48:37 | 米軍・自衛隊・基地問題

 3月28日午後2時35分頃、高江の北部訓練場メインゲート近くにいたら、MV22オスプレイの爆音が聞こえ出した。伊江島から来たのか西の空にオスプレイ10番機の機体が見え、メインゲートの北西にある着陸帯に降りると、午後4時過ぎまで約1時間半、ロープを使って米兵を降下させる訓練を行っていた。

 訓練では着陸して10分ほどで米兵を乗せ、上昇してホバリングし、15~18名ほどの米兵をロープで降ろしていた。ホバリングの高さや人数はそのつど変わった。エンジンから噴射する熱風で木々が激しく揺れ、7~800メートルほど離れた県道横のテントまで、オスプレイのエンジン音とローターの風を切る音が轟いた。

 すべての兵士が降りると着陸して兵士を乗せ、上昇してロープを使って降下させる。それを2~3回行うと、オスプレイは兵士を乗せたままメインゲート上空を通って東側から北側の森を反時計回りに旋回し、再び西側から着陸帯に降りて降下訓練を繰り返した。

 これまで何度も書いてきたように、3月以降ノグチゲラの営巣・繁殖期に入るため、N4のヘリパッド(オスプレイパッド)建設工事は中止している。その一方で、米軍は重機以上の騒音をまき散らして訓練を行っている。メインゲート周辺の森は、国の特別天然記念物であるノグチゲラをはじめとした希少生物の生息地である。米本国では同様の訓練は許されないはずだ。

 国や沖縄県、東村、国頭村は、このようなノグチゲラをはじめとした希少生物の繁殖を脅かす米軍の訓練に対し、強く抗議して中止を求めるべきだ。それをせずに、やんばるの森を世界自然遺産に、などと口にできはしない。米軍も最低限3~7月の間、オスプレイやヘリを使った北部訓練場での訓練を止めるべきだ。

 降下訓練を終えて移動する米兵たちの姿がメインゲートから見えた。危険な訓練を終えたあとは精神的に高揚するらしく、森の中で大声をあげて話をする声が、県道沿いのテントまではっきりと聞こえた。3月27・28日付の県内紙電子版には次の記事が載っている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130328-00000006-okinawat-oki

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-204508-storytopic-1.html

 米軍は国頭村で民間地域にまで侵入して訓練を行っている。今は春休みで、やんばるの森でキャンプをしている児童生徒も多い。そこに訓練中の米軍が姿を現しているのである。その異常さを居直る沖縄防衛局・武田局長の発言は許しがたい。

 28日は68年前に渡嘉敷島で強制集団死が起こった日である。そのことを思いながら米軍の訓練を見ていると、怒りとやりきれなさが込み上げてくる。こうやって鍛えられた兵士たちが、米国の利益のために世界各地に派兵される。沖縄はいつまで戦争の影に覆われ、基地の島=悪魔の島であることを強いられるのだろうか。

 


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