海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

2月25日の高江の状況

2011-02-26 00:15:20 | 米軍・自衛隊・基地問題

 25日は午前6時前に高江のN1に行った。懐中電灯を手に警戒にあたっていると、1台の乗用車が前を通り過ぎてUターンし、しばらく止まっていたがゆっくり近づいてきて、目の前まで来て急発進して去った。沖縄防衛局の偵察車で、住民・支援者がどれだけ集まっているか様子をうかがっているのは明らかだった。

 夜が明けて行くにつれて支援者が続々と駆けつけてきた。最近の工事の状況や抗議行動の進め方について全体で確認し、沖縄防衛局が来るのに備えた。

 午前7時13分、沖縄防衛局の福島課長が乗った車を先頭に、大型ダンプカー、6トンユニック車など3台がやってきた。福島課長ほか防衛局員たちが降りてきて、いつものようにN1入口周辺の状況を調べ始めた。15分ほど遅れて作業員らの乗った車が列をなしてやってきた。2トントラックには土嚢が40袋ほど、6トンユニック車にはいつもの3分の1ほどの土嚢が載っているだけだったが、10トンダンプには土嚢が満載され、23日に下ろせなかった1台がそのままやって来たようだった。

 23日と同じようにアルバイトを含む若い作業員たちが大量に使われていて、車から降りて森に入りやすい場所を見つけると、抗議する支援者を振りきって森に飛び込んでいった。そのあと森の中の障害物を取り除くグループと、23日に森に残してあった土嚢を前に移動するグループに分かれて作業を進めているようだったが、通り道を確保してから次々と作業現場に土嚢を運び始めた。このあとは作業員たちや防衛局員たちへの対応に忙しく、写真を撮る余裕は殆どなかったので、琉球朝日放送のニュース映像を参考にしてほしい。

http://www.qab.co.jp/news/2011022526144.html

 土嚢運びを強行する防衛局員、作業員らと支援者が激しくもみ合う場面もあったが、数の上では防衛局側がはるかに多く、森の中に残っていたダンプカー1台分ほどの土嚢は作業現場に入れられた。沖縄防衛局が若い作業員を大量に動員しているのは、森の中での土嚢運びに体力が必要なだけではない。彼らを煽って暴力的に作業を進めさせるのが目的である。分別がつく年代の作業員なら、こういう作業のやり方に疑問を感じ、やってられないだろう。

 若い作業員の中にはヘルメットや手袋を与えられていない者も多かった。沖縄防衛局や元請けの東開発は、安全に作業をする上での基本さえ守らせていない。また、県道から見ている多くの人の目があるのに、森の中で平然と喫煙させている。山火事の危険性があるから、森の中では喫煙を止めるようくり返し注意しているのだが、作業を指揮している東開発の岸本という社員は無視し続けている。沖縄防衛局員たちが注意するのも見たことがない。

 抗議する住民、支援者に対し、米軍のMPを呼ぶぞ、と沖縄防衛局が圧力をかけてきた。ああ、いいぞ、呼べ、と言われて実際に米軍に電話をかけたらしいが、やってきたのはMP(憲兵)ではなく、演習場の環境整備をする係らしき人物だった。簡単にN1入口周辺を見て帰っていったが、それにしても、アメリカさんの後ろに従う沖縄防衛局員の姿の情けなさよ…。

 午前中は泥まみれ、汗まみれの抗議行動が続いた。昼休みになってやっと一息ついた。休憩中に、東京から来た学生たちの紹介があった。

 午後1時38分頃、工事が再開された。最初に23日に下ろしたまま道路脇に置かれていた土嚢を森に投げ込み始めた。それに対して抗議が行われ、もみ合いとなったが振り切られた。若い作業員たちは森の中に入り、新しい土嚢が下ろされるのを待っていたが、住民・支援者は腕組みをしてダンプカーやユニック車のそばに並んで整然とした抗議行動を行い、土嚢は下ろされなかった。

 ダンプカーなどとは離れてN1の南側に止まっていた2トントラックがUターンすると、いきなりN1入口前の反対車線に突っ込んできて、土嚢搬入を始めようとした。すぐに抗議行動が行われ、ここでも土嚢は下ろされないまま膠着状態が続いた。午後2時20分頃、森の中にいた若い作業員たちが、ガードレールの下をくぐって出てきた。

 午後3時頃になって、作業員たちは土嚢用の袋を手に森の中に入り、森にこぼれ落ちた砂利を集めて片づけ作業を始めた。沖縄防衛局員たちも、ガードレール周辺や県道の土手に落ちた砂利を拾い始めた。一見、草をかき分けて丁寧に砂利を拾っているように見えた。しかし、作業員たちの片づけはともかく、防衛局員たちの砂利拾いはマスコミ向けのポーズであり、現場を修復しているかのように見せるまやかしである。

 森の中には砂利が敷き詰められた道ができており、それは数日かけても除去できないほどの量である。袋が破れてこぼれ落ちただけでなく、窪地を埋めるために意図的に土嚢を置き、砂利を敷いた場所もある。それにはまったく手をつけず、ただ、人目に付く場所で砂利拾いをしただけにすぎない。

 午後4時半頃、民主党の玉城デニー衆院議員がN1に来て、防衛局と住民・支援者双方から状況を聞き、住民・支援者に対してあいさつを行った。午後4時50分頃、作業員が並べてあったカラーコーンを回収し、引き上げていった。午後5時過ぎには沖縄防衛局も引き上げた。23日までに下ろされていた土嚢は運ばれ、敷き詰められてしまったが、新たな土嚢は一袋も下ろされなかった。その意義を確認して、新緑が西日を受けるなか総括集会がもたれた。

 沖縄防衛局は、まだダンプカーなどに積んだままの土嚢は是が非でも下ろし、敷き詰めようと考えているだろう。25日に砂利拾いをやっていたのは、工事が終わったかのように見せかけている可能性が大きい。28日まで気を抜かずに、抗議行動を取り組みましょう。

 

 


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