あまねのにっきずぶろぐ

1981年生42歳引き篭り独身女物書き
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

映画「ダラス・バイヤーズクラブ」人生は一度きりだけど、他人のも生きてみたい。

2017-07-28 06:59:29 | 映画






2013年のジャン=マルク・ヴァレ監督の『ダラス・バイヤーズクラブ』(Dallas Buyers Club)という映画を昨夜観た。
書いていたらもう朝の10時になってしまった・・・



解説

1980年代当時無認可だったHIV代替治療薬を密輸販売し、アメリカのHIV患者が特効薬を手にできるよう奔走した実在のカウボーイの半生を映画化した人間ドラマ。

HIV陽性と診断されたカウボーイを『マジック・マイク』などのマシュー・マコノヒーが演じ、21キロも減量しエイズ患者という難役に挑んだ。

『チャプター27』などのジャレッド・レトー、『JUNO/ジュノ』などのジェニファー・ガーナーが共演。
監督を『ヴィクトリア女王 世紀の愛』のジャン=マルク・ヴァレが務める。



あらすじ

1985年ダラス、電気技師でロデオカウボーイのロン・ウッドルーフ(マシュー・マコノヒー)は、お酒やドラッグや奔放な女遊びに明け暮れた生活を送っていたが、ある日倒れて運ばれた病院先でHIV陽性であったとの診断を受け、余命は30日だと言い渡される。






主演のマシュー・マコノヒーという俳優は知らなかったのですが、泣きながら笑っているようなワンシーンの写真を観て、これは良さそうな映画だなと想い観ました。

始まりのシーンから、この人の表情に一気に魅せられてしまいました。
セックスシーンなんですが、とても苦しそうな表情をしていて、本当に色っぽいのです。
ロンを演じたマシュー・マコノヒーが44歳くらいのときの映画のようですが、50代末くらいにも見えます。


この映画を期に、改めてHIV・エイズについてすこし調べました。


HIVとは、Human Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス)のことで、ヒトの体をさまざまな細菌、カビやウイルスなどの病原体から守る(このことを"免疫"といいます)のに大変重要な細胞である、Tリンパ球やマクロファージ(CD4陽性細胞)などに感染するウイルスです。
HIVは大きく分けて、HIV1型とHIV2型があります。



HIVがTリンパ球やマクロファージ(CD4陽性細胞)などに感染した結果、これらの細胞の中でHIVが増殖します。
このため、免疫に大切なこれらの細胞が体の中から徐々に減っていき、普段は感染しない病原体にも感染しやすくなり、さまざまな病気を発症します。
この病気の状態をエイズ(AIDS:Acquired Immuno-Deficiency Syndrome、後天性免疫不全症候群)と言います。
代表的な23の疾患が決められており、これらを発症した時点でエイズと診断されます。



となっていますし、HIV感染からエイズ発症までは10年以上かかる人もいる為、HIV陽性と診断されて余命30日と医者から言い渡されるのはおかしいはずなのですが・・・当時の医学ではそんなこともまだわかっていなかったのでしょうか。











突然、HIV陽性で余命は30日だと医者から言い渡されロンは自分の偏った知識から、自分は罹るはずはない、嘘であると信じようとするのですが、もうこのときにはたぶんエイズを発症していて、日に日に身体の異変を感じてロンはエイズに関しての知識を自分で調べてゆくと、そこには感染原因の項目に自分のこれまでの行動が該当していることを知り、絶望します。




これ以上はちょっとネタバレになりますので、気になった方は是非御覧ください。
わたしの好きな映画のBEST10以内に入れたいほどの素晴らしい映画です。

とにかくマシュー・マコノヒーの演技と表情が素晴らしく、実はうちの亡き父と結構そっくりな表情に観えてしまうところが幾つもありました。











一番好きなシーンです。













上のこの写真なんか特にロンのこのときの表情は、うちの父の、最期に目にした表情によく似ているのです。。。
うちのお父さんはよくクリント・イーストウッドに似ているとみんなで言ってましたが、
たぶんこの表情は他の誰よりも似ているように想えます。











あんまり苦しすぎて泣きながら笑ってしまう人間の悲しく美しい心理を素晴らしく表現している本当に感動するシーンです。
お父さんに見えて仕方ないので、何度も観るのもつらいのですが、こんなに美しい表情をする人はそうはいないので、是非多くの人に観てもらいたいなと想います。













横顔までお父さんに似ているような気がしてきます。












そしてこのスーパーのシーンも大好きです。
わたしもロンの着ているようなちょうどこんな緑と白のストライプ模様のシャツを持っています。
当時のカウボーイファッションを基にしているデザインだったのでしょうか。
似合ってますよね。
うちのお父さんは髭はこんな風に伸ばしてはいませんでしたが、眼鏡の形がちょっと似ているように想えます。
そしてこのときの表情もすごく父に似ているんですよね。
お父さんも性格は短気で怒ると結構怖い人だったので、外では特にこういう険しい顔をいつもしていました。
頬のこけ方も痩せ方も本当にそっくりです。吃驚するほどです。
病気になる前からこれくらいは痩せていたように感じます。
若いときの写真でもかなり痩せていましたが、至って健康的な父でした。











ジャレッド・レトーが演じるレイヨンもとても傷つきやすく繊細なトランスジェンダーの役を上手く演じていて良かったです。
ロンに対するほのかな恋心を隠していたのかどうか?気になるところです。
この振り向いた感じが凄く綺麗です。













蝶の幼虫からHIVに対する抗体となる薬を作れるという話から、それを採取するために確か育てているシーンです。
とても現実的なところから急に幻想的になる好きなシーンです。






















そしてこのシーンも大好きです。
「普通の生活に憧れた?」
とロンが病院で知り合って親しくなっていった女医のイブに向かって尋ねるシーンです。
イブは「そんなのある?」と訊き返します。
ロンは「多分な」と言って、「ただ俺が欲しいのは・・・」
と幾つかもともとの生活で得ていたものを挙げたあとに、最後に
「子供も欲しい」と応えます。そして
「人生は一度きりだけど、他人のも生きてみたい」
とそうロンは言います。

ここもすごく感動的なシーンです。
自堕落な生活を送っていても、ロンは生きることに自棄になっていたわけではないことがわかります。
ロンはずっと生きることが苦しかった人なのかもしれません。
その苦しみをどうにか紛らわすためのお酒とドラッグとセックスであったのかもしれない。
自堕落な暮らしを心から楽しんでいたというよりも、心のどこかで離れたいと想っていたのかもしれないなと想ったのです。
だから最後に一番欲しいものを挙げたんじゃないか、と感じました。
だって今までの乱れきった生活と子供を両立させることはできないことくらいロンもわかっていたはずです。

ロンは普通の生活の喜びをまだ知らなかったんだと想うのです。
子供を持って、親になるという人生をロンは一番に望んだのではないか。





現在は費用の問題や、まだまだ二次感染のリスクがゼロではないHIV感染者の生殖問題ですが、HIV感染者の生殖補助医療も年々進歩している。と書かれているので、子供を持つという夢を諦める必要は現代ではないですね。
子供が生まれるということにリスクの無い方法はないからです。



本当に愛している人がHIV感染者であったなら、同じ病気に罹って死ねることは幸せなことのように感じます。



観終わって、悲しいという気持ちではない涙が流れました。
悲しみを超えた感動の涙です。
でもやっぱり、ロンが最愛の父にとても似てるからわたしにとって傑作なのかもしれません。































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