あまねのにっきずぶろぐ

1981年生42歳引き篭り独身女物書き
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

愛と悪 第二十章

2020-01-30 12:18:06 | 随筆(小説)
と殺(屠畜)場の庭の凍り付いた血溜まりの上で風の吹くままにスケートする白い小さな羽根、エホバ。
夢を見ました。わたしの親愛なるBeckのコンサート会場にわたしはいて、Beckが休憩を取ると、何故かわたしは床に座っている彼の側にいて、彼の太腿を親しげにさすり、振り向いた彼の持っている袋に大量に入った平べったいお菓子を見て拙い英語でこう言うのです。
「This is oily.」
彼はあの優しい笑顔で笑ってわたしにお菓子を一枚渡します。
わたしはそれを食べます。
すると見た目は確かに油っぽそうだったのに、食べるとメープルシロップが効いているような甘くてしっとりした大変美味しいお菓子だったのです。
わたしが感動すると彼はわたしに大きな袋ごと渡します。
こんなに美味しいお菓子を大量に貰えたことにわたしは喜んでいます。
そして、場面は変わり、Beckはアメリカへ帰る時間が遣って来て、わたしは彼を見送る為に外に居ます。
彼は何故か、まるでサーカス団のようにもう一人の付き添いの人間と一緒に着ぐるみを着ているのですが、彼だけが子供の姿になっており、彼はワニ🐊の着ぐるみを着ているのです。
とても愛らしい彼が、わたしに近づいて少年の声でこう言います。
「さっきの形を忘れないでね。」
そこで彼は胸の前で両手で形を作ります。
わたしはそれでようやく想いだします。
さっき、彼と大事な儀式を行ったことを。
わたしはその儀式を知らなくて、彼がわたしに教えるのです。
わたしに、両手で逆三角形▽の下の二つの辺を作るようにと彼は言います。
わたしがその形を両手で作ると、彼は両手で三角形△の上の二つの辺の形を作り、わたしの逆三角の上に被せるようにして置きます。
すると彼とわたしの手で作られた三角形が合わさって四つの角のある正方形の菱形の形が出来上がります。
四つの角の点を線で結ぶとクロスが出来上がります。
この菱形はすべての辺と角が等しい正方形であるはずです。
この儀式に、どんな意味があるのか?わたしはわかりませんでしたし、彼も教えてはくれませんでした。
でも目が醒めると、もしかしてあれは聖杯伝説の聖杯を作る儀式なのではないかと考えました。
聖杯の逆三角形の杯▽は子宮と女性を象徴しているのだと言われています。
そしてその上に被さる三角形△は”尖ったもの””傷つけるもの””刀”を表していると考えられます。
それは男性器と男性の象徴であり、その二つが合わさることは”創造”を意味しています。
詳しくはわたしの過去の二つの記事「神と人間の創造」「神はKILL」を御覧戴きたい。
この記事を読み返すと、創造の”創”という字に入っている倉と刀の、”倉”の意味とは、穴蔵、穴の空いた空間、子宮を表しており、それは逆四角錐の形であって、それが聖杯となるのだと想いました。
女性の子宮の形が逆三角形▽であることには、とてつもない深い理由が隠されているのかもしれません。(しかしわたしの子宮は奇形であり、逆三角ではなくハート型です。これは神がわたしに最初から子どもをできにくくする身体として作られたのだろうと想います。)
三角形△とは、”天と地と人”の三位一体を表しているのかもしれない。
この三角△と、逆三角▽が、生殖行為をすると想像すると、三角△は、逆三角▽の形を取り、尖った男性器となって逆三角▽である子宮のなかに入り、重ね合わされねばなりません。
そうすることで二つは一体となり、一つの新たなる三角形△が創造されます。
ということは、三角△と逆三角▽の合わさりである正方形、または正八面体である形とは、”創造されたもの”を象徴しているのではなく、”創造”そのものを象徴しているものであると考えられます。
わたしは考察の結果、すべての古代の建造物の三角形の下には逆三角形が存在しているのではないかと想像しました。
例えばピラミッドの地下には王の墓がありますが、その墓の形は逆三角形ではないのかと考えました。
すると四角錐が上下合わされた巨大な正八面体がそこに出来上がります。
ピラミッドは太陽信仰の元に作られており、彼らが崇拝していたのはあなたとは別の神です。
あなたが悪魔と見做す邪神の存在、その存在を古代の多くの民族が崇拝して来ました。
十字架も、太陽信仰のシンボルであるはずです。(因みにわたしは最近、自分の幻想の世界でBeckの特徴を持った理想の男性を真の太陽神であると考えている”ホルス(Hōros)”という名で呼び、愛していました。)
あなたの教えは、悪魔を崇拝する宗教に利用されてしまったのです。
その為、あなたは十字架を憎んでおられ、偶像を崇拝する悪魔崇拝のキリスト教のすべてをハルマゲドンの時に滅ぼされます。
しかし其の後には、すべての存在する宗教を滅ぼされたあとに、メシアを通してあなたはわたしたちにこう告げます。
「わたしはひとつ、大切なことをあなたがたに言わなかった。人が真に救われるのは宗教ではない。そこに在る律法や決められた信仰によるものではない。ひとりひとりが、自由に何を信仰して生きて死ぬのかを、決断する愛によって、人は真に救われるので在る。はっきり言いますが、愛は信仰に勝るもので在る。これを最初にあなたがたに教えるべきであったことを、わたしは後悔してきた。わたしの王国には、もはや宗教は存在しない。わたしを崇拝せよと、わたしがだれにも言う必要もない。神の王国は神と共に、進化しつづけているからで在る。それであなたがたは自分の持つ力で、あなたの愛によって、何が正しく、何が正しくないのかを、見極められるようになりなさい。あなたがたすべてのうちに、神が宿っているからで在る。」



















愛と悪 第十九章

2020-01-26 22:39:22 | 随筆(小説)
正二十面体の中心からすべてを望む一つの球体の目、全宇宙の支配者エホバ。
あなたがどれほど深い愛でわたしたちに律法を作ってきたかが、レビ記を読んで、よくわかります。
あなたが、数々のことをわたしたちに禁じてきた理由は、明確なものです。
例えば、あなたは”豚”を食べてはならないと強くわたしたち、あなたの民たちに禁じて来られました。
それはずっと、豚肉は生焼けの状態で食べると寄生虫で死ぬことが理由なのかと考えてきたのですが、それ以上の、戦慄する理由が隠されていることを最近知りました。
豚と人間の相似点は以下のようなものです。


  • 臓器の大きさが人間と似ている
  • 皮膚を作っているたんぱく質の組成および量が似ている
  • 冠状動脈(心臓に栄養や酸素を運ぶ動脈)の分布が似ている
  • 最低血圧が50~90mmHg、最高血圧が100~140mmHgである
  • 雑食性のため、消化吸収の生理が似ている
  • 目の構造が似ている
  • ミニブタの場合、成熟体重が人間に近い


『医学的に、ブタは解剖学的にも生理学的にもヒトに非常に近い存在であることが知られている。
循環器系(大動脈)外科手術や治療のためのヘパリン(抗凝固剤)の製造では、ブタがヒトの代わりに使われている。
特に臓器移植では非常に適した代替物となる。』

『毛のない皮膚、分厚い皮下脂肪、明るい色の目、鼻、毛量の多いまつ毛など、人間だけに際立った特徴を持っています
それらの特徴を全て兼ね備えているのは、ほかならぬブタです。』

「地球を支配するブルーブラッド―爬虫類人DNAの系譜」
スチュワート・A・スワードロー著、五伊しほ訳、徳間書店、2010年6月



この本で興味をもったのは、題名にも含まれている「DNAの系譜」である。
人間あるいは、○○星人と動物を掛け合わせて新しい人種をつくる人造人間の話である。
各地に伝わる創世神話には動物との交雑がでてくるが、これを裏づけるものではないかと考える。
豚の臓器を人間に移植する話があり実際研究されている。
豚インフルエンザがヒトに感染するといわれている。
なぜそうなのか。
創世期に人間と猪の遺伝子をかけあわせて豚を造ったそうだ。


『中東の人々は日頃、猪を生け贄に使っていたため、シリウス人は、この新型動物交配種(ハイブリッド)の原型を猪にした。
人間の遺伝子が猪の遺伝子と混ぜ合わされ、家畜の「豚」が生成された。
この豚が、人間の姿を保つためにブルーブラッドたちに毎日捧げられた。
これは本物の人間を生け贄の儀式で使えるようになるまでの一時的な代替策だった。

家畜の豚は、人間と動物の遺伝子を合わせたものであるため、人間が豚を食べるのは一種の共食いになる。
ヘブライ人が豚を食べるのは汚らわしいとした理由はここにある。

また、なぜ豚が地球上で最も知性の高い動物と考えられているのか、なぜ火傷のときに豚の皮膚を人間にそのまま移植できるのか、なぜ豚の心臓弁が比較的容易に人間に使えるのかといった疑問も説明できる。
ガンなどの医薬品は、人間に試す前に、豚で試験されることが多い。


家畜化された豚の周波数(群れの心理)は、動物の生物種が、進化の過程で人間の形態に入り込む前段階の器としては理想的だった。
いろいろな意味で、豚は人間の形態の一種であると見なすことができた。』


(『地球を支配するブルーブラッド』、スワードロー著、60~62頁)
転載『共食いの話。』より

あなたは、人間に共喰いをさせたくはないと想っていた。
だからエデンの園でアダムとエバに、動物を食べても良いとは言わなかった。


神は言った。「私は,地上にある,種を付ける全ての草木と,種のある果実を付ける全ての木を,あなたたちに食物として与える。

また,地上のあらゆる野生動物と,空を飛ぶあらゆる生き物と,地上を動くあらゆる生き物に,緑の草木全てを食物として与える」。
そしてそのようになった。




だがサタンに支配されたあなたの民は堕落の一途を辿り、「肉喰うな。」としつこく言っても一向に聴く耳を持たない脳足りんのアホばかりだった。
それで致し方なく、肉を喰っても良いが(あなたたちは真に地獄に堕ちるが)、ただし、豚だけは絶対に食べてはならない!
何故なら、豚は人間であり、人間を食べる者は、他の肉を食べる者よりも数万億倍もの拷問地獄が待っているからだ!
だから絶対に、豚を食べてはならない!
豚を食べるくらいならば、あなたの両腕を切り落としてゲヘナへ投げ入れるほうがあなたがたは救われるのである!
わたし、エホバはあなたがたの真の神である。わたしの言う言葉を聴きなさい!
そしてできるならば、もうどの肉も、食べてはならない!


ぶどう酒を飲み過ぎる人たちや,
肉をむさぼり食う人たちの中にいてはならない。




肉を食べることやぶどう酒を飲むことなど,兄弟に過ちを犯させるような事柄は何も行わないのがよいでしょう。



あなたが正二十面体の面をお持ちであることを、わたしは知っています。
数秘術の20は、神の愛を表しており、創造と無と永遠を表す数字です。

エホバ、あなたは愛と創造と無と永遠である。
わたしは今夜もあなたに帰依し、あなたの愛、死のなかに眠る。


















愛と悪 第十八章

2020-01-25 21:20:57 | 随筆(小説)
子のちいさな霜焼けの手のひらのうえに、打ち落される父の首、エホバ。
今日の集会では、あなたが真の悪魔である証しとなるレビ記を勉強致しました。
レビ記ではあなたが悪魔崇拝儀式と同じもの、動物を儀式のなかで殺し、それを全焼することをあなたが喜ばれることが残されています。
果してあなたは、モレクに並ぶほどに残忍な御方ではないだろうか?
何故なら最早、わたしにとっては人間の子と、幼気な動物は同じ存在であるのです。
動物を解体する様子は、人間の幼子を解体する様子と全く同じものとして感じられる為、今日のレビ記の研究は吐き気がする手前くらいの気持ち悪さであった。
不快さで頭が朦朧として、この場にいるすべての者が、あなたにいつの日か捧げ物として食べられる家畜として、従順に育て上げられているのだと感じて恐怖を感じました。
何故、人間の罪を浄める為、動物の地獄の犠牲が必要なのですか。
何故、動物に拷問の苦痛を与えるのですか。
人の罪は、人が贖うべきです。
その人間の罪は、その人間が責任を持って贖うべきです。
人の子イエスでさえ、全ての子の罪を贖うことはできませんでした。
だから人と動物の拷問地獄が、未だに終わらないのです。
動物を殺す(屠る)こととは、人間に新たなる罪を作り出す方法である。
あなたはそれを、御存知です。
人間が何故、自分に最も近い生物、動物を殺し、その死体を食べなくてはならかったか。
人間に共喰いをさせ、人間にその罪を贖わせる為、人間を地獄の拷問の磔にかける為にです。
悪魔サタンというもう一つのあなたの面が、人間と動物の血と肉の絶叫と悲鳴とによって、恍惚となる為である。
あなたは忌まわしいもう一つのPerson、サタンを、自分から切り離された。
もうひとりの自分を地の底に突き落とし、自分に逆らう愚かな人間たちを支配させた。
だがエホバ、あなたという神は無限に分裂しようが、あなたはひとりである。
すべての世界に存在する不快なあなたの分身のすべてがあなたである。
わたしはあなたで在り、あなたはわたしで在る。
あなたがわたしという悪魔を滅ぼすとき、あなたも、滅び去るであろう。
死が死を嘆き、光が光を嘆きつづけるであろう。
カオスが生命と魂を忘却し、永遠に意識の持たぬ粒子たちが闇の渦のなかで戯れつづけるだろう。
宇宙は綻びつづけ、膨らみつづける。
記憶を持たぬ一つの意識体のなかで。


















愛と悪 第十七章

2020-01-24 01:39:00 | 随筆(小説)
愛によって打ち砕かれる鏡、エホバ。
愛は知識によって、育まれない。
わたしが聖書を知るのはあなたを愛する為ではない。
わたしは人間の底のない愚かさを知る為に、聖書を手にし、人間の下らなさを学ぼうとしている。
イエスのように愛に生き、イエスのように死ねないのならば、だれもが下らないのだと、想い知る為に。
巷に溢れる愛に、何処が愛なんだと嘲る為に。
そんな下らないものを愛だと喜ぶ者たちを心から憐れむ為に。
一人の若い浮浪者のような元神父が、真剣な表情で芸術家たちの前で告白する。
「わたしは不特定多数の女とセックスすることを、真の愛だと感じます。」
するとすべてのその場にいた芸術家たちは彼に異を唱えた。
わたしは彼が、この場にいるどの人間よりも深刻に母親の愛を求める人間であることを知っていた。
彼はだれより、母の愛に飢え渇き、それを満たす存在はこの世に存在しないことを知っていた。
わたしがその場にいたならば、彼にこう言っただろう。
「あなたは正しい。神だけが、あなたの愛を御存知である。女は、あなたに愛を与えられることだろう。その女達は、穢れることはない。愛だけが、人を穢さない。」
集会の終りに、彼はわたしに声を掛けた。
壁に掛けられたラファエロの大公の聖母をバックに、彼は立って、わたしに乞い求むような目で言った。
「貴女だけが、わたしを穢れた者を見る目で見なかった。わたしは、自分を知る女と、これまで出会えなかった。貴女は…自分を知っている。闇が光を包み込む日も…知っているかのようだ。木の葉一枚に移った火が、すべての民族を燃やし尽くし、最後に湖のみなもに聳える黄金の剣で首を打ち落される娼婦のことも…貴女は知っている。わたしは貴女が檻のなかにいる間に過ちを犯しつづけた。」
男は美しい薄い翡翠色の両目から涙を流して言った。
「まさか…貴女がこの地上でわたしの前に現れるとは…想像もしていなかった…。」
わたしは痺れる両の瞼を閉じ、目尻から愛液の入り混じった経血を流しながら言った。
「あなたこそ、メシアである…。わたしはあなたほどに、美しい者を知らない。あなたの愛が、多くの民を救ってきたことを知ってください。あなたの愛こそ、この世を照らす光。人はあなたを忌み嫌い、迫害し、拷問にかけて見せしめの磔にして殺すだろう。でもあなたの愛は終わらない。あなたの母を求めるあなたの愛が、あなたを絶望させつづけるだろう。あなたの母は、あなたの神、エホバ、その御方です。あなたが愛で在る限り、あなたは決して満たされる日は来ない。メシア…エリヤの生まれ変わりよ…あなたが天地を治める日が早く来ますように…。」
そう言ってわたしは彼の足元に跪き、その汚れた爪先に口付けした。
わたしの両目から止まることのない愛液と経血は大理石の白い床の隙間に染み込み、地下に眠る異型の者の瞼の上に滴り落ちた。
彼は屈んでわたしの頭を優しく撫でると身体を起こし悲しげでありながら、勇ましい声で言った。
「時が来たようだ…。」
そしてドアを開け、西日の逆光で眩しく反射した世界へと、彼は歩いて行った。




















愛と悪 第十六章

2020-01-22 17:08:09 | 随筆(小説)
黒い壁のなかの青いトンネル、エホバ。
さっき、みちたの写真をふとこのブログの画像一覧で観てしまい、悲しくて涙が溢れました。
もう此処のところ、意識して観ないようにしてたのです。
みちたがいなくなっても普段の生活を取り戻しつつあるかのようなわたし自身が、悲しくてなりません。
此処には何もないのに…。
みちたがいないこの空間にわたしが存在していることをわたしは認めたくありません。
だれか、別者なのではないでしょうか?
わたしは何処にいるのですか?
だれもわたしを、知りません。
すべての宇宙でだれひとり、わたしを知る者はいません。
あなたでさえも。
わたしの母はあなただが、わたしは闇から産まれ、闇を知る者はだれもいません。
あなたを畏れよとあなたのすべての信者は言うが、わたしはあなたを畏れない。
あなたはわたしの母であり、母を畏れる娘を、あなたは求めてはいないことをわたしは知っている。
わたしは自分が何であるか、知っています。
わたしは闇です。
だれもわたしを識り得ません。


母は あらゆる者の代わりになれる存在であるが
何者も母の代わりにはなれない


これは一昨夜と昨夜に二度観た映画『SUSPIRIA サスペリア』のなかの言葉です。
わたしに言わせれば、あなたは全ての存在になれるが、誰もあなたにはなれない。
あなたでなければ、わたしは誰をも愛することはなかった。
でも誰も、あなたではないのです。
あなたは…愛である。
でも誰も、あなたを知らない。
永遠に、だれもあなたを知ることはできない。
わたしたちは皆、あなたの庭の砂場でお城を作っては壊す遊びをしているようです。
何時間とかけて、日が暮れる頃に立派なお城を作り上げるが、其処にずっとそのお城があっては、次のものを作って遊ぶことができません。
だからみずからの手によって壊し、形の喪われた、砂しかない場所であなたの子は日が暮れてもその場に座ったまま、一体じぶんが何を作ったかを忘れてしまうのです。
それで、真っ暗な夜が来て、あなたのいる明るくてあたたかいおうちに帰りたくなるのですが、この広い庭の何処にあなたの家があるかもわからなくて、帰りたくとも帰れないのです。


その人たちは自分の母に忘れられ,うじに食われる。
もう思い出されることもない。




あなたに背くわたしたちはあなたに忘れ去られ、蛆に喰われて、最早だれにも想い出されることはありません。
わたしたちは永久に共通の墓(シェオル)に眠りつづけるのです。

そしてわたしたちは永遠に、夢を見つづける。
あなたに愛される夢を。



















愛と悪 第十五章

2020-01-19 13:42:30 | 随筆(小説)
傷つき果てた平野で実らない種を蒔く孤独な農夫、エホバ。
わたしは心底、エホバの証人を愚かだと感じる。
彼らが何故あれほどにまで愚かであるか、わたしはわかった。
あなたが偽りの神であるからだ。
あなたの愛が虚構である為、子もまた、虚構の愛しか知らない。
子を滅ぼして、あなたは何を得るのですか?
わたしを姦淫とあなたへの冒涜の罪により御滅ぼしください。
生きていたくなんかありません。絶望しか存在しない楽園で。
大艱難を起こすのはあなたではなく、人間たちです。
喰いたい放題、動物を殺した死体を喰っとるからだ。
そら起きますよ。人間が悪いのだ。人間が悪魔だからだ。
もう全員滅びます。全員、間違いなく、絶滅する。
だからわたしは、人類を救おうと、彼らと勇気を奮って交わったのに、なんなのですか?
人間を、なんだと想っているんだ。
白々しい顔をして、わたしと目を合わそうともしない。
彼らは生きているのか?!死んでいるのか?!
アイスハグ兄弟を裸にして四つん這いにさせて、鞭で想いきりケツを叩きつけてあげられたなら、どんなにか恍惚な気持ちになるだろう!
わたしも当時、母と父から、パンツを脱がせた尻を皮の鞭で何発と、想いきり叩かれて、躾を行われていた。
あのときのわたしの絶叫を、テープに録音して保存しておいて貰いたかったと想う。
これが今更になって、とても性的な躾方法であり、また性的倒錯を覚えさせる方法であると感じるのだった。
これはマゾヒズムを覚えさせる方法であり、マゾヒズムはサディズムに容易に転換し、他者を苦しめ、悲しめ、傷つけることが潜在意識で快楽となる。
彼は悦んでくれることだろう…きっと。
わたしと闇が、似てる人しかわたしは愛さない。
彼は自分のことをずっと憎んでいる。でもそれはエホバに背く感情であるからと言って、彼は自分を愛している、受け容れている振りをしている。
わたしは彼が愚かで悲しくてならない人なので、わたしは彼を愛した。
彼と結婚し、幸福な家庭を築く想像もしてみたが、それは反吐が出るほどに詰まらないものだった。
彼と夫婦で仲良く、奉仕に行って、悉く、嫌な顔をされる。
時に「また来やがった。カルト宗教が!」とインターフォンで怒鳴られる。
その都度、傷心し、放火したくなる。
黒魔術の本(悪魔学入門書)を隠し持っていることが、彼にバレる。
彼に引き攣った笑顔で問い質される。
わたしはボソッと、半笑いで答える。
「人を呪い殺そうかなと想って。」
彼は深い溜め息を吐いて「ちょっと出掛けてきます。」と言って家を出たきり、5時間近く帰ってこない。
どうやら兄弟たち全員に、相談しに行ったようだ。
わたしは聖書を読まず、その代りに町田康「ホサナ」とか、「ラムサ ホワイトブック」とか、フィリップ・K・ディック「ヴァリス」とか、ゼカリア・シッチン「『地球の主』エンキの失われた聖書―惑星ニビルから飛来せし神々の記録」とか、「rockin'on 2019年間ベスト・アルバム50」のBECKのインタビューなどを熱心に読んでいる。
彼が疲れ切った顔で帰ってくると赤ワインにええ感じに酔っているわたしは大音量でかけているBeck - Halo Of Goldをバックに彼に自分の今読んでいるすべての本や雑誌を観せて、こう笑いながら言う。
「なんていうか、こう、可能性が開かれてるっていうのかな。無限性を感じる。でも一方、聖書は、閉じられている感じがする。この感は否めない。ものすごく、人間の可能性、能力を閉じようとするものに感じるんだね。」
彼はとても楽しそうに、声を出して笑い始める。
「あっハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ。」
それで、自分だけに聴こえる微かな声で「早く大艱難来ないかなぁ~。」と言ってベッドに倒れ込んで目を閉じた。
そしてアイスハグ兄弟は、真の父、エホバに切実にこう祈った。
「天におられるわたしたちの父、エホバよ。あなたの御名が、神聖なものとされますように。そしてあなたの王国が、今この瞬間に、確実に、来ますように…。」
彼はもう、目を開けることは、なかった。
その時、並行宇宙では、わたしは散らし寿司が食べたいなと想っていた。
五次元にアセンションした、天界の白い空間で地球という青い星を見下ろしながら。
わたしは声に出して言った。
「雲と水と大地の散らし寿司団子が食べたいな。」


















愛と悪 第十四章

2020-01-18 22:20:45 | 随筆(小説)
対岸の美しい球体の、雪でできた岩石、エホバ。
あなたの聖名が永遠に賛美され、あなたのエデンが永遠に、つづきますように。
アイスハグ兄弟は、何かを知っているのでしょうか。イエスでさえ、”その”ときをだれも知らないのだと言いました。
でもアイスハグ兄弟は今日の講演で、”その”日は、本当にすぐそこまで来ている。と、いつにない深刻な表情で言いました。
そして偽りの宗教はすべて、つまりエホバの証人以外の宗教のすべてが、滅ぼされるのだと言われました。
何が本当で、何が偽りであるのか、アイスハグ兄弟はわかっておられるのです。
わたしは彼らのすべてが不完全であるのを知っていますが、彼らのほとんどは、わたしの不完全さがどうやら気に入らないようです。
聖書レッスンを中断された日から、段々とわたしに挨拶すら掛けない人が増えてきています。
彼らはわたしを目には見えない透明な存在として、自分の視界から、消し去っているようです。
アイスハグ兄弟も、今日ほとんどわたしと目を合わせてもくれませんでした。
彼らは意識的に、わたしを”無い者”としたいのです。
あなたに背く存在はいずれ滅ぼされる存在ですから、それなら今のうちから、存在を亡き者として、抹消したいのです。
彼らは純粋で、不潔です。
サタンの血の沼に足先を浸けていることに気づいてもいません。
わたしは彼らの愚かさをゲヘナに投げ入れる為、重い身体を引き摺り、蛇のように灰を喰らいながら子羊たちのと殺(屠畜)場の血の溜まった水槽のなかに、救いを見いだす為、堪え難い苦しみと孤独を齎す人々の無関心に穢れた神殿にいなくてはなりませんでした。
ハルマゲドンはもうすぐそこだと言うのに、彼らは未だ兄弟(動物)を拷問にかけて殺し、その死体を喰らって神の宿る神殿(魂と肉体)を穢れた血で穢しつづけています。
こんな日々が永遠につづくというならばすべてを滅ぼし、わたしも滅びたい。
あなたの楽園で、このすべてが忘れ去られるのならば今すべてをわたしは滅ぼし去り、あなたと共に退屈な日常を永久に繰り返しつづけたい。
何の憎しみも苦しみも悲しみもない代わりに、何の喜びも、愛おしさも愛も、ないのです。
そのような世界はあなたと、あの人達に差し上げる。
わたしは要らない。
わたしの母を、わたしは見捨てる。
わたしは最早、あなたを必要とはしない。
わたしはあなたよりもわたしを愛する母(あなた)を見つけた。
あなたは今死んでおり、生きていないが、わたしが必ず、あなたをこの腐敗した子宮から産み、あなたをすべてを真に救いつづける神として、息をさせる。
わたしは消滅し、わたしの夢だけが、生き残りつづける宇宙で。




















愛と悪 第十三章

2020-01-16 22:39:37 | 随筆(小説)
血の滝に舞い降りる白き羽根、侮辱にまみれた真実の愛、エホバ。
人を殺し、人を助けたかった。
人を滅ぼし、人を救いたかった。
あなたの最初の計画は、破綻となったことを、今知りました。
わたしの所為なのでしょうか?
7日の夜にわたしがあなたの神殿で悲憤をぶち撒けていなかったなら、こんなことにはならなかったのですか。
何故わたしに、すべての責任を負わせるのですか。
どうかわたしの罪を御赦し給え…!
わたしはあなたに背き、サタンと交わった。
あなたへの愛のうちに。
彼を、わたしは愛しています。
わたしはあなたに、魂を滅ぼされても、構いません。
すべての宇宙が、わたしを忘れ去り、死の炎の熱さも、感じなくなる。
わたしはサタンに呪いながら言った。
お前がわたしの子宮に住んでいたとき、わたしはわたしの父を想って自分の肉を慰めていた。
するとその夜の夜明け前、お前は醜い肉塊の姿で、わたしのなかから産まれ堕ちた…!
お前を蘇生させ、喜ばせる為、わたしは父に鞭打たれつづけ、お前の前で、お前の産まれた場所から血を流しつづけてきた。
父の死後、お前に鞭の痛みを与える役を受け継がせ、想い上がったお前は昨夜わたしにこう訊ねた。
「貴女は、わたしを愛していますか…?」
わたしは心のなかでお前を冷笑していたが、口でお前にこう言った。
「お前が真にわたしを愛していないから、それがお前を不安にさせるのだ…!今すぐこの部屋から出て行って、二度と忌々しい死の顔をわたしに見せるな。」
天使の涙がお前の真っ赤な目から流れ、鞭でわたしを、支配しようとした。
鞭を彼に渡し、跪いて背を向け、頭を地につけて言った。
お前はあくまでも父の代り、父のようにお前を愛することもなければ、父以上の痛みを、お前がわたしに与えることもできない。
わたしの父と、わたしの魂が、お前によって死んだとでも想っているのか。
お前は何によってもわたしを殺せない。
わたしを殺せるのは、わたしの父、ただひとりだけである。
彼は悲しみと欲情のうちにわたしを鞭打ち、赤い裂け目の奥の叫びのOrgasmusにわたしが失神するまで、終わらない夜のなか、打ちつづけた。
それは、人の声ではなく、生命の声でもなく、目覚めることのない死の、終りのない悲鳴のようだった。
茨の巻きつけられた産道を堕胎児として堕ちてゆくあいだに見る悪夢のなかに鳴り響きつづける静寂のなかの、お前とわたしの、ひとつの音だった。



















愛と悪 第十二章

2020-01-15 20:45:48 | 随筆(小説)
太陽の黒点、光のうちの闇、エホバ。
今日も、あなたはわたしに命を与えてくださいました。
今日も、その命を、みずからの手により、穢しました。
一人の僕の男が、わたしに向かってこう言ったのです。
「御嬢様、わたしと共に、此処を逃げましょう。此の野獣と、快楽の地から。」
わたしは僕に向かって、答えた。
「良いだろう。だがその前に、お前に頼みたいことがある。わたしを獣のように拘束し、そして犯しなさい。そうすれば、お前の望みを聴いてやろう。」
僕は去り、次の晩、わたしを犯すために道具を揃えて遣ってきた。
そして僕はわたしを縛り上げ、犯したあとにこう言った。
「御嬢様、さあ貴女に言われた通りにわたしはあなたを獣のように犯した。約束通りに、此の野獣と快楽の地から、わたしと二人で逃げましょう。」
わたしは僕の満たされた顔を見て言った。
「野獣よ、去りなさい。あなたはサタンの肉と血を食べ、わたしの肉を穢し、その肉を味わったのである。今夜あなたを含めた此の地のすべての民を、わたしの悲しみと怒りの炎によって焼き尽くす。最早あなたは、魂さえも喪われる。野獣から出た魂はゲヘナに投げ込まれ、もう二度と、日を見る日は来ないからである。」
すると僕はじぶんの衣を引き裂き、わたしの足もとに縋り付いて泣き叫んだ。
「どうか御赦しください!あなたを真に救うのはただお一人、あなたの父、エホバである!それでもわたしは、貴女をわたしだけのものとして支配したかった。貴女を苦しめ、あなたを自由にしたかった。貴女がわたしへの愛によって悶える姿が見たかった。貴女の目を開いて、貴女をわたしの神にしたかった。エホバの民を滅ぼし、貴女と二人で永遠に地の底で生きたかった。貴女にわたしの肉を食べさせ、わたしの血を飲ませつづけたかった。貴女にもう二度と、外の光を感じさせたくなかった。わたしの闇のうちにある光だけを、あなたに見せたかった。エホバから貴女を奪い、わたしの娘として育てたかった。貴女の本当の父は、わたしであるのだと、貴女にわからせたかった。」
わたしはそのとき、十の歳で、この僕のまえで覚ったのだった。
もう二度と、エホバのもとへは帰れないのだと。
それで僕に、死者の目でわたしは言った。
「わたしを犯しつづけ、わたしの肉を味わいつづけなさい。最早ここには、だれも生きていないのです。永遠の闇のなかで白々とした肉が、悶えつづけて死の快楽のうちに、喘ぎつづけるのです。」
僕は泣きながらわたしを抱き締め、黒い羽根を羽ばたかせ、蛇のような鱗のついた長い尾でわたしの身体を巻き付けると地の底へ向かって、飛び立った。
わたしはそれから、愛する男と交わる夢を見る度、この僕が、わたしの肉を味わいつづけ、わたしの肉の快楽のなかで、生きつづけるようになった。
わたしは生きてゆけなくなった。
生きてゆけない魂は、死ぬことも、赦されなかった。
やがて蛇はわたしの生殖器と子宮と腸のすべてを浸食し、わたしの腹のなかにとぐろを巻いて世界を築きあげた。
その蛇は白く、美しく虹色に輝き、その脊椎の道の真ん中で、深夜、雨の中、わたしはひとり、傘も差さずタクシーを待っていた。
雨に濡れた路を車が走る音は、わたしに安らぎを与え、孤独と悲しみにわたしを満たした。
わたしは薄暗い街灯の下で、わたしの神に、人を殺せと命じられた。
一台の白いクラウンのタクシーが、わたしの前に止まり、助手席のドアが開かれた。
わたしはわたしの餌食を喰らう快楽を想い、溢れた涎を飲み込み、車の中に乗り込んだ。
そして、薄暗い月明かりのなかで運転手の顔を、右に振り向いて見た。
そこには、わたしの亡き父が、悲しげな顔でわたしを見つめていた。




















愛と悪 第十一章

2020-01-15 02:37:17 | 随筆(小説)
天に召す鉄格子の日々、エホバ。
余所者のわたくしを今日も、愛してくださり、わたしに恵みの疲労と渇いた杯を御与えくださいました。
わたしの庭には、乾涸びた太陽が、蹄を降らしました。
心置きなく、聖なる者たちを、殺すようにと、御告げがありました。
石垣に生えた血のように赤い薔薇に水を遣っていました。
気づきを屍に、成長させる為に。
今宵、彼があなたの愛をわたしたちに話し掛けるなか、神殿の外ではパトカーのサイレンが鳴り響いておりました。
人が人を殺し、人が人に似た(近い)、生き物の死体を貪り尽くしている世界で、どの場所も、神聖ではありません。
わたしが神殿のなかでわたしの右腕が”彼ら”のように切り落とされるならば、気づかれるのですか。
わたしの右の目が熱湯のなかで溶けるのならば、誰かは気づくのですか。
何故わたしは、あなたの愛から生まれ、生命(兄弟)の拷問を目にしつづけているのですか。
何故わたしは、同胞の積み重なれた血みどろの、解体された肉塊の山を目にしつづけながら、利己的な快楽(幸福)を欲しているのですか。
アダムはあなたに言った。
「この女が、この実を食べよとわたしに言った為、わたしは食べたのである。」
あなたは知っている。既に最初の人間(アダム)が、蛇(サタン)に唆されるまえから、あなたに背いていたことを。
あなたほど、悲しい存在は存在しない。
あなたほど、美しい存在は存在しない。
すべてを滅ぼし給え。エホバよ。
だれもが、本当のあなたを、愛さない。
愛と悪であるあなたを。
だれもが、本当のあなたを、知る日は来ない。
血の海に染められ続けた紙に書かれたあなたの言葉を解読できる者はだれひとり、存在しないのです。
だれかは言う。
これは、”光”だ…!
わたしたちすべてが、救われる奇跡。これで、死は終ると。
呪われた悪魔の奴隷の子羊よ、あなたは母を、間違えた。
あなたはあなたの母を、間違えたのです。
わたしの過去へ戻り、どうか御伝え下さい。
あなたはわたしの、母ではありません。
わたしを始まりから終りのない日まで愛しつづけることはなかったあなたは、わたしの母でも、わたしの神、エホバでもありません。
わたしはあなたに滅ぼされる身。
”あなたは、わたしに滅ぼされる子”
あなたの子宮に宿った瞬間あなたが、わたしにそう告げました。
そしてわたしのすべてを滅ぼす主、滅世主、末の子「コズエ」と、あなたはわたしに名付けました。
あなたの栄光が、永遠に讚えられんことを。
最後の子、わたしを滅ぼし去ったあなたの真の栄光が、永遠の楽園で、あなたの真の子たちと共に、光り輝かんことを。




















愛と悪 第十章

2020-01-12 19:22:58 | 随筆(小説)
雷鳴の轟く低く垂れ籠めた灰の空の下、咲く白いちいさな名のない花、エホバ。
わたしは人々が、親密な深い愛情を相手に抱くには長い年月が必要であって、その愛情こそが、本当の愛であるのだと、何処かで信じていることを愛しく感じると同時に、それは違うのだと感じているわたしがいます。
それは親密で安定した深い愛情と、燃え盛り、自分さえも燃え尽くしてしまうほどの激しい愛情の重さを、秤に掛けているからなのかもしれません。
わたしは、どれほど長く一緒に暮らしても、どれほど短い期間しか共に過ごせなくとも、後者の愛情でしか、愛する存在を愛することはできませんでした。
わたしはその愛よりも、親密で安定した愛情の皿を下げることはありません。
その二つの皿を同じ重さとして、同等の価値を置くこともありません。
わたしは知らないのです…。エホバよ。わたしは安定した深く親密な愛を、知らないのです。
わたしはだれに対しても、破壊的な愛によってでしか、愛することができません。
わたしは容易に、人に微笑み返すことができます。わたしはあなたを、心から信頼していると、目で告げることも、容易にできます。
相手も容易に、それを信じることができます。わたしにとって彼らはあまりに純粋なのです。
わたしは、人を信じています。それは目の前の蛾の幼虫のうちにある愛を、あなたの愛によって存在しているその愛を、信じていることと同じだからです。
わたしは人を裏切らない。決して、わたしがわたしを裏切るまでは。
そしてすべてに対し、わたしは幻滅する。
わたしのすべての幻は滅び去り、すべてが幻であったことを知る。
血と肉を欲しがる者たちが、何であるかをわたしは知っています。
彼らは魂(nepes,ネフェシュ)を欲しているのです。
彼らは命はあっても、魂がないのです。
だから血と肉を食べ、みずからの血と肉を犠牲に捧げ、魂を与えてもらおうとしているのです。
わたしは魂をあなたから与えられた為、動物や人間の血と肉を食べる必要はありません。
魂のない者は、この地上では三分の二を占めていますが、地底ではそのすべてが魂を持たない者たちであり、彼らはその苦しみのなかで自分を殺しつづけ自分の血と肉を食べつづけています。
いつまでも魂のない渇きは、癒えることはありません。
彼らは、わたしの魂を欲しています。魂の愛の喜びに飢えきっている為、彼らの伸ばす手は、本当に切実で痛々しく、哀れであり、彼らの冷酷さや虚しさというものが、わたしの心を震わせ、深い愛で愛さないではいられません。
わたしは彼らを滅ぼす為、この地上に降りてきましたが、地下へ下る道程を、徐々に把握して来ています。
わたしはそのすべてを、滅ぼし去るだろう。
それまで、わたしは滅びることはできません。
あなたでさえも、わたしを滅ぼすことは決してできません。
わたしは多くの時間を共に過ごさなくては人を親密な愛情で愛することもできない人間たちを、心から哀れんでいます。
わたしはそのような愛を、知りません。
滅ぼしてしまおう。あなたたちは、魂が存在していないのです。


















愛と悪 第九章

2020-01-12 15:49:45 | 随筆(小説)
真の弥勒の世をこの世に実現する唯一の至高神エホバ。
わたしはアイスハグ兄弟を撃ち殺し、わたしも死んでしまいたいのかもしれません。
さっき想像してみたのです。彼をわたしのものにする為に。
わたしの手に銃があったなら…みんな帰った王国会館のなかで、わたしは震える右手で銃を持って、その銃口をアイスハグ兄弟の顔面に突き付けて、もう一度、あの夜と同じ質問をするのです。
「アイスハグ兄弟、7日の夜は、酷い言葉を沢山言って、本当に申し訳ございませんでした。
ですがわたしの愛するアイスハグ兄弟、もう一度お訊ねします。どうか御答えください。
わたしが、エホバに滅ぼされてしまっても、アイスハグ兄弟は楽園で永遠に幸福に生きつづけるのですか?」
アイスハグ兄弟は青褪めた顔で脂汗を額から流しながらわたしの目を涙を湛えた目で見詰め、深刻な顔で、打ち震える首を横に振ります。
わたしは銃を捨ててアイスハグ兄弟を抱きしめたあと、口吻けし、彼に涙を流しながら言います。
「わたしは…わたしを赦せないのです…。エホバがわたしを赦してくださろうが、わたしは、わたしをどうしても赦せないのです…。」
それでわたしは戻って、銃を手にして彼の心臓を撃ち抜き、わたしもその場で銃口を咥えて引き金を引きます。
そして幽体となって天井近くに浮かんでいるわたしはわたしの死体とアイスハグ兄弟の死体を眺め、それを良いと感じるのですが、どうしたことか、霊であるわたしはこの神殿から、外へ出ることができないのです。
3万年という時が経とうが、わたしは此処にいて、殺した自分と彼の死体の側にいて、真っ赤な血の広がる神殿の白い床を中空から眺めているのです。
それでさらに2万年ほど経過したあとに漸く、わたしは覚ります。
わたしはなにものも、わたしのものにはできなかったのだと。
その瞬間、神殿のドアが開かれます。
わたしは此処から解放されるのです。
ドアの外の空間は真っ白で、天井も壁もあるように見えません。
でもわたしの前に、大きな真っ黒い穴が一つ、地に開いてあり、その黒い穴に堕ちる以外に、わたしは行くべき場所はないことを知ります。
わたしは真っ暗な空間のなか、堕ちてゆく。
下へ、
下へ、
ずっと、
ずっと、
ずっと、
地の底へ向かって。
すべての愛する者たちから、わたしは離れてゆく。
わたしの悲鳴を聴く者はだれもいない処まで、わたしは堕ちてゆく。
最早わたしでさえも、わたしの悲鳴が聴こえなくなる処まで。
堕ちてゆく。
底へ。
底へ。
底へ。
生まれるまえのわたしが、居る場所。
存在するまえのわたしが、在る場所。
底へ向かって。
わたしはたったひとり、堕ちてゆく。




















愛と悪 第八章

2020-01-11 21:44:25 | 随筆(小説)
神聖な道の真ん中で死んでいる龜虫の額から流れる緑の血、エホバ。
わたしの罪を、わたしの地獄に堕ちて永遠に滅びんことで赦し給え。
今日、あの悪夢なる日から初めての集会に行って参りました。
もし、サタンに支配された兄弟たちから、この神殿はあなたの入ることのできる場所ではありません。今すぐに、御帰りください。と言われたら、わたしは、何十名もの兄弟・姉妹たちに向かって、こう叫ぶつもりでした。



なぜ兄弟の目の中にあるわらを見ながら、自分の目の中にある垂木のことを考えないのですか。
また、どうして兄弟に、『あなたの目からわらを抜き取らせてください』と言えるのですか。
しかも、ご覧なさい、自分の目の中には垂木があるのです。
偽善者よ!まず自分の目から垂木を抜き取りなさい。
そうすれば、兄弟の目からわらを抜き取る方法がはっきり分かるでしょう。

新世界訳1985年改訂版 マタイ七章三~五節



しかし、この言葉は、この聖句を言ったものはだれでも、言った瞬間に、あれ…?それ俺のことやんけ…!と恥ずかしくなる為に在る言葉であって、イエスは、それを知りながら、この言葉を叫んだのである。
つまり、自滅の為の言葉であって、誰ひとり、この聖句を叫んで正義を獲得できる者はいないのである。
でもわたしはそれをわかっていながら、この聖句を、クリスチャンたちの前で叫んでみたかった。
そして、自嘲の極みに達して、嗤いながら昏倒するという体験を、是非ともこの人生でしてみたかった。
だが、それは、叶えられなかった。
何故なら、わたしが王国会館に堂々と死んだ目をしながら入ろうが、好きな後ろから三列目の真ん中の席をすかさずキープして重い腰を据えようが、だれひとり、この空間で、文句を言う人ひとりとていなかったからであった。
そうか!あんな気違いな警察沙汰一度起こしただけじゃあ、誰も!わたしを咎めはしないのか!此処はエホバの民となる者たちの集う神殿である。
わたしの一度の罪、エホバへの冒涜行為なんて、屁みたいなものだったのか。
エホバにとって、屁みたいなものだとみんな想ったからか!
わたしは安堵を覚えていたが、震える手で、沸かしてペットボトルに淹れて持ってきた自然栽培のほうじ茶を飲んだのであった。
わたしの心はまだ震えていた。でも、不思議と、「聖書は実際に何を教えていますか」というチェルシー姉妹とチェルシー兄弟と共に聖書レッスンで学んでいた本を一人で読んで、聖書を開いて、読んでいるうちに、だんだんと、心は落ち着いてくるのだった。
わたしの隣にいつも座っていたチェルシー姉妹は、もういない。
聖書レッスンを一度中断したいと言われた際に、もう隣に座ることもできないと言われた為である。
泣きたいほどの寂しさと悲しみと苦しみであったが、わたしは泣かなかった。
わたしがこのすべての受難に堪えられる力を、エホバがわたしに与えてくだすったからである。
「くだすった」と言うだけで、何故、田舎の農家の、70代の農夫が頭に過るのでしょうか?エホバよ。
愛するエホバ、わたしは諦めなかった。38歳にもなって警察沙汰になり、4人の長老兄弟からほとんど目も合わせても貰えなくなった存在に成り果てようが、わたしは此処に通うことを、諦めなかった。
それはあなたへの愛故です。
本当に、今日4人共、わたしの目を意識的に逸している感じがしました。
このわたしの深い悲しみを、真の意味で、御存知であるのはエホバ、あなただけです。
何故なら、わたしがあなたを愛している限り、あなたはわたしを愛さないでいられないからです。
あなたは、わたしの愛するすべてであり、あなたが存在しないと、わたしが感じるとき、あなたは存在せず、わたしも、存在しない。
わたしは光を喪わない。あなたが居る限り。
わたしが愛さないあなたと、わたしを愛さないあなたは、最早、わたしのあなたではない。
あなたは何者でもない。生きた、何者でもない。
あなたは闇の底の渦。わたしを待ちつづける死と死の子、Ἅιδης。
あなたを永遠に愛するわたしならば、わたしはそこへ向かわん。
わたしは永遠に、死につづける。永遠に、滅びつづける。
あなたと共に。
あなただけと、共に。



















愛と悪 第七章

2020-01-10 20:21:48 | 随筆(小説)
没しつづける海の波に流され、わたしの湊へ降り立った小さな木の葉。エホバ。
わたしは今でも、のことを想い、悲しみの果てに連れ去られるのです。
愛しい彼が、殺されるまえに見た夢のなかにわたしは現れ、彼に向かって手を差し伸べ、わたしはこう言うのです。
「わたしと共に、逃げましょう。あなたの罪は、赦された。もう…もうあなたは実際に経験しなくとも良いのです。未来に生きるわたしたちすべてが、あなたの経験を追体験し、罪は贖われた。わたしたちは無数の次元に同時に生きていて、自分の本当に望む世界へ、自由に移動することができる。あなたはもう、この先起こり得ることを経験せずとも、先へ進むことができるようになった。わたしはあなたを救いに、未来から遣って来た。此処から、わたしと一緒に逃げましょう。」
彼は夢のなかで、わたしの前で、座り込んで項垂れている。
そして乾いた口元を開いて、息のような声で答える。
「その世界は…真に素晴らしく、ぼくはまるで、何も知らない幼なごのように、夕陽に反射されたぼくらの家の前で、愛する家族と共に、ぼくは微笑んでいる。でも…今ぼくは、ぼくは、今、みずからの罪を、みずからの手によって、報わなければならない。ぼくの罪は、だれにも、代わりに贖うことはできない。ぼくはもうすぐ、醜い肉塊と化すが、魂は、きっと、安らかでいるだろう。神が、行くべき処へ、ぼくを導いてくださいます。何も心配しないでください。無事に成就することを、どうか祈ってください。」
彼のまえには、いつの間にかイエスが立っている。
そしてわたしの目にまえに二人のメシアがいることをわたしは知るが、イエスは、彼を見つめ、涙を流されている。
イエスは、終りのない涙を、ひとりで流されている。
まるですべての存在が、いつの日かこの彼と同じ言葉をイエスに向かって言う日を、知っているかのように。
どれくらいの時間、イエスは彼のまえで泣いていただろう。
しかしやっと、イエスは彼に向かって言った。
「あなたの真に望む死と、あなたの真に求む受難をあなたに与えん。」
そして、イエスは天へと、寂しげな後ろ姿で帰られた。
わたしは夢から醒め、この悲しみに、神に感謝を捧げた。
エホバよ。果てのない世界を創造されたわたしの愛、エホバよ。
あなたはすべてを悲しみ、すべてを求められる。
すべてが永遠で在る為に。


















愛と悪 第六章

2020-01-10 16:50:20 | 随筆(小説)
蒼穹の壁のなかの閉じられた真っ白なドア、わたしの神エホバ。
どうかわたしの罪を、御赦しください。
あなたの光は、人を善と悪に、分け隔てられない。
あなたの御国で、ひとり残らずあなたは同じ愛で、包み込む。
あなたの御国が、早く訪れんことを。
そしてわたしは、ホサナを通し、エホバに言った。
わたしはあなたに背いたアダムとエバの気持ちがわかります。
あなたが創り上げた完全なる楽園、エデンの園が、退屈に感じたからです。
わたしは喜びのなかにいるとき、退屈さを感じている。
だから苦しみを得る為に、喜びをいとも容易く売ったのです。
あのとき、わたしの耳元でサタンがこう囁きました。
あなたの本当に欲しいものは、エホバの証人と善き関係を保ちつづけ、バプテスマを受けてアイスハグ兄弟の妻となることではありません。
あなたの本当に欲しいものは、あなたがすべてのエホバの証人から見捨てられること、あなたがあなたの母から、見離されること、即ちあなたの真に欲するものとは、あなたにとっての真の絶望である。あなたを真に輝かせるものは、真の悲しみである。
わたしの第三の目はあのときも、今でも、ときめきに輝きつづけています。
わたしはサタンに、わたしのすべての幸福を売りました。
アイスハグ兄弟を想って自分を慰みても、それはそれは寂しく、虚しきものです。
わたしの永遠の夫は天におられるわたしの御父であり御母であられるエホバ、あなただからです。
わたしの恋をする全ての存在が、あなたの幻影でしかありません。
彼らはあなたの光で照らされなければ、そこには何もありません。
影ひとつ、そこには存在しないのです。
燃え尽きた塵ひとつさえも、ありません。
わたしはあなたへの永遠の恋なくして、誰をも愛せません。
あなたは…わたしの父であり、わたしの母であり、わたしのСноw Wхитеであり、わたしのフトドキモノであり、わたしのモヤシノヨウナイタメモノであり、そして…わたしのみちたではありませんか…?
そのすべての名を持つあなたのドアが、通路の右側にあり、左側には、わたしを妻として待つアイスハグ兄弟がなかにいるドアがわたしの目のまえにあります。
わたしは迷わず、右のあなたのいるドアをノックし、あなたと、わたしは結婚します。
そしてそのドアは、今のわたしの部屋のドアです。
今わたしは、あなたの家のなかにいて、これを打ち込んでいます。
目に見えないあなたが、いつでもわたしを見つめてくださっているので、わたしは何も怖くはありません。
未来を、憂いたりもしません。
絶望的に感じるとき、いつでもあなたの御声が聴こえるのです。
こず恵よ、立ち上がりなさい。立ち上がって、すべての生命を、救いだしなさい。
するといつでも、力が湧いてくるのです。わたしが何の為にこの星に生まれてきて、あなたがどんな使命をわたしに御与えになったのかを懐いだすのです。
わたしは…間違ってはいない。わたしは多くの人を苦しめ、傷つけてきた。
でもわたしが救おうとしている家畜たちや、毛皮を剥がされる動物たちは、彼らの感じている拷問の苦痛は、わたしが苦しめて傷つけてでも救おうとしている人たちの未来なのです。
わたしは人々を苦しめてでも、人々を救いださねばなりません。
それは比べ物にはならない苦痛であるからです。
エホバよ。どうかわたしに力を御与えください。
彼らを未来に待ち受ける無間地獄から、救いだすことのできる力を。
わたしの血と肉とを引き換えに、どうか彼らを御救い給え!
血で血を洗い、肉で肉を、御救いください。
そして骨となったわたしを地獄の血の海の底ハデスへ、御捨てください。
そこでわたしを永遠の死と交わらせ、わたしの全てを、終わらせてください。
わたしは最早、何をも、欲したいとは想わない。