あまねのにっきずぶろぐ

1981年生42歳引き篭り独身女物書き
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

夜のこどもたち

2017-10-25 11:14:17 | 
寝て目が醒めるとすべてが喪われた世界で。
夢のなかは喪われたものすべてが存在している世界であることに気づき。
彼方(あちら)を想いだそうと奮闘するも虚しく。
残骸となったちいさな欠片ひとつぶたつしか此処には残されていない。
もしはっきりと想い描くことができたのであればこの虚しさも幾分安らいだに違いない。
わたしは彼方では、こどものように無邪気であった。
知らないこどもたちに囲まれ、その絆は深いもののように想えた。
彼らは不安な遊びに興じている。
わたしははじまりからおわりまで、わたしだけ”人間ではないもの”の役を遊んでいたように想う。
いつも暗がりでわたしたちは遊びごとを真剣に遣っていた。
わたしは自分で決めたかだれかに決められたかしたこの役を、だれからも降ろされるときは来なかった。
ただただ夢中になって遊び、世界にどんな面倒なことがあるかを考えることもなかった。
それでもわたしたちの遊びは、どこまでも不安で、危ないものであることを知っているようだった。
わたしたちを好ましく想わない連中がいるのを知り、わたしたちは夜のプールへと来た。
このプールのどこかに幾つもの危険な罠が仕掛けられている。それを探してた。
こどもたちは夜のプールに平気で入る。
罠を発見したが、これはもしかしたら罠に掛かっている状態なのかもしれない。
こどもたちは、本当に危ない遊びが好きなのだ。
わたしがどんなに入るなと叫んでも、もう彼らは夜のプールの底に消えたあとだ。
目が醒めて、あのなかで、わたし以外の全員が、”人間ではないもの”であったことに気づく。