皇太子殿下御下賜
金八拾疋 酒饌料
右大正七年六月十二日 當部行啓ノ砌
御下賜ノ處 各關係員ヘ配分スルモノ也
大正五年七月十五日
軍馬補充部白河支部長 早川治甫
牧手 菅 喜代亀 殿
両皇子殿下御下賜
金六十疋 酒饌料
右大正五年八月二十二日 當部ヘ行啓ノ砌
御下賜ノ處 各關係員ヘ配分スルモノ也
大正五年九月十日
軍馬補充部白河支部長 早川治甫
牧手 菅 喜代亀 殿
*編者注
菅 喜代亀は編者の祖父。
・金八十疋: きんはちじゅっぴき。 今の価値にしておおむね8万円位?
疋は、古くは布地(特に絹布)2反分の事。
中世(鎌倉・室町時代)に銭の単位として使われた。100疋=一貫文=1000文。
100疋でおおむね10万円~15万円位か。
・酒饌: 酒や食べ物のこと。
・行啓の砌: ぎょうけいのみぎり。行啓とは皇后、皇太后、皇后、皇太子等が
お出ましになる事。 砌は丁度そのことが行われるとき。
・處: ところ。処の旧字。
・軍馬補充部: 旧陸軍省の外局の一つ。各地に支部が設置され、
軍用馬の育成・供給などを行った。
・白河支部: 白河支部(ふくしまけん西白河郡西郷村小田倉)もその一つ。
また支部の出張所や支部を本部(本厩)とする分厩が設けられ、
更にはその近隣に専用牧場がつくられた。
・牧手: 軍馬の管理や世話をする職員の事か。