N・Tさん(H46生・女・無職)
6年ほど前から、歩行困難、排尿困難、左右股関節鼠けい部の痛み(特に左側)、両足首から先のシビレなどの諸症状を発症。
東京の大学病院など、5箇所の病院を回り、最終的に「多発性硬化症」と診断された。
入院歴6回。整体を受けたこともあるが、余計おかしくなってしまい、やめた。
現在、左ひざが曲がらず、ほとんど棒状。左の足先は、シビレを通り越して、ほとんど麻痺している感じ。
口元がしまらず、(特に左)口元にチック症状。
「レクリングハウゼン氏病」の持病もある。
* * * *
H14.3.11日。杖を突き、両親に支えられての来院。
慎重にバランスチェック。「私の力量で、現状を改善できるか?」
答えはイエス。週2回ペースで10回くらいの施術で、本人が自覚できるような変化を出せる、と!
(ある程度まで、改善させるには、50回以上という答えも・・・)
SL・R1/3。仙骨CW・D。
仙骨のダウンを取ってから、軽い基本療法のみを施術。
左足首が超硬く、足首回しは、ほとんどイメージで(いくらゆっくり小さく回そうとしても、ビクビクと反発)。
施術後、杖なしで、一人で室内を歩けた!!
*手足の冷えがひどいので、家庭でも足湯を実行するように指導。
3月11日。「前回の施術後、一人でズボンをはけました!歩くのも楽になっています!!」
「スープも、自分ですすって飲めたんだよね!」と、お母さん。
本人にも家族にも希望が出てきたようです。
3月17日。「左のひざが、ある程度曲げられるようになり、(体の)調子がいいのでつい動きすぎてしまう。昨日は、掃除をやりすぎてしまって、足が(棒状に)戻っちゃいました!」
SL・L1/3。CW・U。
3月31日。7回目。「前は、1回でずしんときて、動けなくなったのに、昨日は、場所は動いちゃうけど、飛び跳ね運動が17~8回できました!」
最近、左の腕がだるくなってきた、とか、太ももの裏が、重い感じになってきた、
等と、訴える。
「体が、いろいろと変化してきているんだね!よい傾向ですよ!」と、励ます。
4月11日。10回目。
「右股関節内側の痛みはほぼ取れてきた。両大腿部の内側に痛みが出てきた}
口元のぴくつき(チック症状)が、ほぼ治まってきている。
SLは、R1/3~1/2で、落ち着いてきたが、ダウンが時々顔を出す。
*バランスチェックで、「テップ」が非常によい反応を示しているのだが、ご家族の事情で、断念されている。
(この項続く──)
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★多発性硬化症:自己免疫疾患のひとつと考えられているが、確かなことは、よくわかっていない難病のひとつ。脳や脊髄の障害(脱髄)により、知覚障害や、運動障害等を引き起こす。
★レクリングハウゼン氏病:遺伝性の疾患のひとつ。乳幼児期に皮膚に褐色の色素斑が生じ、6~7歳ごろから、皮膚に多数の小腫瘍ができるようになる。
★本人が、自覚できるような、変化:整体の施術に限らないが、初めての治療を体験する場合、本当に効く(自分にあっている)のだろうか?とか、効果がなかったら?いやいや、全く逆効果だったらどうしよう!などと、さまざまな不安を持つもの。
一日も早く「あ、これはいいかもしれない!」という実感を持ってもらえるまでの目安を伝えるようにしている。
★ある程度まで改善させるには・・・:日常の生活に、さほど不自由を感じない程度まで。
やはり、お金がかかわる世界。かつての(患者役だったときの)私のように、延々と、先の見えない不安感を持たせたくない。患者さんの不安を少しでも解消し、希望をもたせるための、目安としての回数。
★ほとんどイメージで:バランス活性療法では、通常の施術であっても、術者のイメージを大変重要視している。
★飛び跳ね運動・・・:私の場合もそうだったが、体が動かないときほど、何とか動かさなければ・・という、不安がつきまとうもの。
しかし、体の立場からは、動いてほしくないから、痛くしたり動けなくしてくれているということも多いのです。この患者さんの場合は、無理の無い範囲での動きは、むしろプラスとのバランスチェックが出ていました。
★体が変化してきて・・・:この世の、すべての治療法は、体を変化させている(さっきと違う状態にしている)のだと、「三軸修正法」の池上先生に教えられました。
自分の体の変化を、自覚できる患者さんほど治りが早いものなのです。
★テップが、よい反応・・・:テップは、赤ひげ塾取り扱いサプリメントのひとつで、希少な、動物性レシチン製剤。この患者さんは、経済的な事情で、使用を断念された。