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Activated Sludge ブログ ~日々読学~

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●「自衛隊、防衛出動か。射殺ですか」=「聴衆の問題意識を喚起する趣旨」…等々の「ト」な閣議決定を乱発

2017年11月28日 00時00分58秒 | Weblog

[※ 『サンデーモーニング』(2017年11月19日)↑]



リテラの水井多賀子さんの記事【今度は麻生財相の「武装難民は射殺」発言を肯定する閣議決定! トンデモ閣議決定を乱発する安倍政権の異常】(http://lite-ra.com/2017/11/post-3591.html)。

 《…と発言したことについて、このような答弁書を閣議決定したのだ。 〈有事の際に想定され得る様々な事態について、聴衆の問題意識を喚起する趣旨からなされた〉 麻生発言は、難民の大量流入が現実的にありうる状況下で、副総理が「武装難民がいるかもしれない」という妄想をくわえたうえで「射殺ですかと言い放つという悪質かつ難民への憎悪を煽る非常に危険なものだ。それを政府は〈聴衆の問題意識を喚起する趣旨〉と肯定してみせたのである…しかし、安倍政権下では、今回のような危険な答弁書の閣議決定が乱発》。

   『●3人がそろいもそろって「外交音痴も甚だしい」、
       「3人の発言で日本外交の程度の低さが際立った」
    《…外交音痴も甚だしい。首相は好戦的で前のめりに
     「対話ではなく圧力しかない」と言い、副総理は「武装難民の可能性も
     あるので朝鮮半島の難民を射殺すると言い、外相
     「全世界160カ国に北朝鮮との国交断絶を要求」した。
     これが日本の北朝鮮外交政策だ》

 確信犯なナチス擁護者・麻生太郎副総理・財務相の相変わらずのヘイト体質ですが、どうせ有耶無耶になることを予想していました。でも、その上を行く、閣議決定で肯定!

 その他も…《安倍政権下では、今回のような危険な答弁書の閣議決定が乱発》《乱暴な上に、もはやタガが外れて常軌を逸している》《こうした馬鹿馬鹿しい閣議決定は枚挙に暇がない》そうです。そして、《最大の問題は、このような横暴極まりない閣議決定が、たとえその内容があからさまな嘘や身勝手な論理・解釈でも、政府見解として「お墨付き」を与えることで、「正しい判断」のように流布していることだろう。ようするに、正当化のための「手段」にされてしまっているのだ》、《政府の統一見解を示す本来の趣旨が、「安倍政権は正しい」と主張し、慎重な議論もすっ飛ばした暴走を是とするための道具に成り下がる》…あぁ~、滅茶苦茶すぎる「裸の王様」とその取り巻き連中。

 狂気・凶器なアベ様政権。
 「国会審議形骸化」を狙った、例の野党の質問時間の削減について、青木理さん(『サンデーモーニング』2017年11月19日)。質問時間の与野党配分1:2 (80分:160分)は、政府側の答弁の時間を考えれば逆転し、実質「80+80分」:「80分」。さらに、「先の通常国会で質問主意書438件、質問したくてしょうがなかった自民党議員からはゼロ件」だったという、呆れた実情。
 さらに同番組の最後に、青木理さんが再び言及…《元CIAのスノーデン氏…「監視システムを日米共有」…NSAは「XKEYSCORE(エックスキースコア)」と呼ばれるメールや通話などの大規模監視システムを日本側に供与》した件について(『●ソレは既に彼らの手中…「大量監視の始まり。日本にこれまで存在していなかった監視文化が日常のものに」』)。ニッポンは恐ろしいことになっている。

   『●無「責任」な「謙虚」…野党の国会質問時間短縮、
       「国会審議形骸化…それとも、それが狙いなのだろうか」
    「さて、自民党の若手議員から《発言機会が制限されているとの不満》が
     あるそうで、あの谷川弥一議員が再び注目の的。御不満の自民党議員は、
     谷川代議士に言ってみては如何?」

   『●疑惑のオトモダチ開学認可…目に見えていた「白紙委任状」へと
                  突き進ませた自公お維キト支持者の馬耳東風
    「つぶやき上にて、《佐藤圭‏@tokyo_satokei  質問「5対5」与党提案へ 
     立憲反発、拒否の意向:朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/DA3S13221493.html  
     そんなに与党の質問時間を増やしたいなら予算委員会の日数を
     増やせばいい簡単なこと。》…大賛成。増やした上で、
     般若心経でもなんでも読んでいればいいさ

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http://lite-ra.com/2017/11/post-3591.html

今度は麻生財相の「武装難民は射殺」発言を肯定する閣議決定! トンデモ閣議決定を乱発する安倍政権の異常
2017.11.17

     (麻生太郎オフィシャルサイトより)

 今月14日、政府は信じがたい答弁書を閣議決定した。麻生太郎副総理兼財務相が9月23日におこなわれた講演会で、朝鮮半島から難民が押し寄せる可能性にふれて「武装難民かもしれない。警察で対応するのか。自衛隊、防衛出動か射殺ですか。真剣に考えなければならない」と発言したことについて、このような答弁書を閣議決定したのだ。

   〈有事の際に想定され得る様々な事態について、
    聴衆の問題意識を喚起する趣旨からなされた〉

 麻生発言は、難民の大量流入が現実的にありうる状況下で、副総理が「武装難民がいるかもしれない」という妄想をくわえたうえで「射殺ですか」と言い放つという悪質かつ難民への憎悪を煽る非常に危険なものだ。それを政府は聴衆の問題意識を喚起する趣旨肯定してみせたのである。
 閣議決定された答弁書は政府の統一見解を示すもので、政府の方針や姿勢を定めるという極めて重い意味をもつ。しかし、安倍政権下では、今回のような危険な答弁書の閣議決定が乱発されている。
 たとえば、教育勅語については〈憲法や教育基本法等に反しないような形で教育に関する勅語を教材として用いることまでは否定されることではない〉とし、2021年度から実施される中学校学習指導要領の保健体育で武道9種目の一つとして、戦前の軍事教練で取り入れていた「銃剣道」を明記したことについても、〈武道の内容の弾力化を一層図るもの〉〈「軍国主義の復活や戦前回帰の一環」との御指摘は当たらない〉と説明。さらに、ヒトラーの『我が闘争』を教材として用いることも〈留意事項を踏まえた有益適切なものである限り、校長や学校設置者の責任と判断で使用できる〉とした。
 これらの閣議決定は、安倍政権が目論む軍国主義教育復活を大きく前進させるもので、本来、慎重さが求められる答弁書の閣議決定が乱暴なものになっていることを表しているだろう。
 いや、安倍政権による答弁書の閣議決定は、乱暴な上に、もはやタガが外れて常軌を逸していると言うべきだ。
 それを象徴するのが、安倍首相の「そもそも」発言をめぐる閣議決定だ。


 あまりにも下らない話ではあるが、大事なことでもあるので経緯を振り返っておこう。安倍首相は今年1月、共謀罪法案審議のなかで過去の法案との違いとして「今回は“そもそも”犯罪を犯すことを目的としている集団でなければならない」と述べた。ところがその後、オウム真理教を例に「当初はこれは宗教法人として認められた団体でありましたが、まさに犯罪集団として一変したわけであります」と説明を一変。この答弁の矛盾を民進党の山尾志桜里議員にただされると、安倍首相は自信満々にこう言ってのけた。

   「そもそも、『そもそも』という言葉の意味について、山尾委員は
    『はじめから』という理解しかない、こう思っておられるかもしれませんが、
    『そもそも』という意味にはですね、これは調べてみますと、辞書で
    調べてみますとですね、辞書で念のために調べてみたんです。
    へへっへ(笑)。念のために調べてみたわけでありますが、
    これは『基本的に』という意味もあるということも、
    ぜひ知っておいていただきたい

 周知の通り、「そもそも」の意味を「基本的に」と記している辞書など存在しない。ようするに安倍首相は自分の答弁の矛盾をごまかすために「そもそも」を「基本的に」という意味に捏造、あまつさえ「辞書で調べてみますと」などと大嘘を言ったのだ。
 だが、安倍政権は度肝を抜くような答弁書を閣議決定した。

   〈平成十八年に株式会社三省堂が発行した「大辞林(第三版)」には、
    「そもそも」について、「(物事の)最初。起こり。どだい。」等と記述され、
    また、この「どだい」について、「物事の基礎。もとい。基本。」等
    と記述されていると承知している〉

 無理やりにも程があるだろう。「どだい」も副詞で使うときは基本というニュアンスとは違う上、違う言葉を間にはさんで意味が同じになるなら、ほとんど全部の言葉が同じ意味になる。しかし、さらに驚くことに、その後“首相が自ら辞書を引いて意味を調べたものではない”という答弁書まで閣議決定したのである。
 こうした馬鹿馬鹿しい閣議決定は枚挙に暇がない。党首討論でポツダム宣言について「つまびらかに読んでいない」と述べていたのに、答弁書では〈当然、読んでいる〉。森友問題では、安倍昭恵夫人について〈公人ではなく私人〉とし、総理大臣夫人付きの谷査恵子氏が籠池泰典前理事長に送った口利きFAXも“行政文書には当たらない”とした。
 このような答弁書の閣議決定に対しては、「答弁書は質問主意書があってのものだから、そもそもの質問がバカなだけ」「野党の質問主意書が悪い」という声がある。だが、質問主意書国民への情報開示の目的もあり、野党にとっては国会での質疑とならんで重要な武器だ。実際、自民党も下野時代は揚げ足取り的な質問主意書を提出していたし、また、そうして政府の統一見解を引き出すことは重要なことだろう。
 しかし、ここまで答弁書の閣議決定の内容が「劣化」しているのは、質問主意書が悪いのではなく、そうした質問主意書が生まれる原因を安倍政権がつくっているからだ。前述した「そもそも」問題にしても、安倍首相が素直に答弁の矛盾を認めていれば、こんな質問は“そもそも”飛んでこない。政治・国会の低レベル化が、アホな答弁書を連発させているのである。


 しかも問題は、安倍政権は答弁書の閣議決定を「自己正当化のために使っていることだ。
 たとえば、今年5月に安倍首相が閣議において改憲実現を目標2020年と発言したことを、答弁書では“自民党総裁としてのもので、首相の職務として行われたものではない”とした。このような自分勝手な立場の使い分けで言い逃れできるものではないが、今後もこの閣議決定が利用されていくのは間違いない。
 さらに絶句したのは、やはり今年5月、国連の特別報告者であるジョセフ・ケナタッチ氏が共謀罪法案を「プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」と指摘する書簡を安倍首相宛てに送付した件だ。このことについて閣議決定した答弁書では〈特別報告者の見解は、当該個人としての資格で述べられるものであり、国際連合又はその機関である人権理事会としての見解ではない〉と否定した上、〈その内容には誤解に基づくと考えられる点も多く、我が国政府として受け入れ難い内容のもの〉と批判した。
 これは政府見解としてあまりに乱暴で一方的すぎる。事実、アントニオ・グテーレス国連事務総長が安倍首相との会談についてのプレスリリースで〈特別報告者による報告書に関し、特別報告者は人権委員会に直接報告する、独立した専門家であると語った〉(編集部訳)と報告している。この「独立した」は日本国憲法76条が規定している「裁判官の独立」の「独立」と同じ意味で、何者にも干渉されない存在であることを説明するもの。それを「国連とは別の個人の資格」と訳するのは明らかにインチキだが、政府は事実をねじ曲げ、閣議決定までしてしまった
 そして、最大の問題は、このような横暴極まりない閣議決定が、たとえその内容があからさまな嘘や身勝手な論理・解釈でも、政府見解として「お墨付き」を与えることで、「正しい判断」のように流布していることだろう。ようするに、正当化のための「手段」にされてしまっているのだ。
 政府の統一見解を示す本来の趣旨が、「安倍政権は正しい」と主張し、慎重な議論もすっ飛ばした暴走を是とするための道具に成り下がる。──閣議決定された、とんでもない答弁書の数々は、当たり前の政治がおこなわれていないという現実を表しているのである。

水井多賀子
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●高市早苗氏が書籍『ヒトラー選挙戦略』へ推薦文: 20年前に既にその萌芽が

2014年10月23日 00時00分12秒 | Weblog


本日のツイートで知りました。『The Huffington Post』の記事【女性閣僚の辞任相次ぐ安倍内閣 高市早苗氏が推薦文を寄せた「ヒトラー選挙戦略」とは?】(http://www.huffingtonpost.jp/2014/10/21/hitlersenkyo_n_6019042.html?utm_hp_ref=tw)。

 うっすら記憶の隅にあるのですが、高市早苗氏が絡んでいたことは全く覚えていませんでした。「20年前に出版されたものとはいえ、多くの問題をはらんだ本書を推薦したことは現役閣僚として批判されることだろう。内容を吟味せずに推薦文を寄せていたのだとしても、政治家として脇が甘いと指摘されても仕方ない。安倍内閣には、今後も内外の厳しい視線が注がれる」。
 高市氏は読まずに推薦文を書いたようには見えません。タイトルは見なかったのでしょうか? タイトルは、書籍の重要な一部ですよね。見た上で、それでも推薦したのかな? それとも推薦文自体がゴーストライター作? 20年前とはいえ、ちょっと酷い。麻生太郎氏の『●麻生太郎氏「ナチス発言」、やはり有耶無耶に』並みに酷い。
 20年前に既に、高市氏の現在の「振る舞い」の萌芽があったわけです。

   『●「恥」の三重塗り: 高市早苗氏・稲田朋美氏の
        「ネオナチ」写真問題・「在特会」機関紙執筆問題


 推薦文には「候補者と認知された瞬間から始まる誹謗、中傷、脅迫。私も家族も苦しみ抜いた。著者の指導通り勝利への道は『強い意志』だ。国家と故郷への愛と夢を胸に、青年よ、挑戦しようよ!」とあったそうです。色々と言いたいことはありますが、取りあえず「誹謗」? 例えばこの『The Huffington Post』の報道は「誹謗」「中傷」なのでしょうか? 「ヒットラー選挙」を推奨した本に推薦文を載せること、そういったことを報道することは高市氏を知る重要な報道で、「誹謗」でも「中傷」でもなんでもないですよね。あるいは、「ネオナチ」と写真に一緒に写っていることも、投票者にとって大変に重要な情報であり、「誹謗」でも「中傷」でもなんでもないです。

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http://www.huffingtonpost.jp/2014/10/21/hitlersenkyo_n_6019042.html?utm_hp_ref=tw

女性閣僚の辞任相次ぐ安倍内閣 高市早苗氏が推薦文を寄せた「ヒトラー選挙戦略」とは?
The Huffington Post
投稿日: 2014年10月21日 16時51分 JST 更新: 2014年10月21日 16時51分 JST

政治資金をめぐる問題で10月20日に辞任した小渕優子経産相に続き、松島みどり法相も自身の選挙区で「うちわ」を配布していたとする問題で辞任した。鳴り物入りだった安倍内閣の女性閣僚たちへの批判が相次いでいるが、海外メディアでも、女性閣僚とネオナチ団体との関係や靖国神社参拝についての報道が続いている。

特に女性閣僚の一人、高市早苗総務相については、ネオナチ団体の代表男性とのツーショット写真を撮っていたことが明らかとなったほか、1994年に出版され、ユダヤ人人権団体から批判を受けて2カ月で絶版となった書籍「ヒトラー選挙戦略」(小粥義雄著、千代田永田書房)に推薦文を寄せていたことから、ナチズムとの関係性を指摘する海外メディアが少なくない。

ハフィントンポストでは、「ヒトラー選挙戦略」を入手。何が問題視されているのか、あらためてその内容を読んでみた。


■ヒトラーをかわいくキャラクター化、「」のデザインも

「ヒトラー選挙戦略」の著者は、小粥義雄氏。略歴によると、1948年静岡県生まれ、成城大学経済学部卒業、衆議院前尾繁三郎事務所を経て、この本を刊行した時には自民党東京都支部連合会事務局広報部長を務めていた。

まず、本書の冒頭に引用されているのは、「ヒトラーの遺言」という文言。「余にとって日本は、変わることなく盟邦であり、友人でありつづけるであろう」とヒトラーと日本の親密性を伝える言葉だ。随所に、ヒトラーがかわいく描かれたキャラクターが登場、扉絵には「卐」がデザインとしてあしらわれているのも特徴的だ。

まず、「なぜ、ヒトラーなのか」という説明を冒頭に行っている。

    私たちは短期間に国論を統一、政権を奪取して第三帝国を
    建設したヒトラーは、現代選挙を考えるうえで、とても重要な教え
    私たちに示しているんだと思います。(P2)

    大衆の側に立って、大衆の声を聞き、大衆の心に訴えた政治手法は、
    混迷の時代、大衆文化時代の今日、「ピタリ」と
    あてはまる政治戦略ではないでしょうか。
    ヒトラーの残した独裁政治、ユダヤ問題など歴史的評価は後世に
    譲るものとして、ヒトラーがすすめた、白か黒か、敵か味方かを
    はっきりさせ、この敵と徹底的に戦う政治戦略は、選挙での
    「当選」か「落選」かの結果と同じ論理なのです。(P3)

「ヒトラーの歴史的評価を後世に譲る」という断りで、ヒトラーを取り上げることへの免罪符にしたのかもしれないが、政治感覚の欠如と言わざるをえない。



■「楽しい選挙の落し穴は公職選挙法です」

続く、「はじめに」では、「選挙って楽しいもの」であるはずなのに、立候補する人が減少していると嘆いている。その理由とは−−?

    楽しい選挙の落し穴は公職選挙法です。ある日突然に警察が
    訪ねてきて犯罪人に仕立てあげてしまうという恐ろしい法律です。
    公選法を知らなければ学園祭のノリで楽しい選挙ができるのに、
    この反市民的な法律をクリアしないと選挙運動はすすまない
    のです。(P8 ~9)

公選法を「悪法」と断じている。さらに、本書は「候補者になろうとする人達やこれから選挙を戦う人達にとっての、選挙戦の基本となる心がまえについてまとめあげたもの」として、次のように述べている。

    選挙必勝法はただひとつ、強い信念を候補者がもつこと。
    かつて第三帝国を築いたアドルフ・ヒトラーの政治・組織・宣伝論の
     なかから、現代選挙必勝法を考察してみました。ヒトラーの
    政治戦略は大衆宣伝が基本です。これはまさに現代選挙運動にも
    通じる戦略なのです。(P10~11)


■「説得できない有権者は抹殺すべき」

本書は、「まず、選挙に出ようと思ったら」「後援会の組織づくりはこうすすめよう」「候補者になったら肝に命じよう」「選挙ではこんなことも要求されるだろう」の大きく4つのパートに分かれている。4つのパートはさらに細かい章立てになっているが、その冒頭にはそれぞれドイツでは禁書となっているヒトラーの著作「我が闘争」などの言葉が引用されている。

本文でも、過激な表現が散見される。「まず、選挙に~」の「勝利に一直線」という章では、いかに支持者を得るかについて書かれている。

    説得できない有権者は抹殺すべきです。この抹殺とは人を
    殺すことではありません。政治的活動を一切させないように
    工作することです。そのまま放置していたのでは、他陣営の
    有力な戦力になってしまうことがあります。(P35)

また、「候補者になったら~」の「女尊男卑の精神」という章では、女性の力が選挙活動には重要と説いているのだが、女性に対する認識は「女尊」にはほど遠い

    女性は直情的です。難しい理屈や理論よりも、愛情をもって
    接すれば大きな支持者を誕生させることが可能です。(P70)

    女性たちは「愛」があればさらに進みます。理論や教義を覚える前に、
    女性は愛されているという実感の中で行動をしてくれるはず。(P71)

    女性は心の安らぎの原点です。女性は支持拡大の突撃隊です。
    楽天的な女性に接していれば、必ず明るい未来が見えてきます。(P73)

続く「控えめな親族・家族」では、1991年の統一地方選挙の市議会議員選挙でトップ当選を果たした新人がいたこと触れて、こう述べている。

    投票日の三日前、市議選対の本部長は「候補者が落選したら
    親族はこの街にいられないぞ」と候補者の親戚代表を脅かした
    のです。この脅しがきいて、後援会組織にとらわれないウラの
    親族たちが必死になって集票活動に熱中してトップ当選を
    飾ったのです。ヒトラーが親族の出しゃばりを嫌ったように、
    選挙でも親族はあくまでも影になって行動することが
    大切なのです。(P77)


■「独身だったヒトラーには恋人がいたようにオモテとウラの使い分けを」

政治家の二面性を正当化する章もある。「選挙ではこんなことも~」の「候補者の日常生活」では、ヒトラーが独身だったものの、私生活ではエヴァ・ブラウンという恋人がいたことに言及。その「オモテ」と「ウラ」を使い分ける度量が要求されると説いている。

    立候補者全てが真面目に清貧に生活せよというのではありません。
    ただ「オモテ」と「ウラ」の二面性を持つ必要があります。
    オモテは誰よりも清貧な生活、真面目な人柄、誠実な行動を
    セールスポイントとしなくてはなりません。(中略)
    ウラでは自由奔放な生活も必要です。他人の目に触れない
    行動時にはハメをはずすことだって良いのです。(P101)

    候補者の日常生活は「オモテ」と「ウラ」をはっきりと区別することです。
    オモテとウラの行動を使い分ける確かな演技力をつけることで
    当選への道が約束されてくるのです。(P103)


■警察の捜査には「日程、会計帳簿、組織図、名簿類を処分することが大切」

最後に加えられているのが、「付録 万全の公職選挙法対策で楽しい選挙を」という項目だ。ここでは「警察は味方ではない」と何度も強調している。

    公職選挙法は、国民誰でもを犯罪者に仕立てあげることの
    できる悪法です。善良な市民でも、ある日突然に犯罪者にすることが
    可能な法律が公職選挙法です。何も知らない市民は、
    わからないままに「公職選挙法違反」のレッテルを貼られてしまい、
    前科者になってしまいます。(P118~119)

また、陣営まわりに刑事が出没すれば、捜査の着手を知ることができるとして、次のように注意を促している。

    捜査当局の動きは実態全てをつかむことは出来ませんが、
    日頃のつきあいの中で確認する必要があります。事件への
    対応の第一歩は、まず押収物をなくすことです。捜査当局は
    証拠隠滅などというおそろしい言葉を使って脅かしてきますが、
    ひるまず戦うことです。(P127)

    万が一、選挙事務所の捜索が行われることが予想される時は、
    日程、会計帳簿、組織図、名簿類はイの一番に処分することが
    大切です。(P127)

    捜査の着手をキャッチしたのなら、直ちに反撃を開始すべきです。(中略)
    あわてないで書類をひとつひとつ自らの手で整理して処分すべきです。
    書類は焼却しても良いし、どこか第三者の人に預けるのもひとつの
    方法です。いずれも自分ひとりの考え、自らの手で実行することです。
    自らが口を割らなければ「絶対にわからない」という強い信念があれば、
    証拠隠滅で逮捕するなどという警察の威しにも充分対応できる
    のです。(P129)

候補者の心構えや一般論を説いている他の章に比べ、ここはかなり具体的なアドバイスが詳述されていた。

     (本書の随所に登場するキャラクター化されたヒトラー)


■「まっ白なイメージのなかからヒトラーを見て」

通読すると、著者が選挙活動を行ってきた経験から書かれた候補者へのメッセージだが、なぜわざわざヒトラーを持ち出す必要があったのか疑問を覚える。「あとがき」では、次のように説明している。

    「ヒトラーは大嫌い」

    ヒトラーという名前を口に出しただけで、拒絶反応を示す人が
    います。ドイツでは、いまだにヒトラーはタブーとされています。
    しかし、このままみんなが嫌いと言って避けていたのでは、
    むしろ何も知らない人たちが、ネオ・ナチ運動に走ってしまうのでは
    ないでしょうか。(P164)

    まず、大勢の人たちにヒトラーを知ってもらいたい、そのためには、
    黒いイメージよりも、まっ白なイメージのなかからヒトラーを
    見て頂きたいと思います。ヒトラーのキャラクターイラスト、
    卐マークのデザイン化などあらたな創意工夫を試みて
    みたのです。(P165)

どんなに説明しようとヒトラー礼賛ととられても言い逃れができない本書は、ユダヤ人人権団体などから「この本はヒトラーを正当化しすぎている」などの抗議を受けて、発刊2カ月で絶版が決まった。

高市氏はこの本に推薦文を寄せていたことが、インターネットメディア「インターナショナル・ビジネス・タイムズ」のイギリス版などで報道。高市氏は国会議員になった翌年に、この本について「候補者と認知された瞬間から始まる誹謗、中傷、脅迫。私も家族も苦しみ抜いた。著者の指導通り勝利への道は『強い意志』だ。国家と故郷への愛と夢を胸に、青年よ、挑戦しようよ!」と推薦文を書いていたという。

これについて高市氏の事務所は「推薦文については記憶がなく、コメントできない。本人も著者を知らない」とコメントしているという。

しかし、20年前に出版されたものとはいえ、多くの問題をはらんだ本書を推薦したことは現役閣僚として批判されることだろう。内容を吟味せずに推薦文を寄せていたのだとしても、政治家として脇が甘いと指摘されても仕方ない。安倍内閣には、今後も内外の厳しい視線が注がれる。
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●炭坑王一族の末裔による凄まじいまでの暴言・差別意識

2013年08月08日 00時00分50秒 | Weblog


CMLの記事(http://list.jca.apc.org/public/cml/2013-August/025626.html)。

 ナチスの「あの手口を学んではどうか」の麻生太郎氏。極めつけの暴言・差別意識について以下に再掲。

●『創 (12月号)』読了 (2/2)
   
   「雨宮処凛さん、「45年間にわたり一着45万円のスーツを年間10着仕立てる
    おしゃれな首相。・・・敷地だけで6200000000円。・・・『華麗なる一族』の
    東京宅を見に行きましょう」。で、ゆでダコ坊主主導によるコウボウ
     (「防」でなく「暴」)。」

●『追われゆく坑夫たち』読了(2/3)
   
   「『日刊ゲンダイ = 連日の高級ホテル通いが非難を浴び、
    「私は幸い、お金があります」と言い放った麻生首相。なるほど
    福岡の炭鉱王と呼ばれた一族で、公開された資産は歴代首相では
    ダントツだ。それにしたって財力を鼻にかけて自慢するなんて、一国の
    トップがやることか。成り金じゃあるまいし、本当の金持ちはもっと謙虚だし、
    人前では金のことを話さないのが大人のたしなみというものだ。昔、
    大コンツェルンの御曹司から自民党の代議士に担ぎ出され、財産すべてを
    政治につぎ込んで「井戸塀」と呼ばれても国家のために働いた藤山愛一郎
    という政治家がいた。麻生マンガ太郎首相は同じ御曹司でもこの人物とは
    品格が違う。「ボクは金持ちです。だから嫌われます」と吹聴する人物が
    最高指導者では国中のモラルが乱れるのも当然。』(赤太字はブログ主)
    (「井戸」か・・・。)
   「・・・北部を縦走して玄海灘にそそぐ遠賀川の流域一帯、七市四郡にわたる
    筑豊炭田は、ほぼ一世紀にちかい年月にわたって全国総出炭量の
    おおよそ半分におよぶ量の石炭を産出しつづけ、日本最大の火床として
    繁栄をほこってきた。・・・資本主義化と軍国主義化を推し進め
    ・・・三井・三菱・・・財閥がこの地底から富をすくいあげ・・・」(p.iii)。
    「・・・麻生・伊藤とともに「筑豊御三家」のひとつに数えられる貝島・・・」(p.2)。
   「・・・ヤマのつぶれるまで労働者を奴隷としてつないでおくための鎖が、
    ほかならぬ肩入れ金である・・・」(p.49)。」

●『差別と日本人』読了(3/4)
   
   「やはり〝メインイベント〟は麻生太郎のすさまじいまでの暴言・
    差別意識でしょう。「麻生氏は、植民地支配で財を築いた麻生財閥
    中でぬくぬく育って、首相にまで上り詰めた。/・・・麻生鉱業は、
    ・・・消耗品の労働力として、その命を紙くずのように扱った。一九四五年まで
    に麻生系の炭鉱に連行された朝鮮人は一万人を超える・・・。また、
    ・・・民を・・・奴隷のように酷使した」(pp.162-163)。
     「 私は麻生さんの顔を見ると背筋が寒くなるんです。/とくに彼の中に
    あるひどい差別意識には、ぞっとさせられる。/野中 ・・・ある新聞社の記者が
    僕に手紙をくれたんです。・・・〈麻生太郎が、・・・「野中やら・・・の人間だ。
    だからあんなのが総理になってどうするんだい。ワッハッハッハ」と笑っていた。
    これは聞き捨てならん話だ・・・〉/・・・を死ぬほどこき使って、金儲けしてきた
    人間だから。/・・・不幸な人だ。一国のトップに立つべき人じゃない
    /・・・/ 麻生さんは差別意識が体の中に染み込んでるんだと思う」
    (pp.163-165)。
     「彼には、吉田茂の孫であり、また麻生セメントに代表される麻生財閥の
    末裔ということ以外に、政治的資源は何もない。能力もない。
    だから出自で人を見下す」(p.166)。「「麻生太郎」とは、日本社会が
    生み出した差別の結晶であり、差別による旨みが骨の髄まで染み付いた
    人間の典型
なのだろう」(p。169)。」

●『野中広務 差別と権力』読了(2/3)
   
   「「永田町ほど差別意識の強い世界」(※2) はなく、「総裁選の最中に
    ある有力代議士は・・・「・・・総理になれるような種類の人間じゃないんだ」
     (p.385) と言ったそう。さらに、最近、ネット上で話題になっていた部分。
    当時、「総裁選に立候補した元経企庁長官」 (であり現総理) の
    「麻生太郎は・・・「あんな・・・を日本の総理にはできないわなあ」と言い放った」
    (p.385) そうである。2003年9月、野中は、最後の自民党総務会に臨み、
    当時の小泉総裁や麻生政調会長を前に発言を求めた。「・・・私の最後の発言と
    肝に銘じて申し上げます・・・政調会長。あなたは『野中のような・・・を総理には
    できないわなあ』とおっしゃった。君のような人間がわが党の政策をやり、
    これから大臣ポストについていく。こんなことで人権啓発なんてできよう
    はずがないんだ。私は絶対に許さん!」、野中の激しい言葉に総務会の空気は
    凍りついた。麻生は何も答えず、顔を真っ赤にしてうつむいたままだった
    (pp.391-392)。」

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http://list.jca.apc.org/public/cml/2013-August/025626.html

[CML 025706] 麻生はいかにしてセレブになったか
・・・・・・・・・
2013年 8月 2日 (金) 15:58:12 JST



 ・・・・・・です。

 麻生太郎財務大臣のナチス発言が大きな波紋を呼んでいます。

 これは失言や誤解ではありません

 日本には、ヒトラーやナチスを高く評価する人が大勢います。ヒトラーの著書
『我が闘争』を人生や経営の指南書として熱心に読む人がたくさんういます。

 麻生はヒトラーやナチスの「やり口」を高く評価していることは明らかです。
彼は歴史を学んでいない、学ぼうとはしない政治家です。

 これは今から十年前、の2005年10月、麻生太郎財務大臣が小泉純一郎内
閣の外務大臣に就任した時に、私が[aml]というメーリングリストに送った文章で
す。

 当時、多くの福岡県民が麻生の外相就任を祝いました。それで私も福岡県民の
一人として以下の文を書いて「祝い」ました

 元々は福岡の豪農地主に過ぎなかった麻生家が、どうやってセレブになったの
を書きました。

 彼の足下には、韓国・朝鮮人と被差別の人々の屍があります。


(ここから)

 昨日(10月31日)の内閣改造で、
麻生太郎氏(福岡8区)http://www.aso-taro.jp/index2.html
が、外務大臣に就任しました。ポスト小泉の一人として将来の首相候補になった
とマスコミから大きく取り上げれられています。

 福岡県内からは、将来の首相候補として、そして冷え切った日韓・日中関係の
改善に手腕を発揮すると期待の声が上がっています。

 福岡県内のテレビニュースの街頭インタビューでは、麻生外相就任を祝う声が
数多く聞かれました。もちろん、広田弘毅(1978年~1948年)以来の福
岡県出身の首相誕生を期待する声もです。

 (広田弘毅は外交官として活躍し、外相も務めました。そしてA級戦犯として東
京裁判にかけられ、処刑されました)

 福岡県民の一人として、私は外相就任おめでとうございますと言うべきでしょ
うが、そのかわり、次のことを言います

 麻生外相は、韓国・朝鮮人と被差別の人々の生き血をすすってのし上がっ
た一族の出身です、と。

 麻生外相は、政界に入る前は麻生セメント(現在は麻生ラファージュセメント)
の社長でした。この会社の前身は、かつて福岡県・筑豊地方に数多くあった炭鉱
を経営していた麻生鉱業です。この麻生鉱業(創立当初は麻生商店)は、福岡県
のみならず日本有数の石炭産業会社として「日本の近代化・産業化に貢献した」
と評されています。炭鉱経営で得た利益をもとに鉄道・電力・病院、そしてセメ
ント会社を設立し、財閥を形成しました。麻生外相は、その麻生グループの3代
目後継者です。麻生グループは今も福岡県有数の企業グループとして大きな力を
持っています。

 麻生一族は炭鉱経営で得た富と影響力で政界にも進出しました。

 麻生外相の父、麻生多賀吉(1891年~1980年)は吉田茂首相の3女・
和子と結婚し、衆議院選挙に立候補し当選しました。自民党の実力者として活躍
しました。麻生外相はその政治的地盤を引き継ぎました。

 麻生外相は吉田茂の孫です。高祖父は「明治維新の三傑」大久保利通、曾祖父
は昭和天皇の重臣だった牧野伸顕、義父は鈴木善幸首相です。妹・信子は三笠宮
寛仁親王妃です。まさに華麗なる一族です。

 さて、もともとは農村の豪農地主にすぎなかった麻生家が、日本有数の名家
(今流行りの言葉で言えばセレブ)になったのは、炭鉱経営で得た富でした。そ
の富は、韓国・朝鮮人労働者と、被差別の人々を搾取することで得たもの
した。

 私の手元には、消滅した筑豊の炭鉱の全貌をモノクロ写真で記録した写真集
写真万葉録筑豊』(全10巻 上野英信・趙根在監修 葦書房 1986年
  http://www1.ocn.ne.jp/~ashi/
があります。経営する側ではなく、そこで働く労働者と地域の人々の視点で炭鉱
を捉えた記念碑的写真集です。その写真集の第9巻「アリラン峠」は、韓国・朝
鮮人炭鉱労働者とその家族の姿が納められています。

 この本の53,54ページにハングルで書かれたビラの写真があります。私は
ハングルが読めないので内容が分かりません。しかし、ガリ版刷りで印刷された
ビラの文字から、ただならぬ緊張感が感じられます。「労働者諸君!」・「内地
労働者」・「東京労働総同盟」・「世界労働者」と書かれた漢字から、労働争議
に関する呼びかけであることが推測されます。「麻生」の文字もあります。

 ビラの最後には漢字で一回り大きく書いてあります。

 「打倒暴力搾取之巨魁麻生財閥 民族的差別待遇絶対反対」

 これは、1932年8月14日から9月3日の約1ヶ月間に渡って、韓国・朝
鮮人労働者が戦った麻生炭鉱争議のビラです。日本人労働者よりも2割安い賃金
(この時期は輸入石炭との価格競争を理由に3割値下げ)、首切り、長時間労働、
リンチ、侮辱、厳しい監視に対しての怒りが爆発したものでした。

 麻生鉱業は日韓併合以前から、いち早く韓国・朝鮮人労働者を雇用していまし
た。その待遇は上記の通りでした。当時、日本の炭鉱の韓国・朝鮮人労働者に対
する労働条件はどこも劣悪でしたけれども、麻生鉱業が経営する炭鉱は、ひとき
わ悪いものでした。「圧制ヤマ」としてその名をとどろかせていました。

 立ち上がった韓国・朝鮮人労働者に対して、麻生鉱業は警察とヤクザを使って
潰しにかかりました。多くの血が流されました。その韓国・朝鮮人労働者ととも
に立ち上がって戦ったのが、被差別出身の日本人労働者でした。

 豪農地主として、多くの被差別の小作人を支配下においていた麻生家は、
被差別の人々を、経営する炭鉱に送り込みました。また、九州各地や中国・
四国地方から生活の場を求めて流入してきた被差別出身の人々を、積極的に
雇用しました。差別を恐れて声を上げないことにつけ込み、低賃金と劣悪な労働
条件のもとで酷使したのです。人々は「ゲザイニン」と軽蔑され、職種・住居
(炭住)・風呂に至るまで差別されました。しかし、米不足から起こった191
8年の「米騒動」を機に、被差別の人々は立ち上がるようになり、1922
年の全国を結成しました。翌1923年に、九州が結成され、差別
撤廃闘争を展開しました。被差別の人々の多くが炭鉱労働者とその家族であ
った筑豊においては、差別撤廃闘争は労働運動を意味しました。そして、麻生争
議では、同じように差別に苦しんでいた朝鮮人労働者と連帯して、戦いました。
被差別の人々はカンパを集め、米を朝鮮人労働者に送りました。(『日本民
衆の歴史 地域編9 赤いボタ山の火 筑豊三池の人びと』66ページ 新藤東
洋男編 三省堂 1985年)。韓国・朝鮮人と日本人の民衆が連帯した数少な
い例です。

 この麻生鉱業争議は、スト参加者263人が解雇されたことで労働者側の敗北
に終わりました。

 その後、韓国・朝鮮人の労働運動は厳しい取り締まりで壊滅に追い込まれ、日
本への絶対的服従を強制される協和会運動に飲み込まれました。

 運動も、同じように軍国主義体制の強化で、沈黙と政府と政府への協力
を余儀なくされました。

 その後麻生鉱業は、賃金や労働条件の改善をあまりしないまま、韓国・朝鮮人
と被差別部出身者を炭鉱に送り続けました。火災や落盤、出水、ガス爆発などの
事故で、多くの人びとが犠牲になりました。それは日中戦争激化と太平洋戦争開
始でさらにひどくなりました。物資不足と人員不足で安全対策がおろそかになっ
たこと、安全を無視した採炭が原因でした。そして、いわば移住で渡ってきた人
びととは別に、強制的に連れられてきた韓国・朝鮮人や中国人も、麻生が経営す
る炭鉱に送り込まれました。その人びとが、どのような運命をたどったのかは多
くの書物に述べられています。また、本土へ疎開した沖縄県出身者も炭鉱に入り
ました。

 太平洋戦争敗北後、労働運動が自由になったことで、炭鉱労働者は激しい労働
運動を行い、めざましい成果を上げました。韓国・朝鮮人労働者も祖国分断の苦
難にあいながらも、活発な運動を展開しました。被差別解放運動も活発に行
われました。

 しかし、1950年代半ばから始まった石炭から石油への「エネルギー革命」
によって、石炭産業は崩壊しました。生活の基盤であった炭鉱は次々に閉山した
ました。廃墟が広がり、多くの人びとが筑豊から去りました。その多くが高度経
済成長に沸く太平洋ベルト地帯に移りましたけれども、中には農業移民としてブ
ラジルやアルゼンチンなどの南米に移住した人もいました。また、北朝鮮に「帰
国」した韓国・朝鮮人労働者とその家族もかなりいました。

 筑豊に残った人びとは、その多くが失業に苦しみ、生活保護と失業対策事業、
日雇いの仕事でかろうじて生活しました。

 一方、麻生家は2代目総帥麻生多賀吉が、吉田茂首相の娘婿になったことで政
界に進出し、「華麗なる一族」への道を進みました。グループの主力事業を石炭
からセメントに転換したことで、生き残ることができました。

 麻生太郎氏外相就任おめでとう、次は首相か、という声があふれています。

 しかし私は、政界で華麗な活躍をしている麻生氏の足下には、踏みつけにされ
た韓国・朝鮮人と被差別の人びとの屍があることを指摘します。そして彼は
踏みつけにされた人びとの叫びが、全く聞こえていないことが、「創氏改名」や
「一民族」発言で明らかです。

 ですから私は祝いません

(ここまで)

・・・

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「郵政民営化は構造改革の本丸」(小泉純一郎前首相)
その現実がここに書かれています・
『伝送便』
http://densobin.ubin-net.jp/
私も編集委員をしています(^^;)
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