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●軍事費倍増5兆円のために何を削るつもりか? 《赤字国債の乱発、社会保障のさらなる削減、消費税の大増税…》…市民生活は劣化の一途

2022年07月02日 00時00分33秒 | Weblog

[※ 「日本だけ賃下げ」(週刊金曜日 1353号、2022年01月21日) ↑]


(2022年06月12日[日])
東京新聞の記事【歯止め外して軍事国家に 小池晃・共産党書記局長】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/181751)。

 《<安保戦略見直し~私はこう考える> 私たちは防衛費を軍事費と呼ぶが、自民党は軍事費の国内総生産(GDP)比2%以上への増額を目指している。現在の2倍の11兆円を超える規模となる防衛省の予算額が事実上、中央省庁で2番目なんて軍事国家そのもの戦力不保持を明記する憲法9条とは全く相いれない》。

 《火事場ドロボー》どもの叫ぶ軍事費倍増、正気とは思えない。そんなに軍事国家になりたいものかね、自公お維コミ支持者の皆さんは? 人の親として、子や孫を戦場に送り、人殺しに行かせたいものかね? どんな神経をしてるんだろう?

   『●「君はドアホノミクスを信奉するのか」、キシダメ君? 軍事費倍増
     =《赤字国債の乱発、社会保障のさらなる削減、消費税の大増税…》

 軍事費倍増約5兆円の血税、そのために何が削られるのか? 斎藤貴男さんは、火事場ドロボー1号どもが《台湾危機をあおりまくる岸田政権は軍拡と日米同盟の深化に躍起である。自民党が求める軍事費の倍増には莫大な財源が必要で、まず赤字国債の乱発、社会保障のさらなる削減、消費税のより一層の大増税──と相成るシナリオの存在が確実だ。…甘言に乗った自称投資家たちの中には、株価の起爆剤としての戦争に期待する人も現れてくるのだろう。それもまた政権の狙いだろうが、まあ、やめておいたほうがいい。まともな人間にとって、戦争とは破滅以外の何物でもないから。》…と。
 そして、小池晃さんも、《安倍晋三元首相は、国債発行と言っている。戦前の日本は戦時国債で歯止めなき軍拡に突き進んだこの教訓を踏まえ、財政法は建設国債を除く国債発行を原則禁止しているその歯止めを完全に外し、軍事費を捻出するために国債を発行するのは、戦前への先祖返りにほかならない》と。さらに、《この間の自民党や政府の安全保障に関する議論は軍事一色で、外交が欠落している。政治が果たすべき最大の責任は、戦争を未然に防ぐ徹底した外交努力》。

 琉球新報の【<社説>「骨太方針」決定 防衛費増ありきは問題だ】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1530428.html)によると、《岸田政権で初の経済財政運営の指針「骨太方針」が閣議決定された。だが、岸田文雄首相が目指す国家像とリーダーシップが見えない。財源健全化が後退し、歳出増を伴う施策が並ぶ特に防衛費は保守派の「圧力」で大幅増額を見込む内容に修正された。必要額を積み上げた結果ではなく最初から防衛費増額ありきは受け入れられない軍事費を特別扱いした戦時中を想起させ、看過できない事態だ。「骨太」の焦点だった財政健全化では安倍晋三元首相率いる自民党の積極財政派に配慮した。国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目指す時期を削除してしまった。さらに「政策の選択肢を狭めることがあってはならない」との文言を加えることで、歳出拡大の余地を残した》。


   『●目取真俊さん《中台危機を煽って東アジアに軍事的緊張を生み出し、
     日本や韓国に米国製の軍事兵器を大量に売り込もうという意図》がミエミエ

 《日本は…過去に犯した戦争をほとんど検証していない》。
 琉球新報のコラム【<金口木舌>自国の戦争を検証すること】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1529984.html)によると、《▼一方、日本はイラク戦争だけでなく、過去に犯した戦争をほとんど検証していない誤った国策の果てに多くの県民が犠牲になった沖縄戦から77年。同盟国の米国と南西諸島の軍事力強化を進める状況に沖縄では再び戦争への懸念が強まる ▼日本は無条件に米国に追従してはいまいか。今、必要なの地域の緊張を高めることではなく過去の過ちを検証し教訓とすることだ》。
 東京新聞の【<社説>防衛費2%方針 「倍増ありき」の危うさ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/182243?rct=editorial)によると、《政府が経済財政運営の指針「骨太の方針」を閣議決定し、防衛力を五年以内に抜本的に強化する方針を明記した。防衛費を国内総生産(GDP)比2%程度に増額することを念頭に置いたもので、現在の1%から「倍増ありき」の方針は、防衛力整備の歯止めを失う危うさをはらんでいる。骨太の方針は防衛力強化の理由に、ロシアのウクライナ侵攻やインド太平洋地域での力による一方的な現状変更で安全保障環境が厳しさを増していることを挙げ、北大西洋条約機構(NATO)加盟国が国防費の目標としているGDP比2%以上を例示した。二〇二二年度の防衛費は約五兆四千億円でGDP比は1%弱。これを2%に増やすと年五兆円以上が新たに必要になる》、

   『●多分、アベ様は沖縄で三度敗れる……
                踏みにじられる沖縄の民意
    《全てを失った沖縄戦から70年のできごと。伊江島で土地を
     守るために戦った阿波根昌鴻さんから、米軍の統治の横暴さに
     抵抗して投獄された瀬長亀次郎さんから、脈々とこの島で
     生きるものたちが受け継いできたもの

   『●「不屈」…「瀬長の口、耳、目を封じることはできても、
        八十万県民の五官の機能をとめることは不可能だ」
   『●ガジュマル:瀬長亀次郎さん「不屈」の精神…
     「忖度政治を危ぶむ全国の多くの人々の心に響くに違いない」
    《先月公開された映画「米軍が最も恐れた男~その名は、カメジロー
     が反響を呼んでいる。米統治下の沖縄で圧政に抗議する姿勢を
     貫いた政治家・瀬長亀次郎にスポットを当てたドキュメンタリーだ》

   『●「軸がブレず、人心をワシ掴みに」するような
       「瀬長亀次郎みたいな政治家が今の国会にいたら」…
    《沖縄の英雄を映画に 佐古忠彦氏「本土の人も見てほしい」
     ――亀次郎の日記には「祖国復帰」という単語がたくさん出てきます
       占領下の27年間、亀次郎がどんな思いで復帰を望んでいたかを
     ヒシヒシと感じました。最近、沖縄独立論を時に耳にします。あれだけ
     祖国復帰を求め続けた沖縄県民が、ようやく帰った先はどうだったのか
     1995年に米兵による少女暴行事件が起き、沖縄県民の間に
     くすぶっていた感情が爆発しました。その後、今に至るまで、民主党政権が
     誕生するなどの変化はあったものの、基本的な構造は何も変わらず、
     沖縄の人は不条理を感じ続けています

   『●「デマ」「ヘイト」の害悪と選挙…名護市長選や
      新潟県知事選の教訓を、沖縄県知事選の次にもつなげたい
    「琉球新報のコラム【<金口木舌>瀬長亀次郎とデマ】」

   『●沖縄では、《「飴と鞭」で手なずけられる
     と高をくくったようなその態度こそ県民の気持ちを遠ざけた》
    《踏みつければ踏みつける程に強くなっていく民草
     「弾圧は抵抗を呼ぶ。抵抗は友を呼ぶ」といった瀬長亀次郎さんの
     言葉通り、沖縄を丸ごと屈服させることが可能であるかのような
     幻想を持っている政治家は、いつか必ず自分の見識の浅さを恥じる
     日が来るだろう

   『●(琉球新報社説)《「ウチナーンチュ(沖縄人)だって人間
     じゃないのか」。コザ騒動の現場で人々が叫んだ言葉は今も変わらない》
    《騒動から4日後、衆院議員の瀬長亀次郎氏は国会で質問に立った。
     現場で拾った焼けただれた車両のバンパーを手に
     「アメリカに対する県民の決起、これはほんとに怒りが爆発した
     ものである。この怒りの強さは鉄をも溶かす強さだ」と訴えている》

 沖縄タイムスのコラム【[大弦小弦]沖縄戦から続く理不尽語る朗読劇】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/972829)によると、《「沖縄で起こっている理不尽を伝えていく」。東京を中心に活躍する俳優の津嘉山正種さんは、朗読劇を続ける意義を語る ▼4日も埼玉県川越市で、ひとり語り「沖縄の魂 瀬長亀次郎物語」を上演した。瀬長さんから、演説に聞き入る聴衆や高等弁務官まで、いくつもの役をこなす演技に観客が引き込まれていくのが分かった ▼瀬長さんの「正義と道理がある限り、どんな攻撃にも負けない」との訴えに数万人の聴衆が沸く。圧倒的な権力のなりふり構わぬ理不尽...》。

   『●ニッポン〝復帰〟50年…《沖縄の自然が破壊され、民意が踏みにじら
     られて軍事基地ができていく現実》、辺野古は単なる破壊「損」な現実
   『●番犬様のものじゃない…《基地負担の軽減は遠く、米軍は今も島全体を
      自由使用する。よもや「返したけれど俺のもの」と思ってはいまいか》
   『●《元山仁士郎さん…「半世紀たっても、米軍基地の押しつけは変わって
      いない」…言葉には、沖縄にずっとのしかかる負担の重さがにじむ》
   『●(沖縄タイムス)《軍事的な必要性が全てにおいて優先…沖縄は憲法が
        適用されない「軍事植民地」だった》…50年経っても変わらない
   『●《迷惑施設が自分の家の近くに来るのは嫌だという日本本土のNIMBY
       (Not In My Back Yard = ニンビー) …沖縄には基地を押し付け》
   『●《田島征彦さん…「平和憲法を持っている日本は、どんな理由が
     あっても戦争だけはやってはいけない。そのためにも平和憲法が必要」》
   『●目取真俊さん《中台危機を煽って東アジアに軍事的緊張を生み出し、日本
      や韓国に米国製の軍事兵器を大量に売り込もうという意図》がミエミエ
   『●半田滋さん《南西諸島の戦場化…住民が巻き込まれるリスクは避けられ
       ません…これを避けるには「戦争をしない」という選択しか》ない

 半田滋さんの結論。《主戦場に想定したのは沖縄です。…南西諸島の戦場化によって、住民が巻き込まれるリスクは避けられません。…県民の4人に1人が亡くなった沖縄戦の悲劇の再来が懸念されますこれを避けるには「戦争をしない」という選択しかありません》。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/181751

歯止め外して軍事国家に 小池晃・共産党書記局長
2022年6月6日 06時00分

安保戦略見直し~私はこう考える

 私たちは防衛費を軍事費と呼ぶが、自民党は軍事費の国内総生産(GDP)比2%以上への増額を目指している。現在の2倍の11兆円を超える規模となる防衛省の予算額が事実上、中央省庁で2番目なんて軍事国家そのものだ戦力不保持を明記する憲法9条とは全く相いれない

     (共産党の小池晃書記局長=東京・永田町の参院議員会館で)

 岸田文雄首相は先日の日米首脳会談で、軍事費の「相当な増額」を公約した。首相は財源を示さないが、選択肢は「相当な増税」か、社会保障や教育予算などの削減か、借金である国債発行かだ。軍事費を5兆円増やすためには、消費税なら2~3%の増税が必要だ。5兆円あれば教育無償化だって実現できる暮らしを押しつぶす医療費や年金のカットももっての外だ

 安倍晋三元首相は、国債発行と言っている。戦前の日本は戦時国債で歯止めなき軍拡に突き進んだこの教訓を踏まえ、財政法は建設国債を除く国債発行を原則禁止しているその歯止めを完全に外し、軍事費を捻出するために国債を発行するのは、戦前への先祖返りにほかならない

 今回、自民党は「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」と名称を変えることも提言した。安保法制平和安全法制と言い換えたり、名称変更でごまかすやり方は安倍政権以来の伝統的手法だ。攻撃されていない段階で「反撃」するというのは誤った言葉遣いだし、決して許されない

 さらにこれまで「敵基地」に限定していた攻撃対象を「指揮統制機能等」に拡大すると主張している。日本で例えれば首相官邸や東京・市谷の防衛省だ。相手国の中枢まで攻撃すれば同じように報復を受け、日本中が戦場になりかねない。あまりに危険だ。

 この間の自民党や政府の安全保障に関する議論は軍事一色で、外交が欠落している。政治が果たすべき最大の責任は、戦争を未然に防ぐ徹底した外交努力。(聞き手・山口哲人


 こいけ・あきら 参院比例区。現在、参院議員4期目。2016年から共産党書記局長。政界入り前は都内の病院などで10年間医師として地域医療に携わる。東京都出身。東北大医学部卒。61歳。

 ◇  ◇

 政府が「国家安全保障戦略」などの年末改定に向けて検討を進める中、さまざまな考えを持つ国会議員や有識者らに聞いています。


【関連記事】防衛費倍増に必要な「5兆円」教育や医療に向ければ何ができる? 自民提言受け考えた
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https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1529984.html

<金口木舌>自国の戦争を検証すること
2022年6月8日 05:00
金口木舌 イラク戦争 沖縄戦

 6年前、イギリスである報告書が発表された。独立調査委員会がイラク戦争に参戦した同国の方針を検証し、「軍事行動は最後の手段ではなかった」と結論づけた

▼注目されたのが、当時のブレア首相とブッシュ大統領の間で交わされた開戦前の書簡。開戦の前年、首相は「どんなことがあろうとも、私はあなた(ブッシュ大統領)と共にある」と送っていたことが明るみになった

▼英米関係は「特別な関係」とされる。報告書は「英国が米国を無条件に支えることが前提だと思い込んでいた」と指摘。その上で「国益や判断が異なるところで無条件の支持は必要ないと結論づけた

▼一方、日本はイラク戦争だけでなく、過去に犯した戦争をほとんど検証していない誤った国策の果てに多くの県民が犠牲になった沖縄戦から77年。同盟国の米国と南西諸島の軍事力強化を進める状況に沖縄では再び戦争への懸念が強まる

日本は無条件に米国に追従してはいまいか。今、必要なのは地域の緊張を高めることではなく、過去の過ちを検証し教訓とすることだ
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●「軸がブレず、人心をワシ掴みに」するような「瀬長亀次郎みたいな政治家が今の国会にいたら」…

2017年11月22日 00時00分49秒 | Weblog


日刊ゲンダイのインタビュー記事【注目の人 直撃インタビュー/沖縄の英雄を映画に 佐古忠彦氏「本土の人も見てほしい」】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/213100)。

 《先月公開された映画「米軍が最も恐れた男~その名は、カメジロー」が反響を呼んでいる。米統治下の沖縄で圧政に抗議する姿勢を貫いた政治家・瀬長亀次郎にスポットを当てたドキュメンタリーだ》。

 ガジュマルと瀬長亀次郎さん「不屈」の精神。《瀬長亀次郎みたいな政治家が今の国会》にいるか? 《亀次郎のように軸がブレず、人心をワシ掴みにして、「よくぞ国民の気持ちを代弁してくれたと拍手喝采されるような政治家が見当たりません。亀次郎みたいなブレない政治家はこの国でも求められているのかもしれません》。
 木下昌明さんの『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』についての映画評の結び、《映画は、瀬長の「不屈」の精神が、今でもガジュマルのように根をはっていることを教えてくれる》。《生物多様性の生きた教科書》な沖縄の「森」や「海」を何の躊躇もなく殺し、さらには、沖縄に番犬様を押し付け、基地の恒久化を「謀る」。「統合エアシーバトル構想」のために戦争の「防波堤」を押し付ける…《沖縄を取り巻く状況は何ひとつ変わっていない》ことを、「本土」は知らないし、知ろうともしない、知っても無視。瀬長亀次郎さん…「本土」の人こそ、知るべき人物。

   『●多分、アベ様は沖縄で三度敗れる・・・・・・
                踏みにじられる沖縄の民意
    《全てを失った沖縄戦から70年のできごと。伊江島で土地を
     守るために戦った阿波根昌鴻さんから、米軍の統治の横暴さに
     抵抗して投獄された瀬長亀次郎さんから、脈々とこの島で
     生きるものたちが受け継いできたもの

   『●「不屈」…「瀬長の口、耳、目を封じることはできても、
        八十万県民の五官の機能をとめることは不可能だ」
   『●ガジュマル:瀬長亀次郎さん「不屈」の精神…
     「忖度政治を危ぶむ全国の多くの人々の心に響くに違いない」

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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/213100

注目の人 直撃インタビュー
沖縄の英雄を映画に 佐古忠彦氏「本土の人も見てほしい」
2017年9月11日

     (8月に公開された映画「米軍が最も恐れた男
      ~その名は、カメジロー」が反響を呼んでいる(C)日刊ゲンダイ)

 先月公開された映画「米軍が最も恐れた男~その名は、カメジロー」が反響を呼んでいる。米統治下の沖縄で圧政に抗議する姿勢を貫いた政治家・瀬長亀次郎にスポットを当てたドキュメンタリーだ。8月12日に沖縄で先行上映されると、公開初日は100メートル以上続く行列ができ、定員300席が満席になった。監督は「筑紫哲也NEWS23」でキャスターを務め、沖縄の基地問題の取材を20年以上続けてきた佐古忠彦氏だ。


  ――どうして“カメジロー”を取り上げようと思ったのですか?
 瀬長亀次郎は今も紛れもなく沖縄のヒーローなんです。戦後、沖縄人民党の結成に参加した彼は、琉球政府創立式典でひとりだけ宣誓と脱帽を拒み、米軍に目をつけられ、1954年10月に投獄されます。刑期を終えると、56年12月に那覇市長に当選しますが、再び米軍によって強引に失職させられてしまう。しかし、彼は不屈の精神を忘れなかった。米軍統治下の圧政に対し、闘い続けました。

  ――不屈の人ですね。
 戦後初の沖縄選出の衆院議員として当時の佐藤栄作首相に堂々と国会論戦を挑みました。演説がバツグンにうまく、ユーモアと方言を交えた米軍糾弾に沖縄県民は拍手喝采しました。演説会があると、家族総出で「今日は亀次郎があるよ」と、イベントみたいな感じで喜んで出かけたというから相当なものですね。稲嶺恵一元沖縄県知事も「高校生のころの憧れの人」とファンであることを公言しています。

  ――昨年8月、TBSで亀次郎に関するドキュメンタリー番組を放送した時に、ものすごい反響があったことが映画化のきっかけだと聞きました。
 深夜の49分間の番組だったのですが、数えきれないほどのメールと手紙で励ましや感想をいただきました。

  ――今度は映画が沖縄でも反響を呼んでいます。
 3年前の沖縄県知事選(2014年11月)で保革の構図が崩れてからの沖縄を取り巻く「空気」が、亀次郎が活躍した60年前と似ているのかもしれません。

  ――具体的にどんなところでしょう。
 前知事の仲井真弘多さんが辺野古移設に向けた埋め立てを承認したことによる市民の怒りが、翁長知事の誕生につながったわけです。この時、私は沖縄で取材をしていました。亀次郎が言っていたことのひとつに「小異を捨てずに大同につく」というものがあります。それぞれ異なる考えは持ちつつも、ここぞというときにはひとつになりましょうという意味です。もちろん、「瀬長亀次郎=翁長知事」ではありませんが、“オール沖縄”や現代の県民大会の原点が亀次郎の時代にあり、そのころの空気は、今にそのまま受け継がれているんじゃないでしょうか。


瀬長亀次郎みたいな政治家が今の国会にいたら

  ――亀次郎みたいな政治家が今いれば、国会ももっと面白くなるでしょうね。
 亀次郎は権力に堂々とモノを言い、立ち向かいました。佐藤首相との国会論戦でもひるむことなく対峙し、さまざまな答弁を引き出しました。時の総理を同じ土俵に引っ張り出し、時にタジタジにさせる様子を見て、沖縄の人には胸にストンと落ちるものがあったのだと思います。最近の国会を見ていると、亀次郎のように軸がブレず、人心をワシ掴みにして、「よくぞ国民の気持ちを代弁してくれたと拍手喝采されるような政治家が見当たりません。亀次郎みたいなブレない政治家はこの国でも求められているのかもしれません。

  ――亀次郎を通して沖縄の戦後史を描けば、なぜ、沖縄の人が基地問題に声を上げ続けているのか、本土の人にも分かってもらえるかもしれないと考えたそうですね。
 報道番組に20年以上携わってきて、基地問題の理解について、沖縄と本土で大きな隔たりがあることをもどかしく感じてきました。沖縄でなぜ辺野古移設に反対の声が上がるのかがよく分からないまま、反対運動を批判する人も見受けられます。辺野古をめぐる国との裁判で、翁長知事を裁判所へ送り出すとき、熱い“翁長コール”が起きるのを不思議に見ている人もたくさんいるのではないでしょうか。こうした基地問題の全体像を広く多くの人に伝えるには、映画という手法がいいのではと思い、会社(TBSテレビ)に企画書を提出しました。

  ――映画化にあたってどんな取材をしましたか。
 映画初監督といっても、基本的に自分と沖縄在住の音声マンとカメラマンの3人での追加取材と撮影が中心。週末を使って沖縄と東京の行き来を繰り返しました。

  ――新事実はありましたか?
 公文書館にある米軍の秘密資料を読み直したり、亀次郎の次女で民衆資料館「不屈館」館長の内村千尋さんにインタビューしたり、亀次郎が獄中でつけたノート200冊に及ぶ日記の読み直しが中心でした。改めて実感したのは、沖縄を取り巻く状況は何ひとつ変わっていないということです。

  ――亀次郎の日記には「祖国復帰」という単語がたくさん出てきます。
 占領下の27年間、亀次郎がどんな思いで復帰を望んでいたかをヒシヒシと感じました。最近、沖縄独立論を時に耳にします。あれだけ祖国復帰を求め続けた沖縄県民が、ようやく帰った先はどうだったのか。1995年に米兵による少女暴行事件が起き、沖縄県民の間にくすぶっていた感情が爆発しました。その後、今に至るまで、民主党政権が誕生するなどの変化はあったものの、基本的な構造は何も変わらず、沖縄の人は不条理を感じ続けています

  ――それが沖縄での映画のヒット要因ですか。
 先行公開された沖縄では「亀次郎さんを取り上げてくれてありがとう」「亀次郎さんに会いに来た感じがした」とお礼をいただきました。亀次郎は今も沖縄で愛され続けているし、映画のテーマは昔話のようでいて、今日性があると思います。


■「最低でも県外」の鳩山元首相を評価

  ――普天間基地の県外移設を唱えて失脚した鳩山由紀夫元首相に対する評価も本土と沖縄ではまるっきり違うそうですね。
 「最低でも県外」と言ったことでメチャクチャな言われ方をして首相を辞任した鳩山さんですが、沖縄では評価する声が今もあります。県外移設を果たせなかったことを残念がる人がいる一方、「あそこでああ言ってくれなかったら、今ごろもう辺野古に基地ができていただろう」と言う人もいます。基地問題を本土の問題として引き上げ、一石を投じてくれたということなんだと思います。

  ――映画は東京・渋谷で上映され、大阪、横浜、仙台、福岡など全国で順次公開されます。
 米国の本土での占領体制が終わると、朝鮮戦争の後方部隊として岐阜と山梨に置かれていた海兵隊の基地は、占領下に置かれていた沖縄に移りました。それは本土で激しい反対運動が起きたためです。結果的に沖縄に負担を強いる措置だったことを忘れないでほしいですね。ぜひ本土の人にも見てほしい

  ――基地問題は沖縄の問題だけではないと。
 当然だと思います。羽田空港を離着陸する民間航空機が、横田基地の米軍の空域を避けて迂回するために、どれだけ高額な燃料代がかかったり、飛行ルートの制限を受けていることか。亡くなった筑紫哲也さんはよく「日本は独立国なのに、なぜ、他国の軍隊がいまだに駐留しているのか」と言っていました。だったら米軍を日本から撤退させればいいのかという安全保障の問題になるわけですが、それがゴチャ混ぜになって主権を回復していったのが1950年代の日本。そこに踏み込み過ぎると隘路に入って極めて難しい議論になってしまうのですが、本土の人も沖縄の基地問題を身近な問題として捉えてほしいですね。

(聞き手=本紙・岩瀬耕太郎)


▽さこ・ただひこ 1964年生まれ。96~2006年、「筑紫哲也NEWS23」サブキャスター。「Nスタ」「報道LIVEあさチャン!サタデー」などに出演。映画はユーロスペース(渋谷)で上映中。9月16日から第七藝術劇場(大阪)、元町映画館(神戸)で順次公開。
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●ガジュマル:瀬長亀次郎さん「不屈」の精神…「忖度政治を危ぶむ全国の多くの人々の心に響くに違いない」

2017年09月08日 00時00分15秒 | Weblog


レイバーネットのコラム【〔週刊 本の発見〕 『ペンとカメラ――時代と生きる』】(http://www.labornetjp.org/news/2017/0720hon)と、
【<木下昌明の映画の部屋>●佐古忠彦監督『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』 瀬長亀次郎にみる沖縄の戦後史】(http://www.labornetjp.org/news/2017/0822eiga)。
琉球新報のコラム【<金口木舌>全国に響くカメジローの生きざま】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-565720.html)。

 《本書は木下昌明の7冊目の批評集…文字通り、身を挺して書く。その仕事のとりあえずの集大成が、本書である。これを読まずに、3・11以後の今を語ることはできない》。
 《以前に「筑紫哲也NEWS23」のキャスターを務めた佐古忠彦が監督し、TBSテレビが制作…瀬長は戦後一貫して米国の沖縄支配とたたかった人物》。
 《映画はガジュマルの映像から始まった。その木のように倒れない男の話だ。彼は、選挙で倒した“敵”を「ガジュマルの木陰で休ませ、同じガジュマルになれと説得し、民主主義を嵐から守る態勢を取ろう」と呼び掛けた…瀬長亀次郎…▼瀬長氏にとってガジュマルは民主主義のとりでであり、分断を克服する場でもあった。「敵/味方」「右/左」「沖縄/本土」などの分断や溝に「不屈」の精神で挑んだ生きざまは、“忖度政治”を危ぶむ全国の多くの人々の心に響くに違いない》。


   『●多分、アベ様は沖縄で三度敗れる・・・・・・
                踏みにじられる沖縄の民意
    《全てを失った沖縄戦から70年のできごと。伊江島で土地を
     守るために戦った阿波根昌鴻さんから、米軍の統治の横暴さに
     抵抗して投獄された瀬長亀次郎さんから、脈々とこの島で
     生きるものたちが受け継いできたもの

   『●「不屈」…「瀬長の口、耳、目を封じることはできても、
        八十万県民の五官の機能をとめることは不可能だ」

 琉球新報の記事【「カメジロー」盛況 東京上映、初日立ち見も】(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-563683.html)によると、《米統治下の圧政に不屈の精神で抗議する姿勢を貫いた瀬長亀次郎さんのドキュメンタリー「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー」(佐古忠彦監督)…佐古監督は「瀬長さんの生きざまを通して沖縄の戦後史を知っていただくだけでなく、今の日本の在り方と照らしていろんなことに気付いてほしい」…。舞台には瀬長さんの次女・内村千尋さんも登壇し「右の人、左の人関係なく、父の生きざまに感銘を受けたとおっしゃってくれる人が多いが、父が亡くなってから調べるうちにすごさが分かった。父が頑張れたのは祖母から受けた愛情の影響が大きい」と話した。名護市辺野古の新基地建設などについて触れ「沖縄は今、大変なことが起きている。学習会や討論会を開いて沖縄のことを知ってほしい」と求めた》。

 木下昌明さんの批評集について、《著者にとって、映画は絵空事ではない。なぐさみの対象でもない。映画館は、彼にとって、生き方を示唆してくれる場所なのだ》。木下昌明さん、《いまがふんばりどきなのだ》。その木下昌明さんの『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』についての映画評の結び、《映画は、瀬長の「不屈」の精神が、今でもガジュマルのように根をはっていることを教えてくれる》。

   『●「自由新聞(フライエ プレッセ)!」と「下足番」新聞:
                  主犯の「A」(A夫妻)が抜けている
    「レイバーネットの映画コラム【<木下昌明の映画の部屋>
     戦争の裏側を描く2本の映画~『空と風と星の詩人~尹東柱の生涯』
     『ヒトラーへの285枚の葉書』】…《夫妻に一人息子の戦死の報が
     届くところから始まる。二人はそっけない軍事郵便に騙された
     と絶望するものの後の祭り…。ヒトラー政権が台頭するとき、
     市民がみな反対していれば、誰もが一人一人捕らえられて
     死んでいくことはなかった。…ドイツの独狼さん…
     「黙るのは罪、行動するのは義務」…。いまがふんばりどきなのだ》」


 瀬長亀次郎さんから《受け継いできたもの》は《不屈》《一人のヒーローではなく人々の結集》。森を殺すこと、海を殺すこと、番犬様の基地の押し付け、《大規模な自衛隊とミサイル基地の配備》、《統合エアシーバトル構想》…人々は分断されることなく、《不屈》に《結集》するしかない、ガジュマルの様に。《沖縄に自生するガジュマルは何本もの細い幹を束ねたようにして一本の大木となっている。これを「どんな嵐にも倒れない、沖縄そのもの」…映画は、瀬長の「不屈」の精神が、今でもガジュマルのように根をはっていることを教えてくれる》。
 「本土」は見て見ぬ振りすることなく、この腐敗したアベ様政権を一日も早く倒さなければ、ニッポンは御終い。《瀬長氏にとってガジュマルは民主主義のとりでであり、分断を克服する場でもあった。「敵/味方」「右/左」「沖縄/本土」などの分断や溝に「不屈」の精神で挑んだ生きざまは、“忖度(そんたく)政治”を危ぶむ全国の多くの人々の心に響くに違いない》。

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http://www.labornetjp.org/news/2017/0720hon

〔週刊 本の発見〕 『ペンとカメラ――時代と生きる』
第1~第4木曜掲載・第14回(2017/7/20)

第14回 身を挺して書く
●『ペンとカメラ――時代と生きる』(木下昌明 績文堂 2017年6月刊 1800円)/評者=志真秀弘

 わたしは、信州の山家育ちだが、行きつけだった床屋のおじさんが、西部劇の話をしてくれたのを覚えている。ストーリーは忘れたが、ジョン・ウエイン、バート・ランカスター、アラン・ラッド、ゲーリー・クーパー、ヘンリー・フォンダなどなどの名演ぶりを想像した。田舎だったから映画館に気安くいくことはできない。そんな子供の私に、おじさんの話はわくわくする体験だった。

 本書は、そんな映画体験を文章によって味あわせてくれる。

 たとえば、「ジンネマン映画の魅力」を読もう。1934年、ナチス支配下のベルリンで反ファシズムと闘う幼なじみのユダヤ人富豪の娘ジュリアの要請に応じてアメリカ人作家リリアンが、パリから列車でベルリンに向かう。緊張感に耐えるリリアンの姿に、『真昼の決闘』の保安官や、『日曜日にはネズミを殺せ』の元ゲリラ隊長の緊張した内面が重なる。「逃げたくとも逃げずに耐えていく」生き方に、ファシズムに立ち向かう時代の精神のあり様を著者はみる。リリアン・ヘルマンは、赤狩りの時代に非米活動委員会議長宛てに良心を流行に合わせて裁断することはできないと手紙を送った。彼女の精神のありかは、映画の「へっぴり腰ではあれ、臆病をきらった」リリアンのそれとおなじだった。「私もリリアンのように生きたい」と著者は結ぶ。

 著者にとって、映画は絵空事ではない。なぐさみの対象でもない。映画館は、彼にとって、生き方を示唆してくれる場所なのだ。

 「南京事件 誰が虐殺を命じたか?」は、『ジョン・ラーベ――南京のシンドラー』をとりあげる。これは、「娯楽大作」だが、日本では右翼を恐れて劇場公開できなかった。この映画を木下は、ラーベの日記、当時の記録映画『南京』、中国映画『南京1937』、武藤章中将の遺著、日本テレビのドキュメント『南京事件 兵士たちの遺言』、レイバーネットTVの小野賢二の証言などによりながら、緊迫感に充ちた語りで、虐殺の責任者が誰かを明らかにする。一本の映画を、これだけ歴史的・実証的に解明し、問題の所在を摘出する映画批評を書くのは、もはや著者を置いてないのではないか。が、それだけではない。「私たちは、侵略戦争を克服できているのか」。みずからの生き方に結び付けて著者はそう問う。彼の本を読み、「深く生きよう」とフクシマ陽太郎が書く所以だろう。

 「親しいのになぜ憎しみ合うのか」は、映画『無頼無法の徒さぶ』のなかで、親しいからこそ憎しみが噴出する人間関係の不条理を、書いている。初め、わたしは、不条理を指摘するだけに留まっているのかと勘違いした。再読して、著者が、優劣や競争を越えた人間の関係を描こうとしていることに気づき、中野重治の詩「その人たち」をふと思い出した。「サヤ豆を育てたことについてかって風が誇らなかったように/また船を浮かべたことについてかって水が求めなかったように」の2行の思想に連なる著者の考えに感動した。

 本書は木下昌明の7冊目の批評集だが、前著『〈いのち〉を食う』と本書とで、彼の批評は、命と時代と世界をとらえて、それまでの仕事を超えた。彼の対象は、すでに映画に留まっていない。〈Ⅰ カメラは行動する〉で、ビデオカメラを手に、毎週金曜日国会前集会に赴く。〈Ⅳ 芸術運動――先駆者たちの仕事〉では、彼を育てた芸術運動の人と歴史とを再構成して自らの批評の生い立ちを証してみせた。文字通り、身を挺して書く。その仕事のとりあえずの集大成が、本書である。これを読まずに、3・11以後の今を語ることはできない。

*「週刊 本の発見」は毎週木曜日(第1~第4)に掲載します。筆者は、大西赤人・渡辺照子・志真秀弘・菊池恵介・佐々木有美です。
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http://www.labornetjp.org/news/2017/0822eiga

木下昌明の映画の部屋>
●佐古忠彦監督『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』
瀬長亀次郎にみる沖縄の戦後史

 沖縄に自生するガジュマルは何本もの細い幹を束ねたようにして一本の大木となっている。これを「どんな嵐にも倒れない、沖縄そのもの」と愛した男がいた。その大木のシーンから『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』が始まる。

 男とは戦中、毎日新聞那覇支局の記者を務め、戦後はうるま新報(現・琉球新報)社長に就任、人民党結成に参加し、那覇市長となった瀬長亀次郎(1907~2001年)のこと。沖縄が日本に復帰する2年前から、初の衆院議員として国会でも活躍した。彼の波乱にとんだ生涯を、以前に「筑紫哲也 NEWS23」のキャスターを務めた佐古忠彦が監督し、TBSテレビが制作したのが本作。

 映画は、テレビ局ならではの豊富な資料映像が使われ、本人の生前の貴重なインタビューをはじめ、彼とかかわった人々の証言を重ねている。瀬長は戦後一貫して米国の沖縄支配とたたかった人物で、彼を介して沖縄の知られざる戦後史も浮かび上がってくる。

 なかでも、その人となりを表す一枚の写真が目に焼きつく。それは琉球政府創立式典時のもの。全員が脱帽して起立しているのに、彼は一番後ろで着帽したまま腰かけている。創立の署名欄にも一人だけ捺印(なついん)していない。瀬長によると「米軍に占領された」ままの政府でしかなかったからだ、と。これ以降、米軍は彼を敵視し、刑務所に送り込む。その折に起きた囚人暴動で瀬長のとった行動が面白い。

 また、彼が結成に参加した人民党は人権を高く掲げた「ポツダム宣言」を基にしたものというのにも驚かされる。

 彼の行くところ、何万人もの人々が押しかけ、「瀬長一人が叫んだなら50メートル先まで聞こえる。ここに集まった人たちが声をそろえて叫べば………」の有名な文句は人々の心をわしづかみしたという。

 映画は、瀬長の「不屈」の精神が、今でもガジュマルのように根をはっていることを教えてくれる。(『サンデー毎日』2017年8月20・27日号)

※8月26日より東京・ユーロスペース他全国順次公開
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https://ryukyushimpo.jp/column/entry-565720.html

<金口木舌>全国に響くカメジローの生きざま
2017年8月31日 06:00

 映画はガジュマルの映像から始まった。その木のように倒れない男の話だ。彼は、選挙で倒した“敵”を「ガジュマルの木陰で休ませ、同じガジュマルになれと説得し、民主主義を嵐から守る態勢を取ろう」と呼び掛けた

米統治下の圧政に抵抗した政治家瀬長亀次郎氏を描いた記録映画「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー」が好評だ。那覇市の桜坂劇場では長蛇の列ができ、東京でも連日満員だ

佐古忠彦監督は東京での舞台あいさつで沖縄と本土の「溝」に言及した。その大きな理由は、本土の人々の認識の中から「沖縄戦後史がすっぽり抜け落ちている」ことだと

▼本土のテレビのニュースで基地問題は瞬間の事象しか伝えない。このため、なぜ県民が声を上げているのかが伝わっていないと言う。「瀬長氏の生きざまを通して戦後史を知れば、その理由が分かる

▼「弾圧は抵抗を呼ぶ/抵抗は友を呼ぶ」。瀬長氏の言葉や行動に、沖縄における今の闘いの原点が凝縮されている。佐古氏はそれを知ることで、沖縄との溝が少しでも埋まるよう願った

▼瀬長氏にとってガジュマルは民主主義のとりでであり、分断を克服する場でもあった。「敵/味方」「右/左」「沖縄/本土」などの分断や溝に「不屈」の精神で挑んだ生きざまは、“忖度(そんたく)政治を危ぶむ全国の多くの人々の心に響くに違いない
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