【魚住昭著、『特捜検察の闇』】
この冤罪事件、「・・・捜査の目的は真実や正義の追求ではない。安田を葬り去ることである」(p.212)。裁判長らの「意見書」には、「・・・右Y子ら数名の刑事事件として立件処理していないばかりか、捜査を遂行している形跡もない。被告人 [安田さん] の不正義を立証すべき検察側の重要証人 [Y子ら] が、右のような不正義を犯しながら放置されていることに照らすと、被告人の身柄を拘束したまま審理を継続することには強い疑問の念を禁じえない」(p.212)。安田さんは囚われの身でありながら、Y子らの不正経理やダミー会社の実態を自ら発見している。「・・・日本の司法は司法の名に値しない。私は過去に何百件かの事件を取材したが、これほど検察側立証が総崩れになる事件を見たことがない」。「警視庁と東京地検はなぜこんな無茶な捜査をしてしまったのだろうか。一言でいえば、これが国策捜査だからである。目的は安田という「反社会的な存在」を抹殺することだ。捜査に多少の欠陥があっても許される、そんな甘えが捜査全体にあったと考えざるを得ない」。「・・・彼らには中坊公平 (※3) が掲げた「正義」の御旗がある。刃向かう者は「悪」だという危険な思い込みが杜撰極まりない捜査を生んだ・・・」(pp.241-242)。
この冤罪事件、「・・・捜査の目的は真実や正義の追求ではない。安田を葬り去ることである」(p.212)。裁判長らの「意見書」には、「・・・右Y子ら数名の刑事事件として立件処理していないばかりか、捜査を遂行している形跡もない。被告人 [安田さん] の不正義を立証すべき検察側の重要証人 [Y子ら] が、右のような不正義を犯しながら放置されていることに照らすと、被告人の身柄を拘束したまま審理を継続することには強い疑問の念を禁じえない」(p.212)。安田さんは囚われの身でありながら、Y子らの不正経理やダミー会社の実態を自ら発見している。「・・・日本の司法は司法の名に値しない。私は過去に何百件かの事件を取材したが、これほど検察側立証が総崩れになる事件を見たことがない」。「警視庁と東京地検はなぜこんな無茶な捜査をしてしまったのだろうか。一言でいえば、これが国策捜査だからである。目的は安田という「反社会的な存在」を抹殺することだ。捜査に多少の欠陥があっても許される、そんな甘えが捜査全体にあったと考えざるを得ない」。「・・・彼らには中坊公平 (※3) が掲げた「正義」の御旗がある。刃向かう者は「悪」だという危険な思い込みが杜撰極まりない捜査を生んだ・・・」(pp.241-242)。
【魚住昭著、『特捜検察の闇』】
「司法の世界の変質 (※4、※5) がこのまま進めば・・・カネも力まない庶民の権利を守るため人生を捧げる弁護士はいなくなる。命がけで巨悪に立ち向かう特捜検事も同じ運命をたどるだろう。私たちが心のどこかで信じていた法の正義は遠い夢物語になってしまうかもしれない」(p.265)。
本田靖春さんの読売新聞社会部のスター記者・立松和博の事件の顛末を描いた傑作ノンフィクション『不当逮捕』(p.275)(※6)。「立松事件は「戦後検察の汚点」といわれてきた。しかし検察総長以下組織ぐるみで〝裏金〟疑惑を封じ込めようとした三井 [環] 事件 [調活費疑惑] はそれ以上に悪質な権力犯罪と言っていい」(p.277)。
「司法の世界の変質 (※4、※5) がこのまま進めば・・・カネも力まない庶民の権利を守るため人生を捧げる弁護士はいなくなる。命がけで巨悪に立ち向かう特捜検事も同じ運命をたどるだろう。私たちが心のどこかで信じていた法の正義は遠い夢物語になってしまうかもしれない」(p.265)。
本田靖春さんの読売新聞社会部のスター記者・立松和博の事件の顛末を描いた傑作ノンフィクション『不当逮捕』(p.275)(※6)。「立松事件は「戦後検察の汚点」といわれてきた。しかし検察総長以下組織ぐるみで〝裏金〟疑惑を封じ込めようとした三井 [環] 事件 [調活費疑惑] はそれ以上に悪質な権力犯罪と言っていい」(p.277)。