たそがれ株屋のひとりごと

昔とった杵柄で、今の相場を懐メロ感覚で分析 時代遅れもまた楽し
リタイヤされた方に一服の清涼剤となれば望外の幸せ

ブログへの想い

証券会社の社長を最後に引退してからはや幾年、ボケ防止にネット取引を始めたが、隔世の感ある状況に戸惑う毎日。掲示板を覗くと何とも品格のかけらもない投稿だらけ。そこで一念発起、懐メロ感覚で今の相場を分析し、たとえ時代遅れといわれようと、同じ思いを抱くかたがたに過ぎ去りし良き時代に思いを馳せていただければ幸甚。

みのひとつだになきぞかなしき

2012-04-30 14:36:41 | 日記
   梅雨入りが近づき山吹の花が咲き乱れる季節になった。山吹と言えば扇谷上杉家の家宰であって、江戸城を築城したことで知られる太田道灌の「山吹伝説」がよく知られている。ある日のこと、道灌は鷹狩りに出かけてにわか雨にあってしまい、みすぼらしい家にかけ込んだ。「急な雨にあってしまった。蓑をを貸してもらえぬか」と声をかけると、思いもよらず年端もいかぬ少女が出てきて、黙って差し出したのは蓑ではなく山吹の花一輪であった。花の意味が分からぬ道灌は「花が欲しいのではない」と怒り、雨の中を帰って行った。 その夜、道灌がこのことを語ると、近臣の一人が進み出て「後拾遺集に醍醐天皇の皇子・兼明親王が詠まれたものに”七重八重花は咲けども山吹の(実)みのひとつだになきぞかなしき”という歌があります。その娘は蓑ひとつなき貧しさを山吹に例えたのではないでしょうか」と言った。驚いた道灌は己の不明を恥じ、この日を境に歌道に精進する決意を新たにしたと言われる。
   トヨタ、ホンダ、日立、イオン、F・レテイリングなどの好業績が伝えられる東京株式市場だが、山吹の花と同じくなかなか「実の入らぬ相場」が続く。再燃した欧州危機と円高が重しのようだ。一方で個人投資家の国債離れが目立ち始め、日本株運用の株式投資信託の募集が好調で4月の設定額は2,000億円を突破したようである。これからのボーナス・シーズンを迎え、株式投信の好調は続きそうだ。個人投資家は「逆張り」を好むが、本能的に「国債バルブの消滅」を察知しているのではないだろうか。株式市場の下支え要因として期待したい。

シャボン玉飛んだ 

2012-04-26 09:21:08 | 日記
「シャボン玉飛んだ 屋根まで飛んだ 屋根まで飛んで こわれて消えた 風 風吹くな シャボン玉飛ばそ」

消費税増税の議論の中で、金融緩和の追加を求める声がやまず、日銀への風当たりは強まる一方だ。デフレは金融政策で克服すべきものとの根強い通念が根底にある。これに対して日銀は、物価安定のメドを導入した。当面、消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、強力に金融緩和を推進するという。
折しも政治の世界では「成長率を名目3%、実質2%程度に早期に近づける」という宿題が消費増税法案に盛り込まれた。達成の成算があるはずもなく、政治は日銀に責任転嫁し、追加緩和への圧力を一段と強めるだろう。現在のデフレは、急速な高齢化や人口減少に伴う日本経済の変貌を反映しており、事態打開の鍵となる成長力の強化に時間がかかる以上、早急なデフレ脱却は難しい。その間に実効性が薄い追加緩和を繰り返しても、将来の副作用が累積するばかりだ。
一つの問題は、緩和の目玉が日銀による国債の大量買入れにあり、その膨張が常態化してきている点だ。これによって支えられる国債バルブの不均衡が”シャボン玉”のようにはじけるとき、金利上昇、国債価格の暴落、金融システムの混乱、予想外のインフレの到来などが考えられる。
このような事態にならないように、政治、金融政策当局者に注意を喚起しておきたい。投資家は将来のかかる事態に備えて今から「資産ポートフォリオ」のあるべき姿を考えておきたいものである。


個人金融資産、1488兆円のマグマを活用せよ

2012-04-20 08:55:02 | 日記
数年前、再起不能とまで言われた電機、自動車、鉄鋼、造船などの韓国企業が政府と一体となった企業の集約、ウオン安の推進で不死鳥の如く甦った。今やサムソン電子の経常利益は年間4,000~4,500億円に達し、巨大赤字に苦しむ日本の電機業界を席巻している。自動車、鉄鋼、造船業界でも同様の動きが際立っている。国主導の企業集約による国内競争の排除が競争力を高めたのは事実だが、なんと言っても20%強に及ぶウオン安が企業の国際競争力を高めたのは明白である。対照的に日本の代表的な輸出企業は各種規制の継続、20%強の円高など政府の無為無策に翻弄され、血のにじむような企業努力にも拘わらず韓国企業に圧倒され続けている。日銀の金融緩和策や小出しの規制撤廃などの円高対策が取られているが、抜本的な円高対策とはとても言い難い。
  一方、日本は世界の先進国の中で最も豊富な個人金融資産を有し、その額は年々増え続け今年中には1,500兆円に達すると見られる。この世界に類を見ない個人金融資産を有効活用する方策を国主導で実施することこそ抜本的な円高対策となるのではないか。具体的には一定の範囲内(例えば1,000万円)であれば相続税を免除するとか、利息に対する源泉税の免除などが有効だろう。日銀の円売り介入に批判的な世界主要国の金融当局も個人の円売り、外国通貨買いに反論する筋合いではない。仮に10%が円売り、外貨買いに動けばその金額は150兆円に達し、ここ数か月で日銀が円売り介入をしたとみられる10~15兆円を遥かに凌ぐ金額となる。この「個人金融資産のマグマ」は数年で20~30%の円安をもたらすのではないか。
勿論、輸入物価の上昇に伴うインフレが懸念されるが、現在存在すると言われる需給ギャップ、25~30兆円を考えれば目先すぐに悪性インフレの可能性は皆無と言っていいのではないか。もしそう云う事態になれば得意の金融政策で歯止めをかければ十分だろう。この”マグマ”の活用に踏み切る勇気が政府、金融当局に今こそ求められている。

米、雇用統計悪化の影響は?

2012-04-07 07:32:30 | 日記
米、雇用統計悪化の影響は目先的には円高、株安で反応するとみられるが、ここにきて後退していた米「QE 3」(金融緩和策 第三弾)への期待感が再び高まりそうだ。10日に予定されている、FRBバーナンキ議長の議会証言が注目される。議長は前回の議会証言で「労働市場の先行きは楽観を許さない。金融面から下支えする必要を強く感じる」と述べていた。 失業率は0.1%低下したとはいえ、6日発表の雇用統計が市場予想の20万人を大きく下回わる12万人増にとどまったことで、FRBは早急にQE 3の実施に動くと見られる。これは米投資家のリスク許容度が高まる点では相場にプラスに働くだろう。NYダウは小幅な下落にとどまり、調整は短期に終わりそうだ。
政府・日銀もFRBに応呼して、円高対策も兼ねて金融緩和策(ゼロ金利政策の継続、インフレ目標の確認、資産買い入れ枠の増額など)の追加に動くのではないか。一時的な円高で株価調整も予想されるが、むしろ、”腰折れ気味の流動性相場”に気迷い気味の投資家に、再び「リスク・オン」のチャンスを与えるものと考えたい。昨年、12月より始まった金融相場(流動性相場)の継続を確認するいい機会だろう。業績相場への移行は時期尚早で、来期の増益見通しが明確になって来る8~9月頃までは、日米とも流動性相場が続くのではないだろうか?
自動車、電気機器、機械、鉄鋼、金融株などの押し目に積極的に対処したい。