たそがれ株屋のひとりごと

昔とった杵柄で、今の相場を懐メロ感覚で分析 時代遅れもまた楽し
リタイヤされた方に一服の清涼剤となれば望外の幸せ

ブログへの想い

証券会社の社長を最後に引退してからはや幾年、ボケ防止にネット取引を始めたが、隔世の感ある状況に戸惑う毎日。掲示板を覗くと何とも品格のかけらもない投稿だらけ。そこで一念発起、懐メロ感覚で今の相場を分析し、たとえ時代遅れといわれようと、同じ思いを抱くかたがたに過ぎ去りし良き時代に思いを馳せていただければ幸甚。

ユニクロ指数

2011-10-29 07:31:46 | 日記
肌寒くなってきたマンハッタンの街角。最近目立つのは「ユニクロ」と大きく書かれた買い物袋を抱えた人々だ。同社のニューヨーク五番街店が開店して約2週間。カタカナのロゴはすっかり街になじんできた。さて、気になるのはユニクロ製品の値段だ。円相場は連日最高値を更新し、1ドル75円台に。日本からみると海外製品は割安になるはずだが、日本企業が米国で売る製品価格はどうだろうか。五番街店でも人気のヒートテックやダウンジャケットの値段を日本での値段と比べてみた。結果にはうならされる。まずヒートテック。男性ものの長袖は定価が19ドル90セント、1ドル75.60円で計算すると1,505円で日本での値段、1,500円とほぼぴったり。軽量のダウンタウン・ジャケットは定価が79ドル50セント(6,010円)で日本の同じ製品は5,990円でほとんどかわらない。
  円高是正を声高に叫ぶ企業も多いが、ユニクロの製品価格を基準にする「ユニクロ指数」でみる限り、今のドル円相場は釣り合っているともいえる。各国で売られる同じ製品の価格をもとに、ある国の為替相場が割安か割高かをみる手法には、英エコノミスト誌が算出する「ビックマック指数」がある。こちらでも円相場はほぼ適正水準である。
  このようにみると、異常な円高にみえる現在の円相場も世界の物価水準からみる限り適正水準なのかもしれない。最も日本の多くの企業はユニクロほど海外生産が進んでいるわけではないし、産業界の円高懸念を無視できないのも実情だろう。しかし世界の通貨の中で最も安全資産といわれる「円」は今後も買われる可能性が高いのではないか。日本の産業界も恒常的な円高に対応する企業戦略を打ち出すべき時代ではないだろうか。この対応の是非が企業の将来を左右するといっても過言ではあるまい。成長株投資が株式投資の本来の姿とすれば「円高を味方につける」企業を選別投資すべき時代なのかもしれない。

「おき惑わせる白菊の花

2011-10-22 09:54:55 | 日記
心あてに折らばや折らむ 初霜の おきまどわせる 白菊の花  百人一首
朝晩の冷え込みが急になり、咲き始めたばかりの白菊の鉢の置き場に戸惑う季節になり、いっそのこと手折って切り花にしてしまおうかとも思う女官だが、まだ無邪気な白菊のような風情をみると、自分の気持ちも戸惑ってしまうことよ。


対ドルのユーロの買戻しが活発化、それにつれて、対ドルの円相場、75.78円と市場最高値を更新。政府の円高対策への失望感も円買いに拍車をかけた。対GDP比2.5倍の財政赤字は世界最悪水準だが、対外債権の大幅黒字国、「円」に買い安心感。また1,000兆円超の財政赤字に対して、100兆円の外貨準備、650~700兆円ともいわれる公的金融資産(財務省の隠し資産とも言われている)があることが、さらなる円買いを呼び込んでいるようだ。これに、企業の内部留保資金、約450兆円、個人金融資産1,200兆円を加えれば、1,000兆円の財政赤字も霞んで見えるようだ。
  ”円の大航海時代”は人口減少が本格化するといわれる2020年頃までは続く気配だ。政府の小手先の円高対策ではもはや歯止めはかかりそうにない。官民が協調して本格的な円高対策を打ち出す時期に来ていると思われる。TPPへの参加、農業の大規模化への予算措置、EFSFへの大口出資などが期待される。円高に戸惑うばかりが能ではあるまい。企業も政府頼みから脱却して自助努力をすべき時だろう。「蒙古襲来」「日露戦争」 「第二次世界大戦」 「今回の大震災」などここ一番で日本国民は「火事場の馬鹿力」を発揮して難局を乗り切ってきた。この円高も同様であろう。各界の奮闘に期待したい。


大航海時代

2011-10-07 07:49:38 | 日記
大航海時代とは、15~16世紀、ポルトガル、スペインが地球規模の大洋航海を実現した時代を指す。アメリカ大陸を発見したコロンブス、インド航路を発見したヴァスコダ・ガマ、初めてヨーロッパから西回りで太平洋に到達し、初めて世界一周を成し遂げたマゼランなどが活躍した時代でもある。
  かって世界に君臨したローマ帝国(イタリア)、ギリシャ帝国、「七つの海」を支配したスペイン、ポルトガルが、現在のユーロ危機の根源になっている。歴史の皮肉と言っていいかもしれない。戦後の1ドルー360円から76円になった「円」は考えようによっては、かっての大航海時代と同じく七つの海を支配しつつあるのかもしれない。ユーロ、アジア通貨(インド、ベトナム、インドネシアなど)、南米通貨(ブラジル、アフリカなど)を席巻し、今や基軸通貨たるドルを脅かす存在になったといえるかもしれない。確かに円高は日本の輸出産業の重しになっているのは事実だが、高くなった円を大いに活用する戦略を考えてもいい時期に来ているのでは。今や「円の大航海時代」が始まったと考えるべきかも。
  日経平均株価も89年高値の四分の一であるが、当時の為替相場が1ドルー250円前後であったことからすると、ドルベースでは25,000円程度になっていると思われる。外人売りが喧伝されているが、大きく下落した自国株の損失補填のために日本株で益出ししているものと思われる。米欧株式市場が落ち着きを取り戻せば、いずれは再び日本株を買ってくると思われる。ここは、外人売りで大きく値下がりした、自動車、機械、電機、商社などの主力株の押し目を狙ってみたい。大航海時代に活躍した冒険者たちの未知なるものへの挑戦した勇気に比べれば、日本株の安値を狙うことはそんなに勇気の要ることとは思えないのだが・・・。

パンとサーカス

2011-10-01 09:54:05 | 日記
「Panem et circenses」 (ラテン語ーパンとサーカス)はローマの詩人ユウエナリスが古代ローマ社会の世相を揶揄し、詩編中で使用した表現である。
権力者から無償で与えられる「パン(食糧)」と「サーカス(娯楽)」によって、ローマ市民が政治的盲目に置かれ、古代ローマ帝国の崩壊のきっかけとなったことを指摘した。「サーカス」は現代のサーカスではなく、円形競技場での格闘技や馬車競争などを指す。「パンと見世物」ともいう。愚民政策の例えとして、しばしば用いられる言葉である。民主党が選挙のマニフェストで掲げた多くの大衆迎合政策も、全てとはいわないまでも愚民政策の一つといえるかもしれない。
  ギリシャの労働組合や公務員労組、年金受給者は、国からの安価な「パン」の支給を求めて、大規模なスト、デモを全国的に展開している。支持基盤でもある彼等の反対に政府は抗しきれず、緊縮政策を放棄、デフォルトに進むのではとの懸念が台頭、欧州株が急落、連れてNYダウも240ドル安と大幅な下落となった。EC連合や金融当局、独、仏首脳は「根も葉もない噂」と否定したが、マーケットの不信感は消えない。円相場は安住財務大臣の「介入資金を15兆円増額の45兆円とする」との発言で77.05~10円に反落。来週開催予定の「EC財務相会議」の行方を注目したい。