「かなかなかなかな・・・」今年は蜩の鳴き始めが例年になく遅かった。蝉は夏の季語だが蜩は秋の季語である。「かなかな・・・」の声を聞くと何か急かされている気分になって落ち着かない。しかしあるべき姿でないのはもっと不安だ。地獄が絵空事ではないことを知ってしまった3・11日のあとの我々には一層のこと。
かなかなの どこかで地獄草子かな 飴山 實
この句は句集「花浴び」(1995年刊)の一句である。「どこか」は「ここ」かもしれない。しかし、作者は決してそうは言わない。
花浴びし 風とどくなり 魚籠(びく)の底
残生や ひと日は花を 鋤きこんで
生がくるりと反転する覚悟をした者のみがもつ強さでもって、今を生きてここにある喜びを、淡々と詠んでいる。
庭の萩、女郎花、桔梗が早くも咲き出した。京都五山の送り火(大文字)がすぎれば、季節は一気に秋となる。夜空にはカシオペア(W字型)、大熊座(北斗七星)、アンドロメダ、いて座(牽牛星を含む弓を射る形の星座)などの秋の星座の主役たちが輝いている。
猛暑の夏もそろそろ峠を越えるか? 株式相場の「W底」もまじかか・・・・・・・。