何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

カメラとご意見番

2016-08-01 12:30:00 | ひとりごと
暑い夏を忙しく過ごしているために本を読む時間がない、というのは不正確な表現で、暑さでボケているためミスを連発し訂正修正に追われて忙しく、本を読む時間がない。
自分の本ならば積読でもよいが、人様から借りているものは、そうはいかない、まして今の私に打ってつけの本なら尚更なので、ようやっと一冊読み終えることができた。。
「カメラマンと犬」(新井満)

基本的にアナログ人間であることと流行りモノに疎いということもあって、ほんの最近までフィルムのカメラを愛用していたのだが、デジカメをもつことがデジタル人間を意味するわけでも、ましてデジカメを流行りモノとする時代でもなくなった今頃になって、ようやっとデジカメを買う決心をした。
我家には、さほど写真を撮るわけではないのにカメラには凝る御大というウルサ型と、かつて(フィルム時代)写真部だったという自称ツウがいるためフィルム派で、以前カメラを購入するときも、揉めた。

御大の「RICOHーのGR1sにすべし」という意見に従いカメラ屋に行くと、店員さんが「写真に、よほど凝るタチですか?」と疑わしげに聞いてきた。
よほど私が写真に凝らない人間に見えたのだろう。
「いいえ、スナップ写真程度のものしか撮りません。ちょっとした風景が、それなりに奇麗に写れば満足です」とキッパリ答えると、そうだろうそうだろうと言わんばかりの顔で、「それならば、そんなカメラは必要ありません」と親切にも、もっと手ごろな値段のカメラを勧めてくれる。
それに大いに心動かされながらも念のために御大に店員さんの意見を伝えたのだが、「GR1sにすべし」と御大は頑なになるばかり。
家内平安を優先し御大の意見に従い購入したリコーのGR1s。

私のように「写るんです」でも良いような人間の目にも、GR1sの写りは抜群に良いのは理解できたし、引き延ばしたときなど、色や鮮明さに明らかに違いがあるのは分かった。。
だが、フィルムカメラで広角レンズ一辺倒という代物は、私のようなド素人には、無用の長物・豚に真珠だ。
隣でズームで撮っている人を見れば、広角レンズ一辺倒が物足りなく感じるし、広角レンズゆえに同じような写真ばかり現像されてくるのを見ていると、これがデジカメなら自分で削除でき現像代が省けるのに、と愚痴ばかり出てしまう。

こんな苦い過去があったので、今回デジカメを購入することは家族には秘密にしていた。
そして、何年たってもカメラ屋さんの目には、私は写真に凝らない人間にしか見えないようだ。
「ただ写れば良いだけのお客様には、こちらなどお勧めです」という、親切なんだか多少バカにしているのだか分からない意見に従い、SONYのCyber-shotを購入した。
ズームは20倍、連写もできる、大満足。

だが、私という人間は多分にへそ曲がりな人間で、こうなってくるとGR1sも懐かしくなってくる。
ワンコを撮った、GR1s。
初めて登った涸沢から前穂のコブを撮ったのも、GR1sだ。
御大が見込んだだけのことはあり、何年もたった今でも、GR1sの写りは変わらずきれいだ。

写しもしないくせに機器としてのカメラに凝る御大と、被写体の表情よりもピントが合う瞬間ばかりに拘る元写真部の意見をこれからも尊重しながら、二つのカメラを大切に使っていこうと思っている。

「カメラマンと犬」については、つづく
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 憧れ、常に念じる山 | トップ | 万の風がつれてくる「あの日」 »
最新の画像もっと見る

ひとりごと」カテゴリの最新記事