何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

たとえ明日世界が滅びようとも①

2018-03-30 23:00:00 | ニュース
季節の話題やニュースは生ものなので、月末 何を書いておくべきか迷ったが、偉大なる知性への敬意と新年度への戒めに、この話を優先することにした。

満点は何点なのか?という点を取った記憶しかない物理だが、ホーキング博士の著書や講演は話題となることが多かったこともあり、分からないながらも注目していた。
そんな車いすの天才物理学者として有名なホーキング博士が亡くなられたという訃報が、今月14日イギリスから届いていた。

ホーキング博士というと、人類が滅亡する可能性の指摘でも知られているが、この度の訃報を受け、改めて、ホーキング博士が語る「人類の未来」が注目されているようだ。
産経新聞 が3.15 11:45に配信した<ホーキング博士が「人類の未来」について語っていたこと「地球に留まることは絶滅の要因」>は後に引用するが、この記事を読み思い出した二冊の本を少し読み返していた。
「ラプラスの魔女」(東野圭吾)
「Cosmos」(カール・セーガン)

実は、「ラプラスの魔女」はかなり以前に読んでいたのだが、何と記録すればよいものか難しく、ここに書けないままになっていた。
このブログは本の(個人的感想であり)書評を目的とするものではなく、誰かを何かを応援するためのものなので、微妙な感想はできるだけ控えることにしている。
こう書いたからといえ、「ラプラスの魔女」が駄作だというのではない。
ただ本書も、最近の傾向に違わず、本の帯・宣伝の煽りと内容との乖離が激しく、それによる失望が大きかったので、感想を書きあぐねていたのだ。

「ラプラスの魔女」の帯より引用
『彼女は計算して奇跡を起こす。
東野圭吾が小説の常識を覆して挑んだ、空想科学、ミステリ!

"円華という若い女性のボディーガードを依頼された元警官の武尾は、行動を共にするにつれ彼女には不思議な《力》が備わっているのではと、疑いはじめる。
同じ頃、遠く離れた2つの温泉地で硫化水素による死亡事故が起きていた。検証に赴いた地球化学の研究者・青江は、双方の現場で謎の娘・円華を目撃する――。
価値観をくつがえされる衝撃。物語に翻弄される興奮。
作家デビュー30年、80作目の到達点。

これまでの私の小説をぶっ壊してみたかった。
そしたらこんな作品ができました。 ――東野圭吾"』

著者自らが、「これまでの私の小説をぶっ壊してみたかった』とおっしゃっているようなので、帯に踊る煽り文句の大仰さを出版社の責任だとは言わないが、本書を読み終えて、別段 小説の常識や価値観が覆された、とは思わなかった。
寧ろ、これほど大仰な帯がなければ、もっと素直に「面白かった」と感想が書けるものを、と思うのだが、ホーキング博士の訃報から本書のある一節を思い出したのだから、やはり帯が云うとおりスゴイ!!作品なのかもしれない?

そんな「ラプラスの魔女」や、ニュース記事や「Cosmos」については又つづく、として、さくら以外の春も記しておこうと思う。

椿 全体の花言葉は、「謙遜」「誇り」等だそうだが、この乙女椿の花言葉は「控えめな愛」「控えめな美」なのだそうだ。

Even if I knew that tomorrow the world would go to pieces, I would still plant my apple tree.
そう思わせてくれる、春の乙女椿だ。

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さくらが分かる男と、ワンコ

2018-03-29 12:50:55 | 自然
さくら を謳う’’歌’’として何が思い浮かぶかで、世代がバレてしまうことがある。

週末の晴天で一気に満開を迎えた桜。
ワンコ散歩コースだった道には、それは見事な桜並木がある。
桜にはとんと関心がなかったワンコだが、秋 散った桜の葉をバリバリと踏みながら歩くのを、ワンコは楽しんでいた。

そんな桜並木を昨夜、君と散歩した。
「あまりに美しいので、明日朝一番にタブレットで撮ってみる」と言いながら君が口ずさむ「さくら」に、「さくら」?と思った。

私の場合、まさか「同期の桜」(作曲 大村能章 原詞 西條八十)でもないが、「桜坂」(作詞・作曲 福山雅治)あたりか・・・
こんなところに世代が現れる、と思いながら、君が口ずさんだ「さくら」(作詞・作曲 森山直太朗 御徒町凧)「桜坂」を検索してみると、世に出たのは3年しか違わない。
だが、それを初めて聞いた時の年齢や状況と、それ以後の月日で経験したことを考えたとき、その差はやはり大きい。

ほろ苦さと喜びを感じつつ、この春は、目に留まるかぎりの桜を撮ってみるつもりだ。

ところで、君よ
この「さくら」には、♪どんなに苦しい時も、君は笑っているから、挫けそうになりかけても頑張れる気がしたよ♪という歌詞があるね
「どんなに苦しいであろう時も、笑っている君は強いね」と誤解される私としては、
君には、
どんなに苦しくても歯を食いしばり笑っている人の、強がりと悲しみが分かる男になって欲しいよ

そしてワンコ
この「さくら」には、♪さらば友よ、またこの場所で会おう さくら舞い散る道の上で♪という歌詞があるよ
ワンコ
毎年「花より団子」と言いながら歩いた、あの桜並木の道に戻っておいで ワンコ
また、あの場所で会おうよ ワンコ

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春なのに、春だから

2018-03-27 19:35:37 | 自然
「水脈の果て、富士の高嶺に祈る平和」で記していたが、富士山を拝する旅から帰宅した。

先週はずっと寒の戻りか花冷えかという寒さと雨が続いたので気を揉んでいたが、旅は晴天に恵まれ、帰宅すると庭にも一気に春が訪れていた。

    
出発前には堅い蕾のチューリップが、たった数日で大きく花開いている


数年前、球根を数個植えただけのムスカリが、暖かくなると、其処彼処から芽を出す様は、その花言葉「明るい未来」を信じさせてくれる。

・・・・・富士山の写真は???

心静かに平和を祈りながら富士山を拝するために、いい写真を撮るために、晴れて欲しかった。
日々、山や、わんこ&ニャンこちゃんや、きれいな花や神社仏閣などの写真が掲載されているブログを楽しませて頂いているので、私も美しい富士山の写真を掲載したいと思い、晴れることを心から願っていた。
願い通じて、晴天にはなったのだが・・・・・

春、陽光きらめく駿河湾の向こうに浮かぶ富士山は・・・・・

デジカメのおかげで、ヘタな鉄砲も数撃ちゃ当たる式に撮りまくったのだが、掲載できるほどのものがないのは、腕がないせいばかりではない、はずだ。
旅の記録はおいおいと・・・

田子の浦に うち出でてみれば 白妙の
富士の高嶺に雪は降りつつ

百人一首で最初に覚えた山部赤人の「田子の浦」は、今回の旅の辺りを指すという。自分の写真はアレなので、wikipediaより1886年にアドルフォ・ファルサーリにより撮影された写真田子の浦橋」をお借りしている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B0%E5%AD%90%E3%81%AE%E6%B5%A6#/media/File:Japon-1886-30.jpg





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見事咲きましょワンコの為

2018-03-22 20:18:51 | ひとりごと
温暖化のせいか昔ながらの桜の開花時期が分からなくなってしまっている。
満開の桜の木の下で入学式、という光景はもはやなく、近年では卒業式の頃に咲くこともあるので、今朝 公園の固い桜の蕾を見て「今年の開花は遅い」と思いながら検索すると、どうも今年の開花は平年より一週間以上早いのだそうだ。

おかしい
桜がおかしいのか、私の感覚がおかしいのか?

もっとも、何時からか桜を祈るような気持ちで見上げるようになったことも、この時期を苦手にした理由の一つかもしれない。

他の季節ではあまり感じなかったが、桜は、「来年の桜もワンコと見ることができるだろうか」「来年の桜もワンコと楽しみたい」と痛切に感じさせた。

それは、あっという間に満開を迎え、あっという間に散ってしまう自然現象の儚さゆえのものなのか、それとも「見事散りましょ」「桜の樹の下には屍体が埋まっている」という表現が染みついてしまっているからだろうか。

そんな心寂しい桜の句を、また一つ知った。

世の中は桜の下の相撲かな  木戸孝允

「折々のことば 2018・3・22」(鷲田清一)で紹介されていたのを契機に、この句を検索する気になったのは、ある本を読んでいるせいで ’’木戸’’ という名にある種の感情を持ってしまったからかもしれない。

『近衛文麿「黙」して死す──すりかえられた戦争責任』(鳥居民)
草思社文庫より引用
昭和20年11月、元首相近衛文麿は巣鴨への収監を予知して自死した。しかし、その背後には元内大臣木戸幸一と進駐軍の調査官E・H・ノーマンによる驚くべき陰謀があった。近衛に開戦責任を負わせ自死させることにより歴史の何が隠蔽されたか。
http://www.bunsobunko.net/soshisha/detail/978-4-7942-2095-0.jsp

一方の言い分だけを取り上げた推測に基づく歴史モノを鵜呑みにすることはできないし、まして本書『近衛文麿「黙」して死す』は今手元にないので、正確なところを書くこともできないが、近衛文麿が木戸幸一に嵌められたと感じたのは、おそらく一度ではない。
最終的に近衛が黙って逝ったのは、それにより守られるものの大きさを考えたからだろうが、そのような状況に近衛を追いこんだ側の人間は、果たして近衛が守ろうとしたものを守るため’’だけ’’に、近衛を嵌めたのか。
そうではないのではないか。

そう考える時、「世の中は桜の下の相撲かな」(木戸孝允)に、世間で知られる解釈とは違った匂いを、私は嗅ぎ取ってしまう。

木戸がこの句を幕末の志士・田中光顕に贈る時、「いいか 桜の下で相撲をとってみたまえ。 勝った者には花が見えなくて、仰向けに倒れた者が上を向いて花を見るであろう。国事に奔走したものも そんなものだろう わかったか」と言ったという。

そうかもしれない。
そうかもしれないが、仰向けに倒れた者は、仰向けに倒れ最期に桜を見たかっただろうか。

勝った者が、生き残った者が、言ってはならない言葉があると、私は思う。

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ワンコ星たち ②

2018-03-21 21:55:31 | 
「ワンコ星たち①」より

ワンコは私が忙しさと諸々で心身ともにまいっているのを知っているから、
今月お告げの本はないと思っていたのだけれど、
用事で立ち寄った図書館で、ワンコは本をお告げしてくれたね

だけど、
あまり知らない作者の、その本の帯を見て、ぱらぱらと中味をめくり・・・
正直なところ、何かの間違いではないかと思ったんだよ ワンコ

「星々たち」(桜木紫乃)

本の帯より
『奔放な母親とも、実の娘とも生き別れ、昭和から平成へと移りゆく時代に北の大地を彷徨った、塚本千春という女。その数奇な生と性、千春とかかわった人々の哀歓を、研ぎ澄まされた筆致で浮き彫りにする九つの物語。桜木紫乃の真骨頂がここにある!』

ぱらぱらめくっただけで感じられる、
「奔放な母親」「生き別れ」「数奇な生と性」という表現では足りないような気配は、
真面目の前に’’※クソ’’がつきかねない私には共感するのが難しい感情だし、
その手の話を、この’’※クソ’’忙しい今なにも読まなくても、と思ったのだけど、
ワンコのお告げだし、短編集なので、
読んでみることにしたんだよ ワンコ

「星々たち」は三人の女性の「生と性」を描く短編集だが、全体で一つの物語となっている。
「咲子」という女性の「生と性」があり、咲子が育てることを放棄した娘「千春」の「生と性」があり、千春が産み落とした(そして逃げ出した)娘「やや子」の「生と性」が描かれている。
男に寄りかからなければ生きられない女と、男に期待はしていないが自立もしていない女と、男だけでなく何事にも関心薄く自分一人で立っている女の、三代の血脈が最終章に向け徐々に結実していくとき、不覚にも泣けてしまった。

そこには、帯に一際大きな文字で書かれていた言葉が、あった。

『いびつでもかなしくても生きてゆく』(「星々たち」より)

ねぇワンコ
私が歩き始めた道は、いびつでもかなしいものでもないかもしれないけれど、
だからといって、長年 私が目指してきたものではないことは、
ワンコはよく分かっているよね
だからこそ苦しみ抜いた、この半年だったけど、
生きてゆく

そう思いながら読み終える、最後のページにあったワンコからのメッセージ
ワンコが本に託してくれた、ワンコからのお告げのメッセージ

『星はどれも等しく、
 それぞれの
 場所で光る。
 いくつかは流れ、
 消えていく。
 わたしもまた、
 ちいさな星の
 ひとつなのだー』(「星々たち」より)

ねぇワンコ
ワンコがお空組に引っ越す前の半年は、
丑三つコーラスをするワンコと一緒に、犬星やオリオン座を見上げたね
それは何時からか、ワンコと私にとって、約束の星になったよね
もし何時かお互い触れることができなくなっても、
約束の星を頼りに、見守りあおうねって
約束したね
それを、本書のこの言葉は思い出させてくれたよ ワンコ

ワンコの仕業だろう

ねぇワンコ
私は私の場所で、小さくても輝けるように、
大好きな人が輝けるよう、応援できるように、
頑張るよ ワンコ

約束の星から、見守っていてね ワンコ
黄色い水仙の花言葉 「私のもとへ帰って」「もう一度愛して欲しい」


家人と競争していた水仙、
今年も私の黄色い水仙だけが咲いたんだよ ワンコ
水仙の花言葉というと、「ナルシスト」なんかが有名だけど、
黄色い水仙の花言葉は、「私のもとへ帰って」「もう一度愛して欲しい」なんだって
私のワンコへの想いにピッタリだよ ワンコ

ところでさ、’’クソ’’に※をつけたのには理由があるんだよ
最近の数少ない楽しみの一つだったドラマ「アンナチュラル」の法医学者の口癖なんだよ
主人公を演じた女優さんのファンの、例のうんこ君が ’’クソ’’って言いだす日は近いと思うよ
そんな話も、またね ワンコ

追伸
「星々たち」の作者を、あまり知らない、と書いてしまったが、以前 一作読んでいたようだ。
「氷の轍」(桜木紫乃)(参照、「落とす作業の一つ カツ丼」


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