何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

正義と屁理屈の応酬らしい

2019-04-29 11:11:41 | ニュース
ワンコのおかげで少しずつまた読み始めていた本を、最近の風潮や事件から思い出した。

「正義を振りかざす君へ」(真保裕一)

本の帯より引用
『地元紙の記者だった不破勝彦は、神永美里と結婚し、義父の仕事を助けるべくホテル業へ転身する。
が、やがてホテルは不祥事を起こし義父は失脚、妻との不和も重なり、彼は故郷から逃げ出した。
七年後―彼は戻りたくない故郷へと戻る。
元妻の不倫相手を救うために。
問題を起こしたホテルを、正義の名のもとに攻撃した新聞社。
そのトップに就任したのは、高校の先輩でもある大瀧丈一郎だった。
ホテルは彼の傘下に吸収され、不破を恨む者たちが次々と現れる。
そして、ついに魔の手が彼を襲う―!』

出版から日も経っている作品なので詳細を書いてもよいのだろうが、社会派の要素もありながらミステリーでもあるので、最近の風潮や事件との関わりで思い出した心象を一言だけ。

単純に正義を振りかざすマスコミも迷惑だが、最近では権力とマスコミが混然一体となりヤラセ・マッチポンプで自らの正義を振りかざす手法が大流行りなので、この国では何が正義か真実か、もはや判然としない。
新しい時代には、ご都合主義の正義や真実をヤラセとマッチポンプで振りかざされないことを望んでいる。
だが、そう思う私こそを、作者は厄介な「君」だと考えているのかもしれない。

ところで、本書を読んだのは、亥年の統一地方選で連日候補者の名前(だけ)が連呼されている最中だった。
 『しょせん有権者に見合った政治家しか、我々は持てない。それは真実だと思うよ。でも、そうなげくばかりじゃ、手遅れになるんだ。誰かが泥をかぶってでも、市政を取り戻す必要がある。な、そうは思わないか』(『 』「正義を振りかざす君へ」)

今回も誰も、泥をかぶってはくれなかった。
そう嘆いている私に見合った政治家が選ばれたのだろう、たぶん。

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自由だ~~~~~~~

2019-04-27 23:44:37 | ひとりごと
今年は経験したことのないGWを迎える。

御即位にともなう10連休という話ではない。

これほど自由なGWを迎えるのは、何年ぶりのことだろうか。

何年も私の心を捉えて(囚われて)きたことを手放した、自由。
この一年数か月心身ともに休まる暇のなかった仕事からの、自由。

自由だ~~~~~~~

忙しさにかまけ放置していた庭の手入れをし、夏野菜も植えねばなるまいが、貴重な第一日目は庭の観察と、、、寝だめ。

寝ぼけ眼に映った庭の草木、自由な目には瑞々しい。
かなり弱ってしまい今年は花をつけなかったが、ワンコを見守ってくれた花水木

ずっとそこにあったのに、もみじにこんなかわいい花が咲くと知ったのは、つい最近

  
牡丹にとっては良くない天候で、咲き始めた日に超高温になり、あっという間に開いてしまい、
その後強い雨に打たれ項垂れてしまった


豊作が期待できそうな、今年のブルーべり―


言葉はいらない、美しい花



自由だ~と云いながら、美しい写真に心なごみながら、結局持ち帰り仕事をしている、第一日目でもある。

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W穂高ロス、でも

2019-04-20 09:51:25 | ひとりごと
ワンコが天上界の住犬になって三年と3カ月
最近ワンコが、そろそろ帰ってやるぞ、と言ってくれてるのを強く感じるのだけれど、
近々あるという南海トラフ地震で避難所生活になったらどうするんだい? と問い返し、
ワンコのご帰還に躊躇いをみせている私を、怒っているかい? ワンコ

ワンコと散歩していた頃にはさ、花より団子だね、と言いながら桜並木を歩いたものだけど、
今年はさ、ご近所の桜すら見る余裕がなかったよ ワンコ
やってもやっても、やるべきことは減らず、達成感に乏しいからか、
体調も良くないけれど、気分もしんどいよ ワンコ
きっとワンコは心配してくれてるんだね
癖ともいえる読書もできず、日課だったウォーキングもできない毎日で、錆びていく私を、
だから年明けから、ワンコは強烈に本を読め!の指令を出しているんだね
まだ感想文を綴る余裕はないけれど、また本を読み始めたのは、本当に心のビタミンになっているよワンコ
それでもまだパワーが足りない私のために、
ワンコは散歩のお伴として帰ってこようとしてくれてるんだよね ワンコ
しんどいから運動できないのか、運動しないからしんどいのか、分からない私のために、
散歩のお伴をしてやろう、って言ってくれるワンコの気遣いは痛いほど通じているけれど、
やっぱり南海トラフ地震も気になるし、実際問題 仕事の忙しさと忍び寄る介護問題もあるから、
今すぐ答えは出ないんだよ

ごめんね ワンコ
でもさ、今月のワンコお告げの本のおかげで、10連休にワンコを想う旅にでることを決めることができて、
本当に感謝しているよ ワンコ

その本について記しておくね ワンコ

「バックをザックに持ち替えて」(唯川恵)

唯川氏というと、田部井淳子さんを描いた「淳子のてっぺん」を読んだことがあるのだけれど、
本書は、今年の夏山歩きはどうするかな?と思いはじめていた私にピッタリだったよ

唯川氏が山登りを始めたのは、なんと わんこが切っ掛けなんだよ
唯川氏は、子供の頃から憧れていた「アルプスの少女ハイジ」に登場するセントバーナード犬(ヨーゼフ)と暮らすことになったのだけど、
暑さに弱いルイ(セントバーナード)のために軽井沢に引っ越し、
そこで出会った浅間山ですっかり山に魅了されてしまわれたんだよ
山とわんこが結びついている話から始まる本書だから、それだけで、大満足だったのだけど、
山の経験もなく、日頃はデスクワークの唯川氏が、だんだん山に嵌っていく過程や、便利な山グッズの考察は興味深かったし、
「神々の山嶺」(夢枕獏)など様々な山岳小説で描かれた人のエピソードと思われるザイルパートナーの話は考えさせられたし、
なにより、本書後半にあった言葉「富士山ロス」が、ワンコをめぐる旅を思いつかせてくれたのだから、
そして、その旅を計画することで、元気が出てきたのだから、
本当にワンコは、いつも私を見守り応援してくれているのだと信じることができるよ ワンコ

富士山登頂後、唯川氏もかかったという「富士山ロス」は、
富士山を登った直後になる、得も言われぬ状態を云うそうだけど、
この言葉を読んだ時、私は「W穂高ロス」だと思ったんだよ

だから、この10連休はW穂高を想う旅にでるよ ワンコ
帰ってきたら・・・また恐ろしく忙しい日々が待ち受けていることは分かっているけれど、
今は、W穂高を想いもうひと踏ん張りするよ ワンコ

有形無形に私を支えてくれるW穂高のレポートは、又いつか報告するね ワンコ




果報は寝て待て、そろそろいいことあるかな?

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たゆたえども沈まず Fluctuat nec mergitur

2019-04-16 19:36:25 | ニュース
「Fluctuat nec mergitur ①」 「Fluctuat nec mergitur ②」
Notre-Dame de Paris : les images de l’incendie

パリ市の紋章に、ラテン語で記されている ”Fluctuat nec mergitur“(たゆたえども、沈まず)。
個人的にフランスに思い入れのある私は、何度この言葉を口にして踏ん張ってきたことだろう。
私はこの言葉をかってに、何度も王朝が代わり 革命や他国の侵略を経験しながらも華やかな文化の中心であり続けてきたパリの歴史的経緯から生じた言葉だと思っていた。
だがそれは、パリの中心を流れるセーヌ川の氾濫に苦しむパリの船乗りたちが、再建のシンボルとして使い始めた言葉だという。
そんな経緯が、「たゆたえども沈まず」(原田マハ)には記されている。

『(花の都パリ・・・)しかし、昔から、その中心部を流れるセーヌ川が、幾度も氾濫し、町とそこに住む人々を苦しめてきた。
パリの水害は珍しいことではなく、その都度、人々は力をあわせて街を再建した。数十年まえには大きな都市計画が行われ、街の様子はいっそう華やかに、麗しくなったという。
ヨーロッパの、世界の経済と文化の中心地として、絢爛と輝く宝石のごとき都、パリは、しかしながら、いまなお洪水の危険と隣り合わせである。
セーヌ川が流れている限り、どうしたって水害という魔物から逃れることはできなのだ。
それでも、人々はパリを愛した。愛し続けた。
セーヌで生活をする船乗りたちは、ことさらにパリと運命を共にしてきた。セーヌを往来して貨物を運び、漁をし、生きてきた。だからこそ、パリが水害で苦しめられれば、なんとしても救おうと闘った。どんなときであれ、何度でも。
いつしか船乗りたちは、自分たちの船に、いつもつぶやいているまじないの言葉をプレートに書いて掲げるようになった。
― たゆたえども沈まず。
パリは、いかなる苦境に追い込まれようと、たゆたいこそすれ、決して沈まない。まるで、セーヌの中心に浮かんでいるシテ島のように。
洪水が起こるたびに、水底に沈んでしまったかのように見えるシテ島は、荒れ狂う波の中にあっても、船のようにたゆたい、決して沈まず、ふたたび船乗りたちの目の前に姿を現す。
そうなのだ。それは、パリそのものの姿。
どんなときであれ、何度でも。流れに逆らわず、激流に身を委ね、決して沈まず、やがて立ち上がる。
そんな街。
それこそが、パリなのだ。』(『 』「たゆたえども沈まず」より)

セーヌ川の水害復興から生じた”Fluctuat nec mergitur’’だが、そのセーヌ川のほとりのノートルダム大聖堂で発生した火災は、尖塔を崩壊させ、15時間たちようやく鎮火したようだ。

<「パリはもう元に戻れない」 ノートルダム寺院炎上に市民ら涙> 時事通信4/16(火) 5:13配信より一部引用
パリの観光名所ノートルダム寺院(Notre Dame Cathedral)で15日夕、大規模な火災が発生したことを受け、同市中心部では恐怖におののく市民や観光客が涙を流したり、祈りの言葉を口にしたりしながら火災の様子を見守った。
午後7時50分(日本時間午前2時50分)ごろ、寺院の尖塔上部が、屋根全体に広がった炎の中に崩れ落ちると、群集からは悲鳴が上がった。その直後に尖塔の残りが崩れ落ち、人々は再び息をのんだ。尖塔崩壊の様子は、数千人が携帯電話のカメラで撮影した。
友人から火災の情報を聞きバイクで駆けつけたフィリップさん(30代半ば)は「パリの美観が損なわれた。パリはもう二度と元には戻れない」と語った。ある女性は涙を流し、記者の質問に答えられないほど動揺していた。



今はあまりの衝撃に「もう二度と元には戻れない」と涙するパリっ子も、立ち向かうものが水であれ火であれ、必ずや’’Fluctuat nec mergitur’’と声を掛けあい立ち上がるに違いない。

たゆたえども沈まず 
祈っている









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あなたと一緒なら 愛

2019-04-08 12:58:51 | 
「紺碧の果てをつくる私たち」の末尾で、「紺碧の果てを造ろう」などと大上段に書いたが、新年度が始まり、新人君が配置され、疲れ果ててしまい、今年は近所の桜並木を歩くことすらないままに、桜の時期が終わろうとしている。

こんな状態でも、
読書する私のお腹で眠るのを楽しんでいたワンコが、本を読む楽しさ大切さを思い出させてくれたので、
ぼちぼち読んではいるんだよ ワンコ

ただ口内炎と腱鞘炎と眼精疲労のせいで報告書(感想文)が書きづらかったのだけど、
庭に咲く花にワンコを感じたから、
およそワンコらしくないタイトルの、ワンコお告げの本について記しておくよ (「lovelessはあるけれど」

「ラブレス」(桜木紫乃)

図書館で本書をお告げされた時には、タイトルを見て、あり得ないと思い書架に戻したんだよ
すると、本書が突然書架から飛び出て、私の足元に落ちたんだよ
たぶん、背中合わせに設置されてる書架の、背面の本を強く押し戻した人がいて、
それで、こちら側の本が押し出されたんだと思うのだけど、
ワンコが私めがけて飛ばした本は、これはもう読まないわけにはいかないね ワンコ

本の裏表紙の後書きより
「謎の位牌を握りしめて、百合江は死の床についていた──。彼女の生涯はまさに波乱万丈だった。道東の開拓村で極貧の家に育ち、中学卒業と同時に奉公に出されるが、やがては旅芸人一座に飛び込んだ。一方、妹の里実は地元に残り、理容師の道を歩み始める……。流転する百合江と堅実な妹の60年に及ぶ絆を軸にして、姉妹の母や娘たちを含む女三世代の凄絶な人生を描いた圧倒的長編小説。」

心震わせるような名言や人生訓が散りばめられている本ではないけれど、
ただ’’生きている’’、 それでも’’生きていく’’
そのことの重みは十分に感じさせてくれる本だったよ 
そして、
それが幸せだったのか不幸せだったのか、
それは当人にしか決められない、
しかも、最期の最期にしか当人にも決められない、ということはよく分かったよ

そういうこともワンコはお告げしたかったのかもしれないけれど、
それだけじゃぁないよね ワンコ

本書の最後の二行にくりかえされる、言葉

『だいすきよー。
 だいすきよー。』(「ラブレス」より)

この言葉を伝えるために、驚くような手法で本書をお告げしてくれたんだよね ワンコ

そんなふうに思いながら眺めていた庭に、
今年も年越しのペチュニアの花を見つけたんだよ
多年草だと知ってからは、温度管理など気を付けていたのだけれど、
これほど早い時期から咲いたことはないから驚いたよ


ねぇワンコ 
ペチュニアの花言葉は、「あなたと一緒なら心がやわらぐ」なんだよ
ワンコに、そう思ってもらえる人間だったかな?私は
そう思ってもらえる人にならないといけないね ワンコ

今月もお告げの本で色々教えておくれよ ワンコ

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