何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

ワンコのお告げは樹の上から①

2023-10-10 10:10:00 | 

かなり長い間、自分のブログにもかかわらず見ることもできないでいた。
忙しいのを言い訳にするのは自分の無能をさらけ出すようで嫌なのだが、忙しい。
そのせいもあり、ワンコのお告げの本を読めない月もあるが、今年も残すところ三カ月になってしまったので、少しばかり振り返っておこうと思う。

三月末から四月はじめ、毎朝心地よいリズムで目覚めていた。
はじめはそれが何の音か分からなかったのだが、ある日庭に出ると、ワンコの木から一羽の鳥が飛び立った。
キツツキだった。
見れば、きれいな穴を掘りつつある。

キツツキが住宅街にいることには驚いたし、キツツキが選ぶのは弱っている木や枯れかけた木らしいのでショックでもあったが、キツツキがそこで子育てし新しい命が育まれるならワンコも喜ぶだろうと、日ごとに綺麗な穴が大きくなっていくのを楽しみにしていた。

そんな頃にワンコがお告げしてくれた本が、なんと「猫のお告げは樹の下で」(青山美智子)だった。

青山美美智子氏の本を読んだことがなかったし、神社の樹の下でお告げされるなら狛犬もいるだけに「なんで犬のお告げでないのだろう」、ましてワンコの木に巣穴ができつつある今なぜに?などと思いながら、読み始めた。
本の帯のあらすじ紹介より
『失恋のショックから立ち直れないミハルは、ふと立ち寄った神社で、お尻に星のマークがついた猫―ミクジから「ニシムキ」と書かれたタラヨウの葉っぱを授かる。宮司さんから「その“お告げ”を大事にした方が良いですよ」と言われたミハルは、「西向き」のマンションを買った少し苦手なおばの家を訪れるが…。中学生の娘と仲良くなりたい父親。なりたいものが分からない就活生。家族をないがしろにした後悔する頑固おやじ。転校先でクラスに馴染めない男の子。20年来の夢を諦めるべきか迷う主婦。自分のしたいことに臆病になった占い師。なんでもない言葉をきっかけに、思い悩む人たちの世界がガラッと変わっていく―。猫のお告げが導く、7つのやさしい物語。』

本書の七編の小説の所々にでてくるフレーズから、ワンコが本書を強く推しているのを感じ読んでいたのだが、実は途中で放棄してしまった。
その理由が、これだ。

毎日毎日せっせと我が家の庭に通っては、文字通りコツコツ巣穴を作っていたのに、ある時を境に、朝の目覚めのツンツクが聞こえなくなった。
家人が注意深く見ていると、キツツキは電線や隣家の庭木からワンコの木を伺っているのだが、それでもワンコの木に近づこうとしない。
不思議に思っていると、ある休日その理由が分かった。
久しぶりにワンコの木にとまったキツツキめがけて、やせ細った白い猫が襲い掛かろうとしたのだ。
あっという間に木に登り飛びかかろうとした白猫から間一髪のところで逃げたキツツキは、もう二度と我が家へ巣穴を作りに来ることはなかった。

最近では野良猫を見かけることは少なくなったが、それでも時々我が物顔に庭をうろつく、猫。
キツツキに襲い掛かろうとした、猫。

子供の頃に大切に育てていたカナリアが猫にやられたことも思い出し、猫のお告げを読む気が完全に失せてしまった。

そうして放置して、作者の名前も忘れてしまった頃、またワンコがお告げしてくれたのが、8月のお告げ本「青と赤のエスキース」(青山美知子)だった。
自分のテリトリー的な本ではないが、なぜか何度か読み返してしまうのは、共感できる言葉が所々にあるからか、そんな言葉に共感する年齢になったからか。

『人生は何度でもあるって、そう思うの。
 どこからでも、どんなふうにでも、新しく始めることができるって。そっちの考え方の方が好き』
『ただ、人生は何度でもあるけど、それを経験できるこの体はひとつしかないのよね。
 だから、なるべく長持ちさせなきゃ』(『 』「青と赤のエスキース」より)

不思議な本だと思いながら表紙を見ていて気が付いた、あの時の本の作者だと。

そうして再度、「猫のお告げは樹の下で」を手に取った。

つづく、たぶん

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