あれっ? 今日の日付だけど、この記事はいつか読んだよなあ、と思っていたら、共同の配信記事でした。なっとく。
西武裏金調査委員長インタビュー 実名公表なら球界壊滅 夏の甲子園もできない (東京新聞 2007年5月4日 朝刊)
――実名公表は控えた。
「(中間報告までに調査委で)一致していた。公表したら夏の甲子園なんてできない。日本球界が壊滅しかねなかった」
――公表を求めるアマ側からの重圧は。
「感じていなかった。向こうも出さないと思って言っている。本当に出されたら困るのは彼ら」
<略>
――調査で驚いた点は。
「裏の常識がまかり通っていたのが第一。第二に『必要悪だ』と罪悪感が見られない。非はプロばかりにあるのではなく、アマにもおいしい汁を吸おうとする人たちがかなり存在することが分かった」
このブログでは「裏金」を扱うつもりはないのですが、特待生問題の発端は「裏金」でした。今まで高野連様は長く特待生を見過ごしてきたわけです。唐突に5月中の解約を迫る強硬姿勢には「裏」があると見るのはいたって自然です。
ライオンズ以外の分も含めて実名公表されたら、今回の騒ぎどころではありません。高校も大学も社会人も丸ごと謹慎状態です。アマ側が実名公表を求めているのは、ただのポーズにすぎないことぐらい、誰でもわかっていることです。
結果的には、特待生問題は「裏金」から話をそらす効果がありました。わざわざ共同通信が3日付で配信したのも意味ありげですが…。
(同)
――裏金撲滅に提言を。
「第一に制度改正。ドラフトは完全ウエーバーにすることで裏金がある程度阻止される。第二にアマ指導者の待遇改善。学生野球憲章も見直してもらわないと困る。あまりにも古過ぎる。いかに日本のプロ野球を魅力あるものにするか、みんなで知恵を絞らないと」
何をするにしてもお金はかかります。金をもらうことも金を出すことも、それだけなら悪いことではありません。新人選手の契約金に10億出せる資力があって、それだけの価値がある(投下資金を回収できる)と思うのなら出せばいいのであって、受け取る側も堂々ともらえばいいのです。
学生野球憲章で金をもらってはいけないと縛りを入れているために、全部が「裏」に潜ってしまうのです。「表」でやりとりすればいいのです。まあ、公立校の先生は地方公務員ですから直接もらうのは法的にNGとなるでしょうが、せめて学校に還元するシステムは必要でしょう。自分の懐に入れたい指導者は、それを認めてくれる私立でやればいいわけです。
「自衛隊は憲法違反だ。よって今月一杯で解散する。隊員は全員解雇だ」なんてことは、共産党や社民党でも言いません。衆議院が中選挙区制だった頃、いわゆる「1票の格差」をめぐって、たびたび違憲判決が下されました。だからといって、すでに実施された選挙が無効とされたわけではありません。
今回の強権発動は、「すでに締結された(違法ではない)契約を破棄せよ」というものでした。彼らがその根拠として振りかざしたのは、自分たちで埃を積もらせてきた古びた“経典”だったのです。
私はもしかすると、田名部氏は本気で実名公表を求めていたのではないかと考えています。
高校野球の崇高なる精神を汚す不逞の輩はいてもごく少数だから当然明らかにすべきで、まさかそれが常態化しているなどとは夢にも思っていなかったのではないでしょうか。
そのくらいの人でないと、高野連の最高幹部なんて務まらないと思うのですが。特待生問題での記者会見での涙は、あれは本気で裏切られたと思ったが故の涙なのではと。
牧野会長-田名部事務局長の時代には、裏で仕切っているのが田名部氏でも表に出るのはいつも牧野氏でした。
牧野氏の後任選びで脇村氏に白羽の矢を立てたのも、たぶん田名部氏でしょう。脇村体制は、実質的には田名部会長-脇村名誉会長です。
ですから、このブログのカテゴリーの序列は田名部氏を上にしてあります。
今回の件でよくわかりましたが、あとさきを考える(想定した着地点から逆算する)タイプの人ではないのでしょうね。
まあ、それで通用した組織なんでしょうけど…。例の高野連理事を兼ねる朝日の元運動部長あたりがサポートしないと、外に対してあまりにも盲目的な田名部氏だけでは今後の処理は難しいかもしれません。