さて、お待たせしている件について、お答えしましょう。その前に、例によって(しつこく)滝口氏の記事から、どうぞ。
特待制度:寮費減免など議論のポイント3項目提示 高野連
(毎日新聞 2007年5月24日 21時17分)
日本学生野球憲章違反とならない特待制度の基準を協議する「特待生問題私学検討部会」の初会合が24日、日本高校野球連盟で開かれ、日本高野連は議論のポイントとして3項目を提示した。
「学校教育活動の一環としての部活動の趣旨を損なわない制度」という前提を示した上で、(1)中学生募集段階の問題点(2)部活動参加者を対象とした容認できる制度の検討(3)寮費減免の是非--の3点を検討課題とした。寮費については、中学生を勧誘する際の「丸抱え」との批判もあることから項目に盛り込んだ。
<略>記者会見で日本高野連の田名部和裕参事は「私学の方から自主基準を提案していただいて、それが高野連の考えと一致するのであれば、それに越したことはない」と語り、私学側の意見を多角的に聴く考えを示した。
先のお尋ねは26日のものでした。すでに24日にこういう方向性が示されています。これを踏まえたうえでのご質問かどうかは判断できかねますが…。
私は寮生活をしたことがありませんが、寮の食費や光熱費は寮費に含まれていたり、別になっていたりするはずです。「(寮費はOKだが)食費はNG」と言われると、食費込みで寮費を徴収している学校は、食費相当額を別に算出しなければならなくなります。便宜上、食費を小さくする抜け道も考えられます。
まあ、それは置いても、食費と光熱費ぐらいは、いくら特待生といえども実費負担するのが筋というものでしょう。ここで悩ましいのは、寄付としての差し入れでしょう。寮の食費に関しては、(長期的な休みが入ることもあって)固定的に月額いくらと決まっているのではなく、実費相当額を請求することも多いと思われます。
「差し入れで全部賄えたので、今月の食費はゼロです。負担には及びません」なんて主張されるかもしれないわけです。結局、「食費NG」の縛りを入れたところで、さほど実効性はないような気がします。
もともと、今、問題視されていることは、公立高や名門私大がかつてやってきたこと(の発展形)です。ただ、公立高にはおのずと制約がありますし、すでにブランドを得た名門私大はほとほどの条件で生徒を集められます。南北問題にも似た側面もあるわけです。
かりに「寮費NG」や「寮費はOKだが食費はNG」の線引きをすると、今度は公立高にも話が及んでくる可能性があります。監督の自宅に下宿している部員がいるのは昔からのことです。その下宿代が適正かどうか誰がチェックできるというのでしょうか。これをやっていくと、がんじがらめで窮屈になるだけです。
もし「寮費はNG」という線引きした場合には、ほかにも問題が生じてきます。まず、寮費自体を格安に設定するという抜け道があります。また、第三者の自宅に下宿させるという形も抜け道としては有効かもしれません。このような抜け道が用意されてしまうなら、やはり実効性に欠けることになります。
いわば“赤線”として学校の管理下に置けば、高野連様の指導の範囲内です。高野連様が“赤線”を認めないという姿勢を貫くなら、逆に第三者の介在を許してしまって、手の届かないところに行ってしまうわけです。まあ、清廉潔白を旨とする高野連様に“赤線”を認めろと言うのも、相当無理がありますけど…。
で、結論として、寮費は別にしても食費や光熱費はNGであると私は考えますが、そのように決めたところで担保されるわけではありません。私学部会に丸投げするなら、今のうちに抜け道も探しておけよと言っているようなものです。
まあ、高野連様としては(表向きなくなれば)それでいいのでしょうから、この「落としどころ」は真剣に考えるようなことでもないわけです。本気で取り組む気があるなら、「多角的に聴く」のではなく、私学側と直接対決しなければならないはずです。
ご質問では、これが「問題の本質」であり「最終着地点」とのことでしたが、私の認識はまるで違います。これは瑣末な問題です。
「小遣い」に関しては、また扱う機会もあるでしょうが、どの程度の額が誰に支払われていて、これを「採用」している学校がどの程度あるのか、まったく実態がわかりません。高野連様が示した3項目の中にも入っていません。私に見解を求めるより高野連様に具申されるほうがあなたの望む方向に展開するのではないでしょうか。
今回の件で、高野連様の評判が悪いのは手順に誤りがあるからです。まず実態を把握して、それに基づいて基準を示し、従わないなら処分を下す、という段階を踏んでいけば、「学費捻出のためのカンパ」なんてこともしなくて済んだわけです。これほどの教材があるのに、同じ愚を犯す必要はありません。雲をつかむような話では(結果的に)的を外した議論にしかなりません。
> 寮の食費は「抜け道だらけ」で特定できないんだそうな
「食費」込みで「寮費」を徴収しているなら、特定は困難です。
> 「行き過ぎを感じている」のは救いだが
私は「行き過ぎ」との表現は用いていません。勝手にカギカッコをつけられるのは迷惑です。
> この「問題の本質」は「行き過ぎの是正」であり、どうすればエスカレートした問題を解決できるかが焦点のはずだ
前半部分は了としますが、後半部分については「寮の食費」と「小遣い」を制限して解決できるとは思えません。私はこれらを制限した場合の問題点を(不十分ながらも)指摘したのですから、制限を加えるべきと主張されるのであれば、ご自分で肉づけしていく必要があるでしょう。俗に言われる「差し入れ」との区別をどうするのか、という点ですね。この点に関しては、私はボールを投げ返したのですから、発展的な議論を展開するには、何をなすべきかおわかりのはずです。
> 「高野連叩き」に専心したいのがこの人にとっての「問題の本質」であり
ご覧頂いているみなさんの評価にお任せしますが、高野連様を叩いたところで問題は解決しませんね。どのみち高野連様だけで解決できる問題ではないと再三申し上げているはずです。8000人を犯罪者呼ばわりした田名部氏と脇村氏は、それに対する謝罪の言葉もないのですから、すくなくともその1点において今後も責任は追及されるべきです。
> 愉快犯の資質すら漂う
お褒めに預かり、とても光栄に存じます。ちなみに、私の卒論は「かい人21面相」事件でした。私に「愉快犯の資質」を認めるなら、それを指摘することはまったく逆効果であって、むしろ愉快犯の思う壺です。なにしろ「私はこのブログでは徹底的に悪趣味を貫くつもりです」と、すでに宣言しています。
> 高野連をなじるだけの人もあれば、まじめに健全化を考える人もいる
そうでしょうね。異議はございません。
> この人、何を言ってもダメみたい。
あなたの(これまでの)論理では、誰に言ってもダメでしょうね。なんなら、よそを当たってみてはいかがでしょうか?
お小遣いは「噂の域」だから「制度上の名目には存在しない」と臭いものにフタをし。
寮の食費は「抜け道だらけ」で特定できないんだそうな。
わずかに「NG」と表現しており「行き過ぎを感じている」のは救いだが。
この「問題の本質」は「行き過ぎの是正」であり、どうすればエスカレートした問題を解決できるかが焦点のはずだ。
しかしこの人、その微塵すら感じない。それはひたすら「高野連叩き」に専心したいのがこの人にとっての「問題の本質」であり、論点など噛み合うはずもない。
コメントをあげつらい、自分に都合のよい論理を用いて揶揄する姿勢は、愉快犯の資質すら漂う。
世の中には、高野連をなじるだけの人もあれば、まじめに健全化を考える人もいる。
権兵衛がタネ蒔きゃカラスがほじくる。作る人あれば、潰す人あり。
この人。なにを言ってもダメみたい。