坂出の３人殺害：死刑判決 「３人に報告できる」 判決後、姉妹の父語る ／香川（毎日新聞） - Yahooニュース
3月17日17時3分配信 毎日新聞
１６日、高松地裁であった、一昨年１１月の坂出市で起きた３人殺害事件の判決。「犯行は執ようかつ残虐きわまりない」。大きな注目を浴びる中、菊池則明裁判長は、川崎政則被告（６３）に死刑を言い渡した。【大久保昂、吉田卓矢、矢島弓枝、松倉佑輔】
被告人を死刑に処する－－。菊池裁判長が主文を読み上げると、殺害された姉妹の父親、山下清さん（４４）は目を固くつぶり、祈るように手を合わせた。一方、川崎被告は証言台の前で直立したまま判決を聞き、ほとんど表情を変えることなく退廷した。
川崎被告はこれまでの公判と同じく、赤色の上着姿。傍聴席に手を合わせて軽く一礼してから入廷した。弁護人が依頼したボランティアの女性に補聴器を付けてもらうと、「度々補聴器をありがとう。今日は裁判官の話をしっかりと聞かないといけないから」と述べた。
一方、山下さんは妻（３５）と傍聴した。初めて傍聴に訪れた妻は、殺害された３人の遺影を抱きかかえ、殺害時の描写が読み上げられる度、ハンカチで涙をぬぐった。
菊池裁判長が判決を読み終えると、川崎被告は一礼して被告人席に戻り、表情を変えることはなかった。退廷前、山下さんの妻は３人の遺影に「死刑判決が出たよ。私たちの望んでいた判決が出たよ」と静かに語りかけた。
◇「家族は元に戻れない」
●遺族会見
判決後山下さんが高松市内で会見。「これで（亡くなった）３人が少し報われる。家族は元に戻らないけれど、堂々と３人に報告できる」と話した。事件から判決までの約１年４カ月は「世間は冷たかった。さらし者になって生きてきた」と振り返った。
裁判員制度を見据え、連日の裁判となったことについては「つらかった。でも、その分（川崎被告に）早く判決が言い渡されると思うと僕は頑張れました」と話した。２人の娘への思いを聞かれると「どんな人と結婚して、どんな仕事に就くのか。悩んだり、恋をしたりする楽しみもあった。そんな話も、もうできない」と悲痛な表情で語り、会見の最後には、多くの報道陣を前に「犯人を作らないで、犯人が出てこられる記事を書いて下さい。犯人にされた人間がどれだけつらいか、分かって下さい」と語った。 川崎被告の弁護側が控訴したと聞き、「するでしょうね。でも３人を殺した事実は曲げられない。私は信じています」と話した。
●弁護側
判決後、川崎被告の弁護人は控訴の理由について「量刑が不当ということしか言えない。再度控訴審で判断してもらいたい」と述べた。
●検察側
判決後、高松地検の玉置俊二次席検事は「３人の命が無残に奪われた事件の重大性と犯行の悪質性、遺族の怒りと悲しみを裁判所が的確に評価した」などとコメントを出した。
●大きな注目
高松地裁には傍聴券（４９枚）を取るために計４９６人が並んだ。地裁前には「庁舎内警備中」の横断幕が掲げられ、警察官が警備にあたった。並んでいた高松市の女性（２９）は「被告には人を殺した罪を償ってほしい。被告のためにも、遺族のためにも裁判が長引かずに終わるといいと思う」と話した。
◇刑事法の専門家に聞く
５月に始まる裁判員制度を見通しながら、今回の裁判について、少年事件に詳しい国学院大の沢登俊雄名誉教授（刑事法）に聞いた。
◆
今回の裁判で死刑か無期懲役かを分けるポイントは「犯行当時に被告人が心神耗弱状態だったかどうか」の１点だけだった。弁護人が「被告人は１５歳程度の知能だから、少年法を準用して死刑を回避すべき」と主張したのには無理があった。死刑になるような凶悪犯罪を犯す人物には、大なり小なり幼稚な面があると考えられ、知能年齢の低さが死刑回避の理由になれば、多くの凶悪犯が死刑を免れることになってしまうからだ。裁判員制度では、裁判員たちがこうした無理な主張に惑わされないよう、裁判官が説明をする必要があるだろう。
３月１７日朝刊
3月17日17時3分配信 毎日新聞
１６日、高松地裁であった、一昨年１１月の坂出市で起きた３人殺害事件の判決。「犯行は執ようかつ残虐きわまりない」。大きな注目を浴びる中、菊池則明裁判長は、川崎政則被告（６３）に死刑を言い渡した。【大久保昂、吉田卓矢、矢島弓枝、松倉佑輔】
被告人を死刑に処する－－。菊池裁判長が主文を読み上げると、殺害された姉妹の父親、山下清さん（４４）は目を固くつぶり、祈るように手を合わせた。一方、川崎被告は証言台の前で直立したまま判決を聞き、ほとんど表情を変えることなく退廷した。
川崎被告はこれまでの公判と同じく、赤色の上着姿。傍聴席に手を合わせて軽く一礼してから入廷した。弁護人が依頼したボランティアの女性に補聴器を付けてもらうと、「度々補聴器をありがとう。今日は裁判官の話をしっかりと聞かないといけないから」と述べた。
一方、山下さんは妻（３５）と傍聴した。初めて傍聴に訪れた妻は、殺害された３人の遺影を抱きかかえ、殺害時の描写が読み上げられる度、ハンカチで涙をぬぐった。
菊池裁判長が判決を読み終えると、川崎被告は一礼して被告人席に戻り、表情を変えることはなかった。退廷前、山下さんの妻は３人の遺影に「死刑判決が出たよ。私たちの望んでいた判決が出たよ」と静かに語りかけた。
◇「家族は元に戻れない」
●遺族会見
判決後山下さんが高松市内で会見。「これで（亡くなった）３人が少し報われる。家族は元に戻らないけれど、堂々と３人に報告できる」と話した。事件から判決までの約１年４カ月は「世間は冷たかった。さらし者になって生きてきた」と振り返った。
裁判員制度を見据え、連日の裁判となったことについては「つらかった。でも、その分（川崎被告に）早く判決が言い渡されると思うと僕は頑張れました」と話した。２人の娘への思いを聞かれると「どんな人と結婚して、どんな仕事に就くのか。悩んだり、恋をしたりする楽しみもあった。そんな話も、もうできない」と悲痛な表情で語り、会見の最後には、多くの報道陣を前に「犯人を作らないで、犯人が出てこられる記事を書いて下さい。犯人にされた人間がどれだけつらいか、分かって下さい」と語った。 川崎被告の弁護側が控訴したと聞き、「するでしょうね。でも３人を殺した事実は曲げられない。私は信じています」と話した。
●弁護側
判決後、川崎被告の弁護人は控訴の理由について「量刑が不当ということしか言えない。再度控訴審で判断してもらいたい」と述べた。
●検察側
判決後、高松地検の玉置俊二次席検事は「３人の命が無残に奪われた事件の重大性と犯行の悪質性、遺族の怒りと悲しみを裁判所が的確に評価した」などとコメントを出した。
●大きな注目
高松地裁には傍聴券（４９枚）を取るために計４９６人が並んだ。地裁前には「庁舎内警備中」の横断幕が掲げられ、警察官が警備にあたった。並んでいた高松市の女性（２９）は「被告には人を殺した罪を償ってほしい。被告のためにも、遺族のためにも裁判が長引かずに終わるといいと思う」と話した。
◇刑事法の専門家に聞く
５月に始まる裁判員制度を見通しながら、今回の裁判について、少年事件に詳しい国学院大の沢登俊雄名誉教授（刑事法）に聞いた。
◆
今回の裁判で死刑か無期懲役かを分けるポイントは「犯行当時に被告人が心神耗弱状態だったかどうか」の１点だけだった。弁護人が「被告人は１５歳程度の知能だから、少年法を準用して死刑を回避すべき」と主張したのには無理があった。死刑になるような凶悪犯罪を犯す人物には、大なり小なり幼稚な面があると考えられ、知能年齢の低さが死刑回避の理由になれば、多くの凶悪犯が死刑を免れることになってしまうからだ。裁判員制度では、裁判員たちがこうした無理な主張に惑わされないよう、裁判官が説明をする必要があるだろう。
３月１７日朝刊
裁判そのものにも色々考えてしまうが、それよりもマスコミってなんなの？と思ってしまう。
このニュースにしても山下さんの
「犯人を作らないで、犯人が出てこられる記事を書いて下さい。犯人にされた人間がどれだけつらいか、分かって下さい」
をさらっと書いてるけど、この言葉って、この事件のもう一つの重要な問題点だと思う。
最後は裁判員問題に絡めてるけど、それよりも事件当初のマスコミの山下さんに対する扱いの方が重要な問題だ。けっして「しょうがない」とか「不可抗力」とかの言葉じゃ片づけてはいけない。
