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浪江町ADR 東電は約束通り和解を

2014-05-29 07:17:40 | 原発

          東京新聞より転載

社説

浪江町ADR 東電は約束通り和解を

 町全体が強制避難を強いられた浪江町は、福島第一原発から多くは二十キロ圏にあり、高線量の地域が多い。

 古里や地域のつながりから引き離されて生きる精神的苦痛への慰謝料について、国の賠償指針は十万円と定める。これは交通事故の慰謝料を参考にしており、避難生活で増える生活費の補填(ほてん)分も含む。純粋な慰謝料ではない。

 昨年五月、町が代理人となって原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)に対して行った、慰謝料増額の申し立ては、国の指針の正当性を正面から問うた。

 町民の七割を超える一万五千人が参加した。一人一人が個別で救済を求めるには限界があるのを、町の団結で突破しようとした。

 ADRは、未曽有の原発事故がもたらした被害の賠償を、煩雑な裁判によらず解決を図る政府機関だ。開設からの三年弱で一万一千四百件の申し立てがなされたが、浪江町の件は、この解決の枠組みが機能したといえるだろう。

 和解案は住民の苦悩が時間とともに軽くなるどころか、一層強くなっているのを認めた。慰謝料が国の基準では不十分だと判断し、町側が主張した「一律増額」も一部だが認められた。

 事故から三年、全国に避難した住民が、再び町に戻って生活を再建するには困難が多すぎる。国の指針にも限界が見える。いま一度、被害の実態をとらえ直し、賠償のあり方を考えていくべきだ。

 申立人はこの一年間で百七十七人が他界した。古里に戻れないままの死は無念だっただろう。

 「働きづめのあとに、やっと訪れた穏やかな生活は原発事故で壊れた。生きてる間に浪江町には戻れないでしょう」。福島市の仮設住宅に一人で暮らす佐々木健子(たけこ)さん(79)は涙ぐむ。自宅で長男家族と四人暮らしだったが、事故で離散した。寂しさが募り、睡眠薬を手放せなくなった。

 和解案に強制力はない。しかし、東電は今年一月、政府が同社の事業計画を認める際に、損害賠償を迅速に終わらせるため「和解案を尊重する」と約束した。

 早期決着を求める被災者の切実な声を拒むことは許されない。

 和解案を受け入れ、一刻も早く解決に協力すべきだ。

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