有志舎の日々

社長の永滝稔が、 日々の仕事や出版・学問などに関して思ったことを好き勝手に 書いていきます。

2019年、年頭にあたって

2019-01-03 13:06:05 | 出版
明けましておめでとうございます。
有志舎の社長・永滝稔です。
昨年末は、「紀伊國屋じんぶん大賞2019 読者と選ぶ人文書ベスト30」のラインナップを見て、いかに歴史書が人文書好きの読者・書店員に認められていないかという現実に打ちのめされました。

30点のなかで、歴史書といえるのは鈴木董さんの『文字と組織の世界史―新しい「比較文明史」のスケッチ』(山川出版社)くらいでしょう。
その前年のラインナップにも歴史書と呼べるようなものは少なかったので、歴史書出版社・編集者と歴史学研究者は真剣に反省して、逆襲していかないと。

もちろん、「こういう賞だけが全てではない」という意見もあるでしょう。
しかし、このラインナップが人文書を読むというコアな読者とプロの書店員の意見だということは真剣にうけとめないといけない。
著者・編集者が自己満足的になってしまってアカデミズムの中の評価だけを気にして現代生活世界と遊離してしまっていないか、「井の中の蛙」になっていないか、ということを辛いけれど根本から反省していかないと、歴史書の衰退は免れない気がします。
読者におもねるのではなく、読者の知的飢(かつ)えをきちんと満たし得て始めて学術書としての意味がある。
今のままの歴史書ではダメだということ、これだけは確実だと思うのです。
今年からは、そういう反省のもと、新しい歴史書の在り方を考えていきたいと思います。
宜しくお願い致します。

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