台湾のドキュメンタリー映像制作チームが、昭和10年代に高円寺に生きた台湾人作家・翁鬧(おうどう)のドキュメンタリー制作のため高円寺に滞在されて一ヶ月、撮影がクランクアップしたということで、昨日はコクテイル書房にて簡単な慰労会をしました。
何と彼らは、高円寺在住になるたくさんのご老人を芋づる式に紹介をしてもらったりして訪ねあるき、戦前(昭和10年代)の高円寺について証言をとって廻ったということです。
そして、昭和10年代における高円寺(南半分)の詳細な地図を書き上げていました。
そこには八百屋・自転車屋・カフェ・氷屋・炭屋・市場・映画館といった家々が軒を連ね、「自転車屋(●●さん)」と主人の名前までわかったところも多い。
本来なら郷土博物館がやるような仕事を台湾人の若き映像チームがやってくれた事に、驚きと尊敬と、地元の人間として少しの恥ずかしさをもって感謝したいと思います。
彼らは、たくさんのご老人に会って話を聞いたそうですが、その老人方も「数十年ぶりに親父・おふくろのことや昔の高円寺の町並みを思い出した」と言ってくれたそうで、中にはインタビューが終わったあと、久しぶりに両親との生活を思い出して眠れなくなってしまった方もいたそうです。
それを聞いて、コクテイルのマスター・狩野さんが、「こういう事が本当の「慰霊」ってことなんじゃないですかね。しばらく忘れていた今は亡き両親・祖父母のことを、ご老人方がみんな思い出したわけで、これって死者たちが100年近い時間を隔てて久しぶりに甦って家族の元に還ってきたってことなんじゃ。リンさん(台湾のディレクター)たち、素晴らしいことをされたんじゃないですか」と。
まさしくその通りだなあと思ったのです。狩野さん、さすがの感性です!
そのとき、私の頭のなかでは、中島みゆきの名曲「時代」が鳴っていたのでした(笑)。
夏までには台湾のテレビで公開され、そのあとは高円寺でも上映会を行いたいと言っていただきました。
とっても楽しみです。
私のインタビューも少し入るみたいです。嬉し恥ずかしです。