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有志舎の日々

社長の永滝稔が、 日々の仕事や出版・学問などに関して思ったことを好き勝手に 書いていきます。

シリア難民キャンプの子どもたちに、絵本を贈るプロジェクト

2015-12-22 13:04:13 | 本と雑誌
有志舎と提携している「本が育てる街・高円寺」プロジェクトでは、
難民支援団体「サダーカ(友情)」
を通して、シリア難民キャンプの子どもたちに、絵本を贈るプロジェクトを始めました。みなさんの家に眠っている絵本のご寄贈をお願い申し上げる次第です。
戦乱にうちひしがれている子どもたちに少しでも笑顔になってもらえたらと思い、「本が育てる街・高円寺」と「サダーカ」が連携しました。
詳しくはFacebook添付画像のチラシをご覧下さい。
小さくて読めないかも知れませんが、一応チラシの写真をここにも載せておきます。

〔送り先〕 
「本が育てる街・高円寺」
〒166-0002 東京都杉並区高円寺北3-8-13、コクテイル気付
tel:03-3310-8130
なお、すいませんが送料は皆さんにご負担願います(着払いはご勘弁ください)。
パッケージする際には、封筒または箱に「シリアの子どもたち絵本」とご記入ください。

〔問い合わせ先〕 
「本が育てる街・高円寺」スタッフ 角取明子(かとりあきこ)
 meme551102@icloud.com

「本が育てる街・高円寺」のHPがリニューアルされました

2015-12-20 09:28:15 | 本と雑誌
「本が育てる街・高円寺」プロジェクトのホームページがリニューアルされました。
このプロジェクトは、東京の高円寺(杉並区)を拠点に、本を通してコミュニティの絆を作り直そうという試みで、今年から本格的に始まりました。
単なる商店街振興のような「街おこし」ではなく、オルタナティヴな「街おこし」を目指していきたいと思います。詳しくは、ホームページの「本が育てる街・高円寺 の育て方」をご覧下さい。

このプロジェクトのリーダーは、高円寺で「古本酒場コクテイル」を営む狩野俊(かりの すぐる)氏ですが、その志に感銘を受けた10名前後の役員(全員ボランティア)が実働を担っています。メンバーは、ライブハウス経営者・カフェおよびギャラリースペース店主・版画家・映像プロデューサー・ITコンサルタント・音楽家・大学院生など多士済々です(全員、無類の本好き)。
高円寺生まれ・高円寺育ちで、いまも高円寺に住んでいる私・永滝も役員として参画させてもらっておりますし、有志舎も出版社として全面協力しております。

メンバー全員、本が持っている「知の力」「言葉の力」で、高円寺から日本と世界を変えていきたいと意気込んでおります。
リーダー曰く、「資本主義から知本主義へ!」です。
応援、よろしくお願い致します。

今後、様々な本に関するイベントを企画中ですので、皆様のご参加をお待ちしております。
また、ご協力いただけるボランティアの方を募集する予定もあります。その時にはこのFBでもお知らせ致しますので、よろしくお願いします。



「本が育てる街・高円寺」のホームページができました

2015-11-12 11:00:29 | 本と雑誌
私も参加している「本が育てる街・高円寺」のホームページができました。
このプロジェクトでどういう事をやりたいのか、第一弾の企画書が載っています。
ご覧いただけると有り難いです。
「棚咲かせ隊」と「棚育て隊」とが混在しているなど、用語がまだ不統一ですが、お許しを。
一応、「棚咲かせ隊」が正式名称候補だったと思います。

「高校生の読書に関する意識等調査」報告書が素晴らしい!

2015-07-04 08:35:53 | 本と雑誌
「高校生の読書に関する意識等調査」報告書(平成27年4月16日)。このウェブサイトの一番上にあります
株式会社浜銀総合研究所が実施した調査の報告書です。
今まで印象論ばかりが目立っていた読書意識の具体的な調査データと分析なので、本に関わっているすべての人にとって意味あるものだと思います。
個人的に気になった「分析」の部分だけ抜粋します。

・読書量は小学校高学年までは増加するが、その後中学校・高校では減少傾向にある。高校生になってから、本を読む時間・冊数ともに「減った」との回答は半数以上となっており、高校生のなかには、「以前は本を読んでいたが高校生になって本を読まなくなった」という生徒が多いのではないかと考えられる。

・生徒・保護者・学校(教員)のそれぞれの回答結果から、保護者や教員は高校生の読書について、多様な人の考えに触れ、視野を広げるといった効果を期待している人の割合が高いことがわかる。他方で、生徒自身は「楽しむ」こと、「気分転換すること」を読書の効果として認識している人の割合が高く、認識にギャップがあるのではないかと考えられる。

・全体の約6 割の生徒は、年間を通じて、学校図書館(図書室)や地域の図書館をほとんど利用していない。だが、「書店・古書店」については6 割以上の生徒が月に1 回以上利用しており、現状として、高校生が本に触れる場所としては書店・古書店が最も多くなっていることがうかがえる。
 読書をする高校生の6 割以上は、書店で見て気になった本を手にしており、高校生が本を選ぶ場所としては書店が最も一般的であることがうかがえる。家の近くや通学路の途中に地域の図書館や書店・古書店がない生徒では、不読率が高いほか、読書が好きと回答する割合が低く、これらから、地域の環境が生徒の読書に関する行動面・心理面に及ぼす影響も小さくはないのではないかと推察される。

・学校図書館の蔵書数が多い学校の生徒や年間の図書購入費の額が多い学校の生徒では不読率が低くなっており、学校図書館の整備状況と読書冊数との間には一定の関連性があることがうかがえる。学校図書館の環境整備と生徒の読書量・読書習慣との関係性について、生徒自身の主観による「使いやすさ」と、読書量との関係について見ると、学校図書館を使いやすいと思うかについて「とてもそう思う」と認識している生徒では不読率が低く、「そう思わない」と認識している生徒では不読率が高くなっている。生徒の読書冊数を増やしていくためには、学校図書館について、蔵書数等の充実だけでなく、生徒によってより「使いやすい」と思われるように整備をしていくことが重要であると考えられる。司書教諭や学校司書の配置等も含めた学校図書館環境の充実度合いは、生徒が学校図書館を活用する度合いと関連性があると考えられる。

・読書推進に関する各種の取組について、実施している学校(学級)の生徒では「特段実施していない」学校に比べて生徒の不読率は低くなっている項目が多く、これらの取組を推進している学校では、本を読まない生徒に対する働きかけ等がうまくなされているのではないかと推察される。

・保護者が1 か月間に本を読んだ冊数別に、その家庭の生徒の読書冊数を見ると、保護者が読んだ本の冊数が「0 冊」の場合、生徒が1 か月に読んだ本が「0 冊」の割合(不読率)は53.2%
であった。同様に、保護者が読んだ本の冊数が「1 冊」の場合には生徒の不読率は48.5%、「2冊」の場合には不読率は41.7%、「3 冊以上」の場合には不読率は38.0%と、保護者が本を多く読む家庭の生徒のほうが不読率は低くなっている

まとめの部分では以下のようにあります。
・学校図書館を充実させたり、地域の図書館等の利便性を高めたりすることは、現在読書をあまりしない生徒に対する効果は限定的である可能性がある。
・ただ、そのようななかでも、勉強や部活動等で忙しい生徒に対しては学校内・教室内で本を読むような取組・環境整備をすすめていくことがより重要であると考えられる。また、読書以外の活動時間が長い生徒に対しては、高校生が好む本を身近な場所に置くことや、低価格で手に入る本もあることを紹介していくような取組が求められるのではないかと考えられる。
・ 「文字を読むのが苦手だ」「読みたいと思う本がない」「読む必要を感じなかった」「普段から本を読まない」の理由を回答した生徒は本を読まない生徒の約7 割、また、これらの理由のみを挙げた生徒は、本を読まない生徒の約4 分の1 となっている。これらの生徒に対しては、まずは興味を持たせるために、高校以前の段階も含めた取組・方策が必要になるのではないかと想定される。また、これらの生徒に対しては、導入として、文字が少ない、「堅苦しくない」本を紹介していくことも有効になるのではないかと考えられる。

ジャン=リュック・ナンシーの新著『思考の取引-書物と書店と-』

2014-09-16 14:06:44 | 本と雑誌

私の地元・高円寺にある「古本酒場コクテイル」マスターの奥様である西宮かおりさんが翻訳した哲学者ジャン=リュック・ナンシーの新著『思考の取引-書物と書店と-』(岩波書店、本体1900円)が刊行されました。書籍と書店の意味を現代思想から分析した本です。「書物・書店を哲学する」って日本ではちょっとないですよね(あったかな?)。
実は、西宮さんは東大大学院の出身で、哲学・表象文化論の小林康夫さんのお弟子さんなんですよ。「コクテイル」が持つ文化性はこういう所からも醸し出されているのかもしれません。
あ、別に東大だからエライというわけではなく、そんなことご本人はお店では絶対言いませんし。むしろ、そういう風には見せないで、マスターと口喧嘩しながら店をきりもりしている奥さんが(ただ、最近は子育てがいそがしいのか、店にはあまり来られませんが)、普通にフランス現代思想の翻訳家って。少なくとも、私は最初に聞いたとき驚きましたから。

この本の中の一節を引用します(一部、表現を分かりやすく繋いであります)。...
「(書物とは)それ自体完全にして十分な思考であって、情報や表象、あるいは想像の手段などではありえない」
「(書店主・書店員とは)書物の商人ではない。超越論的な読者である。顧客たちは彼(彼女)から購入した書物の読者であると同時に、彼の読書の読者なのだ。彼らの読書は「選択」としての(「選択」という名の)読書なのだ。自ら心に抱くイデアに従い、勧めるべき書物についての考えを選り取り、選り抜き、拾い集めていく行為なのである。」

有志舎も、「完全にして十分な思考」に値する書籍を頑張って出していきたいと思います。
ジャン=リュック・ナンシー著・西宮かおり訳『思考の取引-書物と書店と-』、是非ともお買い求め下さい。

https://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/3/0259900.html