僕らが出会ったとき、君は、まだほんの小さな女の子だった。
ママに手をひかれ、チョコチョコ歩く君を
ボクは毎日、ウィンドウ越しに見ていたんだ。
そして、ある日、キミと目があった。
キミはママの手を離れ、小さな手をボクに向けた。
そんな日が数日続いた後、カランコロンと鳴るドアからキミとママ。
キミは真っ先に、ボクの前に駆けてきて、抱きしめてくれたね。
少し日焼けしたボクを見て、ママは「別の子にしたら?」って言ったけど、
キミはボクがいいって言ってくれたの覚えてる?
あれから何年経ったのかな?
小さかった君はママと同じくらいに背が伸び、
ボクの名前を呼んだ唇からは好きな男の子の名前がこぼれる。
キミの一番の友達だったボク、
ボクの全てだったキミ。
ボクの役割は終わっちゃったみたいだけど・・・
ううん、
キミが小さかった頃の思い出を語るとき、
そこにいたボクを忘れないでいてほしいんだ。
ううん、たまにでいい、思い出して。
その時、キミが優しい気持ちになれることが
ボクたちの最後の役割だと思うから。