空のものがたり

雲の造形、風のいたずら、注がれる光、
そんな空の一角を撮ってみました。
一緒に楽しんで頂けたら、うれしいな♪

ボクを忘れないで。

2009年08月05日 | ちょっとしたお話


 
僕らが出会ったとき、君は、まだほんの小さな女の子だった。

ママに手をひかれ、チョコチョコ歩く君を

ボクは毎日、ウィンドウ越しに見ていたんだ。

そして、ある日、キミと目があった。 

キミはママの手を離れ、小さな手をボクに向けた。

そんな日が数日続いた後、カランコロンと鳴るドアからキミとママ。

キミは真っ先に、ボクの前に駆けてきて、抱きしめてくれたね。

少し日焼けしたボクを見て、ママは「別の子にしたら?」って言ったけど、

キミはボクがいいって言ってくれたの覚えてる?

 

あれから何年経ったのかな?

小さかった君はママと同じくらいに背が伸び、

ボクの名前を呼んだ唇からは好きな男の子の名前がこぼれる。

キミの一番の友達だったボク、

ボクの全てだったキミ。

 

ボクの役割は終わっちゃったみたいだけど・・・

ううん、

キミが小さかった頃の思い出を語るとき、

そこにいたボクを忘れないでいてほしいんだ。

ううん、たまにでいい、思い出して。

その時、キミが優しい気持ちになれることが

ボクたちの最後の役割だと思うから。

 

 

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