「そうか」
そう言って、静かに目を閉じる。
相変わらず必要最低限のモノしかない、とても簡素な部屋。
そこの主でもある黒衣の友に、私は全てを・・・。
否。
物語の結末を告げたのだった。
無言無言無言。
目を閉じたままの目の前の友は、黒い彫像のようだ。
だが彫像ではない証のよう僅かに肩が上下している。
私は冷め切ってしまった紅茶の入ったマグカップを両手の中で玩ぶ。
視線は外に向けた。
窓が開いている。世界は秋に染まっているようだ。
そりゃそうだ。声には出さなかったが一人納得し苦笑する。
「そうか」
一体どれほどまどろんでいたのか定かではないが、もう一度友はそう言った。
再び無言無言無言。
もしここに第三者がいたら、大変奇異に思うのかもしれない。
二人の人間が居て、面と向かい合っているのに、
会話は皆無。
一人は目を閉じ微動だにしない。
一人は完全に呆けている。
それでも私達は友達なのだ。他の誰よりも。
会話で繋がる友もありだろうと思う。でも、会話が全くなくても繋がる事もあるのだ。
マイナーかな?
そんな事も思う。
どうでもいいや。
とも思う。
私は気まぐれなのかもしれない。
「おまえが・・・」
そして友は目を開き、斯く語る。
「おまえが可笑しな事を言わなければ、私が動いていたのかもしれない」
でしょうね、私は声を発しない。
「止めた・・・だろうか?」
私への問い。
「止めないでしょうね」
私の答えは素っ気無い。
ほんの少しの間・・・・・・。
「何故?」
この問いは少々難解である。そもそも何に対しての『何故?』なのか前後の文脈が抜けている。
でも、私には理解できてしまうのだ。だから誰よりも友達なのだ。
「ポリースメ~ンに、おロープ頂戴は、イヤだったので・・・じゃ、ダメ?」
無言無言無言。
だが、目は見開かれたままだ。
出逢った頃よりも剣が取れているとは言え、まだまだ友の眼光は鋭い。
「正直分かりません」
私は苦笑しながら本心を素直に語る。
「何ででしょうね?あの時は絶対的な好条件でしたけどね~」
私は冷たい紅茶を一口啜る。
「ほんとに・・・何ででしょうね?絶対・・・絶対持って行こうと決めてたのにね」
悔恨、もしくは懺悔なのか?涙が出そうだ。
視界の端に何かが映る。
カーテンが風でふぅわりと立ち上がる。
私は窓の外を見た。
あたたかいな。自然とそう思った。
大丈夫。私は今ここに居る。
不意にそんな思いが湧き上がる。それでもまだ涙が出そうだった。
友に顔を向けると、目線が微妙に私を捉えていない・・・ように感じた。
それに気が付いたのか、すぐにいつもの鋭さに戻る。
ダメだ、泣きそう。
「じゃね。サイ」
短くそう言って席を立つ。
「さよなら。ディー」
友の返事も短かった。
外にでる。
今日は秋晴れ、天も高い。
その蒼の下。
私は声を殺して泣いた。
そう言って、静かに目を閉じる。
相変わらず必要最低限のモノしかない、とても簡素な部屋。
そこの主でもある黒衣の友に、私は全てを・・・。
否。
物語の結末を告げたのだった。
無言無言無言。
目を閉じたままの目の前の友は、黒い彫像のようだ。
だが彫像ではない証のよう僅かに肩が上下している。
私は冷め切ってしまった紅茶の入ったマグカップを両手の中で玩ぶ。
視線は外に向けた。
窓が開いている。世界は秋に染まっているようだ。
そりゃそうだ。声には出さなかったが一人納得し苦笑する。
「そうか」
一体どれほどまどろんでいたのか定かではないが、もう一度友はそう言った。
再び無言無言無言。
もしここに第三者がいたら、大変奇異に思うのかもしれない。
二人の人間が居て、面と向かい合っているのに、
会話は皆無。
一人は目を閉じ微動だにしない。
一人は完全に呆けている。
それでも私達は友達なのだ。他の誰よりも。
会話で繋がる友もありだろうと思う。でも、会話が全くなくても繋がる事もあるのだ。
マイナーかな?
そんな事も思う。
どうでもいいや。
とも思う。
私は気まぐれなのかもしれない。
「おまえが・・・」
そして友は目を開き、斯く語る。
「おまえが可笑しな事を言わなければ、私が動いていたのかもしれない」
でしょうね、私は声を発しない。
「止めた・・・だろうか?」
私への問い。
「止めないでしょうね」
私の答えは素っ気無い。
ほんの少しの間・・・・・・。
「何故?」
この問いは少々難解である。そもそも何に対しての『何故?』なのか前後の文脈が抜けている。
でも、私には理解できてしまうのだ。だから誰よりも友達なのだ。
「ポリースメ~ンに、おロープ頂戴は、イヤだったので・・・じゃ、ダメ?」
無言無言無言。
だが、目は見開かれたままだ。
出逢った頃よりも剣が取れているとは言え、まだまだ友の眼光は鋭い。
「正直分かりません」
私は苦笑しながら本心を素直に語る。
「何ででしょうね?あの時は絶対的な好条件でしたけどね~」
私は冷たい紅茶を一口啜る。
「ほんとに・・・何ででしょうね?絶対・・・絶対持って行こうと決めてたのにね」
悔恨、もしくは懺悔なのか?涙が出そうだ。
視界の端に何かが映る。
カーテンが風でふぅわりと立ち上がる。
私は窓の外を見た。
あたたかいな。自然とそう思った。
大丈夫。私は今ここに居る。
不意にそんな思いが湧き上がる。それでもまだ涙が出そうだった。
友に顔を向けると、目線が微妙に私を捉えていない・・・ように感じた。
それに気が付いたのか、すぐにいつもの鋭さに戻る。
ダメだ、泣きそう。
「じゃね。サイ」
短くそう言って席を立つ。
「さよなら。ディー」
友の返事も短かった。
外にでる。
今日は秋晴れ、天も高い。
その蒼の下。
私は声を殺して泣いた。