KIRA. Library

台本置き場

ラーメン大好き小泉さん 五杯目 北極

2017-03-23 21:05:36 | 台本
ラーメン大好き小泉さん 五杯目 北極




【登場人物一覧】


小泉さん(こいずみさん)

ラーメンをこよなく愛する女子高生。名は不詳で姓のみが作中での呼称名。
身長152cm。ウェーブがかった、金髪ではなくかん水の黄色のイメージの髪を持つ美少女。
ラーメンのこと以外に興味がなく、また、つるんで食べるものではないという考えから
友人などもほとんどいない。
物語開始以前に悠たちが通う高校に転校してきた。
ラーメンに関する知識とこだわりは他の追随を赦さず、
突発的にご当地ラーメンが食べたくなると現地まで赴くなど行動力と執着心は高い。
家系や変わり種のラーメンはもちろん、それほど得意ではないが激辛系のラーメンも好み。
痩身の見た目に反してかなりの大食漢だが、本人にその自覚はまったく無い。
また、食べるのは得意だが、作るのはインスタントの袋麺ですら失敗するという料理ベタでもある。
ナンパされることもあるがその全てを素っ気なく断っている。
東北旅行としてラーメンを食べに行ったことにより一度は追試を受ける羽目になったが
基本的に成績は優秀であり、また理由は不明だがドイツ語も堪能である。


大澤 悠(おおさわ ゆう)

小泉さんのクラスメイト。高校1年生。身長160cm、血液型O型、家族構成は両親と兄。
ショートカットでアグレッシブな少女。昔から可愛い女の子が大好きで、
クールビューティな小泉さんと仲良くなることに異常な執着心を見せる。
その入れ込みっぷりは新幹線に乗って名古屋に停車した際、
小泉さんを見かけたというだけで後先を考えず行動した結果、
ほぼ文無しで見知らぬ土地で迷子になるほどで、
通常もストーカー的に彼女と行動を共にしているが大抵はスルーされている。
それでもめげずに小泉さんと交流を持とうとするが、小泉さんの連絡先を知ったのが、
美沙、潤に次いで最後だったことは本人もショックを隠せなかった。
両親が共働きしている影響で料理が得意。
小泉さんに家庭風アレンジラーメンを振る舞った際は彼女を唸らせた。


中村 美沙(なかむら みさ)

小泉さんのクラスメイト。身長153cm、血液型A型、家族構成は両親と弟3人。
小柄でツインテールが特徴。愛らしい見た目で普通にモテるのだが、
もう彼氏がいるだろうと思われて告白されないタイプ。
当初は小泉さんに対して多少の苦手意識や嫉妬心を持っていたが、
本意でないにせよ一緒にラーメンを食べたのを機に仲良くなっていく。
実は激辛マニア。美容に関しては博識。弟のうち1人はケンタという名前で中学生。


高橋 潤(たかはし じゅん)

小泉さんのクラスメイト。身長158cm、血液型A型、母子家庭で一人っ子。
母親は出版社で編集の仕事をしている。外ハネした長髪に眼鏡をかけた少女。
クラス委員長を務めており、みんなからは委員長と呼ばれている。
テストでは学年上位に入る才女。眼鏡が曇るから、という理由で熱々の麺系を食べるのが苦手。



【キャスト一覧】


小泉さん    ♀:
大澤 悠    ♀:
中村 美沙   ♀:

悠の兄・男A  ♂:
彼氏・男B・店員♂:


【本編】


《大澤家 リビングで悠がくつろいでいる》


兄  「あれ? 悠 今日学校休み?」

悠  「あ お兄ちゃんおはよー 今日は創立記念日で学校やすみ」

兄  「ふーん せっかくの休みに家でダラダラって・・・
    ―――デートする相手とかいねぇの?」

悠  「うっさいなー 今、美沙たち誘って買い物でも行こうと思ってたとこ!!
    さっさと大学行きなよ!!」

兄  「へいへい」

悠  「あ! 返信来た♪
    え~~~~ デート!!?」(美沙は井の頭公園でデートという文字を見て)
    美沙 昔からモテんの知ってたけど彼氏なんかいたっけ? ま いっか」


悠M 「小泉さんも誘いたいけどアドレスとか知らないや
    ――てか絶対教えてくれないんだろうな
    そしてきっと今日もラーメンを食べている」


《井の頭公園》


彼氏 「――ごめん やっぱり別れて下さい!」

美沙 「え」

彼氏 「何ていうか 美沙ちゃんモテるし 
    常に不安で一緒にいて心から楽しめないっていうか・・・
    何も僕みたいなのとつき合わなくても 他にいい奴はたくさんいるよ
    そういうことだから」

美沙 「ちょ・・・まっ(彼氏が去っていく)
    いっ! 嫌っ だめっ ありえない・・・
    美沙がフラれるとか・・・手すら繋がないうちに
    つき合ったのも告白されたのも初めてだったのに!!」
    『好き』っていったじゃん なんでだーーー」

<美沙は『モテるしどうせ彼氏いるんだろうと』思われて告白されないタイプ>


《すぐに後ろから男性二人組に声をかけられる美沙》


男A 「ねぇねぇ 一人? オレらと一緒にご飯でも行かない?」

美沙 「行かない!!」

男A 「お あっちの子のがカワイイ!」

男B 「ホントだ」

美沙M「むっ 小泉!! 何でここに!? 学校休みなのに何で制服!?」

男B 「ねーー」

男A 「一緒にお昼どう?」

小泉 「結構です」

美沙M「さっきのフラれ現場見られてないよね!?・・・・・・・・・・・・」


《小泉さんを尾行する美沙》


美沙M「・・・・・・・・・ラーメン屋? 小泉一人で・・・? 待ち合わせとかじゃなく?」

美沙 「ごくっ」(辛うまラーメンのポスターを見て唾を飲み込む)


《店内に入り小泉さんの隣に座る美沙》


美沙 「・・・・・・・・・。」(隣の小泉さんをチラチラと見る)

小泉 「あの・・・見ないでもらえますか?」

美沙 「あら 小泉さん 偶然ね 私もここで食べよーと思って お昼だし!!」

小泉 「どちら様でしたっけ?」

美沙M[そこからかよ!!」

美沙 「同じクラスの中村美沙 仲良くなる気は無いけど覚えときなさい!!」

店員 「あの お客様 先に食券を・・・」

美沙 「食券!? 何それ美沙知らない」


《食券機の前に立つ美沙》


美沙 「・・・・・・・・・。
    メニューいっぱいあって迷うー ね~ 店員さーん」


《北極ラーメンの食券を購入して席にもどる美沙》


美沙 「店員の制止を振り切って 超激辛のにしてやったわ!
    フフン ホントは初心者お断りらしいけどー」

小泉 「・・・・・・・・・大丈夫ですか? "北極"は辛さレベル9
    ―――辛さはこの店のラスボス級
    レベル上げは段階を踏んだ方が賢明かと・・・
    ちなみに私はレベル9まで一年の歳月をついやしました・・・」

美沙 「ふーん そんなに辛いんだ?
    でも美沙 辛いの得意だから平気!! (※実は激辛マニア)
    今 ストレス溜まってるから超辛いのでスカッとしたい気分なの
    って 小泉聞いてる!? 無視すんなっ」


《小泉さんは、せっせとエプロンをして髪を縛っている》


美沙 「だいたいさー 女子高生が休日に一人でラーメンとかさみしくないの?」

小泉 「あなたも一人じゃないですか」

美沙 「私はさっきまで連れがいたの!!」

小泉 「ああ 別れ話をしてた彼ですか」

美沙 「やっぱ見てたの!?」

小泉 「たまたま」

美沙 「学校で言いふらしたらタダじゃおかないからね!!」

小泉 「別に言いません」

美沙M「ぐぐ・・・一番見られたくない奴に・・・・・・」

店員 「おまちどうさまー "北極" (美沙の前へ)
    "北極スペシャル" 学生サービスゆで玉子入り あと追加のバターです」(小泉さんの前へ)

美沙 「赤っ 何これっ」

小泉 「いただきます」

美沙 「あれ 小泉の何か白いのかかってる? 同じのじゃないの?」

小泉 「"スペシャル"は今の期間の木金曜限定 通常の"北極"の上にとろりとしたチーズ
    そして豚肉のかわりにチョリソー ですが 激辛スープ+きざみ青唐辛子の辛さで
    本来のチョリソーのピリ辛感は皆無。チーズのおかげで辛さは多少マイルドに・・・
    さらにゆで玉子とバターを追加して辛さを軽減・・・ずるっ ずるるっ う・・・」

美沙 「! 汗と涙 凄いよ!? ひと口目で!?」

小泉 「激辛系はそこまで得意ではないので・・・」

美沙 「なのに辛いラーメン食べるアンタは何なの!?
    美沙も食べるっ いただきまーす
    ちゅるっ 痛っ!!! 口がっ 辛痛いいいいいいっ」

小泉M「だから言ったのにっ」

美沙 「ひっ 舌(ひた)が超ヒリヒリひゅるっ
    ・・・・・・・・・っ っ・・・けど いいよ これっ
    はぁーーー いいっ すっごい美沙好み」


《二人とも激辛ラーメンにがっつく》


小泉&美沙 「ずぞぞぞぞ」

小泉&美沙 「ずるずる ずるるっ」

小泉&美沙 「ずずずず」

小泉&美沙 「ごくごくごくっ」

小泉&美沙 「はぁ~~~~~~~」(激辛ラーメンを完食した時の至福の笑顔)


美沙 「は はじめて面と向かって『好き』って言われて 結構嬉しかったのに・・・
    もぉ 辛すぎ ぐすっ」


《ラーメン完食した二人はお店を出る》


美沙 「んーーーっ 満足 満足!!」

小泉 「アツい・・・」

美沙 「小泉! アドレス教えて!! 他にも激辛ラーメンの情報ほしいんだけど
    ハマリそうッ ラインのIDでもいーよ
    別にアンタと一緒に行きたいわけじゃないからっ(急に体裁を繕って)
    新しい彼氏作って行くんだからね!!」

小泉 「・・・別に構いませんが それでしたら」

美沙 「美沙 もっと辛いのもイケちゃうよ♪」

小泉 「今日のラーメン 辛さ5倍もできますよ」

美沙 「マジ!?」

SE:カバンをドサッと落とす音


《二人が振り返ると、そこに買い物帰りの悠と潤が立っている》


美沙 「あ」

悠  「あれ~~~~? 何でだ~~~~ 何で二人が一緒にいるんだ~~~~?
    美沙 今日デートって・・・・・・
    美沙の裏切り者ー!! 何で小泉さんと先に仲良くなってんのさー」

美沙 「あー もー 悠めんどいっ!!」

小泉 「・・・・・・・・・帰ります」





五杯目 完食