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台本置き場

ダンジョン飯 第1話 水炊き

2017-02-10 00:00:15 | 台本
ダンジョン飯 第1話 水炊き


【あらすじ】

主人公であるライオス一行は、ダンジョンの深層にてレッドドラゴンに挑むも、
空腹からチームプレイに乱れが生じて壊滅状態となり、
ライオスの妹ファリンはライオスをかばい、ドラゴンの餌食となってしまう。
彼女が最後に使った脱出魔法の力で、一行は辛くも迷宮から脱出したものの、
装備品以外の所持金もアイテムも失ってしまった。
金銭的な問題から仲間の2人、ナマリとシュローは他に職を求め離脱。
リーダーのライオス、残留した魔法使いのマルシル、鍵師のチルチャックの3人は、
ダンジョン内では死亡して遺体が損傷していても、
肉体を補修する蘇生の魔術を施せば生き返ることが可能なため、
ファリンが完全に消化される前に救出すべく、ダンジョンに戻ることにする。


【登場人物紹介】


ライオス

トールマン(人間)の男性で金属鎧を身にまとった長身の戦士。
年齢は不明だがチルチャック(29歳)よりは年下であるかのような描写がある。
パーティー(作中ではギルド)のリーダーでファリンの実兄。
経験豊富で戦士としての実力は高いが重度の魔物マニアであり、
生態や能力だけでなく「味も知りたくなった」と、
以前から魔物を食べることに強い興味を抱いていた。
仲間たちにはその願望を隠していたが、
ファリン救出策で経費節約の必要に迫られたことを機に打ち明けている。


マルシル

エルフの女性で魔法使い。親は宮廷魔術師。
攻撃から解呪や鍵開けの魔法まで様々な魔法を行使することができる上に、
死亡している他者を蘇生させることも可能。
魔法学校在籍時に同じ学科を専攻していたファリンと仲が良く、
採算度外視で友人であるファリン救出のためにライオスに同行を申し出る。
武器は木の根を手編みした木製の杖で、愛着があるらしく「アンブロシア」という名前を付けている。
輪状の杖頭の先端には魔力で生育する双葉が生えており、
動く鎧の剣の攻撃を直接防いでいることから硬さもかなりある模様。
金髪のロングヘアーは、就寝時以外は常に綺麗に結っており、
第14話の扉絵ではマルシルの髪の一連の結い方が描かれている。
マルシルは「毛髪は魔術的にも大切な物で、それを手入れするのは魔法の準備運動のようなもの」
と語っている。


チルチャック

ハーフフットという種族の男性で、童顔で小柄な鍵師。
生来の器用さと種族特有の身軽さや鋭敏な感覚で扉や宝箱の開錠、罠の解除を得意とし、
そのため常に、ピッキングツールを腰に付けたポシェットの中に携帯している。
武器として弓矢を使用している描写もあるが、本人は戦いが得意というわけではなく、
「俺を戦力として期待するな」と再三発言している。
幼い少年のような外見だが、これは種族の特徴によるもので、年齢は29歳。
パーティーでは最も落ち着いた性格で思慮深い面も多いが、
パーティーの命を預かるという責任感から危険な罠を前にすると熱くなる。
過去には、宝箱に仕掛けられていた煮え油を被ってしまい、
死にはしなかったが口にするも憚られるような酷い被害にあったことがある。
また、役割上ミミックによる被害を何度も経験しており、ミミックを非常に嫌っている。


センシ

ドワーフの男性で、斧戦士。屈強な体格と豊かな髭を蓄えている。
名はドワーフ語で「探求者」を意味する。
魔物食に初挑戦したライオスたちの素人振りを見かねてパーティーに加わり、
パーティーの事情を知った後は、
ファリンを捕食したというレッドドラゴンの調理を目的として同行を申し出、
ライオス一行を主に料理面でサポートする。また、戦士としてライオスとともに前衛を務めている。


【キャスト一覧】

ライオス♂:
マルシル&ナマリ♀:
チルチャック♂♀:
センシ♂:

ナレーション♂♀:

※ナレーションはセリフ少なめ。
チルチャックorセンシが兼役可。ナマリは回想で一言のみ。


【本編】


《草原で目を覚ますライオス》


ライオス 「う・・・・・・」

SE:ライオスのお腹が鳴る音

ライオスM「腹が減った・・・・・・」(起き上がる)

マルシル 「ライオス! 目が覚めた? 私たち魔法で迷宮から脱出したみたい。
      でもファリンの姿だけどこにもなくて・・・・・・」

ライオス 「・・・・・・食われたんだ・・・・・・」

マルシル 「えっ」

ライオス 「ドラゴンの腹の中で魔法が効かなかった」

マルシル 「そんな・・・・・・!」

ライオス 「多分まだ迷宮内だ」


《ライオスが立ち上がる》


ライオス 「今すぐ助けに行く」

マルシル 「ちょ、ちょっと待って」

ライオス 「?」

マルシル 「実は・・・・・・私たち荷物をほとんど迷宮に置いてきたみたいで。
      つまり、ほぼ一文無し」

ライオス 「なんだって?」

チル   「そしてもっと困ったことに。今しがた仲間をふたり失った」

ライオス 「チルチャック。それは」(チルが持ってる辞表を見て)

ナマリ  『こっちも生活がかかっとる。ライオスが起きたら渡してくれ』(回想シーン)

チル   「前々から別のギルドに勧誘を受けていたらしい」

ライオス 「ええ!」(辞表に目を通しながら)

ナレ   「迷宮探索には金がいる。仲間の雇用費。武器等の装備品代。日用品代。そして食費」

ライオス 「今ある武具を売って当面の金を確保するとして・・・・・・
      その金で安い武具に買い替え、食糧に薬、日用品を揃えて、
      新しい仲間を雇い・・・・・・足りるか?」

チル   「全然」

ライオス 「装備を整えている間に妹が消化されてしまう。
      みじん切りまでは蘇生した奴がいたよな!? 
      うんこから生き返った冒険者の例は!?」

チル   「聞いたことないな」

SE:マルシルのお腹が鳴る音

マルシル 「お金の問題はあるけど、とりあえず何か食べない?
      私たち空腹が原因で失敗したようなものだし。
      食べ物はきちんと揃えなきゃ。
      何食べようか。安いご飯なら大通りの大衆食堂か。
      量があるのは『笑い狼亭』だけど。
      あっでも携帯食糧をサービスしてくれる
      あそこの酒場も捨てがたい。
      あそこのスープ肉まん すごいおいしいし」

ライオス 「いや、今すぐ迷宮に潜らなくては」

マルシル 「でも、このままじゃ・・・・・・」

ライオス 「・・・・・・ひとつ・・・・・・考えがある。
      ふたりにはギルドを抜けてもらう」

マルシル 「え・・・・・・!?」

ライオス 「そしてその装備を売って、俺が迷宮に潜る」

マルシル 「そ、そんな無茶よ!」

チル   「死ぬつもりか」

ライオス 「いや、これなら武具の性能を落とさずにすむし。
      ひとりなら、魔物を避け最小の戦いで最深層に行ける。
      不可能な話じゃない。元々は俺の落ち度だ。
      ふたりにまで危険なことをさせるわけには・・・・・・」

マルシル 「ライオス・・・・・・そこまで・・・・・・
      いいえ! 私も絶対についていく!
      ファリンのことは私も大好きだもの。
      足手まといなんて言わせない。
      私の魔法の強力さはよく知ってるでしょ」

チル   「俺の仕事を忘れてもらっちゃ困る。
      扉や罠の解除役が不必要とは言わせないぜ」

ライオス 「ふたりとも・・・・・・」


《少し照れるマルシルとチルチャック》


SE:ライオスがガシィっとふたりの肩を掴む音

ライオス 「本当に俺についてくる意思があるんだな?
      どんなことがあろうと!!」

チル   「?」

マルシル 「? う、うん・・・・・・?」


《迷宮入口》


ライオス 「食糧は迷宮内で自給自足する」

マルシル 「は!?」

ライオス 「迷宮内には魔物が溢れている。
      つまり生態系が存在しているということだ
      肉食の魔物がいれば、その糧となる草食の魔物が!
      草食の魔物が食う植物に植物の栄養となる水や光や土が!
      すなわち、人間も迷宮で食っていけるということだ!」

チル   「いやいやいや」

マルシル 「え、それってつまり魔物を食べるってこと?」

ライオス 「魔物も食べる。とにかく食えそうなものはなんでも食う。
      今までの冒険を思いかえしてみろ。
      なんか結構うまそうなのがいたはずだ」


《いろいろな魔物を思いかえすマルシルとチルチャック》


マルシル 「無理無理 絶対に無理!」

ライオス 「魔物を狩って食い扶持にしている人間は割りといる」

マルシル 「地上に戻れない犯罪者とかの話でしょ!?」
      そいつらだって、しょっちゅう食中毒で搬送されてんじゃない!」

ライオス 「ファリンを助けるためならなんでもするって言っただろ」

マルシル 「魔物を食べるとは言ってない!!」


《物陰から怪しい人物が覗いている》


ライオス 「では、食糧を買う金はない。時間もない。他に案があるか?」

マルシル 「だからって! 変な物食べて食中毒で動けなくなっちゃ意味がな・・・・・・」


《遠くから悲鳴が聞こえてきて、別の冒険者と歩き茸(魔物)が前を通り過ぎる》

SE:歩き茸をライオスが一刀両断にする音

マルシル 「・・・・・・今の迷宮初心者ね。
      この程度の魔物に総崩れなんて向いてないんじゃ・・・・・・ん?」


《倒した歩き茸をじっと見ているライオス》


マルシル 「ちょっとライオス・・・・・・」

ライオス 「これを今日の昼飯にしてみよう」(歩き茸を手に取り)

マルシル 「ヤダーッ(必死の形相で)
      やだやだ 絶対やだ」

チル   「いきなり茸ってのは危うくないか。毒とか」

ライオス 「『迷宮グルメガイド』によると初心者向け食料ではあるらしい」


《ライオスがマルシルとチルチャックに本を渡す》


ライオス 「肉厚で癖のない味わいだとか」

マルシル 「何、この本」

チル   「随分年季が入ってる」

ライオス 「少し進んで開けた所で火をたこう。もうひとつふたつ具材がほしいが」


《遠くで、カサカサという音に気づくライオス》


ライオス 「はっ この足音は大サソリだな!」

チル   「あいつ、まさかさあ・・・・・・」


《迷宮1階》


ナレ   「迷宮内といえど往来も多く冒険者や商人で賑わっている。
      元々は墓所で村人らの祖先が眠る静かな聖域であったが、
      迷宮に繋がってしまってからは、村一番の賑やかな場所となってしまった。
      魔物は迷宮の底から湧いてくるという。
      地上の生き物が禁忌の魔術により豹変した姿なのか。
      魔界から呼び寄せられたものなのかは不明だが
      皆一様に奇妙な姿をしていて、何かを守るように襲いかかってくる。
      しかし、それらこそ呪われた黄金の都の存在を示す唯一の証なのだった」


《ライオスが布を巻きつけた棒を穴に入れると、大サソリのハサミがくらいつく》


マルシル 「ザリガニみたいに獲るな」

ライオス 「大サソリはまずハサミで獲物を固定してから、尾の神経毒を打ち込む。
      餌がなくても刺激すれば釣れるからザリガニより簡単」

チル   「あのな~~。ひょっとしなくても、おまえ前々から食べる機会伺ってただろう」

ライオス 「(照れる)・・・・・・でも、妹を助けたい気持ちに偽りはないんだ」

マルシル 「はいはい」

ライオス 「・・・・・・ずっと黙っていたが。俺は魔物が好きだ。
      姿や鳴き声。どんな生態をしてるのか。
      そのうち味も知りたくなった」

チル   「サイコパスだ」


《初心者の広場》


チル   「もう少し人目のない所でやったほうがいいのでは?」

ライオス 「水を使うのに何度も往復するのは辛いだろう」

マルシル 「で、これどうやって食べるの?」(大サソリを横目に見ながら)

ライオス 「オーソドックスに煮てみるか」

マルシル 「オーソドックスとは」

ライオス 「むっ」(歩き茸にナイフを入れて切ろうとした時)

マルシル 「どうしたの!?」

ライオス 「縦には切りやすいが横に入れると抵抗がある。
      キノコ系の敵を相手にする時は、袈裟(ケサ)斬りや胴斬りは効果が薄いのかも。
      勉強になった」

マルシル 「そうか」

チル   「スライスしたら食べ物みたいに見える」(キノコを持ちながら)

マルシル 「どこが」


《ライオスが大サソリをそのまま鍋に入れようとしている》


マルシル 「ちょ、ちょっと。サソリはそのまま食べるの? 毒がまわるんじゃ」

ライオス 「このサソリの毒は食べても害はない」

マルシル 「本当に?」

ライオス 「と言われているので食べてみたい。
      ぱく・・・オエー」

センシ  「ちょっと待った!」


《斧を持ったドワーフのセンシが現れる》


センシ  「サソリ鍋か。しかしそのやり方には感心せんのう」

マルシル 「何者」

センシ  「大サソリを食べる時は、ハサミ 頭 足 尾は必ず落とす。
      尾は腹をくだす」
      
ライオス 「腹を下すのか・・・・・・本には平気と書いてあったのに。
      というか単純にまずい」

センシ  「身にも切れ込みを入れておく。熱も通りやすく出汁も出て
      鍋全体がうまくなる。食べやすいしな。
      内臓も簡単にとっておく。苦いし歯触りがよくない。
      漬け込んで発酵させるといいつまみになるが、素人にはちと早いな。
      歩き茸は尻と表面3センチメートル分捨てる。
      足はうまいのですべて入れる」

ライオス 「足はうまいんですか」

センシ  「そうだ。独特ないい香りがするだろう」(ライオスに嗅がせる)

マルシルM「足の匂いか・・・・・・」

センシ  「この鍋では小さいな。わしの鍋を使おう」

マルシル 「えらい準備がいいな」

センシ  「サソリと茸だけでは寂しいのう。ウーム・・・・・・」


《センシは壁に根を張る植物を採取して戻ってくる》


チル   「帰ってきた」

マルシル 「ちょっと待って! それはだめ!!」

ライオス 「マルシル」

マルシル 「ダメダメ無理無理。あのさここ墓場よ。
      百歩譲って魔物はいいわ。でも根を張る植物はNG! 宗教的にNG!
      いいじゃんサソリと歩き茸だけで十分おいしそうじゃん。
      これにしようよこれに」

ライオス 「でもマルシル」

マルシル 「大体あんた誰なのよ。一体全体どういう」

ライオス 「マルシル! 上だ!」

マルシル 「上? う !!!」(頭上からスライムが降ってくる)

ライオス 「スライム! 動くなマルシル」

マルシルM「しまった。顔にかぶるなんて。
      火の魔法・・・・・・あ ダメだ。詠唱できない。
      そういえば、はじめて死んだのもスライムだった。
      あっ 走馬灯」


《センシがナイフをスライムに差し込むと、一瞬でマルシルの顔から剥がれる》


マルシル 「ぷはっ げぇーほ げほげほ」

チル   「マルシル大丈夫か」

マルシル 「大丈夫。ちょっと鼻に入ったけど」

ライオス 「スライムをナイフで撃退するなんて」

センシ  「構造を知っていれば簡単なもの。
      不定形のように見えてその実、その辺の人間より一律だ。
      スライムの内臓はこんなふうになっている。(本来は絵がある)
      人間でいうと胃がひっくり返って消化液で内臓と頭を包んでいるのだな。
      獲物の吐く息を察知し飛びかかってくる。
      だから大声を出してわめくと襲われやすくなるのだ。
      このままではとても食えないが、柑橘類の果汁を加えた熱湯でよく洗い
      水分をよく拭き取るか、あるいは塩をもみこみ
      じっくり天日干しすれば高級食材の完成だ。
      ただ、できれば2週間ほど絶食させたほうがいい。
      乾燥には時間もかかる。本来 迷宮の中で気軽につまめる食材ではない。
      これはわしが作った携帯スライム干し網。
      完成には時間がかかるが、ここに完成品がある。今日はこれを加えよう」

ライオス 「しかし高級食材なのでは」

センシ  「かまわん。わしはこの迷宮で10年以上魔物食の研究をしている。
      魔物食に興味をもってもらえることが何よりも嬉しいのだ」

ライオス 「10年!」

チル   「そんな昔からあったっけ」

センシ  「まあ少し待っとれ。すぐにできるわい」


《センシがイモや調味料を入れて味を調えて完成》


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大サソリと歩き茸の水炊き

材料(3~4人分)

大サソリ――――――――1匹
歩き茸―――――――――1匹
茸足――――――――――2本
藻(花苔・イシクラゲ)――適量
サカサイモ―――――――中5本程度
干しスライム――――――お好みで
水―――――――――――適量
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センシ  「できたぞ」

チル   「大サソリってゆでると赤くなるのか」

ライオス 「本当にサソリなのかな」

チル   「なんだかうまそうな匂いが」

ライオス 「本で読むのと見るのは大違いだ」

センシ  「熱を通すと身が少し縮むから簡単に殻から身がほぐれるぞ」

ライオス 「ほんとだ」


《ライオスが一口、大サソリを食べてみる》


ライオス 「うまい!」

センシ  「そうだろう そうだろう」

ライオス 「調理次第でこんなにも味が変わるなんて」

センシ  「そうだろう そうだろう」

SE:マルシルのお腹が鳴る音

マルシル 「・・・・・・私にも1杯ちょうだい!」


《マルシルがところてんのようなものをすくいとる》


マルシル 「何これ」

センシ  「スライムの内臓の干物」

マルシル 「・・・・・・」


《意を決してスライムの内臓の干物を食べるマルシル》


マルシル 「うわっ おいしい!」

ライオス 「スライムってこういうふうに食べるんですね」

センシ  「どうやってもいける。果汁に浸して食べてもうまいぞ」

チル   「この木の根もほくほくしてうまいですね」

センシ  「正確には根ではない。上下逆さまに迷宮に咲く植物の幹だ」

マルシル 「この藻も柔らかくっておいしい。これも迷宮に咲く植物なの?」

センシ  「それはよく湿った所にわく 普通の藻だ」

マルシル 「・・・・・・」

チル   「普段何気なくかよっている迷宮にこんなものがあるなんて」


《4人で鍋を食べる。アドリブで会話しても可。そして食べ終わる》


ライオス 「ふー くったくった。
      そういえば、自己紹介がまだでした」

センシ  「わしの名はセンシ。ドワーフ語で探求者という意味だ」

ライオス 「俺はライオス。魔法使いのマルシルに、鍵師のチルチャック」

センシ  「何かわけある旅のようだが?」

ライオス 「ええまあ。仲間がひとり迷宮の下層で魔物に食われてしまって
      消化される前に助けたいのです」

センシ  「なんと魔物に。一体どんな」

ライオス 「竜です。真っ赤な鱗の」

センシ  「真っ赤な鱗・・・・・・下層・・・・・・炎竜(レッドドラゴン)か!
      竜はその巨体を維持するためにほとんど眠って過ごすという。
      消化も他の魔物よりずっと遅いはずだ」

ライオス 「だといいのですが」

センシ  「頼む。わしも同行させてはもらえんか」

ライオス 「それはもちろん喜んで。こちらとしても随分助かります」

センシ  「本当か! いや有難い」

ライオス 「こちらこそ・・・・・・」(お互いに握手をする)

センシ  「炎竜を調理するのは長年の夢だったのだ!
      炎竜か・・・・・・やはり王道にステーキか
      それともハンバーグか。しゃぶしゃぶも捨てがたいが
      いや卵があれば親子丼という手も・・・・・・」


《ファリンを炎竜が食べ、炎竜をライオスたちが食べるという構図を思い浮かべる》


ライオスN「『それは食ってもいいもんなのか?』
      と 思わなくもなかったが、誰も何も言わなかった。
      ダンジョン飯 それは食うか食われるか
      そこには上も下もなく、ただひたすらに食は生の特権であった。
      ダンジョン飯 ああ ダンジョン飯」




第一話 終わり