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台本置き場

ポンコツクエスト ~魔王と派遣の魔物たち~ 第三十一章「紅一点」

2017-05-28 21:09:02 | ポンコツクエストシリーズ
ポンコツクエスト ~魔王と派遣の魔物たち~ 第三十一章「紅一点」


【キャラクター紹介】

カク

角の生えた獣の魔物。だらしがない、口が悪い、と言うダメダメな性格で、
いつも愚痴ってはイムラになだめられている。
自慢の角は唯一の武器だが、とても脆く、すぐ折れる。折れると言うより、むしろ砕ける。
「労災は下りんの?ちゃんと。」

イムラ

カクと仲のよいスライム。比較的真面目で大人な性格なので、カク達のツッコミ役になる事が多い。
魔物の中でも最弱で、特技は自爆。(ただし相手にダメージはなし)
すぐ死んですぐ生き返るので、死生観がユルユル。
「テロレロレロ、じゃねえよ!」

カツラギ

炎の力をアレした剣による必殺技が得意なヒト型の魔物。
魔王直属の部下四天王の一人だが、現在四天王のメンバーは四人揃っておらず、
その事をイジると激怒して必殺技を放ってくる。
決めポーズや決めゼリフを好むナルシストで、アイドルと呼ばれるのを否定しない。
「あっ、またゴキブリだ!えっと…逆流性食道炎!!」

カザミ

鳥のような大きな羽根を持つヒト型の魔物。
魔王直属の部下四天王の一人で、自称お色気担当。
お色気担当であるにも関わらず露出度の高い衣装を嫌がり、
自慢の生足を「鳥足」といじられるとショックでえづく。
キャラ付けの為に無理矢理語尾に「ですわ」を付けて喋ったり、
ネットの翻訳サイトで調べた適当なフランス語で必殺技を叫ぶ。
「そうですわよ!このチョビヒゲ!」



【キャスト一覧】

カク  ♂♀:
イムラ  ♂:
カツラギ ♂:
カザミ  ♀:


【本編】


《広場》


カク  「あ~~、だり~~、帰ろうかなもう」

イムラ 「今日もやる気ないな~、コイツ」

カク  「あ~あ、今日もやる気がないな~!」

イムラ 「はっきり言ったな~」

カツラギ「おい、貴様ら」

カク&イムラ「?」

カツラギ「またダラけているのか」

カク  「一天、カツラギさんじゃないですか」

イムラ 「どうしたんですか急に」

カツラギ「おい、今一天王って言おうとしたな貴様そこのバカよ!
     あっはっはっはっはっ! バカめ!」

イムラ 「テンション高いな、おいどうした?」

カツラギ「もう一天王とは言わせんぞ!」

カク  「ええ~、なんスか~」

イムラ 「四人揃ったんスか~?」

カツラギ「おい! カザミ!」

カク  「カザミ?」

イムラ 「え~?」

カツラギ「カザミ~!」

イムラ 「おお、なんだ、なんか来た」

カク  「だま~って歩いて来たけど」

カツラギ「カザミよ。あのな」

カザミ 「え?」

カツラギ「呼ばれたら一応、返事はした方がいいぞ」

カザミ 「あ、すいません」

カク  「あ、いきなりちょっと怒られた」

カツラギ「よしカザミ!」

カザミ 「はい!」

カツラギ「自己紹介してやれ!」

カザミ 「はい!」

イムラ 「めっちゃ返事してるw」

カク  「まじめw」

カザミ 「あたいが四天王の紅一点。疾風の女王こと、カザミですわ! おーほっほっほっ!」

イムラ 「ええ~?」

カク  「急にテンション高いな」

カツラギ「どうだ!」

イムラ 「いや、どうだって言われても。こちらの方が新メンバーなんですか?」

カツラギ「そうだ。カザミが加わって、なんと四天王が二人になったのだ!」

カク  「ニ天王じゃないっスか」


カツラギ「誰がニ天王だ、無礼者!」(カザミと同時に)

カザミ 「二天王ってなんだバカ!」(カツラギと同時に)


カク  「いっぺんにめっちゃ怒られた、すいません」

イムラ 「っていうか新しい人、女性なんですね」

カツラギ「そうだ、こういうのにお色気キャラは必須だからな」

カザミ 「そのとおり! あたいは四天王のお色気担当ですわ! おーほっほっほっ!」

カク  「なんかうるせぇな、この人」

イムラ 「ちなみにカツラギさんは、何担当なんですか?」

カツラギ「私はキザ担当だ」

イムラ 「自分で言うのすげぇな」

カザミ 「私はお色気担当ですわ!」

イムラ 「何回言うんだ、聞いたよさっき」

カク  「でもなんかお色気担当って感じじゃなくないっスか?」

カツラギ&カザミ「!?」

カク  「お色気担当だと、もっとエロい格好とかしないと」

カザミ 「エグり殺しますわよ!」

カク  「エグり殺すってなんだ、怖い!」

カザミ 「エロい格好なんて嫌に決まってるじゃない」

カク  「え?」

カザミ 「あんた地獄に落ちるわよ!」

イムラ 「いや占い師か」

カク  「なんでエロい格好嫌なんだよ。お色気担当のくせに」

カザミ 「だって似合わないもん。恥ずかしいし」

カク  「あれ? 向いてないな」

イムラ 「内気だな」

カツラギ「いや、でもちょっとよく見ろ。この格好」

カク  「ええ?」

カツラギ「生足が結構出ている」

カザミ 「そうですわよ、ほら生足」

カク  「いやでも鳥の足、鳥足じゃん」

カザミ 「と、鳥足!? おえええ~」

イムラ 「どうした!?」

カク  「えづいた!?」

カツラギ「おい貴様! カザミの足をフライドチキンみたいに言うな!
     ショックで『おええ~』ってなってるではないか!」

カザミ 「そうですわよ、このチョビヒゲ!」

カク  「チョビヒゲではない」

イムラ 「チョビヒゲってなんだ」

カザミ 「もうお前達がなんと言おうとあたいはお色気キャラでいくんだよ!
     このチョビヒゲ野郎!」

カツラギ「落ち着けカザミ! チョビヒゲではない」

イムラ 「チョビヒゲってなんだ!?」

カク  「いや、でもお色気キャラやっぱ向いてないと思いますけどね」

イムラ 「う~ん、やっぱちょっと考え直した方が」

カツラギ「というか貴様ら、さっきから生意気な言動が過ぎるぞ」

カザミ 「そうですわよ! 四天王に向かってそんな態度とっていいと思ってんのか、ですわ!」

カク  「『ですわ』の使い方も下手なんだよな~」

カツラギ「貴様ら、どうやらお仕置きが必要なようだな」

イムラ 「え~、お仕置き?」

カツラギ「我々四天王二人による合体技を見せてやろう!」

カザミ 「地獄に落ちるわよ!」

カク  「占い師かって」

イムラ 「いや、でもヤバいぞ。地獄に落とされる。謝ろう」

カク  「すいませんでした! 許してください!」

カツラギ「い~や、許さん! いくぞ!」

カザミ 「いきますわよ!」


カツラギ「酩酊(めいてい)!」(カザミと同時に)

カザミ 「フラーム!」(カツラギと同時に)


カツラギ「あ、そっちか」(カザミと同時に)

カザミ 「あ、すいません」(カツラギと同時に)


イムラ 「いや合ってねぇじゃねぇか!」

カク  「決めとけよ! 何やるか!」

カツラギ「ま~、あ~、あの~、今日はアレだな。カザミが主役の日だからな。二人技は止めとくか」

カク  「言い訳するな」

カツラギ「うるさい! カザミ! 見せてやれ!」

カザミ 「わかりましたわ。トルナード・テリーブルで吹き飛ばしてやるですわ!」
               <恐ろしい竜巻>

イムラ 「トルナード? なに?」

カク  「ちょっとたどたどしかったけど、何語ですか?」

カザミ 「フランス語ですわ」

カク  「へ~~~、だっせ~」

イムラ 「恐ろしい竜巻って、単純だな~」

カザミ 「それとも、フランボワーズ・ドゥ・エスポワールで切り裂いてやろうかしら!」
              <希望の木いちご>

イムラ 「木いちごって何だ!? 希望の木いちごって」

カク  「フランス語分かってないだろ、さては」

カツラギ「いーや! カザミはちゃんと、ネットの翻訳サイトとかでフランス語を調べているのだ!」

イムラ 「翻訳サイト使うんかい!」

カク  「全然分かってねぇ奴じゃねぇか」

カザミ 「やはりここは、シャトーブリアン・エ・フランボワーズかしら!」
            <最高級ヒレ肉に木いちごを添えて>

イムラ 「料理名か! また出てきた木いちご」

カク  「添えるな木いちご」

カザミ 「それともやっぱり、イル・オフェ・サ・コンフィアンス・エ・ソン・アムールかしら!!」
                     <信頼と愛情をお届けします>

イムラ 「いやもう、どれでもいいわ!」

カク  「なんか昔のCMで聞いたことある!」

カザミ 「あ~、もうなんかゴチャゴチャめんどくさいからフランスパンで殴ろう」

イムラ 「ええ~~!?」

カク  「雑っ! 急に!?」

カザミ 「おりゃああああ!!」

カク  「あ~! でも普通にめっちゃ痛い!!」









おわり



ポンコツクエスト ~魔王と派遣の魔物たち~ 第五章「武装」

2016-10-10 21:48:51 | ポンコツクエストシリーズ
ポンコツクエスト ~魔王と派遣の魔物たち~ 第五章「武装」


【キャラクター紹介】

カク

角の生えた獣の魔物。だらしがない、口が悪い、と言うダメダメな性格で、いつも愚痴ってはイムラになだめられている。
自慢の角は唯一の武器だが、とても脆く、すぐ折れる。折れると言うより、むしろ砕ける。

イムラ

カクと仲のよいスライム。比較的真面目で大人な性格なので、カク達のツッコミ役になる事が多い。
魔物の中でも最弱で、特技は自爆。(ただし相手にダメージはなし)すぐ死んですぐ生き返るので、死生観がユルユル。

ヤブキ

腕が4本あるガイコツの魔物で、武器屋の店主。
客が居てもレジカウンター内で普通にテレビを見ながら、普通に玉子かけご飯を食うなど、接客は割と適当。
「おじいさんだから」と言う理由で自分を甘やかす。



【キャスト一覧】


カク♂♀:
イムラ♂:
ヤブキ♂:



【本編】


  《武器屋でカクとイムラが武器を選んでいる》


カク 「あ~、どれにしよっかな~。やっぱ剣かな~?」

イムラ「うん、剣いいんじゃない?」

カク 「やっぱ剣カッコイイもんな~」

イムラ「うん」

カク 「これとかいいんじゃない? これ」

イムラ「あ、それ」

カク 「どうのつるぎ」

イムラ「いいじゃんそれ。初心者にもやさしいって書いてあるし」

カク 「で、200ゴールド」

イムラ「値段的にもちょうどいい」

カク 「うん、やっぱこれにするわ俺。これ使うわ」

イムラ「もうこれ買っちゃう」

カク 「うん、もうこれ買うわ」

ヤブキ「ああ、ちょっとお客さんすいませんお客さん」

カク 「え? え? はい」

イムラ「なになに」

ヤブキ「あの~こちらね~、あのお客さんにはちょっと装備出来ないと思いますけどこれ~大丈夫ですか?」

イムラ「え?」

カク 「え? なんすか急に装備、え?」

イムラ「出来ないの?」

ヤブキ「はい、ちょっと装備出来ないと思いますよ」

カク 「いや出来ますよ、大丈夫ですよ」

ヤブキ「いや~出来ない出来ない! 出来ないね~出来ないよ!」

イムラ「めっちゃ否定してくるな、おい」

ヤブキ「私も武器屋長いことやってるから分かるんですよ。出来ない出来ない出来ないね~」

カク 「いや、でも」

ヤブキ「出来ないね! お前には出来ないね! 無理だね! 出来ないね!」

カク 「なんだこのジジイ!!」

イムラ「もう全否定されてんじゃんこれ」

ヤブキ「あのね~、人それぞれ装備出来る武器ってのは、ちゃんと~これ決まってるからね」

カク 「いや、そんな分かんないでしょ。レジでそんな飯食ってるようなジジイにね」

イムラ「まあまあまあまあまあ・・・」

ヤブキ「よかったらそこで素振りしていいから」

イムラ「ほら、素振りしないと」

カク 「え? 素振り?」

ヤブキ「あの~ちょっと試してからね、買った方がいいからね」

イムラ「そうしよう」

カク 「え~?」

イムラ「一応一回試そう」

ヤブキ「うん」

カク 「やるけどさ~」

ヤブキ「うん、私ここで飯食いながら見てるから」

カク 「なんで飯を食いながら見るんだ、おいこら」

イムラ「まあまあまあまあ」

ヤブキ「たまごかけご飯をね、食いながら見てるから」

カク 「たまごかけご飯を食うな、こら!」

イムラ「まあまあまあ、おじいさんだから」

ヤブキ「そうそう、おじいさんだから」

カク 「おじいさんだからって何してもいいのか、こら!」

イムラ「まあまあ、とりあえずもう素振りしてみよ?」

カク 「もうしょーがねーな。じゃ、やるよ?」

イムラ「やろやろ」

カク 「簡単だよ、こう構えて、こうでしょ?」

  タライが頭上から落ちてきてカクの頭に直撃する

カク 「いたっ! なに!? なにこれ!?」

イムラ「うわっ!」

カク 「え、なにこれ!? タライ降ってきた!」

イムラ「タライ降ってきた!」

カク 「え、どういうこと!?」

イムラ「またツノ折れてるぞ、ほんで」

ヤブキ「あ~、やっぱり装備出来ないみたいだね、これね~」

カク 「装備出来ないとタライが降ってくんの?」

イムラ「そういうシステムなの?」

ヤブキ「あ~、やっぱりね~。ちょっとフォームがやっぱりあんまり合ってないかな~?って感じしたね~」

カク 「フォーム? いや、フォームとかじゃなくて」

ヤブキ「え?」

カク 「タライ降ってきましたよ」

ヤブキ「ちょっと分かんない」

カク 「いやおかしいだろ! 分かるだろ!」

ヤブキ「おじいさんだからかな? 分かんない」

カク 「おい、ふざけんなジジイ!」

イムラ「も、もう一回やってみれば? 試しに」

カク 「いやいやいや! いやいやいやいや!」

イムラ「偶然かもしれないしね」

カク 「どんな偶然だよ! タライ降ってくるって」

イムラ「まあまあ、とりあえずもう一回やってみよ。素振り」

カク 「え? もっかいやんの?」

イムラ「もう一回試しに」

カク 「じゃ、フォームか? フォームに気をつけてやればいいのか?」

ヤブキ「フォームは大事だからね」

イムラ「フォーム気をつけてやってみよ、じゃあ」

カク 「こう構えて・・・」

イムラ「そうそうそう、キレイ」

カク 「こうか?」

  またもタライがカクの頭に降ってくる

カク 「ダメじゃん!」

イムラ「あ~」

カク 「痛いもん!」

ヤブキ「あ~、やっぱ合ってないんだね、それね。装備出来ないね」

カク 「分かった! じゃ、違うのにしよう! じゃあ」

イムラ「そうしよう」

カク 「これにしよう、これ」

イムラ「お?」

カク 「やり!」

イムラ「やり」

カク 「てつのやり! これ、カッコイイし」

イムラ「うん、いいね」

カク 「リーチも長いし」

イムラ「うん、渋いね」

カク 「これはもうこう~、突くだけだから。こう~、ホイッつって」(やりを突いた瞬間にタライが降ってくる)

イムラ「あ~、ダメか~」

カク 「次いこう! 次はね~、え~、ゆみや!」

イムラ「お、ゆみや」

カク 「ゆみやはね~、ちょっとね、気になってたんです」

イムラ「ゆみやいっちゃう」

カク 「こう遠くから敵を狙うっていうのをね、一回やってみたかった」

イムラ「うん、遠距離攻撃ってやつね」

カク 「たぶん技術もね結構いると思うんだけど、練習をすればまあ何とか、ならないね」(『まあ何とか』のセリフの後にすぐにタライが降ってくる)

イムラ「ならないね」

カク 「ならないんだよね!」

イムラ「もう無理だからね」

カク 「あ~、何も装備出来ない!」

イムラ「おい、どうしたどうした?」

カク 「俺は何も装備出来ない!」

イムラ「どうしたおい?」

カク 「ゴミクソです僕は。ゴミクソ!」

イムラ「おい、しっかりしろ!」

カク 「ゴミクソです、どうぞよろしく!」

イムラ「おいちょっと待て、おじいさん! おじいさん!」

ヤブキ「はい、はい」

イムラ「逆にこいつが装備出来る武器は何ですか?」

ヤブキ「え~っとね~、そうだね~・・・これかな?」

  おじいさんが『あくまのオノ』を提示してくる

カク&イムラ「え?」

カク 「え?」

イムラ「え、これめっちゃ、めっちゃ強そう」

カク 「これ?」

イムラ「すげーすげー」

カク 「これめっちゃいいじゃん! ちょっと」

イムラ「すごいじゃん、これ」

カク 「え? いいのこれ? いいの?」

イムラ「ちょっと振ってみて一回」

カク 「いくよ?・・・ハイッ!」

  またもタライがカクの頭上に降ってくる

カク 「いって! なんで!?」

イムラ「おいジジイ!」

カク 「なんでなんで!? なんで!?」

イムラ「おいジジイ! どうなんてんだ、おい!?」

ヤブキ「ちょっとおじいさんだからかな? 分かんない」

カク&イムラ「ジジイ、おい!!」







終わり









ポンコツクエスト ~魔王と派遣の魔物たち~ 第四章「会合」

2016-09-30 21:54:19 | ポンコツクエストシリーズ
ポンコツクエスト ~魔王と派遣の魔物たち~ 第四章「会合」



【キャラクター紹介】

カク

角の生えた獣の魔物。だらしがない、口が悪い、と言うダメダメな性格で、いつも愚痴ってはイムラになだめられている。
自慢の角は唯一の武器だが、とても脆く、すぐ折れる。折れると言うより、むしろ砕ける。

イムラ

カクと仲のよいスライム。比較的真面目で大人な性格なので、カク達のツッコミ役になる事が多い。
魔物の中でも最弱で、特技は自爆。(ただし相手にダメージはなし)すぐ死んですぐ生き返るので、死生観がユルユル。

ミツイ

大きな3つの目が特徴の、翼の生えた魔物。
言動がかなりうざく、カクやイムラを見下した発言をよくするが、寝ている間にマヨネーズをかけられたりと、相手には完全にナメられている。
目を光らせると言う微妙な特技を持つ。

クロヌマ

氷系の魔法が得意な魔物で、幽霊のようにフワフワ浮いている。大人しい性格で、声が高い。
魔法を褒められるとテンションが上がり、いっそう声が高くなる。

ツチダ

大きなハンマーを持っている、モフモフした魔物。無口でいつもボーッとしているので、何を考えているか分からない。
力が強いが、知能はかなり低い。「ハンマー」という単語をよく言う。


【キャスト一覧】

カク♂♀:
イムラ♂:
クロヌマ♀:
ミツイ&ツチダ♂♀:


【本編】


《酒場》

  頭にマヨネーズをかけられたミツイが寝ている

カク  「いや~、しかし起きねぇなコイツ」

イムラ 「もうほっときゃいいんじゃないもう」

カク  「まだ飲み始めて一時間も経ってないのにな」

イムラ 「ん~、コイツ酔いつぶれんの早いな」

カク  「こんなにマヨネーズかけてんのになんで起きないの?」

イムラ 「なんでマヨネーズかけたの? こんなに。っていうか寝かしときゃいいんじゃない、ウザイし」

カク  「これクロヌマがさ、魔法とかかけても起きないのかな?」

イムラ 「え?」

クロヌマ「え? 僕?」

カク  「クロヌマって、どういう魔法使えんだっけ?」

クロヌマ「え? 僕はそうだな~・・・」

イムラ 「声高いな、お前」

クロヌマ「なんか氷系の魔法とか、割と使えるけどね」

イムラ 「へ~」

カク  「その氷系の魔法、ミツイにちょっと撃ってみて、ちょっと」

イムラ 「え? 大丈夫? それ」

クロヌマ「怒られない? それ」

カク  「大丈夫でしょ。それ威力的にはどうなの? 死ぬ感じ?」

クロヌマ「いやいや死ぬ感じでは全然ないけど・・・」

カク  「死ぬ感じじゃないんだったら、全然いいんじゃない?」

イムラ 「死ぬ感じって、言葉なんだ?」

クロヌマ「いやでも大丈夫かな~?」

カク  「大丈夫大丈夫大丈夫。やろうやろう」

クロヌマ「いや本当に」

カク  「やってみよう」

イムラ 「ミツイだし、いいんじゃない」

カク  「そう、それ」

クロヌマ「いいの? じゃあ、やるよ」

カク  「うん、いこう」

クロヌマ「じゃあ、いくよ・・・ヒョード!」

イムラ 「ヒョードって言うんだ」

 ミツイがクロヌマの魔法で少し凍る。

ミツイ 「ああっ、ううっ・・・」

カク  「あ、凍った! 起きるか、これは」

イムラ 「あ、起きそう」

ミツイ 「うあっ・・・ん・・・うあっ・・・」

カク  「お、起きるのか? 起きるのか?」

ミツイ 「むにゃむにゃ」

カク  「起きない!」

クロヌマ「起きないか~」

イムラ 「これホントに寝てんのこれ!?」

カク  「いやヒョードでも起きないか~」

イムラ 「おもいっきり『むにゃむにゃ』っつったけど」

ミツイ 「もう食べられないよ~」

イムラ 「おいなんか言ってるぞおい!」

カク  「いやでも魔法いいよね。こうやって見ると」

クロヌマ「そう?」

イムラ 「おいミツイほったらかしかいこれ」

カク  「な、どういう呪文だっけ? ヒョ、ヒョ?」

クロヌマ「ヒョード!」

カク  「ヒョード?」

クロヌマ「ヒョード!!!!」

イムラ 「うるせいなおい! 声たっけぇな、ほんで。(魔法の効果音が流れる)テロレロレロ、じゃねえよ!」

カク  「やっぱなんか魔法とか、そういった技とか一個欲しいよね。俺も」

クロヌマ「あ~、ま~ね」

カク  「ないからな~、俺ら。イムラもさ、そういった魔法とか欲しいでしょ?」

イムラ 「まぁまぁ、そりゃ~欲しいよ」

カク  「魔法な~」

イムラ 「もしくは武器が欲しいね」

クロヌマ「あ~、武器」

カク  「武器?」

イムラ 「うん、剣とか槍とかさ。カッコイイじゃん」

ツチダ 「ハンマー!」

カク・イムラ・クロヌマ「びっくりした~」

イムラ 「いたのか、お前。何? なんて?」

ツチダ 「ハンマー!」

イムラ 「ハンマー?」

ツチダ 「ハンマー!」

イムラ 「うん、ハンマーもね、武器だよね」

ツチダ 「ハンマー! 武器!」

イムラ 「そうそうそうそう」

カク  「いやでも俺はツノあるしな~」

イムラ 「え? ツノ?」

カク  「うん、ツノ」

イムラ 「そのツノ?」

カク  「このツノ」

イムラ 「でもまあ結構みんなツノあるけどね」

カク  「は?」

イムラ 「だってツチダにもあるでしょ。クロヌマにもあるでしょ」

カク  「は?」

イムラ 「あ、ミツイにもあるわ。ミツイにもあるでしょ」

クロヌマ「あ、ホントだ」

カク  「は?」

イムラ 「俺のこれもツノっちゃ~、ツノだしね」

カク  「は?」

イムラ 「五人中五人あるもん」

カク  「お前のなんかプニップニじゃね~か! そんなんツノじゃね~わ! 『トッキ』だわ!」

イムラ 「なに怒ってんの。だってみんなあんじゃんだって」

カク  「モノが違うんじゃ~!」

イムラ 「わかった、ごめんごめんごめん」

カク  「むっちゃ硬いんじゃ~! 儂のツノは~!」

イムラ 「わかった、ごめんごめんごめん」

カク  「だから武器いらんのじゃ~! 儂は~」

イムラ 「わかったよ。そうだね。わかったよ」

カク  「なんだそのあしらう感じ! なんっじゃ~!」

イムラ 「誰なんだそのしゃべり方!」

カク  「いやそのツチダのハンマーで俺のツノ一回殴ってみ? どんだけ硬いか!」

ツチダ 「ハンマー!」

カク  「そう、ツチダ一回これハンマーで殴ってみ? これ」

ツチダ 「殴る!」

  カクのツノがあっさりとツチダのハンマーで折れる

カク  「うん、折れたけど」

イムラ 「折れちゃったよ!」

カク  「うん、ちょっと強かったね今の。力加減がちょっと強すぎたけど」

イムラ 「大丈夫か、お前。痛くないの? お前」

カク  「痛くはない。痛くはないんだけど」

イムラ 「大丈夫か!? お前」

カク  「じゃあ、クロヌマのそのじゃあ杖で」

クロヌマ「え?」

カク  「杖でちょっと殴ってみ? クロヌマの」

クロヌマ「ぼ、僕の?」

カク  「うん、ツチダはちょっと力が強いから。クロヌマ、殴って」

クロヌマ「え? 大丈夫?」

カク  「大丈夫だから。ちょっと殴って」

クロヌマ「・・・いくよ?」

カク  「うん」

  クロヌマの杖でもカクのツノがあっさりと折れる

カク  「・・・うん、折れたわ」

イムラ 「折れちゃった!」

カク  「折れちゃった」

イムラ 「両方折れちゃった!」

カク  「両方折れちゃった」

イムラ 「ごめんね、なんか」

カク  「う、うん、ぶ、武器、武器買いに行こう」







終わり