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台本置き場

GREEN ~秋空のスクリーン~ scene.4「君の瞳に恋してる」

2017-02-15 05:01:30 | 台本

GREEN ~秋空のスクリーン~ scene.4「君の瞳に恋してる」


【キャスト一覧】

小野 真治 ♂:
水野 真琴 ♀:
桜井 茜  ♀:
藤原 由紀恵♀:
本山 浩一 ♂:
中田 英明 ♂:


詳細なキャラ説明は一話を参照してください。
GREEN ~秋空のスクリーン~ scene.1「さよならゲーム」


【GREEN ~秋空のスクリーン~ 全4話】

GREEN ~秋空のスクリーン~ scene.2「シーズ・ソー・ラブリー」
GREEN ~秋空のスクリーン~ scene.3「好きと言えなくて」
GREEN ~秋空のスクリーン~ scene.4「君の瞳に恋してる」


【本編】


  《真琴の家の前》


SE:チャイム音 何度も鳴らす

真治 「おかしいな・・・真琴が居留守を使うとしても雅志君が出てくるはずなんだけど」

SE:ドアのノック音

真治 「まだそんなに遅い時間じゃないから、真琴のお母さんは帰ってきてないよな

SE:ドアのノック音 何度も叩く   

真治 「こんばんは! こんばんは~! こんばんは~!!
    はぁ・・・ダメ、かなぁ・・・」

SE:ドアが開く音

真治 「あっ、真琴」

真琴 「ちょっと、近所迷惑よ」

真治 「真琴、ごめん。ちょっと話を聞いてほしいんだ」

真琴 「こんな時間に押しかけて来て、どういうつもり?」

真治 「頼む! ちょっとだけでいいから」


  《真琴が真治を家に招き入れる》


真治 「ありがとう」

真琴 「静かにね」

真治 「あっ、ごめん」

SE:ドアを閉める音 鍵をかける音

  《階段を上がり、真琴の部屋に向かう》


真治 「あれ?雅志君は?」

真琴 「お母さんと一緒に田舎に行ってる。取材旅行のついでなんだって」

真治 「真琴は行かなかったんだ? 一緒に行けば良かったのに」

真琴 「もう、撮影があるでしょう」

真治 「あ、そうか・・・」


  《真琴の部屋のドアを開ける》


真琴 「はい、どうぞ」

真治 「あ、うん。お邪魔します」


  《部屋に入り、ドアを閉める》


真治 「ねぇ、真琴」

真琴 「・・・」

真治 「真琴、ごめん。本当に悪かったと思ってる」

真琴 「・・・」

真治 「真琴、ちょっと聞いてほしいんだ」

真琴 「呼び捨てにしないで。その辺に座ったら?」

真治 「う、うん」

真琴 「で、何? 用が終わったら、さっさと帰ってね」

真治 「いや、とにかく、謝りたくて」

真琴 「今更何を謝るの? 茜ちゃんにキスしたこと? それを平気な顔で私に話したこと?」

真治 「それもあるけど」

真琴 「それとも、私と別れて茜ちゃんと付き合うことにした? だったら謝る必要なんかないわよ。
    ほんと、それがいいかもね。あの子なら私なんかよりずっと素直だよ。
    先輩、先輩って、きっと何でも許してくれるわよ」

真治 「やめてよ、水野さん。僕は、そんな話をしに来たんじゃない」

真琴 「何よ、おとなしそうな顔して。君のことを陰でコソコソ狙ってるんだわ!
    それで、都合が悪くなるとすぐ泣いて、ズルイ女!!」

真治 「茜ちゃんを悪く言うのは止せったら!」

真琴 「やっぱり、庇うんだ」

真治 「そうじゃないって」

真琴 「ねぇ、君、何しに来たの? 私に謝りに来たんじゃなかったの?」

真治 「もちろん、謝りに来たんだよ」

真琴 「どこが謝ってるのよ! もう帰って!」

真治 「どうして茜ちゃんのことを持ち出すんだ。
    彼女の気持ちがどうであれ、僕の君を想う気持ちに変わりはないのに!」

真琴 「出てって! ねぇ! 出てってよ!!」

真治 「水野さん、落ち着いて! 話を聞いて!」

真琴 「話なんかしたくないの! 理屈ばっかり言って! バカッ! バカバカッ!」

真治 「どうして分かってくれないんだ! 僕は!」

真琴 「私の気持ちは? 分かってるの?」

真治 「だから、分かろうと思って。でも、そのためには話し合わなきゃ」

真琴 「話し合って、何が分かるのよ!?」

真治 「水野さん・・・」

真琴 「・・・・・・」

真治 「水野さん、どうしてそんなに怒ってるの?」

真琴 「・・・」

真治 「僕のこと、嫌いになったの?」

真琴 「君が、私のこと嫌いになったんじゃないの?」

真治 「いや、好きだ」

真琴 「ウソ」

真治 「嘘なもんか。何度も言ったじゃないか。水野さんは、僕の理想の」

真琴 「そんなの、君が勝手に思い込んでるだけじゃない。私、名無しのヒロインなんかじゃないよ?
    普通の女の子だよ? そんな、君が思っているような理想の女の子じゃないよ」

真治 「そんなことは分かってるよ」

真琴 「分かってないよ!」

真治 「違うんだ、水野さん。きっかけは、そうだったかもしれないけど。
    思い出してほしい。いつか保健室で僕が君に告白した時のことを。
    あの時、君は僕に訊いたよね? 僕が水野さんのことを好きになったこと。
    映画に出演してほしいと思ったこと。どっちが先なのかって」

真琴 「・・・・・・」    

真治 「僕は、水野さんに出演してほしいと思ったのが先だと答えた。
    好きになったのは、その後なんだ。名無しのヒロインはきっかけに過ぎない」

真琴 「私、嫌な子よね」

真治 「そんなことないよ」

真琴 「ウソ」

真治 「一体、何が君をそんなに苦しめているの?
    そして、それは僕のせいなんだろうか」

真琴 「・・・・・・」

真治 「それを分かりたいんだ、真剣に。鈍感なことは謝るよ。
    でも、だからこそ教えてほしい。二度と君を苦しめないためにも」

真琴 「綺麗事言って」

真治 「ねぇ、僕には君が必要なんだよ」

真琴 「女優として必要なだけでしょ? いつだってそう、映画映画で、
    カメラを通して見る私にしか興味ないんでしょ!?」

真治 「違う! 僕は、一人の女性としての君が好きなんだ!」

真琴 「ごめんね、現実の私はこんなんで。
    幻滅させちゃったよね、茜ちゃんには酷いこと言うし。真治にも」

真治 「だから違うんだ! あれは、誰が悪いわけでもないよ・・・」

真琴 「ふ~ん、君は全然悪くないんだ?」

真治 「いや、それは、悪かったけど」

真琴 「それに、真治は私が悪いって言ったじゃない!」

真治 「そんなことは言ってないよ!」

真琴 「言ったじゃない!!」

真治 「・・・真琴、ごめん」

真琴 「・・・・・・」

真治 「ほんとにごめん。確かに、理屈じゃないよね」

真琴 「知らない」

真治 「ねぇ、水野さん。僕を見て」

真琴 「見てるよ」

真治 「僕は君が好きなんだ」

真琴 「そう、ありがとう」

真治 「目をそらさないで」

真琴 「・・・」

真治 「僕は君が好きなんだ」

真琴 「分かったわよ」

真治 「僕は君が好きだ」

真琴 「はいはい」

真治 「僕は君が好きだ」

真琴 「わっ、分かったったら」

真治 「君が好きだ」

真琴 「もう、いいよ・・・」

真治 「君が好きだ」

真琴 「・・・」

真治 「君が好きなんだ」

真琴 「・・・」

真治 「君が好きなんだ」

真琴 「やめて、そんな嘘つかないで! そんなこと言う柄じゃないでしょ!?」

真治 「・・・好きだ」

真琴 「ぐすっ ぐすっ」(泣き始める)

真治 「君が好きだ」

真琴 「ぐすっ ぐすっ・・・」

真治 「愛してる」

真琴 「ぐすっ ぐすっ・・・うわあああん!」

真治 「?」

真琴 「分かんない・・・自分でも何で怒ってるのか、分かんないの・・・
    ごめん、ごめんなさい! 真治! ぐすっ ぐすっ・・・」

真治 「僕にもよく分からないよ、真琴」

真琴 「ぐすっ、ぐすっ、ぐすっ・・・・・・」


  《ベッドの中》


真琴 「うふっ、変なの。さっきまで私たちケンカしてたのに。
    今は真治がそばにいることが、すごく嬉しいの」

真治 「僕もだ」

真琴 「ふふっ。なんだか、おかしいね。でも、幸せ」

真治 「真琴」


  《しばらく経って》


真琴 「ほっぺた、まだ痛む?」

真治 「いや、別に」

真琴 「ごめんね。昼間、おもいっきり殴っちゃって」

真治 「気にしないでいいよ」

真琴 「茜ちゃんの言うとおりかも。私、ちょっと浮かれてたの。
    っていうか、甘えてみたかったのかも」

真治 「甘えて?」

真琴 「真治が」

真治 「僕が?」

真琴 「誰にでも優しいから。何か不安になっちゃって。
    わざとああいう態度とっちゃったのかもしれない」

真治 「だとしたら、本当に僕のせいだね。ごめん」

真琴 「ううん、謝らないで。後から考えてみて、そうだったのかな~ってだけだから」

真治 「僕は、もっともっと、真琴の気持ちを分かりたい」

真琴 「ごめんね。理屈にならないことばっかり言って」

真治 「いや」

真琴 「え?」

真治 「分かりたいんだ。その、理屈じゃないこと」

真琴 「ふふっ。すごく分かってくれる気がするよ、今は」

真治 「そうかな?」

真琴 「うん!」




真琴 「明日、茜ちゃんに謝っておく」

真治 「うん」

真琴 「真治・・・ありがとう」


  《映画部 部室 全員集まっている》


本山M「ふぅ・・・ってなわけで。ああ、俺だよ、天才の本山。
    なんだかんだ言って、やっぱり元鞘(モトサヤ)っていうか
    落ち着くべきところに落ち着いたっていうか
    雨降って地固まるというか」

茜  「本山先輩? 何ブツブツ言ってるんですか?」

本山 「ん~? っと、おお! 茜ちゃ~ん! はっはっはっ!
    天才はなかなか理解されないものなんだよ」

茜  「そう、何ですか?」

由紀恵「うふふふっ。本山君は相変わらずね」

本山 「な、なんスか~それ~」

真治 「本山君! もう何曲かあがってる? そろそろ前半の仮編集に入れるから
    曲があったらあててみたいんだけど」

中田 「ん? どうだろうな。本山は土壇場でまとめあげてくるタイプだからな」

本山 「チッチッチッチッ、部長さん。日々成長するこの天才本山をなめちゃ~いけませんぜ~」

真琴 「ええ~! じゃあ、もう曲出来てるの?」

本山 「な~によ、真琴ちゃ~ん。そんなに驚くことねぇじゃんよ」

真琴 「だって、ねぇ?」

茜  「ねぇ」

本山 「ガッ! 茜ちゃんまでひっで~な~」

由紀恵「うふふっ。じゃあ、聞かせてくれないかしら? その天才さんの華麗なる作品ってやつを」

本山 「え? 今? ここで? みんなで聞くの?」

由紀恵「天才、なんでしょ?」

本山 「そりゃ~そうっスけど・・・何か照れるな~」

中田 「ほう、お前でも照れることがあるのか」

真治 「部長。それはいくらなんでも言いすぎですよ」


  《本山以外 みんな笑う》


本山M「チッ、全く。凡人どもが天才を甘く見やがって。待ってろよ。
    今、溢れんばかりの才能を結実させた珠玉の名曲たちを聞かせてやるからな。
    腰抜かすなよ? さて、ディスク1をセットしてっと。
    さぁ、これを聞けば、みんな黙っちまうぞ~。
    それでは、イッツア ミュージック! スタート!」





scene.4   終