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短編サンプルボイスドラマ(仮) チヒロとカグラ

2016-07-09 21:36:43 | 台本
短編サンプルボイスドラマ(仮) チヒロとカグラ


【簡単な人物紹介】

チヒロ♂:主人公。20代男性。犯罪科第8班に所属。昔に不幸な出来事があり、影があったが、このチームに入ってからそれも薄れつつある。

カグラ♀:酒好きな大人の女性。犯罪科第8班に所属。チヒロの先輩でチームのムードメーカー。ただ、少々オヤジくさい。

ヨミ♂:犯罪科第8班のリーダー。40~50代。威厳がある。

ハヅキ♀:ヒロイン。可愛くて儚くて繊細で清純な感じ。チヒロと同じく過去に不幸があったが、今の生活のおかげで少しずつ明るくなっていった。

犯人A♂♀:ATMを盗んだ犯人グループの一人。弟分的な存在。
犯人B♂♀:ATMを盗んだ犯人グループの一人。兄貴分的な存在。
犯人C♂♀:雑魚キャラ。ガッツリとチヒロとカグラにやられちゃってください。犯人A、Bとは直接関係はありません。



【キャスト一覧】

チヒロ♂:
カグラ♀:
ヨミ♂:
ハヅキ♀:
犯人A♂♀:
犯人B♂♀:
犯人C♂♀:

犯人Cは、犯人Aか犯人Bと兼任推奨。


【本編】


-1-



  雨音。
  その中を必死で走る男。それを追うチヒロ。


犯人C 「はぁはぁはぁ…しつけぇ!」

チヒロ「諦めが悪いな。逃げるのはもう無理だ!」


  犯人の正面に突然カグラが立ちふさがる。


カグラ「ゲームオーバーよ」

犯人C 「おわっ! くそ…挟み撃ちか! どけっ!!」


  犯人が抵抗して殴り掛かってくる。
  攻撃をさらりと受け流し、カグラの反撃。チヒロも攻撃。


カグラ「(避け)…! (回し蹴り)でやぁ!」

チヒロ「(渾身の一撃)はぁーっ!」

犯人C 「うがぁ…!」


  どさっと犯人の崩れる音。


カグラ「ふー。任務完了ね」



-2-



  カプセル状のベッドに横になっているカグラ。検査されている。ヨミがカタカタとキーボードを打ち込む音。


ヨミ 「んーっ…よし! 異常なしじゃな」


  カプセルがプシューっと開く


カグラ「ふぅっ! 今日も私のボディは絶好調。よっと!(起き上がる) ヨミちゃん、軽くどお?」

ヨミ 「おぉ? 朝飯食う前から酒なんか呑ませんぞ!」

カグラ「迎え酒がまた美味しいのに!」

ヨミ 「ったくお前はもう…」


  部屋のドアが開く音


チヒロ「朝飯できますよー」

カグラ「ほら! チヒロも呑みたいっていってるじゃん」

チヒロ「言ってません。昨日散々呑んどいて朝っぱらから酒の話ですか?」

カグラ「いいじゃん! 迎え酒は朝しか呑めないのよ? (手を合わせて)一杯だけ!」

チヒロ「はぁ…。わかりました、一杯だけですよ?」

カグラ「あはっ! さっすがチヒロくん! 素直なことは良い事よ。ふんふふーん♪」


  カグラ上機嫌で鼻歌を歌いながら検査室を出て行く。


ヨミ 「おい。仕事前だぞ…」

チヒロ「大丈夫、呑ませませんから」

ヨミ 「?」

  
  食卓を囲む4人。缶をカシャっと開けて注ぐ音。


チヒロ「どうぞ」

カグラ「なにこれ」

チヒロ「レッドアイです。迎え酒にいいんですよ?」

カグラ「…鮮やかな赤。あたしの大嫌いなリコピンの色…」

チヒロ「材料はトマトジュースとビールですからねぇ」

カグラ「トマトジュース抜きでお願いするわ」

チヒロ「ビール抜きなら対応します」

カグラ「それただのトマトジュース! ビールまだあんでしょう?」

チヒロ「一杯だけって約束ですよ?」

カグラ「ハーちゃ~ん、一緒に頼んでよ~」

ハヅキ「えっと……(上目遣いで)ダメ、ですか?」

チヒロ「…っ!(ちょっと揺らいで)…ダメです。朝飯が冷めますよ? いただきます」

ヨミ 「いただきます」

ハヅキ「いただきます」


  食事する音。


チヒロ「さて、今日のきんぴらはどうかな?」

カグラ「いただきます!」


  言葉と同時にしゅぱっとチヒロの箸の先のきんぴらを取るカグラ


カグラ「(もぐもぐ)早い者勝ちでしょ?」

チヒロ「そういう腹づもりですか…。そっちがその気なら…っ!(箸をのばす)」

カグラ「…!」


  だが、またチヒロの箸より早くおかずが取られてしまう。


チヒロ「く…っ」

カグラ「ふっ…ビール出してくれたら手加減してあげるわよ?」

チヒロ「死んでも出しません! えいっ!」


  チヒロとカグラの箸対決。カチャチャチャ!!と、とんでもない速さで箸がぶつかり合う。(二人アドリブで戦い続けて)


ヨミ 「ああっ! おいっ! 浅漬けが取れんじゃろ」


  ハヅキ、二人の合間から手をのばしてヨミに器を差し出す。


ハヅキ「(一生懸命に手をのばし)はい…どうぞ」

ヨミ 「(ヨミも手をのばし)…ああ、すまんな。ふう」


  まだ二人の対決の音。
  その中でなれた様子で食事をするハヅキとヨミ。


ハヅキ「くすくす」

ヨミ 「どうした? ハヅキ」

ハヅキ「誰かと食事をするのって、やっぱり楽しいと思って」

ヨミ 「ふむ。じゃがコイツらは特別騒がしすぎる」

ハヅキ「ふふふ。そうですね」


  ヨミの携帯が鳴る。まだ二人の戦う音。


ヨミ 「えーい、静かにせい!!」

チヒロ&カグラ「!?」


  二人やっと我に返る。ヨミ携帯に出る


ヨミ 「ワシじゃ。………まったく、朝早くから…。ああ、すぐ向かわせる」


  携帯を切る。
  シーンとヨミに注目している三人。


カグラ「まさか…」

ヨミ 「仕事じゃ。二分やるから朝飯食っちまえ。ワシはアーマーの準備をしておく。よっこらせっと…」

チヒロ「大丈夫です。俺着替えてきます!(立ち上がる)」

カグラ「私もご飯は後で。さくっと片付けちゃお(立ち上がる)」

ハヅキ「(慌てて立ち上がり)じゃあご飯、このままにしておきますか?」

カグラ「うん、お願い」

ハヅキ「はい。…気をつけてくださいね」

カグラ「心配無用。朝飯前ってやつよ!」


  走る音、ドアしまる。
  装備を整え作戦ルームへ集まるカグラとチヒロ。


カグラ「よしっ、準備おっけー!」

ヨミ 「今回の犯人だが、銀行からATMを盗んで逃走中。追跡機の情報は端末におくった」

カグラ「しっかりいただいてるわ」

チヒロ「じゃ、行きますか」

ヨミ 「よし。班長、ヨミヤマハンゾウより発令。犯罪科第8班、出撃せい!」

チヒロ&カグラ「イエッサ!」


  外へと駆け出して行く音。



-3-



  がたんっと重い物を降ろす音が倉庫に響く。


犯人A 「ふぅ~、へへへ、うまくいったな」

犯人B 「はははっ! 警官なんざ虫けら同然。ちょろいもんだぜ!」

犯人A 「よし! 早く開けようぜ」

犯人B 「おうっ、まかせとけ!」

 
  犯人B、鈍器でATMをガンガンと殴って壊す。


犯人B 「ふん…っ! ふん…! …えぇい!!」


  中から大量の現金がこぼれ落ちる


犯人A 「はははっ! すっげーーー!! こんだけあれば当分遊べるぜー!」

犯人B 「早く鞄に詰めちまえ。ずらかるぞ!」


  倉庫の影からこっそりと中を伺う2人


チヒロ「犯人は二人」

カグラ「じゃ、フォーメーションZで」

チヒロ「了解」

カグラ「あたし周り込むからお願いね~」

チヒロ「いつも通りってことね」


  犯人達の前に姿を現すチヒロ


チヒロ「そこまで! 警察だ」

犯人A 「うぁっ!」

犯人B 「…おいおい、警官が一人ってなんだよ。そんなひょろっちい身体で相手になるかっての」

チヒロ「ふむ…そうでもないんだけど」

犯人A 「がつんとやっちゃえよ」

犯人B 「へへ、そうだな…。どうする兄ちゃん?」

チヒロ「典型的だ。自分の力に陶酔[トウスイ]するあまり、状況が正確に判断できていない」

犯人B 「なんだとぉー!? うわぁぁー!(チヒロに向かって突進する)」

チヒロ「ふっ…。いつものパターンだな」

犯人B 「ああぁぁ!!(攻撃)」


  攻撃をさらりと受け流し、チヒロの攻撃


チヒロ「っ!(攻撃)」


  敵に攻撃がヒット。どさっと崩れる音。


犯人B 「うぐぅっ! う、腕がぁー…あぁ…(崩れる)」

チヒロ「間違い1、諸事情により俺は特殊な訓練を受けていること。それから…」

犯人B 「くそぉ! このぉーーー!!(攻撃)」


  犯人が走り込んできてチヒロに攻撃をしかけるが、そこにカグラが入ってきて電撃の武器で援護。


犯人B 「うぐっ…(カグラの攻撃を受けて)」

犯人A 「なに!?」

カグラ「間違い2、一人じゃなくて二人よ」


  カグラの攻撃でビリビリしてる犯人


犯人B 「うがぁぁ…(倒れる)」

犯人A 「や、やべぇ…! うわああああ!(走って逃げていく)」


  走り逃げていく犯人A
  遠くにパトカーのサイレン


カグラ「ユー、ルーズ! ゲームオーバー。任務完了ね」

チヒロ「後はまかせて帰りますか」

カグラ「朝ご飯も待ってるしねぇ」



-4-



  がちゃっ。ドア開く音。


ヨミ 「報告に行ってくるから、後頼むぞ」

カグラ「へーい」

チヒロ&ハヅキ「はーい」


  箸を置く音。


カグラ「はー…。ごちそうさまー」

ハヅキ「お粗末様です」

カグラ「うんうん、これだよー。ごちそうさまときたら、お粗末様。そして文句を言わず食器を片付ける…はぁ、良い嫁が来てよかったー」

チヒロ「ダメですよ姐さん」

カグラ「何が?」

チヒロ「ハヅキに片付けさせようって魂胆[コンタン]が見え見え。今日の当番は姐さんですからね」

カグラ「いいでしょ~? あたし仕事上がりで疲れてんだしー」

チヒロ「わかりました。お疲れの姐さんのために、今日の夕飯はトマトづくし…」

カグラ「(立ち上がる)…っ! 参りました…卑怯もの~!」

チヒロ「ちゃんと洗い物してくれたら、夕飯に一本つけますよ?」

カグラ「できれば、ヨミちゃんとハヅキちゃんの分もあわせてもう2本」

チヒロ「はいはい。どうせ自分で呑むんでしょうけどね。じゃ、俺とハヅキは買い物に行きますから、洗い物お願いしますね」

カグラ「買い物デート、楽しんできてね~」

ハヅキ「デート?(きょとんとして)」

チヒロ「な、何言ってるんですか。ただの買い出しです」

カグラ「ふふっ、わかったわかった。行ってこい!」

チヒロ「じゃあお願いしますね。ビール飲んだらダメですよ」

ハヅキ「行ってきます」

カグラ「はいはーい。行ってらっしゃーい」


  バタンとドアがしまる


カグラ「ふふん。呑んだらダメですよ!って前振りよね…。呑むつもりはなかったけど、振られたからには応えないと~ねっ」





  終わり