夏音

「なつのね」ぶろぐ

「半島を出よ」を読んで

2005年11月21日 22時13分59秒 | 雑談
読書の秋ということで雑感.
ここ最近,村上龍の「希望の国のエクソダス」,「半島を出よ」を
読んだけど,村上龍って作家は見たくない現実が見えてる人だなと
いうのを改めて感じた.
そして,彼は自分が見たものを文章として系統立てることが出来る
人物である.

彼が何を描いてきたのか,昔の作品から辿ってみることも大きな
意味があるんじゃないかと思ったり.
ということで,もう一人の村上である村上龍の著書を漁ってみようかなと
思う秋の夜長でした….

メモ程度に印象に残っている言葉を「希望の国のエクソダス」から3つ.

「もし僕らの計画が決定的に遅れれば,この国は全体が養鶏場のように
なるでしょう.餌だけはきちんと毎食与えられて,狭い鶏舎に閉じ込め
られた鶏のような人間だけになって,略奪されたと知らないまま略奪され
尽くすことになるでしょう.」

「今の政治家の生き方を真似ろ,今の政治家のように生きればいいんだと,
なぜ僕らに向かって大きな声で言えないんですか?」

「普通学校という所はリスクを特定してくれて,そのリスクを管理する
ための訓練とか勉強を行うんだと思うんですね.それがない以上そこを出て,
自分達で何とか自分達なりにリスクを特定しながらそれを管理するように
しないと,あまりにも危険すぎるでしょう.」

最後の文章は,村上春樹がずっとテーマにしてる社会へのコミットメントとも
大きく関係してるかなという感じで,考えなければならない点は多い.

「半島を出よ」は言葉というよりは内容のパーツ,例えば,見たいと思う
現実しか見ない人々の姿や心理が描かれており,言葉よりはそちらの方が
印象に残る.