プルサーマル計画を憂慮する有志の会

愛媛県伊方発電所3号機におけるプルサーマル発電の問題を考える有志の会です。

治験という「人体実験」

2011年01月25日 | 日記
 近藤誠氏は、著書「新抗癌剤の副作用がわかる本」の中で、堂々と日本の抗癌剤開発に関わる治験を、「人体実験」と言って憚(はばか)りません。以下、氏の主張を抜粋・引用し、ご紹介したいと思います。(*印は私の加筆です)

「(*フルオロウラシル系の)経口抗がん剤の売上高は、エッセンシャル・ドラッグ(*WHOの認めた効果の証明された主要な薬剤)に載っている抗がん剤の売上高を全部合わせたよりもずっと多い」、「医師がそんなに使う最大の原因は『薬価差益』ないし『研究費』です」、「経口抗がん剤の薬価差益は注射薬よりはるかに高額で、しかも何年も継続して患者さんが飲んでくれますから、医師にとっては安定的な収入源になる」、「『研究費は』というのは、患者さん1人に処方するといくら、というかたちで、製薬会社から医師に研究費として渡されるお金です」、「こういった構図は、・・・抗がん剤のような高価な薬ほど目に余る」ということです。

また、「認可のための研究をした専門家(*医師や大学病院の教授)が製薬会社と癒着していたり、さらに、その専門家が、認可を審議する厚生省の中央薬事審議会の委員を務めている」、また「中央薬事審議会のメンバーに製薬会社の息のかかった人物がいる」とのことで、大学・病院と、製薬会社、そして厚生労働省が三位一体の癒着構造をもって薬事行政が行なわれ、抗がん剤の認可、製造、販売による「利」のシステムができていることが分かります。

抗がん剤の治験の手順としては、「死ぬ患者さんが出るあたりまで段階的に薬を増量して『危険な量』の当たりをつける」第1相(毒性)試験(*治験する側はこれを「安全性を確認するための」試験と呼んでいます)、「当たりのついた『危険な量』で本当に大丈夫か、もっと多くのいろいろながんの患者さんで試す」前期第2相試験(やはり毒性試験)、そして「しこり縮小効果を出すためにしこりが縮小しやすい種類のがんの患者さんを狙」って行われる後期第2相試験と続き、「本当に治るかどうか不明のまま」、わずか「奏効率10%ほどで認可」され保険適応となり、その後(認可後)行なわれる第3相くじ引き比較試験は、「延命効果がそこそこでもQOLがあれば取り消しはしません」という製薬会社に余りにも寛容な認可制度となっています。(大体、効くかどうか分からないのですから、認可後の「第3相くじ引き比較試験」そのものが「人体実験」でしかないと妄想します・・・)

第3相くじ引き比較試験は、「くじを引いて患者さんを二つの郡に分けて、それぞれに別の治療をして、その優劣を比べるもの」で、「『くじ』と聞いて同意する患者さんはいませんから・・・くじ引き実験は、医師が患者さんに無断で行なっ」ているということで、実際インフォームド・コンセントなしでこうした「治験」が行なわれているとすれば、これは明らかに人権侵害であり、「ヘルシンキ条約」にも違反しています。(*口頭では取っていると主張する医師もいますが・・・)

インフォームド・コンセントは、第1相から第3相に至るどの段階でも、患者さんの人権擁護、そして安全を守るために、「薬についての十分な情報やリスクなどを患者に提示して説明し、患者の同意を得る必要があります」(『抗ガン剤治療のすべてがわかる本』)とのことですから、その治験の結果、副作用が発生し(癌に効果があるということは、必ず何らかの副作用があるということは、癌医療の世界では常識となっています)、死に至ることさえあるわけですから、決して患者に無断で行なうようなことがあってはいけないはずなのですが・・・

ちなみに、「国立がんセンター・・・をはじめとするがん専門病院は、治験の宝庫」、「がん治療で有名な病院では治験をされると覚悟したほうがいい」と近藤氏は警告されています。
(まだ半分ぐらいしか書けていませんので、後日PartⅡを投稿させて頂きます)

P.S. それまで第3相試験後に認可されていたものが、「1991年につくられた抗ガン剤の治験についてのガイドラインでは、第2相試験で一定の奏効率が認められれば、抗ガン剤は正式に承認されるようになった」(『抗ガン剤治療のすべてがわかる本』)とのことですが、これはどうも、患者さんのためということではなく、製薬会社の、そこから「研究費」を貰う(大学)病院の、そして、製薬会社や大学へ天下りする官僚の「利(益)」のためのようです・・・