道沿いの花野
近頃お気に入りの一句
都鳥空は昔の隅田川 福田寥汀
「都鳥」・・・名にし負はばいざ言問はむ都鳥・・・伊勢物語の世界ですね。
「隅田川」、当方のイメージは、昭和の名曲「すみだ川」です。なくなりましたが、日本一の大歌手、島倉千代子唄。
銀杏返しに黒繻子かけて・・・すみだ川
・・・観音様の 秋の日暮れの鐘の声・・・都鳥さえ一羽じゃ飛ばぬ・・・
ちと古すぎか・・・?
樋口一葉「たけくらべ」と
花の雲鐘は上野か浅草か 芭蕉
が入っているのかと改めて思いましたね。
俳句ブログ的ではないかも、ですが。
この地に生まれた、とある芸能人は「隅田川」と言わず「大川」とテレビで言ってました。
正面に月を据えたる秋の酒 一龍斎貞鳳
月見の作法を調えて、月の出を待つ。銘酒の一升瓶も用意した。
現代人にはない、昔の人の妙な気合のような雰囲気もありますが、それもまたよし、ということで。
自宅でひとり楽しむのか、
または、どこかの名園のお座敷なのか。当方ならば、山小屋の前のテーブルで数人の月見ですね。
作者は、講談師、テレビタレントにして、タレント議員のはしり、俳句も熱心だったようです。
夕立が信号機消し秋雨へ Y.S
「夕立が信号機消し」
「夕立」と「秋雨」、初め、「ん、」と思いましたが、
うむ、そうか、車を運転して移動していると読めば、なるほど、ですね。
大粒の激しい夕立にワイパーも動いているだけましという状態でしょう。
激しく次々と打ちつける大粒の雨、こうなると雨水ですね。ワイパーが雨水を平らにしても前がぼやけて信号機も見えない。
しかし、夕立なので、なんとかそこを抜けると静かな秋雨のようになった。
という感じでしょうか。
父とわかりて子の呼べる秋の暮れ 鷹羽狩行
朝の茶の粽を解きて旅をはる 水原秋櫻子
自宅にもどり、翌朝のお茶と土産に買ってきた粽、何日かの旅だったのでしょう。
参考の一句
肖像の並ぶ廊下や秋湿り 片山由美子
賞状を見上ぐる廊下夏休み 今日水
から駕籠の近道戻る花野かな 正岡子規
庭先に鉢ならび居て花野かな 今日水
主のなき鉢ならびいる花野かな 今日水
手入れのされない、鉢植えの列、本来の花野ではありませんが。
近詠
スルスルと糸おり来たり家の蜘蛛 今日水
家蜘蛛の我をうかがう夜寒かな 今日水
どんな家なんだ、こんな家なのです。
飼っているわけではありませんが、ときどき現れます。直径数センチぐらい、大きな家蜘蛛です。
ここまで成長するには大変だったろうなと思い、ほっときますが。
名は「アシダカグモ」というようです。
シュルシュルシュルと動き回るので、ちょっと脅すとじっと様子をうかがうように静止します。
現われ頻度、記録しているわけではないが、年に3、4回。
二週間ぐらい滞在して、いなくなります。