"ささやかなJUNKER"氏、松山千春を聴いて、見る。

ささやかなJUNKER氏は、最近通勤の車の中で松山千春を聴いている。
ある時ラジオから、松山千春の「銀の雨」が流れてきて、「やはりこれは名曲である。確かPCに松山千春のアルバムをMP3で保存していたはずだ。」と思い至ったささやかなJUNKER氏は、やおらPCや外付けHDDの中を捜索するのであった。
警察に捜索願を出すまでもなく、松山千春のアルバム「再生」のファイルを見つけ出したささやかなJUNKER氏は、やおらCDRを取り出す。
このCDRはVictorブランドであり、ささやかなJUNKER氏がCDRドライブに凝っていた１０年以上も前に、なんと１枚１００円を払い手に入れた逸品である。
ささやかなJUNKER氏の手元には、そのような国産CDRのストックがまだまだ残っているのであった。
知る人ぞ知る三井ゴールドメディアであるとか、国産SONYメディアであるとか、国産RICOHメディアなど、貧乏性のささやかなJUNKER氏は使うことがもったいなくて、まるで箱入り娘のように大切に保管していたのである。
けれど、そろそろ箱入り娘も適齢期を過ぎ、時代はDVDを通り過ぎBlue-rayへと移るこの時期に、もう嫁に出さなければと思い始めたのである。
そんなこんなで、今は通勤途中に松山千春の「再生」を聴くささやかなJUNKER氏は、やはり松山千春がどんな人物であれ、名曲は名曲だと「銀の雨」「旅立ち」「大空と大地の中で」「人生(たび)の空から」等々を繰り返し聴き感動するのである。
ただし運転中に感動の涙を流すと大層危険であるので、目にワイパーを内蔵しておらぬささやかなJUNKER氏はそこはグッとこらえるのであった。
そして、松山千春の自伝「足寄より」を映画化した作品があると知り、ささやかなJUNKER氏は「GEO」へと足を運ぶのである。
知らぬ人はいないと思うが、老婆心ながら付け加えると「GEO」はゲーム・レンタルビデオの専門店である。
男女があられもない姿で絡み合うDVDコーナーの入り口に近い場所で、ようやく見つけたDVD「旅立ち～足寄より～」を借りたささやかなJUNKER氏は、「旅立ち」を口ずさみながら帰宅するのであった。
さて、その「旅立ち～足寄より～」であるが、例によってあらすじを紹介する。
“昭和50年全国フォーク音楽祭・北海道大会”。
札幌で開催されたこの大会に、一人遅れてパトカーで到着した若者の姿があった。
真っ赤なニッカポッカ姿に大きなサングラス、片手にギター1本持ったこの奇抜なスタイルの男こそ、当時19歳だった松山千春。
大勢の客達は明らかに場違いな彼の姿に爆笑するが、そんな会場に「お前らうっせえぞ! 笑ってないで歌を聴け!」と鋭く一喝する千春。
そして歌い始めた彼の曲『旅立ち』―。
その透き通るようなハイトーンボイスと、切ない別れを歌った歌詞の世界に、さっきまで野次を飛ばしていた観客たちは圧倒され聞き惚れる。
結局、生意気な態度が災いしてあえなく落選してしまう千春だったが、審査員として彼の歌を聴いていたSTVラジオディレクター・竹田健二は彼の才能にいち早く気付く。
早々に会場を後にしようとする千春に「いつかチャンスが来るから、その時までに作れるだけ曲を作っておけ!」と告げる竹田。
これが2人の運命の出会いだった。

「これはなかなかの青春映画だ。」とささやかなJUNKER氏は思い、画面に映る足寄の風景はどこまでも美しく広く、これが松山千春の原点であることに気づかされるのであった。
毒舌で生意気な松山千春をまた別の面から見ることができる作品であり、主演の大東俊介は難しい役をよくこなしているとささやかなJUNKER氏は感心するのであった。