『プラダを着た悪魔』

2008-07-24 13:29:06 | シネマ





『プラダを着た悪魔』  
出演: メリル・ストリープ, アン・ハサウェイ 監督: デイビッド・フランケル


原作を書いたワイズバーガーは『アメリカン・ヴォーグ』の編集長アシスタントの経験があり、
本作は『アメリカン・ヴォーグ』のカリスマ編集長アナ・ウィンターをモデルにしたものと言われている。

実際アナ・ウィンターには数々の逸話があり、
ファッション・ショーの席は『絶対に視界をさえぎらない席』を要求し、
彼女がオフィスに到着した時には必ず朝食と熱々のコーヒーが用意されておらねばならなず、
アナが何時オフィスに現れるかが判らない為、毎日時間をずらして15人分の朝食を用意していたという。

また、あのヒラリー・クリントンでさえ、『アメリアカン・ヴォーグ』に載せてもらう為、
クローゼットの中身を総入れ替えさせられ、着ていたブルーの服を拒絶され着替えさせられた。

映画ではメリル・ストリープがこの強烈な編集長役を気高く人を寄せ付けないオーラをまとって好演している。

映像はゴージャスで出てくるファッションはとても素晴らしく、
ファッション・ビジネスに携わる私としては、
この業種の華やかな陽の部分の魅力に抗えない女性の気持ちがよく解かるような気がした。

、、、むろん、陰も当然あるわけだが、、

この映画の言いたい所は、
ファッション・ビジネスと『ヴォーグ』など有力雑誌に関わる人々の不可解さと理不尽なのであろうが、
およそ“感覚”を拠り処とした仕事で頂点に立とうという人に常識など通じるはずもなく、
ココ・シャネルにしろラガーフェルドやガリアーノにしろ、、それはもう、非常識なのである。

常識的だがダサイ服しか創れない人と、非常識だが素晴らしい服を作る人の
どちらを市場が求めるかは論を待つまでもあるまい。

日本人にはそこがよく理解できない人が多いような気がする。

飛びぬけた才能を持つ事は、
その大きさだけの精神の陥没をも併せ持つ事でもあるのだろう。




★★★★★



あらすじ
名門ブラウン大学(映画版ではノースウェスタン大学)を卒業し、
ジャーナリストを目指すために田舎からニューヨークへとやってきたアンドレア・サックスは、
幸運にも何百万の女性の憧れとする仕事・ファッション雑誌「ランウェイ」の編集部へと就職した。
しかもその編集長でファッション業界に対し絶大な影響力を誇るミランダ・プリーストリーのアシスタント職である。
だが、ミランダは自分の身の回りの世話をアシスタントに押し付けるなどの横暴を発揮する最悪の上司であり、
今までに何人もがこの仕事を辞めていたのであった。
ファッションには何の興味がなかった彼女であるが、
本来の目的となる文芸誌での仕事への足がかりとして、彼女の悪魔のような要求に耐えていく。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
サングラス (岩と石)
2008-07-25 01:34:54
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御無沙汰して居ます

映画館で鑑賞した日時は失念して仕舞いましたが

もう十ニ~三年前に成りますが

アイザック・ミズラヒと云うデザイナーの仕事振りを記録した

『アンジップト』と云うフィルムを鑑賞した事有ります

其処でのアイザック・ミズラヒは 常に周囲を窺い様々な刺激を咀嚼し(劇中にエスキモーの服に着眼するが その感覚が卓越している)

煌めく様な閃きと

尋常では無い臆病さを持った とてもキュートな人物でした

一般常識から考慮すると 常識からかけ離れた諸行ですが

良く考えてみると

ただ自分の感情を幾分過剰に突出しただけであり

至極自然な立ち振る舞いで有る事に気が付きます



ビデオは有るのかしら


お勧めのフィルムです




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両性 (P@RAGAZZO)
2008-07-25 11:09:59
おはようございます、岩ちゃん。

『アンジップト』という映画は知りませんでした。
ちょっとTSUTAYAで探してみます。

欧米のデザイナーには極度に優しいというか臆病で繊細な人が居ますね。
特に男性に多いように思います。

サンローランなどもその一人で、
ある寒い日、スタッフと屋外に居たサンローランは
スタッフがセーターを着ただけだったのを見て、
自分のカシミアのコートを脱ぎ『これを着てください』と差し出したそうです。

シャツ一枚になったサンローランを見てスタッフが驚き、
『それではあなたが風邪をひいてしまいます』と断わると、
サンローランは
『あなたの寒い姿を見ると私は居ても立ってもいられない。
 私を救うと思ってコートを着てください。お願いします』
と懇願したそうです。

驚くべき繊細さですね。

女性デザイナーは逆に男性的で攻撃的な人が多いようです。

これらは、思うに、メンズとレディス、両性の服を創らねばならぬ
彼らの宿命でもあるのかも知れません。

ファッション・デザイナーにホモセクシャルが多いのも
上記の事情が無関係では無いのかもしれませんね。

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