ある先輩の肖像

2008-11-25 16:17:43 | Weblog


 
事務次官殺害事件の小泉容疑者の事を考えていたら、
ある先輩Xの事を思い出した。

彼は私より2歳年上で、学校等は全く違うけれども、
私が高校3年くらいの頃から大学在学中を通して、
私を可愛がってくれた。

ある夜、Xも含め5,6人で飲んでいる内に、中の二人が揉めはじめ、
口論になりながら暗がりを歩いていると、
前方から丸坊主の、痩せた、いかにもヤクザらしき男が女連れで通りかかり、
私たちの中に、彼らの言う所の「兄弟」を見つけ、
『どげんしたか?兄弟』と声をかけてきた。

私たちの口論の一方の男が
この丸坊主の男の弟分であるらしかった。

もう一方は、冒頭に述べたXである。

ところが丸坊主は弟分の返事も聞かず、
『きさんか!』
と、口論には加わっていなかった男にいきなり強烈なフックを見舞った。

そしてすぐ
『おまえら、待っとれ!』
と言いざまに走り去った。

丸坊主の連れの髪を結い上げた女が
『あんたら、、はよ逃げんね!』
と言って男の後を追った。

驚いた私たちは、それでも殴られた男を気遣って色々慰めの言葉をかけていると、
10分くらい経った頃、
タッタッタッタタタタタ、、、
と、向こうの方から誰かが走って来る音が聞こえ、
走ってくる男の周りが暗闇の中でキラキラ光っているのが見えた。

私たちの内の誰かが
『ダンビラばい!逃げろ!』
と叫び、
私は、おそらく今まで生きてきた中の最速で、
この日本刀の丸坊主から逃げた。

その夜、私はXの家に泊まり、
翌朝、Xと一緒に近くの飯屋で朝定食を食った。

この飯屋で、この時、Xが私に言った言葉が忘れられない。

『P、昨日の丸坊主はおれば殴らんでよかった。
 もし俺ば殴っとったなら、ありゃ半殺しの目に遭うとこやった。』

私は驚いた。
相手はヤクザもヤクザ、後で判った事だが手の指が3本も無い武闘派で、
Xといえばその頃は親の会社に入ったサラリーマンで、
身長も155くらいの痩せた男でしかなかったからだ。

しかし、Xは次第にその隠された凶暴性を露呈するようになった。

ある日夜の街で、185位の大柄な男と連れ立ったXと出合った時、
私がXと話をしていると、
大柄な男が、酔っていた為か、妙に絡んだ目つきで私を威嚇してきた。

するとXはそれに気付き、
ニヤニヤしながら
『P、喧嘩はガタイじゃなかぞ』
と言いざま、
いきなり飛び上がるようにしながら大柄を殴り、
下げた大柄の頭に手を置いて、『な?』と言った。

その後、しばらくXとは会わなかったが、
Xは拳銃を持ち歩き、
親父を恐喝し、
父親の妾を強姦し、
好きになってしまった夜の女を
店から帰宅する途中に拳銃で脅し、
自分のものにした。


、、、、、、、

そしてある日、、、拳銃自殺した。









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4 コメント

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呉市 (P@RAGAZZO)
2008-11-26 11:55:09
こんにちは、通りすがりさん。

いやぁ、大西政寛とはマニアックな人物をよくご存知ですね。
私は20年ほど前、仕事で広島は呉市によく出かけていた頃があり、
しばしば呉に泊まり地元の人と酒を飲みました。

今はどうか知りませんが、
その頃、大西の死後30年以上たっているにも拘らず、
大西は呉の小さな街の不良の憧れで、
今で言うギャングスターでした。

X氏はヤクザではありませんでしたが、
彼が組織に入っていたら大きな事件を起こしていたのではないかと思います。
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悪魔のキューピー (元祖 通りすがり)
2008-11-25 23:56:45
X氏は、まるで大西政寛のような人物ですね。

大西とは、戦前から終戦後にかけて広島で暗躍した伝説の極道。
童顔であどけない風貌に似合わず、極悪非道の限りを尽くし、悪魔のキューピーと呼ばれ恐れられた男です。

昭和25年、警官隊と銃撃戦の末、射殺されるという壮絶な最期を遂げています。享年27歳。

深作欣二監督の『仁義なき戦い』のモチーフにもなっており、関連書籍も多数出版されています。

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七三 (P@RAGAZZO)
2008-11-25 18:28:01
こんにちは、TKさん。

そうなのですよ。
小泉容疑者の若い頃からの変貌振りを見て、
X氏の変質的な凶暴性というか反社会性を思い出してしまったのです。

この人は見た目は七三分けの本当におとなしそうな小さな人だったのですが、
私の街の地回りも近寄りたがりませんでしたね。
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こわっ! (TK)
2008-11-25 17:47:29
なんか変に恐いですね、そのX氏。

大柄を殴ったまではいい男じゃんと思ったのですが、
次第にその凶暴性が悪い方に変貌したのかなぁ?

ガクブルッ!
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