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Unlevered β

2009-07-20 13:15:14 | Valuation
アンレバードβ(Unlevered β、βU)とは、企業が資金調達をする際に、全額株主資本により行う(無借金経営)と仮定した際の、その企業の株式のβ値である。これは負債を持つ企業のβ(=レバードβ)から、「財務リスク要因を除去したβ」とも解釈できる。

アンレバードβとレバードβ(ヒストリカルβ)の関係式は、次のように表すことができる。

βu = βL ÷(1+(1-t)× D/E)

βu: アンレバードβ
βL: レバードβ
t: 実効税率
D: 負債
E: 株主資本(時価ベース)



アンレバードβとレバードβの関係式によって、企業が資本政策を変更した際の「株主の期待利回り」や「資本コスト」を算出することができる。



○レバードベータとアンレバードベータ

通常、Bloomberg等で入手可能な「ベータ(Rawベータ及び修正ベータ)」は個別企業の財務構成に応じたベータ値であり、「レバードベータ」と言われます。「レバードベータ」は上記の通り、現在の会社の資本構成(負債と資本の比率)に対応したベータ値になります。

一般にベータ値は事業そのもののリスクや財務構成におけるリスク等を含んでいますが、同業他社として選択した会社の財務構成と比較して、評価対象会社の財務構成が大きく異なる場合は、財務構成による部分を調整するため、ベータ値を調整する必要があります。

同業他社の負債比率と比較して、対象会社の負債比率が高くい場合、固定的に発生する費用(支払利息)が大きくなるため、他の状況が同一であれば、その企業の収益のボラティリティが高くなります。

また、返済義務・返済時期の決まっている資金があるために、不況が長引いた場合などは対象会社の倒産の可能性が高くなります。よって同業他社と比較して、資本構成が大きく異なる場合は、そのリスクを企業価値計算に反映させるために、β値の調整が必要なのです。


「レバードベータ」を、資本構成に影響を受けないようにしたものが「アンレバードベータ」となります。すなわち、アンレバードベータとは、資本構成が100%自己資本だとした場合の「理論上」のベータ値といえます。


資本構成にあわせたベータ値の調整を行うときは、以下のように、まずは公開企業のベータ値を元にアンレバードベータを算出します。そしてその後対象会社の資本構成に合わせて、レバードベータを再計算します。これをリレバー化するといいます。

※上述の通り、資本構成に応じたベータ値の調整を行うかどうかは公開企業のベータ値の状況、資本構成以外でベータ値に影響を与える項目などの検討を経た上でのことになりますので、要注意です。


【レバードベータとアンレバードベータの関係】

βU = βL ÷ (1 + (1 -t)× (D ÷ E))


βU : 自己資本のみとした場合のβ値(アンレバードβ)
βL : 実際の資本構成をもとに観測されたβ(レバードβ)
E : 自己資本比率 = 自己資本 ÷ (自己資本 + 有利子負債)
D : 有利子負債比率 = 有利子負債 ÷ (自己資本 + 有利子負債)
t : 実効税率

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