I.重要性を増す業績評価指標の選択
経営者は、事業がうまくいっているかどうか、当期の業績はどうか、この投資は儲かるか、常に自分自身にこう問いかけながら、経営の舵取りを行なっている。ここで、事業がうまくいく、業績がいい、儲かっているという状況をどう定義するか、つまり何を業績評価指標として選択すべきかは、一見、簡単なうで、実は、極めて難しい問題である。時代の要請や経済状況、企業の成長段階や業種、また経 . . . Read more
企業をどのような総体として捉えるかは、分析にあたっての大きな土台となる。例えば、経営工学やシステム工学では入出力機能としてとらえ、インプット-プロセス-アウトプット装置とみて、その効率向上をはかる。事業部門や各部の役割機能を分解し、どのような-フィードバックの循環を起こすことで改善が図られるかを分析する。またコーポレートガバナンスや情報の経済学では、企業は膨大な契約の束とみなす。株主と経営者、経営 . . . Read more
多くの企業を見ていてつくづく思うのは、「会計を知りすぎていることが、むしろ純粋にビジネスを見ようとする場合にはバイアスとなることも多い」という現実です。
会計監査を中心にそれなりの実務経験を積んできた会計士にとって、いわゆる「貸借対照表の洗い替え」は、資料さえ出てくれば、比較的易しい作業です。ここで言う「貸借対照表の洗い替え」とは、含み損のある資産は減損し、簿外債務があればオンバランスさせる . . . Read more
『影響力の武器』
カリフォルニア州の住宅地の家主に対して、ボランティアと称した社会科学者が実際に行った実験の結果を以下で引用します。
ボランティアは、家主の家の前庭に公共事業の看板を設置して欲しいと頼みました。その看板は、とても大きく下手な字で「安全運転をしよう」と書かれたもので、とてもサイズが大きいので、多くの家主の家がその看板に隠れてしまうような代物でした。当然ながら、多くの住人が前庭への . . . Read more
不動産仲介業者のセールステクニックとして、次のようなものがあるそうです。
① まず家族構成、職業などを探りながらさりげなく予算を聞く。
② 次に「お客さんにぴったりのいい物件があるんですよ」と言って、予算内ではあるが、全く魅力的でない「セットアップ物件」を見せる。
③ そして「今度こそ、お客さんが気に入る物件のはずです」と言って、予算ギリギリの「そこそこ売りたい、奥さんが気に入りそうな物件」を見 . . . Read more
勝間和代著『決算書の暗号を解け!』
「会計上の利益がいかに相対的なものであるか」
「PL、BS、CFの3次元で決算書を見ることの重要性」などが 説かれていて、「利益の額ではなく質にこだわる」というこの著書の根底にある考え方は、私の発想ともとても似ており共感を覚えます。
今まで、個々の粉飾手法などを解説する書籍はあっても、これを決算書の見方から体系的にまとめたものはなかったので、その意味では決算 . . . Read more
1.はじめに
企業財務の教科書では、しばしば経営者や財務責任者の最大の目標が「株主の富を最大化する」ことだと説明されますが、実務界では株主価値最大化を目標にするというよりは、むしろ株主をはじめとし、従業員や債権者、一般顧客、取引先等の幅広いステークホルダーの利益を総合的に考慮することが目標となっています。このようななかで、経営者の株主価値(株主利益)に対する考え方がプライオリティの低いものになり . . . Read more
・財務レバレッジが効いているほど収益のブレがでかく、収益のヴィジヴィリティは低い。
・ビジネスの収益のヴィジヴィリティは、企業構造きっても切れない関係にある。経営がうまいかどうか・・・、ガイダンス達成のヒストリーがきちんとしているかどうか・・・
・利益のブレが少ない(公共・薬品株)= CFが安定している =高いPERを許容する
・固定費がでかいことが必ずしも財務レバレッジが高いことを意味しな . . . Read more
EBIT(支払金利前税引前利益)
営業利益に「金利以外に発生する営業外損益」を加えた利益額。
「経常利益」にすでに引かれている支払利息と法人税を加えて戻し、すでに加えられている受取利息分を引き戻して求める。
EBIT = 当期「経常」利益 + 支払利息 - 受取利息 + 法人税等
フリー・キャッシュフロー(FCF)はEBITを用いて、以下のように定義できます。
FCF = EBIT ×( . . . Read more
「資本コスト」の代表的な計算方法で、借入にかかるコストと株式調達にかかるコストを加重平均したものです。
rD=実効金利
rE=rf+β(rM-rf)
T=実効税率
意義として、以下の3点があります。
1. 株主資本はタダではない
日本の経営者の中には、株式発行による資金調達は株主に対して金利を支払う必要がないので、「タダ」であると認識される方もいる。しかし、WACCは、株主も一定の割合(株主 . . . Read more
株式公開している企業は株価の時価やβ値など企業価値を理論的に算出するために必要な情報が入手できる。
しかし、未公開企業の場合はデータがないため、仮説を元に企業価値を算出する。
企業価値の計算には、通常、フリー・キャッシュフローの現在価値(PV)を求める。そのためには、下式のように、フリー・キャッシュフロー(FCF)とWACCの算出が必要となる。
PV = FCF ÷ WACC
未公開企業は . . . Read more
一定のCFが永続する仮定での現在価値をあらわします。
CFが永続的に発生する場合、割引率をrとすると、永続価値は以下の式で定義されます。
PV = CF ÷ r
例えば、年間の家賃収入が120万円のマンションがあり、割引率が3%とします。すると、家賃収入が永続すると考えた時の価値は・・・
120万円÷3% = 4000万円
となります。
これは、金利3%で4000万を預金したときに、毎 . . . Read more
アンシステマティック・リスク
資産の数を増やすことで低減されるリスク。
株式のリスク(株価のブレ、ばらつき)は、株式を発行している企業に起因するものと、株式市場にまつわるものとに分解できるが、アンシステマティック・リスクとは前者を指す。個別銘柄リスク(firm specific risk)ユニーク・リスク(unique risk)とも言う。
アンシステマティック・リスクは、大口の受注に成功し . . . Read more
working capital
通常のビジネスを回していくために必要な資金。売掛金の未回収、在庫への投資、買掛金による支払猶予が原因となって増減する。運転資本。
ワーキング・キャピタル = 流動資産 - (短期借入金を除いた)流動負債
ワーキング・キャピタルは、資金繰りを考える際にきわめて重要な項目である。会計上の損益計算書(P/L)が黒字でも、このワーキング・キャピタルが急増して資金繰りに行 . . . Read more
投下した資本(有利子負債+自己資本)に対し、どれだけのリターンがあったかを計る指標。総資産に対し、どれだけのリターンがあったかを計るROA(総資産利益率)と近い指標である。
ROCEは以下の式で表される。
ROCEは、自己資本と他人資本である有利子負債を使って、どれだけ利益を稼ぐことができたかを計っている。すなわち、調達した資本が効率的に利益に結びついているかどうかという資本効率を見る上で重要な . . . Read more