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国鉄12系客車

2019-04-08 06:09:27 | 乗り物(列車・車両)

国鉄12系客車(こくてつ12けいきゃくしゃ)とは、日本国有鉄道(国鉄)が1969年(昭和44年)から1978年(昭和53年)まで、合計603両を製造した急行形座席客車のグループである。
当初から冷房装置を搭載し、さらに自動ドアの客車初採用などの改良で旅客サービスや安全面の向上に大きな成果を挙げた。その他にも客車初の分散ユニット型電源システムによる電源供給の効率化が図られ、2段式ユニット窓やFRP部材の採用などでコストダウンをも図るなど、多くの技術面でその後の国鉄客車の基本となった車両である。
当初は、1970年(昭和45年)の日本万国博覧会(大阪万博)輸送を念頭に、臨時列車・団体列車を含めた波動輸送用車両として製造された。
当時は動力近代化計画の進展によって、電車・気動車が旅客輸送の主力となっていた時期であるが、あえて客車として製作された理由は以下のとおりである。

臨時列車や団体列車などは多客期のみの運転であり、閑散期には車両を車庫で留置しておかざるを得ない。このような用途に動力装置を持つ電車・気動車を増備することは、製造・保守のコストがかかる。
当時、戦前に製造された客車(スハ32系・オハ35系など)が多数在籍していたが、その老朽化による車両自体の取り替え需要が生じてきた。急行列車向けのボックスシートの座席客車は、10系客車のナハ11形・ナハフ11形が1959年(昭和34年)に製造終了して以来、増備されていなかった。1960年代中期以降、急行用電車・気動車においては普通車の冷房化が始まっており、客車についても時代の傾向に応じる必要があった。
12系では、暖房は客車側の電源設備で対応することによって、牽引する機関車を選ばない車両として開発された。一方で、多客時は貨物列車の運転が減少するため、貨物用の機関車を活用することをも目的とした。


概要
冷暖房手段を機関車に依存せず、分散式のユニットクーラーと電気暖房装置を全車両に設置し、電源としてディーゼル発電機を緩急車スハフ12形の床下に設置した。暖房用ボイラーや電源供給装置を持たない貨物用機関車でも常時牽引できるようになったので、貨物列車の運転が少ない時期に機関車の有効活用が可能になった。ただし、照明や放送装置などのサービス電源は、旧形客車同様に車軸発電機からの電源で賄っている。

車体は、在来客車の設計概念を脱却し、急行形電車の設計を基本的に踏襲して車体幅を約10cm拡大、2.9m級となった。また、車体長も20.8m(全長21.3m)に拡大して座席間隔を1,580mmに広げ、腰掛自体も人間工学を考慮した形状改良を行っている。当初は設計コストを抑えるために165系の図面を流用して製造することも考えられた。
全車に空気バネ台車を標準装備(新開発のTR217系台車)。乗り心地を改善した。
新開発のCL形応荷重機構付自動ブレーキ装置の採用。ブレーキシュー材質は、従来の鋳鉄に代わり、高速域からの安定した制動力が得られるレジンシューに変更。併せて自動ブレーキ機構は、従来の滑り弁(A制御弁)をやめ、よりメンテナンスフリーで作動迅速なゴム膜板を使用した三圧式制御弁(KU1制御弁、C17ブレーキ制御装置)に変更。通常の自動ブレーキ配管・空気圧で、従来の客車より15kmプラスの最高速度110km/h運転が可能となった。
国鉄客車としては初めて自動ドアを採用。電車・気動車並みの安全性を確保した。
2段式のユニット窓を初めとする合理化された構造を随所に取入れた。同時期の電車や気動車にならったもので、生産性や整備性を改善している。
塗色は、車体全体を20系より明るい青20号に、クリーム10号の2本帯とした。なお、屋根は灰色1号だが、のちにねずみ色1号に変更。
普通車のみの製造であるため、存在しない荷物車・グリーン車・寝台車など従来形式の客車と混結して運用することを想定し、蒸気暖房の引き通し管および電気暖房の引き通し線を装備している。このため、機関車と旧形客車の間に本系列が連結された場合でも、旧形客車への暖房供給が可能となっている。
これらの要素は、それ以前の旧形客車や10系、20系とは一線を画すもので、12系以降に登場した特急用の14系・24系客車にも、その多くが踏襲されている。また同時期に登場したキハ65形気動車にも、12系の基本設計が流用されている。

形式
12系客車の新造形式は、スハフ12形・オハフ13形・オハ12形の3形式のみではあるが、製造時期によって仕様は異なる。さらに国鉄末期には、大量に発生した余剰車をベースに、普通列車仕様化やジョイフルトレインへの改造、また民営化以降はアコモデーション改善・改造などが行われ、形式・番台区分が一層細分化されている。


スロフ12形・オロ12形0番台
「アイランドエクスプレス四国」が好評だったため、ジョイフル車両第2弾として1988年5月、波動輸送用として四国旅客鉄道(JR四国)高松運転所に配置されていた12系のうち、スハフ12形2両 (3・6)、オハ12形4両(5・6・9・10)の計6両に対して車内設備のハイグレード化を実施したもの。竣工が早かったスハフ12形2両(3・6)と、オハ12形1両 (10) は改番なし、塗装変更なしで一旦出場したものの、残り3両が出場した時点では、全車普通車からグリーン車に用途変更され、赤帯が青帯となって出場したが、番号は「ハ」を「ロ」に変更したのみである。オロ12 6・9は、固定窓で車内がカーペット敷きとなり、他の4両は座席がシートピッチ1400mm、2+1列配置、読書灯・足置き付きのリクライニングシートに取り替えられた。
1988年(昭和63年)4月、JRグループ発足1周年を記念した列車「JR1周年記念号」にアイランドエクスプレス四国が使用された。しかし当編成のみでは定員不足になってしまうため、増結用にスハフ12 3が、塗色をアイランドエクスプレス四国色に変更の上、スロフ12 3として使用された。高松 - 琴平 - 広島 - 高松間を走行(営業は琴平 - 広島間)した後、すぐに元の色(赤帯のJR四国色)へと戻された。車内は、座席がシートピッチ1400mm、2+1列配置、読書灯・足置き付きのリクライニングシートになっていた。


2018年4月1日現在、東海旅客鉄道(JR東海)・四国旅客鉄道(JR四国)・九州旅客鉄道(JR九州)においては全廃され、東日本旅客鉄道(JR東日本)に14両、西日本旅客鉄道(JR西日本)に8両の計22両が在籍する。
また、わたらせ渓谷鐵道で2両、秩父鉄道で4両の譲渡車が使用されている。いずれも臨時列車・団体列車に用いられる。2011年には2010年に廃車されたJR四国の4両(オロ12 6・9、スロフ12 3・6)が若桜鉄道に売却され、7月1日から7月3日にかけて甲種輸送が行われた。2016年9月には廃車扱いされたJR四国の2両(オロ12 5・10)が東武鉄道へ譲渡された。

JR東日本には、高崎車両センター高崎支所にオハ12 366・367・368・369、スハフ12 161・162、オヤ12 1の7両と、新潟車両センターに「SLばんえつ物語」に専用化改造された7両(オハ12 313・314・315・316・1701、スハフ12 101、スロフ12 102)が配置されている。
JR西日本には、網干総合車両所宮原支所に原型車6両(一部車両を「SL北びわこ号」で運行、オハ12 341・345・346・352、スハフ12 129・155)、後藤総合車両所に「奥出雲おろち号」用の2両(スハフ12 801、スハフ13 801)が配置されている。 2016年7月5 - 6日の2日間に掛けて、マロフ12 851・852の2両が吹田総合車両所に回送され、2016年9月5日付で廃車された。オロ12 851・852も2016年11月17日付で廃車されている。残るオロ12 853・854も2018年3月31日に廃車され、和式客車「あすか」用も全廃となった。
過去には、下関総合車両所新山口支所に「SLやまぐち号」用の6両(オハ12 701・702・703、スハフ12 36・702、オハフ13 701)が配置されていたが、オハフ12 701・702・703、スハフ12 702、オハフ13 701が2017年9月7日に下関総合車両所に回送された。下関総合車両所に回送された該当5両は2018年2月26日付で大井川鐵道への譲渡が決定した。スハフ12 36のみ保留となっていたが、他の5両とともに2017年10月27日付で除籍された。

保存車
スロフ12 3、スロフ12 6、オロ12 9 - 若桜鉄道若桜駅(動態・無車籍)
オロ12 6 - 若桜鉄道隼駅

国鉄12系客車
基本情報
運用者 日本国有鉄道
東日本旅客鉄道
東海旅客鉄道
西日本旅客鉄道
四国旅客鉄道
九州旅客鉄道
製造所 新潟鐵工所・富士重工業・日本車輌製造
製造年 1969年 - 1978年
製造数 603両
主要諸元
軌間 1,067 mm
最高速度 110 km/h
車両定員 80人(スハフ12・オハフ13)
88人(オハ12)
全長 21,300 mm
全幅 2,944 mm
全高 3,985 mm
車体 普通鋼
台車 TR217
制動装置 自動空気ブレーキ

 


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