チャレンジする私のために

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ピアノを再開してピアニストになるまでの軌跡

ささやかな抵抗

2021-03-14 | Weblog
色々と考えたこの3ヶ月だった。

某お店のピアノの音が狂っていて、弾いていてずっと気持ち悪かった。鍵盤を押しても鳴らない音なんかあったりして、かなり弾きにくかった。

元々、頻繁に調律しないお店だけど、コロナ対策で換気をし続け、乾燥しているし、ピアノにとっての環境も良くないから尚更だ。
当然、他のピアニスト達も、同じ様に感じてて、それぞれが「そろそろ調律して欲しい」と希望を伝えていた様だけど、それでもずっと放ったらかしにされていた。
コロナで大変な時だしなー、お金もかかる事だし...と遠慮してしまう気持ちはありながらも演奏する立場からの切実なお願いだった。

ある日、突然、匿名の貼紙が現れた。
「ピアニストに調律代のカンパを募ります」

お店も大変かもしれないけれど、コロナの影響を受けているのは、ピアニストも同じ。
こちらのお店では、去年の3月以降、ギャラもカットされたまま...1年になる。

以前は、月に2回程度で弾いていたが、辞めてしまった人のカバーなのか、いつの間にか毎週入っていた。
毎週ボランティアで5ステージ。
1年過ごして来た事になる。
私は、ボランティア自体が悪いとは思っておらず、やはり演奏していれば、優しい気持ちや幸せな気持ちに包まれ、心満たされる部分が大きい。
お店の為、お客様の為...誰かのお役立つのならばと言う思いだからこそ続けられる事。
ただ、こんなに長期戦になるとは思っていなかったけど。

それはそれ。
今回の調律の話は、また別の話。
流石に、生演奏を提供するお店として、ピアニストをどう見ているのかと言う事なんかを改めて見極めたい気持ちになった。

数日後、そのカンパの発案者が、実はピアニストの1人だったと知って驚いた。お店が言い出したのでは無かったとは言え、賛同していたと言う事だった。

お店としては、タダで演奏してもらえるに越した事はないし、調律代も出してもらえるに越した事はないだろう。
でも、この長いコロナ環境の中で、そう言う感覚が当たり前になってしまえば、生演奏業界は淘汰されていくだろう。
「ギャラに納得いかないのなら、どうぞ辞めて下さい」と言う厳しい業界。今回のコロナを機に辞めてしまった人もそれが理由だと思う😢

辞めるのはすごく簡単!
続けるのはとても大変。
いつもそう。
だから、悩むのだ。

ちょうど時期同じくして、オリパラのボランティア辞退の話を重ねて見ていたけど、辞退者が出ても「また募集すれば、やりたい人は幾らでもいる」みたいな考えって、やっぱりあると思う。

だからこそ、カンパには賛同せず、ささやかな抵抗に出た。殆どのピアニストが同じ思いでカンパしなかった様だ。

しばらくして、お店で撮影があるとかで、必要に迫られ、お店がピアノの調律をする事になった。
そして、「この1年、毎週ボランティアで演奏して来たけれど、来月からこちらでの演奏は少し休もうと思います」と告げてみたら、ギャラを戻してくれた。

なんだか呆気ない展開。
ちゃんと状況を見極める事ってすごく大事。
自分の気持ちのバランスも大切にしながら。
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