ロスジェネの発言

-Weblog of 三四郎日記

マンション耐震偽装と「自己責任」問題

2005-12-19 00:04:48 | 時事問題
さて、今回の問題でまたまた出てきた「自己責任」という言葉。まさに、日本的ニュー・スピークのボキャブラリーの一つといって良い。何か問題が起こると、すべて個人に責任が押しつけられてしまう。その方便が「自己責任」だ。

今回の耐震偽装マンション問題で、「被害者が偽装マンションを買ってしまったのは“自己責任”だから、国は“支援”の必要はない。」などという議論がこの日本という国ではマトモな意見であるかのように扱われているが、これは異常な事態だと言えるだろう。

まず、ダマされたのは「自己責任」であって、ダマされた方が悪いなどという言いぐさ。話しにならんよ。

だって、買ったのは「火星旅行1000万円ツアー」とか、「前世の業を祓うための一億円の壺」じゃなくて、マンションなんだよ。マンションを買うときには、しっかりとした売買契約(不動産登記の時に司法書士が立ちあったり、ローンを組むときに銀行が査定したりする)が行われる。その末の“詐欺”なんだから、被害者には全く「過失」は無い。すべてが自己責任で済むなら、詐欺罪が存在できなくなる。

ちなみに、イラクの「邦人人質事件」の場合も、国は例の三人に「自己責任」を問える立場にはない。危険なイラクに行くのは基本的に彼らの“自己責任”だが、彼らが武装勢力の人質にされてしまったのは「国の責任」だろう。それを小泉内閣の閣僚たちは、人質の自己責任にすり替えてしまったのだ。

今回のマンション問題でも、そのようなすり替えが行われてしまいかねない雰囲気が・・・。

偽装が確認されたマンションに、退去勧告や使用禁止命令が出ているのにも関わらず住み続けるのは、“自己責任”といえるのかもしれないが、引っ越し費用や立て替えは「自己責任」では済まされないだろう。しかも、“支援”されるべきは「当面の住居費用」や「引っ越し費用」なのであり、本来は被害者に対して“補償”や“弁償”がなされるべきなのである。場合によっては、損害賠償だって考えられる。

だから、「支援」か「自己責任」かみたいな議論が一部でされているけど、そんなのはお話しにならない。

-------------------------------------------------------------

ブログランキングに参加しています。このロゴをクリックするとこのブログに一票を投じることができます!

最新の画像もっと見る