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A&Pの☆お宿千夜一夜

美味と心地よい宿を求め、各地をむしゃむしゃ修行中!

野草一味 美山荘 夕食編

2012-03-18 15:00:00 | 近畿・宿
夕食の時間は6時~7時のスタート。

6時半が多いようで、この日もたぶん宿泊している3組同時のスタートでした。

場所は空いている時は自室や他の客室の時もあるようですが、この日は本館。

玄関には水が打たれ、人数分の履物がスタンバイ(2人×3組)。

本館への石畳には、露地行灯が用意されます。
   

続き間を、四季の絵が美しい襖で4つに仕切られています。

   私達は秋の部屋。

  和室で楽な座布団が用意されている。

目の前でお料理が造られるカウンターもあります。

  鶴もおめでたい感じ。

他のお部屋は朝食編でご紹介します。

夕食の献立は、希望すれば後でもらえます。




 オリジナル布巾、御所車よりかわいい。

持ち帰れると聞いた事がありますが、どうなんでしょう?

食前酒には日本酒で京都のお酒、弥栄鶴(やさかづる)が用意されていました。

  とても飲みやすく、量もたくさん。

お酒に弱い私達はこれで終了。

たぶん「弥栄鶴 特選 ハイブレンド」という、このブランドの中では最も甘口で

高濃度なお酒ですが、飲み口は爽やかです。

お祝いなので寿と書かれた箸袋。お赤飯も出していただきました。

 箸置きは、ないんですね。懐紙で作成。


器が柄違い    

どうやらお隣のリピーターらしいご夫婦は、旦那様の誕生日みたい。

もう1組は遠方から来られた女性お2人。

そんな感じでお隣の様子がなんとなくわかります。

 一献 銀杏みそ朴葉炉 れんこんあちゃら漬


 大きな銀杏、みそも美味しく、お酒のすすむ一品。
 
 美山荘の料理を紹介した本にも載っていました。

美味しんぼ(6巻 春のいぶき)にも紹介されています。



 あちゃら漬けは酢漬けの一種。もともとはピクルスをまねてつくったもののようで、「あちゃら」とは外国の意味とも、またポルトガル語のアチャールachar(野菜、果物の漬物)に由来するともいわれる。蓮根(れんこん)、ダイコン、ゴボウなど、季節の根菜類を刻んで甘酢に漬ける。さっぱりした味。調味液は酢、みりん、砂糖、食塩、トウガラシなどを用いる。作り方は、材料の野菜を薄切りにし、固いものはさっと湯通ししたのち、材料をあわせていったん煮立てた漬汁に浸し、押しをかける。1日程度で食べることができる。《料理網目調味抄》(1730)には阿茶蘭漬、《料理山海郷》には阿茶羅漬の名でつくり方が紹介されている。前者は、酢に塩を加えて煮返したものにナス、ショウガ、ミョウガ、れんこん、ゴボウ、イワシ、貝類などをつけるとあり,後者では酢,塩に酒を加えて2度沸騰させて冷ましたものに魚のつくり身をつけるとしてある。より古く1689年(元禄2)刊の《合類日用料理指南抄》には南蛮漬の名で書かれており、はじめは南蛮漬、のちにアチャラ漬というようになったかと思われる。

 汁 えびす南京からし白みそ仕立


 やはり美山荘定番の白味噌のお椀。

赤味噌を隠し味に入れていて、季節に合わせて量を調整しているそうです。

向付  鯉造り 香茸 共皮湯引 唐草大根、わさび

 

進肴  筍塩釜焼 木の芽

以前は「杣焼」と呼ばれていたようです。

杣とは、山で木を切る木こりを意味し、杣人(そまびと)とは木こりのことです。


 

強肴  猪肉みそ漬燻製 針ねぎ


 どんぐりを食べている猪って、イベリコ豚みたい。

 やはり美山荘の料理を紹介した本に載っていました。

進肴=強肴だと思っていましたが、使い分けに意味が?

 預け鉢とも呼び、懐石の一品で一汁三菜の他に酒を勧めるために追加
される料理のこと。
進肴(すすめざかな)、追肴(おいざかな)ともいう。

進肴、その時期のうまいもの一品。強肴、メインディッシュ的存在。

ということですね、なるほど勉強になりました。

では表紙の写真も強肴で行きましょう。

口取  自然薯むし 百合根 木耳(きくらげ)生麩


 



実は私が気になったのは、料理でなくこの漆器。菊の花びらが12枚・・・ 

 こちらでは、江戸時代に大名から庶民までが愛用し、非常に人気があった朽木盆が使われています。
藩のお使い物などで全国ブランドになった朽木盆は、芭蕉の句にも登場します。
しかし陶器の普及が進み、明治時代中期には朽木盆は生産されなくなりました。
そのために現在は数が限られており、非常に貴重な品です。
デザインは主に朱漆や黒漆で、菊の花などを線書きで表したもの。
漆の産地である青森県の古式浄法寺紋様にも、同じようなものがあります。
花びらの数は朽木が16枚なのに対して、浄法寺は12枚。
もちろん例外もあり、朽木や浄法寺以外でも同じような紋様が見られます。

 八寸
 

 むかご松風    
 天魚(あめご)からすみ
 川海老  
 安納芋 
栃もちこんにゃく

地玉子みそ漬 琥珀玉子という言い方も。
黒川茸

黒川茸は茸好きにはたまらない茸で、松茸よりも好む方もいるそう。

口にした時には苦味を感じますが、後には残りません。



このタイミングでの八寸やお凌ぎって、振り出しに戻ったようで不思議な感じ。

お凌ぎ 琵琶鱒麹漬 赤かぶらすし




椀代り 鍋仕立 猪肉、はりはり菜、大根、ねぎ



味噌仕立てではなく、醤油のすまし仕立てのぼたん鍋。


おねぎを少しくずしてみましょう。


 はりはり菜は水菜の原型の野菜です。

焼物  子持ち鮎 杉板柚庵焼 すだち
台皿に乗って登場  





花脊の鮎は昔御所に献上していた献上鮎

街中より3~4℃気温が低い花脊は水が冷く、小ぶりな鮎は、身がしまって味が

濃いのが特徴だそうです。

器は江戸中期から明治にかけて作られた古伊万里のみじん唐草。

  黒文字に見える栗の箸。栗は硬いのに。

炊合  蕪、椎茸、針柚子



御飯  栗ごはん 香の物




 

しば栗を使った栗ごはん。鬼皮を薄く残した小粒のしば栗は甘味が強い。


水物  大城柿 山ぶどうアイス さる梨 冬苺



  最後までおいしゅうございました。

  部屋に戻るとお布団が敷かれてました。



  炭の入った練炭あんか。 

次の間に移動したテーブルの上には、やっとポットが。
   

 洗面所にパブロフが置いていた歯ブラシはこのように。

バスタオルが回収されていたので=お風呂リクエスト却下と思いましたが、

到着時からお世話してくれた女性達は、食事の時も同じ人達だったから、

たぶんこれは私達の希望を知らない別の方が、ただ片付けられただけかな。

 でも、ちょっとがっかりして就寝。
 

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野草一味 美山荘 お風呂・散策編

2012-03-17 15:00:00 | 近畿・宿
美山荘のパブリックスペースはあまりありませんが、一応チェック。
    ↓ 細かい手縫い。

 

部屋を出ると、すぐ近くにあるこのコーナー。

何冊か本を借りて部屋で読みました。



 左手下にあるのは消火器。

 玄関横から横山喜八郎氏の壁画を通り、

  川辺に下りられます。
 今は履物を変えて、別棟のお風呂へ。浴?

   タオルはたくさん用意されています。

 かごが滑りやすいように工夫されています。

 アメニティは男性用が多い。

   階段を下りると、


   槙の1枚板でできたお風呂。

  窓の外の流れは部屋と同じ寺谷川。

   2方向に洗い場が5。

  ちゃんとシャワーは横向き。

温泉ではなく、湧き水を沸かしていますが、

利用するたびに毎回お湯を張り直しているようです。

   

脱衣処は扉が半分開いていて、湯気が充満していました、ゴメンナサイ。

時間制限はないのですが、お風呂場にドライヤーがないようで(部屋に有)不便。

 玄関横のかごの中に、使用済みタオルを入れます。

お風呂は大小2つと聞いており、できれば、もう1度お風呂に入りたいので、

バスタオルは部屋に持ち帰っていいか確認。

どの宿でも、滞在中はなるべく同じタオルを使うようにしています。

このお風呂場のすぐ近くに、スタッフの詰め所があり、特に声をかけなくても

お客さんの様子がわかるよう。

お風呂上り、パブロフは部屋に戻り、私はそのまま散策へ。

  外に出るとすぐにある魚のいけす。



  

峰定寺方面の川沿いには、休憩できるスペースもあります。

   

   

場所的に美山荘さんのものとばかり思っていたら、お隣の門前茶屋さんの畑。
        

 川向こうにはもう人家はありません。元民家?  



  部屋に戻ると「しょうが湯」が届いていました。

こんな風に頃合を見計らって、

冬は温まるもの、夏は冷えた果物等を持ってきて

くれるきめ細かなおもてなしが、人気の秘密
でしょうか。

夕食まで部屋で本を読んで、のんびり・ほっこりすごしました。

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野草一味 美山荘 到着・部屋編 山椒

2012-03-16 15:00:00 | 近畿・宿
美山荘があるのは一応、京都市左京区。

鞍馬のさらに奥、花背の里にあります。

でも、私には昔から「離世」に思えてしかたない遠さです。

 看板を目印に  屋根が落ちた建物や、

 環境に配慮した色合いながら、鉄条網のある施設を過ぎ、


やっと到着。

しかし3時前だというのに、お昼の食事客の車で駐車場は満車。

大型の送迎タクシーが場所をゆずってくれました。

料理宿で有名ですが、もともと修験道で有名な峰定寺(ぶじょうじ)の宿坊。



そんな風に見えるけれど、1軒宿ではありません。

峰定寺は鳥羽上皇ゆかりの寺で、造営や造像は平清盛が担いました。

現場監督のような立場らしく、年齢的には30代?

造りから、清水寺のモデルとも言われて

います。

2012年の大河ドラマは、清盛が主人公だから登場するといいな。

参拝には制約も多く、団体・子供不可、靴チェックあり、悪天候と冬も不可。
   そして12月は冬。

だから今回訪問できず。

建物は参道をはさんで、母屋と


別棟に分かれています。


母屋は山の棟、別棟は川の棟や、はなれ、とも言うようです。

宿泊は本館は1組のみ、別棟は3室と隠れ部屋が1つ。

最大4組までにされているようです。 

時間まで車で待機。

 写真撮影していると、背後で大きな音がして驚きました。


どうやら母屋の端にある場所に、ダンボールを投げ捨てた音のようでした。

時間になったので、母屋で声をかけても反応無し。

しばらくしてようやく、通りかかった若い板さんに気づいてもらいました。

何だかなぁなスタートですが、せっかくの滞在、気にするのはやめましょう。

太刀掛姿が麗しい、若い女性スタッフが部屋へ案内して下さいました。

太刀掛は花背に伝わるフォーマルな袴で、山合いなので着流しだと裾が汚れる

ので考えられたものだそうです。

別棟前はまだ紅葉が残ってます。




   

    

代々西本願寺絵所の家系で、京都生まれの木版画家、故徳力富吉郎氏の作品。

のれんを見ると、春の幸が多いことに気づきます。

やはり、この宿を愛し、育て、贔屓にしていた方が本の最後に書いていたように、
「春が1番いいです」?

やはり石楠花の時期に「石楠花」の部屋にすべきであったか。

 ←入口の上部には、地元のお祭りで使われる道具。 

 

 裏は本や土産物が。



正面は、



 
 奥の部屋に続く廊下。 私達の部屋は、その手前の「山椒」。

 ないと思っていて思わず「鍵があるんですね」と言ってしまう。



 5月に伸びる通草(あけび)の新芽を摘んで作るあけび茶。

昔からあけびを使ったお茶を飲んでいたそう。

続いて抹茶、その弾力に黒文字を持つ手にも力が入るわらび餅が出ました。

美味しさに手土産にしたい人続出らしいのですが、手間がかかるらしく、宿泊か

食事をしないと食べられません。



宿帳に記入する事はなく、部屋の説明を聞き、滞在中に2度入れればラッキーと

考えていたお風呂は、先着順なので明るいうちに入りたいとお願いします。

こちらの宿は数奇屋の名工 中村外ニ工務店が手がけられています。

だから室内はいい意味で、とてもシンプル。

自然素材だけで、目障りなものが目に入らないから、落ち着きます。

   襖の模様が素敵。 



実は私の幼なじみの家も、やはり名工と称される工務店。

実家の一部も建てていただいていますが、京都の街中と川沿いのこちらとでは

ロケーションも違うし、何より家具や電化製品の数が違います。

ちなみに美山荘の部屋にはテレビ、お風呂はなく、電気ポットもありません。

 

エアコンではありませんが、床から天井に廻るよう建物全体で温水暖房に

なっていて、一旦全体が温まるとずっと温かいそうです。↓にスイッチ。



ソフトバンク以外のケータイ電話は通じませんが、無線LANは使えます。

   次の間の電話。

  全体的に丸いものが多い?

草を摘み、花を摘んではもてなしと知る と書かれています。

 

  

   吉野窓 

 丸窓のこと。吉野太夫が好んだといわれる吉野窓(大丸窓)。吉野窓は、完全な円ではなく、下の方だけまっすぐになっています。吉野太夫が、自分はまだまだ未熟で不完全だということから、完全な円形にはしなかったそうです。丸窓は建具の雨仕舞いが難しく、外部側に建具を入れないと丸窓の底部をつたって、雨水が室内に侵入しやすい。





   

  同じ景色を夕焼けモードで撮影。  


廊下から部屋に入リ、すぐ左手の下に、金庫と冷蔵庫。

冷蔵庫には水と、ビールの大瓶が数種類。

ちゃんとエビスビールもあります。

というのも役所広司さんの出ていたエビスビールのCMロケ地は、 岩つつじの

部屋の月見台なのです。

次の間に入ると右手にクローゼットがあります。

  電灯は必要な時に点けられる方式。

   浴衣は御所車柄。

 窓側には姿見が置かれ、横には荷物置きのスペース。

翌朝の写真。寛ぐパブロフがいますが、位置関係がよくわかるので。



洗面とトイレは別室になっています。


   裏側にすべり止付。

   



    

 







 

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