エジプトにダハブという町があるのを知っているかい?
中東近辺を旅する人なら一度は耳にしたことのある「楽園」。それが、ダハブ。
シナイ半島とアラビア半島に挟まれた、クールミントガムのように青い海と空が印象的なエジプトのリゾート地だ。
旅人の多くは、この町で、格安料金で設定されているダイビングのライセンスを取るために長逗留する。
ある者は、青い海と目の前に広がる砂漠のコントラストが気に入り、長逗留する。
そしてある者は、特に目的もないまま、この町のゆるい空気を気に入り、長逗留する。
つまり、ここは「沈没地」なのだ。
そんな町で、ご他聞に漏れず、僕は約1か月を過ごした。
ダイビングもせずに、ただ海水に浮かんで、バックギャモンをして、飯を食べていただけだった。
そんなとき、ワンワールドの世界一周航空券を持った、日本人の女の子2人組が、なにを思ったか、ふらりとダハブにやってきた。
長い旅行で、ずいぶんと心も見かけもすさんでいた沈没組にとって、彼女たちの存在は明らかに異質だったけれど、旅への好奇心があふれんばかりで、新鮮でうらやましかった。
僕と仲良くしていた沈没組のひとりの男H君は、その女の子に一目ぼれをした。
毎日やることのなかった僕らは、彼の独りよがりな恋物語に便乗し、夜な夜な次の作戦を練って、翌日の反応を楽しんでいた。
当初、H君の気持ちは、たまたま会ったかわいい日本人の女の子に惚れちゃっただけの、いわゆる「寅さん」的な感じなんだろうと思っていた。
けれど、H君はずっとAちゃんのことばかり話し、彼女の反応に一喜一憂するSを見ていると、次第に僕らも本気で応援するようになった。
世界一周航空券を持つ彼女たちは、ダハブの町を気に入ってくれたようだったけれど、短期で切り上げ、次の目的地に向かわなかればいけなかった。
その頃、ちょうど僕も、そしてH君もダハブをそろそろ出て、僕はアフリカに、H君は日本に帰国しなければという思いを持っていたので、一緒にカイロまで移動することになった。
カイロでは、H君はAちゃんたちと行動をともにし、エジプトを楽しんでいた。
H君にとっては、帰国の日が近付いていた。
Aちゃんたちにとっては、次の大陸への旅が始まろうとしていた。
そして、僕はアフリカへ向かう準備をしていた。
旅人たちは、こうしてダハブで出会い、カイロで別れた。
ちょっと長かったけれど、どこにでもある出会いで、どこにでもある別れだった、
はずだった。
先日、H君とAちゃんは、結婚した。
H君の当初の思いは、帰国後、通じ合い、そして結ばれた。
日本に帰ってきてからのふたりについては、僕はよく知らない。でも、ふたりが出会ったとき、あのダハブでの日々からすると、本当にそれは奇跡のようだった。
H君、Aちゃんと、Aちゃんの友人、僕の4人で、なにもないような岩砂漠にキャンプをしにいった。なるべくふたりきりにしようと、僕はAちゃんの友人を「星を見に行こうよ」なんて歯の浮きそうな台詞で誘い(ご期待に沿えるようなことは、なにもなかった)、肝心のふたりは、なにもせず僕らの帰りを待っていただけだった。
カイロへ向かう夜行バスに乗るとき、まとめてチケットを買った僕は、アラビア語の数字を理解しないAちゃんたちをいいことに、くじ引きで席を決め、見事僕の小細工が功を奏し、H君とAちゃんは隣の席で、なかよくバスに揺られていた。僕は、そのあおりをくって、臭くてデカいエジプト人の隣だった。
アフリカに行くために黄熱病の注射を打ちに行く僕と、インドで犬に噛まれていたAちゃんの友人は、一緒に注射を打ちに行き、市場の入り口で待ち合わせをするも、散々時間稼ぎをしなければいけなかった僕が言った、なにも知らないAちゃんの友人に意味もなく「水タバコ吸いたくなったわ~」という言い訳は、やはり無理があった。
(水タバコは1回にだいたい30分くらい時間が稼げる)
そんなこんなで、僕は僕で彼らの恋の行方を楽しみながら、エジプトを楽しんでいた。
H君のAちゃんの結婚式のウエディングケーキは、ピラミッドをモチーフにしていたものだった。
ウエルカムボードには、小汚い格好をした、出会ったばかりの僕らが写っていた。
僕たちがであった中東の抜けるように青い空の下から、時は流れ、ひとつの恋物語は、また新しいストーリーを紡ぎだしていく。
おめでとう。
H君。Aちゃん。
いつまでも幸せに。
それにしても、あのときH君が僕と一緒に警察に捕まったことは、親族のみんなには内緒にしておくように。
中東近辺を旅する人なら一度は耳にしたことのある「楽園」。それが、ダハブ。
シナイ半島とアラビア半島に挟まれた、クールミントガムのように青い海と空が印象的なエジプトのリゾート地だ。
旅人の多くは、この町で、格安料金で設定されているダイビングのライセンスを取るために長逗留する。
ある者は、青い海と目の前に広がる砂漠のコントラストが気に入り、長逗留する。
そしてある者は、特に目的もないまま、この町のゆるい空気を気に入り、長逗留する。
つまり、ここは「沈没地」なのだ。
そんな町で、ご他聞に漏れず、僕は約1か月を過ごした。
ダイビングもせずに、ただ海水に浮かんで、バックギャモンをして、飯を食べていただけだった。
そんなとき、ワンワールドの世界一周航空券を持った、日本人の女の子2人組が、なにを思ったか、ふらりとダハブにやってきた。
長い旅行で、ずいぶんと心も見かけもすさんでいた沈没組にとって、彼女たちの存在は明らかに異質だったけれど、旅への好奇心があふれんばかりで、新鮮でうらやましかった。
僕と仲良くしていた沈没組のひとりの男H君は、その女の子に一目ぼれをした。
毎日やることのなかった僕らは、彼の独りよがりな恋物語に便乗し、夜な夜な次の作戦を練って、翌日の反応を楽しんでいた。
当初、H君の気持ちは、たまたま会ったかわいい日本人の女の子に惚れちゃっただけの、いわゆる「寅さん」的な感じなんだろうと思っていた。
けれど、H君はずっとAちゃんのことばかり話し、彼女の反応に一喜一憂するSを見ていると、次第に僕らも本気で応援するようになった。
世界一周航空券を持つ彼女たちは、ダハブの町を気に入ってくれたようだったけれど、短期で切り上げ、次の目的地に向かわなかればいけなかった。
その頃、ちょうど僕も、そしてH君もダハブをそろそろ出て、僕はアフリカに、H君は日本に帰国しなければという思いを持っていたので、一緒にカイロまで移動することになった。
カイロでは、H君はAちゃんたちと行動をともにし、エジプトを楽しんでいた。
H君にとっては、帰国の日が近付いていた。
Aちゃんたちにとっては、次の大陸への旅が始まろうとしていた。
そして、僕はアフリカへ向かう準備をしていた。
旅人たちは、こうしてダハブで出会い、カイロで別れた。
ちょっと長かったけれど、どこにでもある出会いで、どこにでもある別れだった、
はずだった。
先日、H君とAちゃんは、結婚した。
H君の当初の思いは、帰国後、通じ合い、そして結ばれた。
日本に帰ってきてからのふたりについては、僕はよく知らない。でも、ふたりが出会ったとき、あのダハブでの日々からすると、本当にそれは奇跡のようだった。
H君、Aちゃんと、Aちゃんの友人、僕の4人で、なにもないような岩砂漠にキャンプをしにいった。なるべくふたりきりにしようと、僕はAちゃんの友人を「星を見に行こうよ」なんて歯の浮きそうな台詞で誘い(ご期待に沿えるようなことは、なにもなかった)、肝心のふたりは、なにもせず僕らの帰りを待っていただけだった。
カイロへ向かう夜行バスに乗るとき、まとめてチケットを買った僕は、アラビア語の数字を理解しないAちゃんたちをいいことに、くじ引きで席を決め、見事僕の小細工が功を奏し、H君とAちゃんは隣の席で、なかよくバスに揺られていた。僕は、そのあおりをくって、臭くてデカいエジプト人の隣だった。
アフリカに行くために黄熱病の注射を打ちに行く僕と、インドで犬に噛まれていたAちゃんの友人は、一緒に注射を打ちに行き、市場の入り口で待ち合わせをするも、散々時間稼ぎをしなければいけなかった僕が言った、なにも知らないAちゃんの友人に意味もなく「水タバコ吸いたくなったわ~」という言い訳は、やはり無理があった。
(水タバコは1回にだいたい30分くらい時間が稼げる)
そんなこんなで、僕は僕で彼らの恋の行方を楽しみながら、エジプトを楽しんでいた。
H君のAちゃんの結婚式のウエディングケーキは、ピラミッドをモチーフにしていたものだった。
ウエルカムボードには、小汚い格好をした、出会ったばかりの僕らが写っていた。
僕たちがであった中東の抜けるように青い空の下から、時は流れ、ひとつの恋物語は、また新しいストーリーを紡ぎだしていく。
おめでとう。
H君。Aちゃん。
いつまでも幸せに。
それにしても、あのときH君が僕と一緒に警察に捕まったことは、親族のみんなには内緒にしておくように。
あの日々が彼らのお陰で永遠に薄れる事ない
思い出になったよ。
楽しかったダハブの日々。
Aちゃんに夢中だったH君。
そんな気持ちに気づかないAちゃんと
何も知らないAちゃんの友達。
すべての言動は計画通りの仲間たち。
今後のふたりの軌跡を遠くから見守っているよ。
お久しぶりです。
ダハブ、素敵な時間を過ごしました。いい思い出です。
あんな日々が、また過ごしたいな、と思ってます。
メンバーも、最高でしたよ。いや、ほんと。
出会いを知ってる人達のゴールインは
しみじみ感動します。
あのたった1週間とかそこらの日々を
鮮明に思い出すわー。
お別れ飲み会のこととかね(笑)。。
ホンマ、ダハブの日々は最高でした。
いつかいつかまたあんな日々が過ごせたら
いいですねー。
たまに思い出しますねえ、とくに青い空なんか見た時には。
またお会いできる日を楽しみにしています。