やっぱり本が好き@ミステリ

日頃読んだ本の感想・日常の生活など

屋上ミサイル 山下貴光

2009-02-25 11:13:54 | Weblog
大統領がテロ組織に拉致監禁されるという大事件がアメリカで発生していたものの―日本の高校生たちにとって、それは遠い国の出来事だった。
それよりも、もっと重要なことがある。
例えば、校舎の屋上でスケッチをすることだとか。
美術の課題のため、屋上にのぼった高校二年生の辻尾アカネ。
そこで、リーゼント頭の不良・国重嘉人や、願掛けのため言葉を封印した沢木淳之介、自殺願望を持つ平原啓太と知り合う。
屋上への愛情が共通しているということから、国重の強引な提案で“屋上部”を結成することになった四人。
屋上の平和を守るため、通行人を襲う罰神様騒動、陸上部のマドンナ・ストーカー事件、殺し屋との遭遇などに巻き込まれることになる。
それらはすべて、ひとつの事件に繋がっていた!
『このミステリーがすごい!』大賞2009年第7回大賞受賞作。


設定の屋上部は面白いと思う。
ただ、偶然が多すぎて、やりすぎだろ!とツッコミを入れたくなる。
それと、伊坂幸太郎氏を思わせる会話とか・・・
チョッと!どうなの!ここでもツッコミを入れたくなる。

臨床真理 柚木裕子

2009-02-25 11:03:37 | Weblog
臨床心理士の佐久間美帆は、勤務先の医療機関で藤木司という二十歳の青年を担当することになる。
司は、同じ福祉施設で暮らしていた少女の自殺を受け入れることができず、美帆に心を開こうとしなかった。
それでも根気強く向き合おうとする美帆に、司はある告白をする。
少女の死は他殺だと言うのだ。
その根拠は、彼が持っている特殊な能力によるらしい。美帆はその主張を信じることが出来なかったが、司の治療のためにも、調査をしてみようと決意する。
美帆は、かつての同級生で現在は警察官である栗原久志の協力をえて、福祉施設で何が起こっていたのかを探り始める。
しかし、調査が進むにつれ、おぞましい出来事が明らかになる。
『このミステリーがすごい!』大賞2009年第7回大賞受賞作。

選評では「屋上ミサイル」と真っ二つに割れた。と書いてあった。
個人的にはこちらの作品のほうが好きです。
ただ終盤の性的描写はそこまで必要ないのでは?
と思う。
読んでいて気分が悪くなる。


まず石を投げよ 久坂部羊

2009-02-20 11:01:06 | Weblog
外科医・三木達志は医療ミスを告白し、患者の遺族にみずから賠償金支払いを申し出た。
これに究極の誠意を感じたライター・菊川綾乃は取材に乗り出すが、「あれは殺人だった」との手紙が舞い込む。
不倫、自殺、テレビでの医師の心理実験、墜落願望。医療ミスは事故なのか、それとも密かな殺人か。
医師の好き嫌いで患者が殺されたら……。
現代人の心の奥の深い闇をえぐりだす、『破裂』でベストセラーの著者による医療ミステリー。

 医療ミスをテーマとした長篇(ちょうへん)小説である本書には、二つの見どころがある。
一つは、外科医・三木の人物像であり、もう一つは医者たちに仕掛けられたある心理実験である。

心理実験がリアルに描かれている。
レントゲン読影において写真をすりかえて、医師に重大な見落としをしたと錯覚させる。
そのときに彼らはどのような態度を示すか。
うろたえるか、素直に非を認めるか、それとも隠蔽(いんぺい)工作を図るか。
つまり医師にとってのある種の極限状況を作って人間性を観察するという悪意に満ちた設定である。
自分が大変な過ちを犯してしまったかもしれないと気づいた時の医師たちの反応はどのようなものなのか。
読む価値はあると思う。

今日も医療ミスのニュースが報道されていました。
直接、死に繋がるものではないが精神的には辛すぎる医療ミスでした。







少女 湊かなえ

2009-02-17 09:08:30 | Weblog
高2の夏休み前、由紀と敦子は転入生の紫織から衝撃的な話を聞く。
彼女はかつて親友の自殺を目にしたというのだ。
その告白に魅せられた二人の胸にある思いが浮かぶ――
「人が死ぬ瞬間を見たい」。
由紀は病院へボランティアに行き、重病の少年の死を、敦子は老人ホームで手伝いをし、入居者の死を目撃しようとする。
少女たちの無垢な好奇心から始まった夏が、複雑な因果の果てにむかえた衝撃の結末とは?

「告白」の衝撃と言うか
インパクトと言うか
すごかったので期待は最高潮。
「少女」は1頁目からインパクトのあった。
しかし、読み進めて行くうちに飽きてしまった。
最後の方で人の繋がりがわかってきてそこの所は上手いな。
って思ったけど最終的な感想は・・・
印象に残らない。
でした。






ホームレス大学生 田村研一

2009-02-13 10:57:33 | Weblog
お笑い芸人麒麟の田村裕の兄・田村研一のホームレス生活を描いた自叙伝。
田村三兄弟が父親に、『解散!』と告げられたとき、研一は大学に入学したばかりの弱冠19歳でした。
長男として、弟、妹を守る公園生活から、父との再会、家族での生活、母との死別など、田村家のエピソード満載です。
麒麟・田村とは別の公園でホームレス生活をしていた兄はいったいどんな生活をしていたのでしょう。
大学生という、少しだけ大人な兄の視点で書かれた一冊です。

テレビで見たり聞いたりしたので田村家の事情は知っていました。
それでもやっぱりこの本を読んでよかったです。
兄弟の絆、親子の愛、近所の人の支えがあり本当に涙なしには読めませんでした。




オリンピックの身代金 奥田英朗

2009-02-13 10:37:03 | Weblog
昭和39年夏。10月に開催されるオリンピックに向け、世界に冠たる大都市に変貌を遂げつつある首都・東京。
この戦後最大のイベントの成功を望まない国民は誰一人としていない。
そんな気運が高まるなか、警察を狙った爆破事件が発生。
同時に「東京オリンピックを妨害する」という脅迫状が当局に届けられた!
しかし、この事件は国民に知らされることがなかった。
警視庁の刑事たちが極秘裏に事件を追うと、一人の東大生の存在が捜査線上に浮かぶ…。
「昭和」が最も熱を帯びていた時代を、圧倒的スケールと緻密な描写で描ききる、エンタテインメント巨編。

最近、『空中ブランコ』をはじめとするユーモア路線の作品ばかりの奥田氏がついに社会派サスペンスを書いてくれた!
私はシリアスな奥田氏の著書を待っていました。
『最悪』『邪魔』が大好きだったのでとてもうれしい。