やっぱり本が好き@ミステリ

日頃読んだ本の感想・日常の生活など

まず石を投げよ 久坂部羊

2009-02-20 11:01:06 | Weblog
外科医・三木達志は医療ミスを告白し、患者の遺族にみずから賠償金支払いを申し出た。
これに究極の誠意を感じたライター・菊川綾乃は取材に乗り出すが、「あれは殺人だった」との手紙が舞い込む。
不倫、自殺、テレビでの医師の心理実験、墜落願望。医療ミスは事故なのか、それとも密かな殺人か。
医師の好き嫌いで患者が殺されたら……。
現代人の心の奥の深い闇をえぐりだす、『破裂』でベストセラーの著者による医療ミステリー。

 医療ミスをテーマとした長篇(ちょうへん)小説である本書には、二つの見どころがある。
一つは、外科医・三木の人物像であり、もう一つは医者たちに仕掛けられたある心理実験である。

心理実験がリアルに描かれている。
レントゲン読影において写真をすりかえて、医師に重大な見落としをしたと錯覚させる。
そのときに彼らはどのような態度を示すか。
うろたえるか、素直に非を認めるか、それとも隠蔽(いんぺい)工作を図るか。
つまり医師にとってのある種の極限状況を作って人間性を観察するという悪意に満ちた設定である。
自分が大変な過ちを犯してしまったかもしれないと気づいた時の医師たちの反応はどのようなものなのか。
読む価値はあると思う。

今日も医療ミスのニュースが報道されていました。
直接、死に繋がるものではないが精神的には辛すぎる医療ミスでした。