多文化共生のすすめ

Toward a Multicultural Japan

総務省「多文化共生推進プラン」

2006年03月27日 | Weblog
総務省国際室長が、本日、全国の都道府県・政令市の外国人住民施策担当部局長へ「地域における多文化共生推進プラン」を送付した。同プランは各都道府県から管内市区町村へも送付される予定である。プランの内容は、総務省多文化共生の推進に関する研究会報告書を要約したもので、多文化共生施策を体系的に示したものといってよい。

多文化共生を推進する指針や計画を策定しているのは、まだ川崎市、立川市、足立区しかなく、外国人集住都市会議の参加自治体にしても、体系的に施策を推進するにはいたっていないので、総務省がプランを策定したことは多くの自治体にとって大きな刺激となるだろう。

ただし、全国の大半の自治体では、まだまだ多文化共生より国際交流が主流であり、何らかの財政的なインセンティブがないと、多文化共生の推進に取り組むことはあまり期待できないかもしれない。

足立区

2006年03月20日 | Weblog
足立区が「多文化共生推進計画」を策定した。私は計画策定懇談会の座長として、計画策定に協力した。

足立区は、2006年1月現在で外国人登録者が2万1405人(住民の約3.3%)で、全国の市区町村の中では、大阪市生野区、東京都新宿区、浜松市に次いで多い。

東京都は、全国の都道府県の中で最も外国人登録者が多く、住民に占める比率も最も高いにもかかわらず、多文化共生の取り組みはかなり遅れている。その東京都の中で、立川市に続いて、足立区が「多文化共生推進計画」を策定した意義は大変大きいといえよう。

足立区には、計画に示された施策の着実な実施を期待したい。

案内:多文化共生シンポジウム@美濃加茂市

2006年03月18日 | Weblog
みのかも多文化共生シンポジウム「日本語を母語としない子どもたちが自立していくために」

日本語が分からないことや経済的事情で、不就学となっている外国人の子どもたちがいます。そういった子どもたちをなくし、またその子どもたちがこの日本社会で生きていくいために、働き、自立できる環境づくりには、何が必要かを探っていきます。今回は、厳しい環境の中、自らの努力と周りの支えによって日本の学校で学習している子どもや社会の一員として自立した生活を送る青年たち、また、そういった子どもたちを支えている大人たちによる2部構成でパネルディスカッションを行います。

★とき 2006年 3月26日(日) 
         13:00~17:00(受付12:30~)
★ところ 美濃加茂市中央公民館 201号室
★定員  200名(先着順)
★問い合わせ 美濃加茂市市民まちづくり推進室
 TEL:(0574)25-2111(内線)361・362
 FAX:(0574)25-3917
 E-MAIL:machi@city.minokamo.lg.jp
★主催 美濃加茂市・美濃加茂国際交流協会
★後援 (財)岐阜県国際交流センター

【プログラム】

13:00 開会 市長あいさつ
13:05 【現況報告】
 「外国人の教育をめぐる国の動向」    山脇啓造氏(明治大学教授)
 「子どもと外国人コミュニティについて」 高橋ミルトン氏((財)名古屋国際センター・ポルトガル語嘱託職員)
 「放課後学習支援の活動報告」      渡辺マルセロ氏(美濃加茂市国際交流員)
14:00 パネルディスカッションPart 1
 子どもたちの声 「何のために学校へ行く?」 ★コーディネーター:高橋ミルトン氏

15:15 パネルディスカッションPart2
 大人たちの声 「大人ができることは、何だろう?」 ★コーディネーター:山脇啓造氏
16:35 参加者同士の交流会
16:55 終了

総務省:多文化共生研究会

2006年03月13日 | Weblog
総務省が2005年6月に設置した「多文化共生の推進に関する研究会」が、報告書「地域における多文化共生の推進に向けて」を2006年3月7日に公表した。私は座長として研究会に参加した。

主な内容は以下のとおりである。

1 コミュニケーション支援
1)地域における情報の多言語化、 2)日本語・日本社会学習支援

2 生活支援
1)居住、 2)教育、 3)労働環境、 4)医療・保健・福祉、 5)防災、 6)その他

3 多文化共生の地域づくり
1)地域社会に対する意識啓発、 2)外国人住民の自立と社会参画

4 多文化共生施策の推進体制の整備
1)地方自治体の体制整備、 2)地域における各主体の役割分担と連携・協働


総務省としては、「国際交流」、「国際協力」に続く地域国際化の第3の柱として、「多文化共生」を打ち出したものといえよう。また、今回の報告書の趣旨を一言で言えば、「外国人住民施策から多文化共生施策へ」となる。

今回の報告書が、自治体のみならず、国レベルにおいても、外国人受け入れのあり方に一石を投じるものとなることを期待している。

小学校の授業

2006年03月10日 | Weblog
私は横浜市立上飯田小学校の卒業生である。その小学校で、3月10日、6年生の2クラス合同のの総合学習の授業を1コマ担当した。小学校で授業をするのは初体験である。担任の先生から、事前に、写真をもってきるように言われていて、当日も写真を持ってきたかと尋ねられた。おそらく、大学教員が小学生を退屈させない授業をするのは難しいだろうと思われたに違いない。

子どもたちの数は40名ちょっとで、視聴覚教室で行われた。テーマはもちろん多文化共生にした。前半で、日本の人口減少の話、それから地球儀を使って人の国際移動の話をして、最後に新聞記事を使って、多文化共生社会の話をした。40分の授業で、30分ぐらいまでは皆ついてきてくれたが、最後の10分ぐらい、一人、二人と集中力が切れた子が出てきたが、何とか最後までたどり着いた。最後に質問を受け付けたところ、6、7人途切れることなく質問が出たのがうれしかった。

ただし、人口減少の話がショックだったらしく、質問もほぼそこに集中した。途中で、子どもたちに、30年後の日本がどうなっているか聞いた時に、ほぼ全員が今より貧しくなっていると答えたのも気になったが、次に機会があれば、もう少し将来に夢をもてる話をしなければと思った。

EU

2006年03月06日 | Weblog
最近の風刺漫画問題でも注目されるEUの移民問題であるが、"Migration and Integration" はEUの一大テーマである。欧州委員会は、この1、2年の間に、"First Annual Report on migration and integration"(2004年7月)、"First European handbook on integration of immigrants"(2004年11月)、"Green Paper on an EU approach to managing economic migration"(2005年1月)といった重要なペーパーを発行している。

EUの移民政策を考える上でのキーワードといってよい「統合(integration)」だが、日本ではまだ政策用語として定着していない。定着していないどころか、おそらく、規制改革・民間開放推進会議の第二次答申(2005年12月)に「社会的統合」が用いられたのが初めての例であろう。そこでは、「社会的統合」を「受け入れた外国人及びその家族の人権や文化的・社会的背景に配慮しつつ、受入れ国の経済・社会で生活する上での諸権利を認めるとともに、義務を果たさせること」と定義している。

来る3月9日に、外務省と国際移住機関(IOM)が共催するシンポジウム「外国人問題にどう対処すべきか- 外国人の日本社会への統合に向けての模索 -」が行われる。テーマに「統合」を掲げていること、そして、ドイツとフランスから、国や州政府の社会統合政策のキーパーソンを招いていることからも、大変興味深いシンポジウムである。