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尾道市向島町の里海を眺めて

瀬戸内海(尾道・向島)で見られる海の生物等をご紹介

ウミサボテンの工芸作品

2012-06-01 19:02:03 | 日記
昨年、三原市のOさんという方が染物の意匠にウミサボテンを使いたい、
ついてはその実物を見てみたいと来所されました。
それならばと自由に写真を撮っていただき、私の持つ写真も数点差し上げました。

先日そのOさんが来所され、無事に作品が出来上がって展示会にも出品しましたとのニュースを頂きました。
その作品がこちら。



青と藍のコントラストが実に綺麗です。
日暮れ時にウミサボテンを水中から見上げると、実際にこの色合いに見えることもあります。
触手の数も一致していて、よく観察されておられました。

実は写真だけでなく、この意匠からTシャツも作っておられました。
表と裏で若干デザインが異なるところが粋です。
この世界に一つのTシャツを寄贈して下さるとのありがたい申し出があり、
驚くとともに大変うれしく思いました。
そこで、染物のデザインに役立ちそうな私蔵の珪藻図鑑と交換しました。
頂いたシャツは所内に展示したり、何かの展示イベントの際に使おうと思います。
Oさん、大変ありがとうございました。次の展示会には是非伺わせていただきます。


シランの花

2012-05-19 19:46:32 | 日記
以前に発芽したシランですが、花が咲きました。もうすぐ花も終わります。


白いシランの株も少し混じっています


敷地内にはカラーも自生しています。冗談半分で生け花にしたこともあります。
生け花の心得は全くありませんので、見た目は良くありません・・・。

ゴンズイ

2011-12-20 18:23:06 | 日記
今回はゴンズイ(Plotosus japonicus)のお話。

岸辺にいるときに、下の写真のような魚の群れを見たことがあるでしょうか?


これはゴンズイ玉と呼ばれるもので、ゴンズイが100匹単位で群れている状態です。
ゴンズイは本州から沖縄にかけてよく見られる魚ですが、九州以南ではミナミゴンズイと
呼ばれる種が存在します。脊椎の数や鰭の条数等でしか区別できません。
ナマズ目に属し、唯一海の中で一生を過ごすナマズの仲間です。
寿命は3年ほどで30cm近くまで成長し、浅瀬に生息しているために見かけやすい魚です。
黄色い口髭のような触覚と縦縞模様が特徴的で、陸の上からでもすぐに見分けがつきます。
毒のある魚として有名で、背びれの頭側に1本、左右の胸びれにそれぞれ1本の
計3本の固い毒針を持っています。

昨年の冬にゴンズイ玉の写真を撮りたいという依頼があったので、
回遊ルートになっている場所を教え、陸上から撮影してもらうことにしようと考えていたら、
「せっかくなので潜って取りたい」との要望が・・・。
私は毒を持つ生物が苦手なので、常に触らない、近寄らないようにしていましたが、
ご要望とあらば・・・と、へっぴり腰で水中撮影におつきあいしました。
撮影下手なうえにシャッターを切ったらすぐ逃げるという体たらくでは、全く良い写真が取れません。
とりあえず自分が撮った写真を並べておきますが、プロが撮った写真はこちらのリンクに飛んでください。
http://www.chugoku-np.co.jp/kikaku/yurikago/Iy201012270001.html







ゴンズイは好奇心が強い魚で、大きな相手にも寄っていきます。
そのため、向こうから群れになって平気で近づいていきます。

これは大きな相手を襲おうとしているわけではありません。
ゴンズイは掃除行動という性質を持っており、大型の魚などの体表をクリーニングします。
我々も掃除してあげようと思っているのかもしれません。
向こうから近づいてくる分には毒針を向けてこないと言われていますが、
自分の体で試してみたいとは全く思いません。
ゴンズイの食事は掃除行動ばかりではなく、普段は口の周りにある触覚で海底の生物や
有機物を認識すると、手当たり次第に口へ入れています。

ゴンズイの毒とその対処法、そしてゴンズイ玉の行動などについては、
長くなりますので別の日にアップしたいと思います。


アオリイカの卵

2011-08-26 19:27:05 | 日記
今回はアオリイカ(Sepioteuthis lessoniana)の卵と子供です。

こちらは、昨年春に採集したアオリイカの卵です。


カミナリイカなどと同じように、アマモ場に卵を産み付けます。
カミナリイカが一粒ずつ巻きつけるのに対して、5~10個程度の卵を
連結したものを巻き付けます。

そのうち一つを取って、表面の卵膜を一枚だけ残したものがこちら。





これから、少し黄色みがかった白い幼体が生まれてきます。







生まれてすぐに、彼らは体表の色を変えることができます。
上の写真でわかるとおり、基本的に黒か白(透明)です。

なぜ白黒なのか?
彼らを少し脅かすと、その理由の一部がわかります。

彼らは黒色になって警戒し、逃げる時に墨を吐きます。
墨を吐いた瞬間、本体は白く透明になって、すぐにその場を離れます。
そうなると本体は海中では見えにくく、消えたようにみえます。

おそらく、捕食者から見ると本体はそれほど動かず、止まったままに見えるでしょう。
捕まえてもそれはイカ墨で、本体はすでにそこにはいません。
海の忍者の名に恥じない行動様式です。

アオリイカの卵を見つけることができたら、少しだけもぎ取って、
家で観察するのも楽しいかもしれません。
ただし、イカの子供を育てることは非常に困難で、すぐに弱ってしまいます。
生まれたら、その日のうちにアマモ場に帰すことをお勧めします。
私も、生まれた子供たちは卵を取ってきた場所に放流しました。
(撮影した場所はアマモ場近くの砂地で、残りはアマモ場に直接放流しています)